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少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
パムール島の異変

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世界の成り立ち(2)

「つまり、これは大陸では普通に存在してるエルフィンアーマーって状態なんだな」

 正輝は脈絡からそう判断する。

「そうじゃ。どこから話したもんかの」

「基本から頼む」

(違うのです、マサキ。実は装鎧戦士(エルフィンアーマー)はあのトカゲみたいなメタル系進化種とも大きく関係しているのです)


 まったく別の事象と思っていた二つが密接に繋がっているという。だから、どっちを先に話すべきかゼアネルヒも迷ったというのだ。


「古来より人間はメタル系生物を知っておったし利用もしておったのじゃ」

 妖精種(エルフィン)の長老が説きはじめる。

「スライムくらいであれば狩るのも難しくはなかったし、魔法を用いれば加工もできる素材の元として扱っておった。しかし、ある時期を境にメタル系生物は進化をはじめてのう」

「別の形態を取りはじめた?」

「そなたが見たように、別の生物の模倣をするのじゃ。それでいて、元となった生物よりも強い。メタル系本来の攻撃力もあるからの」


 ただのトカゲであれば噛みつく引っ掻くくらいの攻撃しかできない。しかし、メタルトカゲはその二つ以外にトゲも飛ばしてくる。狩るのは容易ではないだろう。


「最初の頃は人間の戦士でもどうにか倒せた。魔法が得意なものはそれも用いての」

 武器も使えるうえに念動力も使えるなら彼と違って対抗もできるだろう。

「しかし、彼奴らの進化は止まらなんだ。トカゲになり、飛びトカゲを模し、さらには大飛びトカゲになる。獣になり、より強力な肉食獣の姿を借り、さらには大型獣となる」

「まさか?」

「そうじゃ。最後には人間の姿を取るようにもなり、武器まで形作り、攻撃して人の精気を貪った。そうなると手がつけられん」


 想像だに怖ろしい。大きめのトカゲでさえ死を覚悟するような強敵だったのだ。それがもっと進化した形になれば対抗する術はない。


「人は狩られる側になり、数を減らしてしもうた」

 当然の帰結かもしれない。

「メタル系生物が覇を唱える時代がやってくるのかと思われたがの、人は知恵を持つ生き物じゃ。まとまって大勢で対抗することでどうにか生きる場所を得ておった。それが統一王国時代じゃ」

(以前マサキの言葉がこの世界の言葉ではないと言ったでしょう? それはその時代に統一された言語ではなかったからです。なので、すぐにあなたは別の世界から来られたのだと思いました)

「そういうことだったのか」

 実に筋道が通っている。

「しかし、人が集まっただけではメタル系生物には対抗し得なかったのじゃ。あれらは狭い隙間でも忍び込んでくるし飛びもするでのう。どんな高い城壁を組もうとも襲われて滅びる街が絶えなんだ」

「だろうな。わかる」

(それが三百年前の話だと聞いています)


 エメルキアにとっても過去の話。当時のゼアネルヒがどこにいたかは語られないが、見てきたのは確かなようだ。


「その頃はすでに我らにとっても人間は繁殖共生関係にあったでのう。滅びてもらっては困る。だから、一つの選択をしたのじゃ」

 そこでマサキも気がついた。

「生みだしたのがエルフィンアーマーってわけか」

「そうじゃ。我らは人間の力となって人類を生き永らえさせるよう働いた。人の戦闘技術を用い、我らが能力底上げをしてやればメタル進化種にも勝てたからの」

「なるほど、わかった。だから、この変身が誰もが知る人間社会の常識になったんだな」


 便利な手法はまたたくまに拡散され模倣される。それが人類の強みでもある。ましてや、それなしでは生き延びるのもままならないとあれば当然のように用いられる。どこの世界でも変わらない。


「それから百五十年、人類は必死に戦ってのう。ようやく、メタル系進化種を狩り尽くした。今ではメタルスライムがどうにか生き延びておる。それは島も大陸も変わらぬ状況じゃった」

 ゼアネルヒは過去形で言う。

(わたしもメタルスライムが進化する可能性を秘めているのを知りながら油断していました)

「そりゃそうだ。今の話の流れじゃ、もう百五十年は進化種が出てこなかったって意味だろ?」

「力を失ったのかもしれぬと思ってたのは本当じゃ。すまんのう」

 詫びられても困る。

「いいって。俺はルキに救われてこうして生きてる。なんの文句もない」

「じゃが、この形態にはいろいろ問題もあるでの。これが気に病むのも仕方あるまいて」

(今も心のどこかで不安が拭えません。わたしはマサキの自我を侵したくはないのです)


 少女の優しい心根に感動する。抱きしめたいくらいだが、今はまさに彼と一体化しているので無理な話だった。


(そんな。嬉しいですけど)

「げ! 今の伝わってる?」

 驚かされる。

(強い意識は。表層に浮かんでくるものはそれなく感じられます)

「ヤベ。気をつける」

(無理なさらなくても)

 丸裸にされるのは遠慮したい。

「勘弁してくれ。君にいやらしいことする妄想とかされたら困るだろ?」

(やぶさかでは……)

「だから、そういうこと言うなって」


 無頓着を通り越して、性に積極的なのは始末に終えない。男のほうが理性を働かさねばならないのはきついのだ。


「仲の良いことよの」

「あんたはこの子に貞操観念も教えるべきだったんだよ、ゼアネルヒ様!」


 文句を言わざるを得ない正輝であった。

次回『世界の成り立ち(3)』 「実験しときたいな」

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