表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女装鎧ジノグラフ  作者: 八波草三郎
鴻ノ木正輝

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/17

地学流開拓(2)

 翌日、エメルキアとロナタルテを伴ってメタルスライム出没地域に向かう正輝。トカゲ狩りでなら斥候に役立つ小妖精(リトルエルフィン)もこのエリアは危険なので彼の肩でお休み。


「土の中にもいるって言ったよな?」

 メタル系微生物のことである。

「います。でも、掘って探すのは大変ですよ?」

「探す気ないからいい。すると、地下水に混じって川に入ってないかぎりは、水源がどこかにあるはず」

「あると思います。辿ったことないですけど」


 少女は家の傍の川が様々なところから湧きだした水が集まったものだと知っていた。その一つがこの辺にあってもおかしくないらしい。


「しかし、こう地面が腐葉土一色じゃなあ。その下を流れてても変じゃない」

 地面の起伏を見ながら探るべきか。

「水だったら匂いするからわかる」

「本当か、ロナ? 道案内頼む。慎重に進むぞ」


 メタルスライムとの遭遇は常に考えておかねばならない。今日も正輝は流体金属(メタル)で作ってもらった警棒サイズの武器を片手に先頭を歩いている。


「見つけたな」


 ロナタルテがあっちこっち言うのを参考にしつつ、二体のスライムを倒してたどり着く。落ち葉を掻き分けると、小さな谷のような窪みを水がチョロチョロと流れている。


「これを上流に遡ってく」

「はい」


 確認しながら脇を歩く。流量はさほどではないが安定していた。彼は期待したとおりだと思っている。


「洞窟ですか」

 エメルキアが暗い穴を前に目を丸くしていた。

「ああ、地下水脈が長い時間を掛けて削って洞窟になったタイプのもの。中は地中みたいなもんだろ?」

「そうですね。ここでメタル微生物が水に混じって川に流れ込んでると」

「たぶんな。押し流されてるんじゃなくて水中を自分で這って行ってるっぽいな」

 それほど軽くない。

「ここになにが?」

「想像どおりならいいもんがある」

「面白いもの?」

「どっちかっていうとキラキラのほうだ、ロナ」


 家から持ってきた油と糸を編んだ芯を使い、少女に本体を流体金属(メタル)で作ってもらいランプにする。できた明かりを持って、彼が先頭で洞窟の中へ。


「なにか感じたら教えてくれる?」

 危険は少ないはずだが警戒は怠らない。

「メタルスライム、いるかも?」

「俺の予想じゃいないんだけどな」

「なんで?」

 ロナタルテは不思議に思っているらしい。

「ここは連中の故郷であって棲家じゃない」

「ここで生まれた?」

「たぶんな」


 あくまで予想である。周辺のほとんどが森に覆われていて、鉱物が露出しているような場所は見受けられなかった。ならば、露天でなく表面に現れている場所があるはずだと思ったのだ。


(メタルスライムのボディを作るには、ちょっとやそっとの量じゃ足りない。鉱脈が露出している場所が必要。で、きっと、そこには……)

 彼が求めているものがある。


「この辺、いっぱいいます」

 エメルキアが警告する。

「なにが?」

「小さいのが。壁面をしっかり照らしてみてください」

「壁? うお!」


 凸凹の激しい壁面にはところどころに爪の大きさほどのメタル系アメーバが這いまわっていた。明かりにきらきらと反射していたのは鉱物じゃなかったのだ。


「そっか。このサイズか」

 小型というべきか、スライム以前というべきか。

「このくらいになると明かりなしでも見えます」

「うーん、きっとルキには磁気が見えてるんだな。だから、スライムのコアもどこにあるかわかる」

「おそらくそうです。力の流れみたいなものが見えます」

 彼女には無数のメタルアメーバが見えている。

「この先にも?」

「はい、相当数」

「となると、この辺だな」


 正輝はしゃがみ込む。足元には灰色の砂が一面に敷き詰められたようになっていた。ランプを少女に任せて砂をひと掬い。適当な平らな石の上に撒くと、メタルの棒でガンガン叩いた。表面が削れ金属光沢が露わになる。


「こいつは」

「川の砂鉄みたいなものですか?」

「そうなんだけどな」


 削れたところはまだ真新しい金属光沢があるが、砂はよく見れば黒いものと銀色のものが混じっている。それは正輝にとってわりと身近な光沢。

 黒は川で採れたのと同じ砂鉄。そして、銀色こそよく知っている色。ニッケルだ。誰もが一番接する形では五十円玉がある。


「床に降り積もってるのは鉄ってのとニッケルって金属なんだ」

 指で示す。

「メタル系生物たちが取り込んだ余り。で、この二つ以外で磁力操作ができる金属は一つしかない。連中のボディは『コバルト』でできてる」

「珍しいものなのですか?」

「そうでもない。けど、そんな多くもない。で、余りのほうがいっぱい出てる。俺が欲しいのはその余りのほう」

 足元に大量にある砂である。


 それは鉄とニッケル、あるいはニッケル鉄系の合金になっているものと思われる。というのも、この磁化しやすい三つは同じ鉱床に眠っていることが多い。コバルトだけを取り込めば、自然残るのは鉄とニッケルという結果になる。


(ニッケル鉄、いいねえ。ほぼステンレスだ。腐食に強い)

 同系金属である。


 エメルキアの能力次第ではあるものの、余った鉄とニッケルを合成して成形できるとなると用途は無限に広がる。理想とする身の周りの金属製品を作り放題だ。


「この砂を持てるだけ持って帰りたい」

「これがマサキの欲しがってたものですか」


 少女は不思議そうであるが、正輝には宝の山だった。

次回『地学流開拓(3)』 「ルキやロナの魔法の仕組みも読めてきた」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ