外伝・地獄のヤンデレ回~鎖でつながれた、ルミアと一夜の密室事件~
文化祭の騒動も一段落ついた夜。
俺は寮の個室で目を覚ました。
「……ん? ここ、どこだ……?」
目を開けると、部屋の天井。だが様子が妙だ。
壁には魔封結界。扉には封印式。窓には物理ロック。
……なにより、
俺の手足が鎖で繋がれていた。
「おはよう、冥♡」
そこにいたのは、ルミア・シュヴァルツ。
普段は冷静なヤンデレ剣士。その彼女が、何故か真っ赤なネグリジェ姿で、俺の上に座っていた。
「ふふ……今日は、誰にも邪魔させないよ。ティナも、リシェルも、フィーネも……」
ベッド脇の机には、**“他のヒロインたちの髪の毛入りの護符”**がずらりと並ぶ。なにそれ怖い。
「ねえ冥……わたし、こんなにがんばったの。ちゃんと、気持ち……伝えたい」
そう言って、ルミアは俺の頬に手を添え、ゆっくりとキスを落とす。
その唇は、恐ろしいほど優しく、そして――異常なほど熱かった。
「……あのね、冥。わたしね、今日が“運命の夜”って決めてたの」
ぽつぽつと語られる、ルミアの想い。
初めて会った日のこと。遠くから見つめていた日々。
その全てが、執着と恋情と病みが混ざり合った、純粋すぎる愛だった。
「“一緒になれる”って、信じてた。……だから、ね?」
そう言って、彼女は懐から取り出したのは――《婚約魔印》の刻印用刻刀。
「冥の左胸に……“私だけの刻印”つけていい?」
あ、これたぶん命に関わるやつだ。
「ルミア、落ち着け。俺はお前を拒否してない。だが、順番というものがだな――」
「大丈夫。痛くしない。すぐ終わるから、ね?」
そして、彼女の細い指が、俺の服をゆっくりと剥いでいく。
「ふふ、柔らかい……肌、綺麗……ここに、つけちゃうね」
その直前――《奈落の書》が自動起動し、《夢幻脱出》が発動。
俺はギリギリのところで霊体化して、部屋からすり抜けるように逃走した。
「……逃げたの? ふふ……」
窓辺に立ったルミアが、真夜中の空を見上げて呟く。
「じゃあ、今度は……鎖じゃなくて、首輪にしよっか♡」
次回
第10話『新章突入! “迷宮都市ロストベル”で、正妻系お姉さんヒロインと疑似新婚生活!?』