表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/31

きみの名前を呼ぶ日──冥の物語の終わりに

世界の再構築は完了した。


冥たちの戦いは、誰の記憶にも刻まれていない。

神々が消えた今、それは“存在しなかった歴史”として葬られるはずだった。


 


──だが、それでも彼らは確かにここにいる。


 


冥は、静かな丘の上に立っていた。


仲間たち──ティナ、ルミア、セレスティア、そしてフィーネが彼の元に集う。


春の風が草を揺らし、空は穏やかだった。



フィーネの本名


フィーネは、微笑みながら冥の隣に立つ。


 


「……覚えてる? 私、本当の名前を聞かせてほしいって言ったよね」


 


冥は頷き、ゆっくりと口を開く。


 


「……“アリス”。

お前が俺の夢にずっと出てた名前だ。俺にとって、お前は最初からアリスだった」


 


フィーネ──いや、アリスは目を見開き、やがて泣き笑いのような顔になる。


 


「……冥。ありがとう。やっと、私になれた」


 


彼女はそっと冥に寄り添う。



それぞれの想い


ティナは、王国の再建の中心にいた。だが彼女は言う。


 


「私はもう、騎士ではない。ただ、あなたを守りたい女よ」


 


セレスティアは王位を放棄し、ただの一人の“女”として冥と向き合う。


 


「この世界で、いちばん自由で、いちばん無責任な王になるのよ、冥。

……私が、その王妃になるから」


 


ルミアは、魔眼の封印を完全に閉じた。


 


「あなたを壊さないために、私は私を壊さないって決めたの。

──だから、ちゃんと私を選んで」


 


その問いに、冥は真剣に答える。


 


「俺は……全員、好きだ」


 


皆が一瞬呆れて、そして笑う。


 


「──やっぱり、あなたって最低ね」

「でも、そういうとこが好き」

「……王としての覚悟、ね」

「冥だから、許す」


 


彼はただの“最強の中二病”ではない。

いま、真に“誰かを守り、愛する男”になった。



物語の結び──


冥は、丘の上から遠くを眺める。


新しい世界はまだ不安定で、戦争も貧困も完全には消えていない。


でも、彼には仲間がいて、愛する人たちがいる。


 


「……行こうか。俺たちの、新しい物語へ」


 


アリス(フィーネ)、ティナ、ルミア、セレスティア──

四人のヒロインたちは、それぞれ冥の手を取る。


 


──そして、彼らは歩き出す。


この世界を、生きていくために。



〈完〉


次回


【後日談】


『そして、世界は恋に満ちた──異世界再構築後、冥と4人のヒロインの甘すぎる日常』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ