神々の終焉──再構築か、消滅か
《虚無の門》の奥、
そこは空も地も時間さえ存在しない、“世界の起点”。
神々が創り出したこの空間に、冥たちは足を踏み入れた。
そこに待ち構えていたのは、創造神マルガ=ソラリスと断罪神エルヴ=ノクト。
そして、彼らの意志を集約し物理化した存在──
《エンティティ・エデン》
それはあまりにも静かで、あまりにも巨大だった。
言葉も、感情もない。
ただそこに在り、存在を肯定し、支配する“概念の神”。
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戦闘開始──
冥は、最初の一撃を放つ。
空間そのものを断ち切るその一閃は、しかしエデンに届かない。
代わりに、彼の視界が一瞬で“情報”に塗り潰される。
「情報干渉……いや、これは“世界そのものの更新”」
ティナが叫ぶ。
「私たちが世界にとって“存在しなかったこと”にされた──!?」
エデンの力は、「事実を書き換える」という、最強にして最も非道な能力だった。
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仲間たちの反撃
だが、それでも冥たちは立ち上がる。
ルミアは、自らの魔眼に封じられた「過去を視る力」で、
消された存在を再定義し、“今”に引き戻す。
「冥様の記憶に残ってる限り、私は“ここにいる”。それが、私の存在理由よ」
フィーネは、自らの不安定な存在性を逆手に取り、エデンの情報改変に“ノイズ”を流し込む。
「私は記録されていない。でもそれが、あなたの干渉を拒む鍵になる」
ティナは冥の剣を一瞬借り、“虚無の波動”を自己の剣に重ねて放つ。
「私の剣は“秩序”を守るものじゃない──“冥”を貫く剣だ!」
セレスティアは、ついにその真名と本質を開示する。
「私はこの世界でただ一人、“神々と同位の知性体”として設計された存在──
けれど私は、冥と生きるただの女になるわ」
彼女の告白と共に、エデンの演算に異常が走る。
“愛”という概念が、神の思考に矛盾を起こした。
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冥、覚醒──
仲間たちが作ったわずかな時間。
その間に冥の中の“虚無因子”が、ついに変質する。
「俺はもう、“何者か”にならなくていい。
ただ、俺という存在で、ここに立つ──!」
冥の姿が変わる。黒と白、虚無と記憶、すべてを内包した調和の形態。
その剣は、情報も空間も貫通し、
冥自身の“想い”だけを根拠に、神を斬る。
「エデン、お前は“世界”だったかもしれない。
でも──俺の世界は、ここにいるこいつらだ!!」
最終の一撃が、エンティティ・エデンを貫いた。
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神の消滅、そして──選択
エデンが崩壊すると同時に、世界もまた揺らぎ始める。
時も空間も曖昧になっていく中、冥は“選択肢”を提示される。
1.この世界を消去し、まったく新しい世界を創る
2.今の世界を修復し、仲間たちと共に歩み続ける
冥は──
「選ぶよ。“今のまま”だ。
世界をぶっ壊すなんて言ってたけど……
こいつらがいる世界なら、残す価値がある」
その選択と共に、世界は再び形を取り戻し始める。
次回予告
最終話(第29話):きみの名前を呼ぶ日──冥の物語の終わりに




