滅びの方程式──神々の裁きと冥の選択
神を殺した冥の存在は、世界の根幹を狂わせた。
次に姿を現したのは、神々の中でも最上位に位置する二柱──
**《創造神マルガ=ソラリス》**と、
《断罪神エルヴ=ノクト》
彼らは、人類に最後の宣告を告げた。
「お前の存在は、定義不能。よって、“この世界の形式”として矛盾している」
「選べ。己が世界を捨てるか、全てを巻き添えに破滅するか」
その言葉は、もはや“通告”ではない──審判だった。
だが冥は、即座に否定した。
「選択肢は、俺が作る。お前たちの“想定外”こそが、俺だ」
闇と光が交錯する空間で、冥は剣を構える。
その背後には、彼の“選んできた存在たち”がいた。
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ルミアの終焉──愛ゆえの理性
戦いの直前、ルミアは冥に一つの頼みを打ち明ける。
「もし、私が暴走したら……私を殺して」
「……もう、そんな選択はしねぇよ」
冥の一言で、彼女の不安は断ち切られる。
それでも彼女は、自らの狂気に備えるべく、左目に封印の刻印を刻んだ。
「これが……あなたと“まともな恋”をするための、私なりの努力よ」
ルミアは今、真に“愛する者”として冥の隣に立つ。
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フィーネの変化──存在の確定
かつて“消えるはずだった存在”だったフィーネは、冥の意志によりこの世界に“固定”された。
だがそれにより、彼女は副作用を負う。
「私はもう、人間でも人形でもない……でも、それでも、あなたのことが好き」
フィーネの願いはただ一つ。
「この戦いが終わったら、名前を呼んでほしい。フィーネじゃなくて、“私の本当の名前”を」
彼女は覚悟を決める。自分が何者であれ、“愛される”ということを信じて。
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ティナの選択──姉として、剣士として
王国騎士団長であり、姉として冥を見守ってきたティナ。
神々との戦いに際し、彼女は自らの騎士団の解散を宣言する。
「この戦いは、国家ではなく“想い”のためのもの。私は、冥という男にすべてを賭ける」
その覚悟に、王都の騎士たちは静かに頭を垂れた。
彼女はもう、誰かの命令で戦う女ではない。
ただ一人の男のために、剣を振るう女だった。
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セレスティアの罪──王女としての最期
セレスティアは、神々の審判に対し、自らの罪を認めた。
「私は冥を神にしようとした。
そのために、多くの命を奪い、国を欺き、愛を歪ませた」
だが冥は、それでも手を差し出した。
「お前の罪も、俺が背負ってやる。……一緒に来い。地獄でも、未来でも」
セレスティアの瞳に、涙が浮かぶ。
「……そういうの、ずるいって言うのよ」
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そして──最後の戦場へ
《虚無の門》が、完全に開かれた。
そこから現れたのは、世界の原理を司る構造体──**《エンティティ・エデン》**
神々の理性が組み込まれたその存在を破壊することは、世界そのものを破壊するに等しい。
冥は静かに言う。
「全員で、最後まで行こう。選んだなら、背負うだけだ」
仲間たちはそれぞれに頷いた。
そして、最後の戦いが、始まる──。
次回予告
第28話:神々の終焉──再構築か、消滅か




