王妃選定、最終決戦──王族の策略と、ヒロインたちの決意
王都中心の大広場に設けられた、特設の白い玉座。
今日、王妃候補5名から1名を選ぶ最終選考会が行われる。
──だが、冥は選ばれたくてここに来たのではなかった。
王族が裏で進めている“封印計画”を止めるため、
そしてヒロインたちに“選ばれる”のではなく、“自分で選ぶ”と伝えるためだった。
「お前ら……今日は、お前たちが俺の気持ちをぶつける日だ。全員、覚悟しとけよ」
「冥様……」と、ルミアが切なげに呟いた。
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1人目:ティナ・リュカス──騎士の誓い
剣を背負い、堂々とした態度で登壇したティナ。
「私は冥と戦場を共にし、命を救われてきた。
だが、騎士としてではなく、“一人の女”として、冥を守りたい。選ばれなくても、私は離れない」
剣を引き抜き、冥の前に跪く。
「騎士ではなく、“伴侶”として剣を捧げる。これが、私の本心だ」
観客席に歓声が沸いた。
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2人目:ルミア・サーヴァント──狂愛の魔眼
静かに歩み出たルミア。その瞳には、異様な熱が宿っていた。
「冥様を見ているだけで、胸が苦しくなる。
だから私は冥様のためなら、世界のすべてを敵に回してもいいと思う」
「冥様の手足になって、願いを叶えます。命を捧げてもいい。
それが、私の……“生きる理由”だから」
ヒステリックな拍手と、微かな恐怖の混ざる空気が漂った。
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3人目:フィーネ・ネメシス──覚醒する少女
少し震えながらも、フィーネは真っ直ぐに冥を見つめた。
「私は……自分の出自に怯えていた。虚無王制御のために造られた存在だって、知ってしまって……」
「それでも、冥がいてくれたから、私は“人間”でいられるの」
フィーネは冥に近づき、手を取る。
「私の願いはただひとつ。これからも……ずっと一緒に生きたい」
冥は無言で頷いた。その手を、強く握り返して。
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王族の陰謀──冥の封印計画、発動直前
そのとき、空が揺れた。
巨大な魔導陣が空に浮かび、冥を中心に拘束魔法が発動する。
「これより、前世“虚無王”の存在を認め、危険因子として封印処置を開始する」
王族直属の禁呪部隊が現れる。
「待て、ふざけんな! 俺はもう“そいつ”じゃねぇ!」
冥が叫ぶが、すでに魔力制御封鎖が始まりつつあった。
だが──そのとき、ヒロインたちが一斉に冥の前へ立ちはだかる。
「冥に触れるなッ!」
ティナが剣を構え、ルミアが魔眼を解放、フィーネが魔力を最大出力にまで高める。
「誰であろうと……冥を奪うなら、私たちが相手です!」
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サブエピローグ:王女セレスティアの介入
場が凍りつく中、一人の高貴な少女が現れる。
長い金髪、深紅のドレス──王女セレスティア・アルバレスト。
「これ以上、茶番はお止めなさい」
「虚無王が危険かどうか……それを決めるのは“この私”よ」
彼女が冥に近づき、笑う。
「面白いわ。あなた、本当に“虚無を超えられる男”かもしれない」
冥とセレスティア、運命の邂逅──
次回予告
第21話:王女セレスティアの提案──冥、王家との“契約”へ




