選定の儀・前半戦──ティナVS貴族令嬢軍団、爆裂魔法剣で上等だ!
王都中央競技場。
上級貴族たちの視線が降り注ぐなか、ティナは静かに立っていた。
実況者の魔導士が声を張り上げる。
「第1試合、迷宮都市推薦・ティナ・リースティア嬢!
対するは、王都貴族連盟推薦の“選定令嬢会”より三名の挑戦者!」
──名家の令嬢たちが現れる。いずれも高級ドレス姿で、嘲笑混じりの視線。
「まあ、こんな田舎娘が選ばれるなんて、王都も落ちたものねぇ」
「可愛いけど、下品。冥さまにふさわしい“品格”って知ってる?」
「剣術なんて野蛮よ。女は微笑みと魔力コントロールが命♪」
ティナの拳が震える。怒りじゃない──悔しさだった。
(……冥の隣に立つには、こんな見下しも跳ね返せなきゃいけないんだ)
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【バトル開始】ティナ、覚醒の“融合剣術”
審判の合図とともに──3人の令嬢が魔法陣を展開。
「《雷鎖結界》《風障壁》《爆裂火弾》!」
3属性の連携魔法が襲いかかる!
だが、ティナは微笑んだ。
「……甘いよ。私は、冥に教わったんだから──全属性、使える!」
ティナが抜剣と同時に叫ぶ!
「《爆裂融合剣──レグリア・カリバー!!》」
──魔法と剣技が融合した、彼女独自の“魔剣技”が放たれる!
光の奔流が轟き、貴族令嬢たちの結界がまとめて砕け散る!
「な……なにそれ……魔剣士でも、そんな融合、あり得ない……」
「……だから言ったでしょ。私は、冥の女だって」
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貴族たちの評価、揺れる
観客席の貴族たちがざわつく。
「まさか、あの年齢で属性融合を……?」
「技術も美しさもある。だが、野性味が強すぎるのでは?」
──しかし、その時。
王妃候補の一人・セレスティア=アレフ嬢が口を開く。
「面白いわ。ああいう子こそ、“王族に新しい風”をもたらすかもしれない」
その発言は場の空気を一変させた。
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夜のひととき──ティナの告白(未遂)
その夜、ティナは冥の部屋をノックする。
「ね、ちょっとだけ、夜風、見に行かない?」
月明かりのテラス。静かに並ぶ二人。
「……私ね、ずっと怖かった。冥の隣に立つなんて、場違いかなって思ってた」
「でも、今日戦って──違うって思えた。だから、私──」
そのとき、ティナが言おうとした言葉は、背後からの物音にかき消される。
「──あら、こんな夜更けに何してるのかしら?」(ルミア)
「ふふ、まさか“口説かれてた”なんて言わないでしょうね?」(セラフィーナ)
そしてフィーネの殺気が、月下に滲む──
✦次回予告
第17話『選定の儀・後半戦──フィーネ覚醒! 闇の力と“前世の記憶”』