夜の迷宮へ──冥を狙う“白の魔眼”と、暴走するフィーネの魔力
「……おかしい。通常の迷宮層じゃない、これは“別の空間”だ」
俺たちは、都市の近くにある魔力の異常を調査すべく、夜の迷宮に潜っていた。
しかし、辿り着いたのは通常の階層ではない、異界と繋がった歪みの空間。
「この感じ……冥の魔力に引き寄せられてる。完全に狙われてるわね」(セラフィーナ)
「冥くんはちょっと放っておくとすーぐ世界の因果に巻き込まれるからなあ」(リシェル)
そのとき、空間がねじれた。
現れたのは──全身白衣の女。目元を白い布で覆い、淡々と語る。
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謎の敵《白の魔眼》登場
「転生者“冥”。貴様の存在は、この世界の輪廻を汚している」
その声はどこか人工的。まるで人形が喋っているようだった。
両目を覆う布の下から、白く光る眼が現れた瞬間──世界が“停止”した。
──俺以外、全員が動きを止めている……!
(……空間停止!? ヤバい、これ、“冥王装束”なしじゃ対抗できないレベルだ)
「さあ、終焉を受け入れなさい、“滅びの鍵”たる転生者よ──」
白の魔眼のビームが俺に向けて放たれた瞬間──
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“暴走”フィーネ、覚醒
「……やめて。冥には……指一本、触れさせない──」
空間が震える。停止していたはずの時間が、闇色の波動によって破られる。
その中心にいたのは──フィーネだった。
「冥の隣は……私の場所。誰にも……渡さない……」
フィーネの目が淡い紫に染まり、全身から黒い魔力の渦が立ち上る。
そして彼女が詠唱したのは、冥ですら知らない禁呪──
「《闇界葬送陣》……」
放たれた魔力は、白の魔眼の動きを封じ、空間ごと押し返す。
しかし──その魔力は制御不能なほど強すぎた。
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そして──冥の選択
「フィーネ、もういい! 戻ってこい!」
俺は咄嗟に飛び込んで、フィーネの腕を抱いた。
「冥……こわくないの……? 私、あんなに……」
「怖いわけあるか。むしろ今ので、よく分かったよ。
お前が、どれだけ俺を想ってくれてるかってことが」
フィーネの闇が収まり、魔眼の敵も退けられた。
──だが、その後、帰還後の宿舎で。
ルミア:「……あの黒い魔力。もうただの“闇属性”じゃないわね」
セラフィーナ:「フィーネが、世界の“深淵”に触れた可能性がある」
冥の中で、一つの決意が生まれた。
「俺は、全員を守る。それが前世の罰でも、この世界の宿命でも、関係ない」
✦次回予告
第14話『王都への招待状──冥、ついに貴族認定!? 正妻名乗り出バトル開始』