「迷宮都市ロストベル」で、正妻系お姉さんヒロインと疑似新婚生活!?
王都を離れ、俺とヒロインたちは期間限定で迷宮都市ロストベルへ向かった。
目的は、学院の課題を兼ねた実践研修――
だが、それ以上に、「俺が何故この異世界に転生したのか」という謎に繋がる手がかりが、この地にあるらしい。
都市に到着すると、待っていたのはひとりの女性だった。
「ようこそロストベルへ。あなたが“冥”くんね?」
柔らかい微笑み。透き通るような蒼い瞳。
白と金の神官服を身にまとい、優雅に手を差し伸べたその人は――
セラフィーナ・アルストリア。
この都市を治める聖堂騎士団長であり、伝説級の癒し手でもある。
「こちらに滞在する間、私があなたの“保護者”として、身の回りをお世話するわ」
──言い換えれば、それは “正妻ムーブ” の始まりだった。
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疑似新婚生活、始まる。
その夜から、なぜか俺とセラフィーナは同じ屋根の下に。
彼女は、食事、洗濯、魔力管理、睡眠導入魔法にいたるまで、徹底的に俺の世話を焼く。
「冥くん、寝る前にお祈りと……ぎゅっと、してあげようか?」
「……うん、いい子。今日もお疲れさま」
その母性の塊のような癒しパワーに、俺の中二病も思わず崩壊しかける。
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そして当然、嫉妬祭り。
ティナ:「は? なにあの女。なんで冥くんにスキンシップしてんの!?」
リシェル:「しれっと既成事実積んでんじゃないわよ、正妻ヅラしてさぁ!」
フィーネ:(無言でセラフィーナの枕に魔法札を貼る)
ルミア:「冥の肌に触れた女の指、全部斬るね……ふふっ♡」
こうして、迷宮探索そっちのけで修羅場が始まった。
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しかし、セラフィーナには裏がある――?
ある夜、彼女の私室で、俺は不思議な魔法陣の痕跡を発見する。
セラフィーナ:「それはね……貴方に“前世”で施された、冥界封印の印よ」
どうやら、彼女は俺の中に眠る“冥王の力”に関して、何かを知っているらしい。
彼女の優しさの裏には、使命と執着がありそうだ。
セラフィーナ:「貴方は、私の“運命”なのよ。……だから、誰にも渡さない」
そう微笑む彼女の瞳もまた――ヤンデレ染まりの兆しを見せていた。
次回
第11話『迷宮都市の深層で遭遇! “最初の魔王の残滓”と、冥の覚醒