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忘却の森

作者: Sugarもなか


あそこの森には忘却の森があるんだって、もしその森に入ってしまうと、

その中に入ったら全ての記憶を忘れ、

永遠にその森の中で迷って出れずに、皆から忘れ去られるらしい。


と聞いたことがある‥もしかしてここ‥

あの、忘却の森かもしれない!!


私がどうしてこの森に入ったか記憶がない‥どうしよう!このままお母さんやお父さんや皆のこと忘れちゃうよ!!


ガサガサッ

「おい!お前!!どこから入ってきた!?」


黒髪の黒く大きな目をした同い年くらいの男の子が強引に私の手を掴み険しい表情で聞いてきた。


「ひ、ひぃ!わ、わかんないです!」


「チッ、やっと出れると思ったのに、お前‥ここに迷い込んだな‥。」


「うん‥。どうすれば出れるの?」


「俺にもわからない。俺は自分の名前も家も覚えてない。ただひたすら森を彷徨ってたら‥‥やっとお前に会った。」


「ただ一つこの場所が忘却の森だということだけは覚えている。」


「他の人には会った?」


「‥‥会ったかも覚えていない。それぐらい長い時間彷徨ってた。」


「私たちどうなっちゃうの!?」


「騒いでも無駄だ。自分たちで抜け道を一生探すしかない。」


そ、そんなぁ!!一生って‥!!


私はその場の木にへたり込んでしまった。


涙がポロポロ出てくる。もう‥帰れないんだ‥。


「‥‥、泣き止んだら出るぞ。

俺は最後まで諦めない。へたっても帰り道を見つけてやる!!」


この人もずっと迷い込んでたっていうし何時間、いやもしかしたら何年もこの森に閉じ込められていたかもしれない‥


「‥うん。涙、出止まらないけど私も帰り道探す!」


その男の子は少しホッとした表情を浮かべ、私が立って歩くのを待っていてくれた。


そしてそれからずっと森を彷徨ってた。

同じような道をぐるぐるぐるぐると。

どこまでもどこまでも続く木々。生い茂った草。

あれ‥お母さんやお父さんの名前‥覚えてない‥


また涙が出そうになった‥でもそれは我慢してなんとか歩いた。


私は空を見上げると遠い木々の隙間から輝く枝を見つけた。


「ねぇ!!輝く枝がある!!」


男の子は驚き私達は急いでその輝く枝の方に向かった。


高くて登れない‥。

でも、男の子がピョンピョンと登り、輝く木の枝を持って降りてきた。


私も輝く枝に触れてみた。


すると‥少し‥記憶を思い出した。



私は‥

空の綺麗な空気が気持ちいいという感覚だけを思い出した。

男の子も同じ記憶を思い出したと言っていた。


空の空気が気持ちいい?どういうことだろう‥



すると輝く枝は違う方向に光を差した。

もしかしたらその方向に輝く枝があるかもしれない。

輝く枝を探せば記憶が思い出せるかもしれない。


私と男の子は次の輝く枝を見つけに探しに出た。


何時間経ってもその輝く枝で思い出したことは忘れなかった。

その男の子もそうだと言っている。


光の先にもう一つの輝く枝を見つけた。

その輝く枝は木の穴の中に入っていた。また高い場所だった。


今度は私が取りに行くっと意気込んで登って行ったが、足を崩して落ちそうになった。

しかし男の子も先に登っていて私の手を引っ張ってくれた。


二人で穴の中を覗いて、見つけた!と二人で喜んでいた。


私は穴の中に手を突っ込んで輝く枝を手に入れた。


二人で輝く枝に触れてみた。


すると‥高所に乗っていることを思い出した。


‥‥もしかして‥私達‥



また輝く枝の先に光が差しもう一つの枝の方へ導いてくれた。



また森の中をその枝目掛けて歩いた。

何時間も何時間も歩いた。けど一向に着かない。

「もうだめだ‥。疲れた‥。」

「あと少しだから頑張ろうぜ。」

足はもうフラフラ。男の子も本当はフラフラなのに‥そうだよね‥諦めちゃだめだよね。


「うん。なんとか頑張る!」

すると葉っぱで隠れていたのか目の前に光る枝が現れた。



そっと二人で触れてみた。


ーー



うん。そうか。そうだったんだ‥

私はこの姿が本当の自分じゃないことを確信し、思い出した。


「私は雀としてこの森の中で飢えて死んでいたんだ‥。」


「俺はカラスとしてこの森で飢えて死んでいた。」



するとその輝く枝から声が聞こえた。


「君達は、本来なら森に帰るべき存在、だが僕の森で死んだ物達には試練を与えている。記憶のない中諦めずに人間として歩くことを続け生きられるかというチャレンジだ。


もし諦めていたら仲間の記憶にも存在そのものも消えていたんだ。


だが、君達は諦めずにずっと森の中で帰り道を探した。そして輝く枝を助け合い見つけ出した。

君達は人間の姿で生きられることを証明したんだ。

来世は人間に昇格だ‥。」


すると森が一瞬で輝いて消え、辺りが暗く星空満開の小さな草花や草原いっぱいの広い地平線になった。


私達の手元にある光る枝は

「この地平線から出てくる日に当たれば今度は人間に生まれ変われるよ‥。」

といい消えて行った。


少しずつ太陽が現れてきた。


「私達来世には人間になれるんだ‥。」


「カラスの人生も楽じゃなかったけどな‥。」


「また、この姿で君と会えるかな。」


「来世は俺と‥‥」


そう男の子は何か照れくさそうに私に言いかけた所で私達は光に包まれ消えていった‥



また会えるといいな‥。



その消えた光は流星群のように地球に降り注いだ。




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