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悪魔の血4

 俺は近い内、シロキには内緒でカドに門を開いてもらい、極楽へ行くつもりだった。

 そして極楽で独り、作成と再成を繰り返しているあいつを殺す。

 失敗したら、協力したカドも消されるだろう。シロキは何も知らなければ助かる。特別に愛されているあいつなら、また使いと門を与えてもらい元に戻れるだろう。最近ずっとそのことばかりを考えていた。


 目の前にいるこの男が極楽の扉を壊してまで逃げ出してきた理由はなんだろう。

 カドではなく、こいつを仲間にして極楽に行こうか、一瞬そんな考えが浮かんだ。だが今、この状況を見ると、門の破損はひどく、俺が極楽のあいつを殺す云々の前に、シロキが地獄に呑まれそうだし、シロキとカドにガジエアで傷ついた門を修復する力はない。

 その上、蜘蛛を助けたとかいうこの悪魔の成りそこないの澄んだ目を見ていたら、巻き込みたくなくなった。どうして悪魔として完成されてから落ちてきてくれなかったんだ。そんな人間っぽい目で見ないでくれ、助けたくなる。


「その身体、まだ完成してないんだろ。こんなとこにいると消えてしまうぞ」

 この男が逃げてきた目的を知りたい。作成の途中で目覚めたのだろうか。

 俺たちの作成過程は変わっている。極楽の作成者は最終の人生を終えてきた、浄化の余地の無い完璧な魂に、一度自分の持っている全ての情報を与える。それから不要なものを排除して神様や悪魔を作っていく。

 完成した俺たちは、全ての情報の百分の二にも及ばないものしか持っていない。どの情報が残されるかは作成者の意図次第だ。この中途半端な男が作成途中で逃げ出したのなら俺たち以上にこの世界の仕組みを知っているはずだ。鏡の地獄のことも知っている可能性が高い。


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