冬に待つ悪魔3
それにしても、シロキさんとカド、そしてこの悪魔、見れば見るほど全然雰囲気が違うな。カドの本来の姿は知らないが、シロキさんは何をしていても綺麗で掴みどころがないし、カドはいつでも純粋で正しくいようとしていて、この悪魔は冷めているように見えて実は二人以上に暖かい気がする。同じ顔をしているのに、魂が全く違う。
「ナイト、昔、俺に何があったんだ? 門と融合した日のこと、融合する前のこと、感触とか切り取った風景みたいものは思い出せるんだけど……」
波の音しか聞こえなくなる間を待って、カドが尋ねた。
「シロキからは何も聞いてないか。あいつ、言いにくいことはいつも俺任せだからな」
鏡の悪魔が溜息をつき微笑む。
「どうせ伝えようと思ってた。これからのために、思い出してもらわないとならない。あっちの砂浜に行こう。月の神様も、カドの友だち……エンドにも知っておいて欲しい」
そう言って雪でまばらに覆われた浜辺を小さな岩のある方へ歩き出した。カドもしっかりとした足取りで後を追う。
積もった雪を見て、早くその白さに触れてみたいと思っていると、いつの間にか鏡の悪魔が俺の横を歩いていた。
そして自然な様子で耳元に顔を近づけると「カドのこと、頼むな」と囁いた。耳元に冷たく響いて、消える音。凍えた余韻だけ残す声も雪みたいだ。




