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古い炎2

「来てくれてありがとう、アドバンド」

 シロキさんの声だ。揺らいで捉えどころがない。また、聞くことが出来て、本当に良かった。

「カドはどうした? さっきこの空間、揺れただろ。心配していたんだ」

「カドとエンドさんは、ここからルキルくんの――月の神様の門を通って人間の世界に行ったよ。その時の衝撃でかなり揺れたね。ついでにほら、一年分の、引き取りに行けなかった人間の魂まで送ってくれた」

 楽しそうに話すシロキさんが声を落とした。

「それにしても、エンドさんには参ったな」

 何か不都合があったろうか。そんなことより、まず一年前から今日までの出来事を説明して欲しいのだが。

「あいつがどうかしたか? カドもえらく気に入っているだろう」

 シロキさんが黙ってしまった。魂から直接話かけてくるので、表情が見えないのが辛いところだ。

「一体それがどうしたんだ」

「――気に入るどころか、夢中だよ。僕はどうしたら良いのさ」

「シロキさん、大丈夫か? 二人仲良くて何よりじゃないか」

 シロキさんの魂がぶれる。嫉妬か? このままだと永遠にシロキさんの嘆きを聞くことになりそうなので、話を変えた。

「それより一年前、カドがシロキさんの姿で現れた時は驚いたよ。名前以外思い出せないと言うし、おまけに極楽行きの人間の魂まで胸の中に持ち歩いている。あの日も俺はここに来た。扉を開けてはもらえなかったが。思わずカドに全部話してしまうところだった。だが何か事情があるかも知れないと考え直した。シロキさんにはカドの記憶を奪った前科もあるからな。……前科なんて言ってはシロキさんに悪いな、あの時は仕方なかったんだろ? とにかく見守ることにした。最近、月の神様がシロキさんを探しに来ているとシスから聞いて混乱したよ。二人で上手く口裏を合わせて、月の神様に会えるように誘導したが――なあ、シロキさん、本当に何があったんだ? 教えてくれ」

「色々ごめん、それからありがとう。一年前、訪ねて来てくれていたのも気がついてた。今日より優しく扉を叩いてくれたよね? けど、あの時、僕の魂はバラバラで、再成に精一杯だったんだ。何でそんなことになったかっていうと――」


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