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シロキさんの縛り3

「雷の神様、今夜も力を貸してくれてありがとうございます」

 神様の前に立つと、カドが真っすぐな声で、僕より先にしっかりと挨拶をした。

「カド、相変わらずしっかり者だな。シロキさんは良い使いを持ったね」

 濡れて身体に纏わりつく着物のせいでやっと追いついた僕は、少し息を切らして答える。

「そうなんです。だから、僕は他の神様より欠けているものが多くても幸せです」

 雷の神様はただでさえ優しい顔に微笑みを浮かべて僕を見た。

 稲妻が光る度、この神様の周りだけを、紫にも白にも青にも見える不思議な色の幕が覆うのが美しかった。

「何を言ってるの、シロキさんは奇跡の神様なんです。自信を持って」

「その、奇跡の神様って何なんでしょうか。僕自身、全く心当たりがないから、からかわれているのかと悩んでいます」

 誰のための、何に対しての奇跡なのか、記憶がない。

 雷の神様は僕から目をそらし、強く鼓動し続けている夜空を見上げた。その横顔は本当に穏やかで、この神様は例え世界中の悪意を背負っても、今と同じ表情で佇んでいるんじゃないかと思わせる。

 でもこの神様の縛りは確か――

「そのうちわかりますよ」

 柔らかい口元が静かにそう動いた。


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