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鏡の門1

鏡の門           エンド


  顔を伏せていたシロキさん……いや、カドが俺を見上げた。

「俺も夢の中でシロキさんの記憶を見てたよ」

 カドの笑顔を久しぶりに見た気がして、俺は自分の方へ強く引き寄せた。捉まえていないとそのうちどこかに吸い込まれてしまいそうだ。

「カドさん、僕は鏡の世界の過去のことは知らないけど、想像はつきます。噂を聞いたことがありますから。それで、僕、カドさんの力になります。僕はずっと味方です」

 ルキルくんが優しく微笑んだ。

 俺は絡まる情報を整理する。

 一年程前に炎の地獄をうろついていたカドに最初の判定したのは俺だ。その時から今まで、カドが人間なのか、神様なのか、悪魔なのかわからなかったが、その答えは全部だった。

 主体は使いのカド、鏡の神様の身体に二つ重なった人間の魂、そして大量の悪魔の血が流れている。

悪魔の血のくだりはわからないことが多い。

 過去なんらかの理由で鏡の悪魔が消えかけるほど大量の血をカドに与えた。さらにアドバンドも。鏡の悪魔の血では足りずに炎の悪魔も血をわけていた。

 アドバンドはカドの正体に気づいていながら、知らないふりをしていたのか。どうしてそんな事をしたのだろう。

 カドが何で出来ているかわかったは良いが、付随する謎は深まる。

 悪魔の血が神様の使いに流れることになった出来事とは何だろう。

 鏡の悪魔が執着して、今はカドが持っている人間の魂とは何だろう。その魂の中にあった青いガラス玉とはなんだ。シロキさんは何と戦うつもりでいるんだ?

 シロキさんは人間の兄弟を『最終』と言っていた。俺から見ても浄化の必要のない魂だったから納得だ。何よりシロキさんが判別したのだから間違いない。シロキさんは滅多に判別をしたがらなかったらしいが、その実、一番その仕事に適している神様だ。

 『最終』を迎えた人間は地獄行きではなく極楽行きになる。そして極楽で、その魂から神様、もしくは悪魔が『作成』される。それが仕組みだ。

 太古の神様以外は悪魔も含めて、浄化が完了した元人間だ。

 確かに、これから神様か悪魔になる人間の魂を壊されるわけにはいかないと必死になるのは理解できる。じゃあ、なぜ直ぐ極楽に送ってやらないのか。カドの中に隠す必要があるのか。



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