表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/334

幽霊に追われる3

 幽霊の後ろに立ったナイトが言った。

「お前も早くカドの中に入れ」

 はっと息をのむ音が、鏡の門からもれた。

「カド、会いたかったよ」

 ナイトが門に微笑むと同時に、幽霊の持つガジエアを奪おうと腕を上げる。

「待って!」

 僕は叫んで、思い切り自分から幽霊に飛び込んだ。

 幽霊にとっては好都合だろう、どうせ僕のことも解体すつもりなんだから。幽霊は躊躇することもなく僕の脇腹にガジエアを突き刺した。やっぱりこれ痛いな。実態に痛みを感じるのは久ぶりだ。

 幽霊の背後で完全に「馬鹿か?」という顔でナイトが僕を見ている。カドが「シロキさん、何してんだよ!」と叫んでいる声も聞こえる。なんだ、二人に呆れられて、心配されて、ただのいつも僕じゃないか。

 僕は幽霊に顔を近づけ言った。

「もっと深く刺せよ。僕はその方が都合がいい」

 僕は自分からガジエアの刃に深く落ちて行き、身体の中で固定した。びくっと幽霊が動くのを感じた。

「これは指示されていないんだ」

 僕は身体をひるがえし、幽霊を振り払った。

「ナイト、今度はゆっくり会おうね」

 僕はナイトの顔をしっかり見て言った。せっかく会えたのに。またしばらく会えなくなってしまうから、再成の中で夢に見ていられるようにしっかりと記憶した。ナイトが僕に独り言みたいな小さな声で言った。

「シロキ、俺はまた――」

 最後まで聞くのが怖くて、僕は言葉が終わる前に頷いて彼に背を向けた。

 ガジエアのせいでふらつきながらカドの方へ進む。カドの方も僕に近づいてくる。自分で動けたのか、初めて知った。

「シロキさん、早く入って!」

 半ばカドの方が僕を取り込むような状態で中に入る。

「カド、地獄の中央穴へ」

 さあ、これから魂が破壊される前にやることがいくつもある。

 力を温存しないと。

 カドが地獄に向けて上昇すると同時に僕は鏡の床に倒れ込んだ。

 外でナイトが何か言っている声が聞こえるが、急に轟いた冬の雷の音で途切れ途切れにしか届かない。

「カド、お前はやっぱり頼りになるな」

 それだけは、はっきりと聞こえた。僕には絶対言わない言葉、僕はふっと笑う。

「お前も一緒に――」

 カドが悲痛にナイトに叫ぶけど彼には聞こえただろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ