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神様と悪魔2

 どうしてそこから言うんだよ。あせって取り繕うと思ったが、既にマツリくんの顔から血の気が引いている。

「ナイトお前、少し人の気持ち考えろよ。マツリくん、一時的に身体を――実態を失くすだけだよ。君の魂は残るし、身体も取り戻す方法はあるから安心し――」

「どうだろうな」

 ナイトはマツリくんに恨みでもあるのか。

「何なんだよ、お前」

 僕は思わず声に力を込めた。

「こいつらの魂、今回が最終で間違えないか? 俺には見えないから、お前に会ったら聞こうと思ってた」

 僕に判別をさせるのも目的の一つか。

「……そうだよ、最終だ」

「じゃあ余計に魂まで破壊されるわけにはいかないよな。身体だって今と同じには……」

 マツリくんの頬に涙がつたっていた。

「二人とも、本当に何の話をしてるんですか」

 たまらずマツリくんを胸に抱き寄せる。

「ごめん、今の話はこっちの都合なんだ。ただ、君のことは僕が守る。神様が約束しているんだから信じて」

 マツリくんと彼を抱く僕に、話の物騒さとは裏腹の優しい目を向けたナイトが言う。

「なあ、マツリ、お前の兄さんを殺したやつらを覚えてるだろ。あいつらが今はお前を狙ってるんだ。あいつらをどうにかするまで、お前を安全な場所に匿いたい。それがシロキの門の中だ。大丈夫、門の中はシロキもそいつの使いもいる、悪くないぞ」

 腕の中でマツリくんが小さな、でもしっかりした声で答えた。

「はい」

 もう泣き止んだのか、こんな説明で納得できるのか。

「それからもう一つ大事なことを伝えておく」

 ナイトが何を言うか僕には想像がついた。

 さっき覗いたマツリくんの魂があまりに強かったから。

「マツリ、俺はイサリの魂をお前の中に入れたんだ」

「え?」

「お前は兄さんを良く守ってるって言っただろ? お前の魂の中に入れて保管したんだ。お前の兄さんは身体を失ったが、正確にはまだちゃんとそこにいる。あいつらに奪われるところだった魂がな」

 ナイトがマツリくんの胸の辺りを指す。

「お前の魂が消えれば、兄さんも完全に消える。俺は二人とも助けたい」

「わかりました。兄さんの魂を守れるなら、僕の身体はどうなっても構いません。でも何で幽霊は僕たち 兄弟にそこまで拘るんですか。何で魂を奪おうとするの? 僕たちが何をしたって言うんですか」

 決心が早いな。前からお兄さんの魂を自分の中に感じていたのだろうか。最終では自分の死期もわかるものだったか? 自分の時の記憶はないからわからない。でもまだ、幽霊につけ狙らわれてる理由はわかっていないようだ。説明しなきゃ。

「それは君の中の……」

 その時、僕は後ろに気配を感じ、マツリくんを庇って振り返った。思ったより早かったな。まだ話は終わっていないのに。


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