表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/334

神様と悪魔1

「気を付けて下さい」

 僕らから手を離したマツリくんが、立ったまま両膝に手をついて肩で息をしている。

「うん……なんかごめん」

「俺は見られていないと思うけど……」

 僕と違って、実態を隠していたナイトは少し心外そうな顔をしている。

「冗談じゃなく、シロキさんに見惚れてぼんやりしてしまって、魂が抜かれそうでした」

「そうなるかもな」

 ナイトが淡々と言う。

「何てこと言うんだよ」

 ナイトは何か言いたげな視線を僕に送ると、直ぐにマツリくんに向き直った。

「少し前から見てたが、お前、シロキとはよく話すのに俺とは目も合わせないな。まだ俺のこと疑ってるのか?」

「そんなんじゃありません。あなた、シロキさんと似ているのに、何か緊張しちゃうんですよ」

 マツリくんが困った顔で言うので僕はかわいそうになる。

「おい、人間をいじめるなよ」

「いじめてないよ」

 マツリくんが恐る恐る言った。

「神様と悪魔って本当に仲が良いんですね。ナイトさんは鏡の悪魔ですよね。神様と悪魔は対になっているものなんですか?」

「そうではないよ」

 僕は答える。

「悪魔はそれぞれの地獄に属してるんだ。炎の地獄とか水の地獄とか石の地獄とかね。神様の数は地獄の数よりずっと多いから、全ての神様に対になる地獄がある訳じゃない。でも同じ属性の悪魔とは親和性が高いね。例えば水の悪魔は海の神様や川の神様と雰囲気まで良く似ているよ」

「鏡は同じ名前の神様も悪魔も持っていて贅沢ですね」

 贅沢か、そうかも知れないな僕は笑った。

「ところでナイト、マツリくんをカドに入れろってどういうことだ」

 僕は真顔でナイトを問い詰めた。

「俺だって出来ればそんなことしたくない。でも、魂だけでも助けたい」

「何からだよ」

「俺の地獄を奪ったやつらから」

 ああ、やっぱり。どうしよう、不穏な音が僕の中で鳴り響いて鼓動が早くなる。

「何の話ですか……」

 マツリくんが怯えた様子で尋ねた。

 あまり感情を顔に出さないナイトが、微かに悲しそうな表情を浮かべて答える。

「早い話、お前、死ぬんだよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ