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マツリ2

 そうだ羽織を彼に持たせたままだ。

「あ、それ、ありがとう」

 僕は手を伸ばした。

「着せてあげます」

 マツリくんが僕の後ろに立った。

「神様って無防備なんですね」

 羽織を広げながらマツリくんが笑う。

「そうかな。僕には怖いものがないせいかな」

 後ろ手に袖を通しながら僕が答える。

 突然羽織ごと身体を抱かれた。

「僕の兄さんになってください」

 背中にくぐもった声が響いた。

「それ流行ってるの」

 つい最近も同じことを言われた。僕は姿勢を変えずに尋ねる。

「君の本当のお兄さんはもういないのかな」

「はい、少し前に亡くなりました。神様にこんなこと言うのは失礼だけど、シロキさん、僕の兄さんに似ていて、僕、今まで人前では泣かなかったけど……」

 マツリくんが顔を寄せた肩の辺りが熱い。

「君のお兄さんにはなれないよ。本当のお兄さんには敵わないもの。でも少しの間、お兄さんのふりならしてあげられる」

 腰にまわったマツリくんの両腕を包んで言った。この子のお兄さんはどんな人間だったのかな。

「君のお兄さんの名前は?」

「イサリです」

 背中がマツリくんで温かい。カドは冷たくて気持ち良いけど、温かいのは心地良いな。

「シロキさん、もう一つお願いがあるんです」

「うん、何?」

「明日の鏡のお祭りにシロキさんと行きたい。悪魔に会った時、僕の兄さんが死んだ日なんですが、次の鏡のお祭りでまた会おうって言われたんです。鏡の悪魔はシロキさんの友だちですよね。一緒に行ってもらえませんか?」

 ナイトはマツリくんのお兄さんが死んだ時にそばにいた。マツリくんにも鏡のお祭りに来るように言った。どういう意味だろう。

 ナイトはきっと僕とカドの『役割』の様子を毎年近くで見守っていたに違いない。それなのに、会いにも来ないでずっと僕を避けていたくせに。今になって何を考えているんだ。

 この子をカドの空間に入れるなんて冗談だろ。この子をどうする気だ。ナイトに話を聞かないと。

「もちろんだよ。一緒に行こう。その時にもっとたくさん話を聞かせて。君のこと、君のお兄さんのこと」

「良かった……僕はここの神様の信者だから、鏡の神様のこと好きになったら怒られるかな」

「どうして? 僕は僕を信じて祝う人間が他の神様を好きになっても平気だよ。たまに思い出して、甘えてくれれば幸せだ。他に何を望むの?」


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