第33話 『戦場!? お料理教室』
霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?
著者:ピラフドリア
第33話
『戦場!? お料理教室』
風邪の治った私は背伸びをして、健康を噛み締める。
「ふっあぁぁっ!! やっぱり健康が一番ね」
「早く治って良かったです」
私が風邪の間、看病をしてくれていたリエ。
事務所に取り憑いていたため、霊力の問題で普段よりも小さな姿だったが、私に取り憑いたら元の姿に戻った。
「てか、あんたいつの間に事務所に取り憑けるようになったの?」
「気づいたらなってました。屋敷にいた頃は死後に取り憑けるものは増えないと思ってたんですけど、死後も結び付きが増えることあるんですね」
リエも取り憑けるようになっていたことは驚きだったようで、長々と状況の説明をしてくれた。
「レイ、これでも飲め」
黒猫はリビングのテーブルに用意されていた緑色のジュースを私に飲むように促す。
「なにそれ?」
私は嫌な顔をしながら近づくと、コップの中から強烈な匂いがしてきた。
「青汁もどきだ。俺特製のな」
私はコップを摘み上げてる。
「これ、あんたが作ったの……?」
「俺とミーちゃんのコンビネーションがあれば、猫の身体だったとしても余裕だ。てか飲め」
「…………はい」
ただでさえ苦いものは嫌いなのに、こんな匂いのものは本当は飲みたくない。
しかし、猫の鋭い眼差しで睨まれると、私は抵抗する勇気もなく。
一口で飲み干すことにした。
「……あれ? うまい」
匂いは強烈だった。しかし、喉通しは爽やかで苦過ぎず、程よい刺激が口に広がる。
喉を通して身体全体を包み込むような優しい暖かさ。
「そうだろう。治ってすぐは体調を崩しやすいからな。こいつで栄養をバッチリ摂るんだ」
「もっと飲みたい」
「ダメだ。なんでも定量ってのがあるんだよ」
「あんた、そういうところ几帳面よね。ミーちゃんの健康管理も行き届いてるし……」
黒猫は自慢げな顔をする。
「当然だ」
「でも、自分の体調管理は出来てなかったよね。太ってたし」
「俺のことは良いんだよ!! 俺よりミーちゃん優先だ!」
私は黒猫の髭を引っ張って揶揄っていると、インターンが鳴る。
「レイさん、依頼じゃないですか?」
「そうね……」
私はコップを台所に片付けてから玄関へ向かう。そんな私の後ろを黒猫とリエがテクテクと付いてくる。
「なんで来るのよ」
「気にするな」
幽霊と猫に見守られながら私が扉を開けると、そこには京子ちゃんがいた。
「霊宮寺さん、風邪は治ったのか?」
「京子ちゃん、見舞いに来てくれたの?」
「ああ、だが治って良かった。なぁ、ちびっ子幽霊」
京子ちゃんは後ろにいるリエに笑顔で話しかける。しかし、ちびっ子呼ばわりされたリエは、ショックで固まる。
「ちょっと邪魔して良いか? 少し話したいこともあるしよ」
「ええ、どうぞ」
京子ちゃんを中に入れる。お茶を用意しようとしたが、京子ちゃんが気を遣って手伝ってくれた。
「ごめんね、お客さんに手伝わせちゃって」
「病み上がりの人に無理はさせられねぇよ」
結局リエも手伝ってくれたため、みんなでそれぞれのコップを持っていくことになった。
「それで話したいことって?」
「ああ、頼みたいことがあるんだ……」
京子ちゃんは肘を机につけて、指を組むと真剣な顔をする。
「幽霊関係の話……?」
京子ちゃんは霊感の強い人間だ。幽霊関係で困っていることがあるのだろうか。
「いや、違う……。あんたに料理教室についてきてほしいんだ」
「はぁい?」
私は意味が分からず首を傾げた。すると、京子ちゃんはポケットの中から細かく折り畳まれた一枚のチラシを取り出した。
それはオープン記念で無料で、お料理教室を体験できるチラシだった。
チラシに載っている地図には場所も書いてあり、駅の近くの商店街にある建物のようだ。
「コトミに誘われてスキンヘッドと誘われたんだが、コトミとスキンヘッド二人が来れなくなってな。チラシ一枚で三人まで体験できるんだ、一人で行っても勿体無いだろ」
「でも、なんで私達なんですか? 京子ちゃんなら仲良い友達いっぱいいるじゃない」
コトミちゃん達だけでなく。暴走族の面々や他にもいっぱい居そうなのだが。
「それがなぜかみんなに断られるんだ……」
京子ちゃんは不思議な顔をしている。
みんなに慕われている京子ちゃんが断られる。それを聞いた私は、なんとなく嫌な予感がする。
「でもお料理教室か〜。そんなに料理で困ってないしなぁ〜」
私が迷っていると玄関の扉が開き、
「ただいまやってきましたー!!!!」
元気よく挨拶をして楓ちゃんがやってきた。
「あれ、お客さんですか?」
玄関の靴を見て誰かがいるのに気づいた楓ちゃんは、手を洗ってうがいをするとさっさとリビングにやってきた。
「あ、早乙女さん」
「よ、美少年!」
「この前はネギありがとうございます」
礼をした楓ちゃんはバッグを置いた後、テーブルに置かれたチラシに気がつく。
「なんですか? これ?」
チラシを手に取って文字を読み上げる。
「お料理教室、へぇ〜、皆さんこれに行くんですか?」
「今考え中ってところね……」
私としてはそこまで乗る気ではない。事務所に住むようになってから、毎日のように料理はしているし、それ以前からもそれなりにはやっていた。
「そうだあんたも行ってみないか?」
チラシに興味を持った楓ちゃんに京子ちゃんは聞いてみる。
「僕ですか……。興味がないわけではないですが、こういうところに行くほどでは……」
楓ちゃんはそう答えた。
楓ちゃんはよく自分でお弁当を作って学校に持って行ってるみたいで、事務所に来ると弁当箱を洗っていることがある。
休日の昼からいる時は、私と楓ちゃんでリエに料理の作り方を教えていることだってある。
「そっか…………」
落ち込んだ様子の京子ちゃん。しばらく天井を見上げて考えた後、覚悟を決めて私たちに告げた。
「正直なことを言う。私はとっても料理が苦手なんだ」
ポケットから三枚の写真を取り出してテーブルに置く。
私達がその写真を見ると、そこにはジャガイモがそのまま焼かれた謎の物体と、白い液体に玉ねぎの浮いているスープと、真っ二つになったリンゴが乗せられた粉の写真だった。
「なんの写真?」
「肉じゃがとシチューとリンゴパイの写真だ」
「どこが!?」
どう見たって今言われた料理の写真ではない。明らかに別物だ。なんなら食べ物なのかも怪しい。
「これを結婚中に元旦那に食わせたんだが、当時元旦那が倒れた」
「倒れて済んで良かったですね。下手したらもっと大変なことになってますよ……」
ジャガイモを生で入れてるし、他にも危ないことは多い。こんなものを食べて無事でいた元旦那の方が異常な気もする。
これを見た後なら、みんなが逃げ出した理由もわかる気がする。
「それで料理教室に行きたいのね。でも、一人で行っても良いんじゃ……」
「この写真見てそんなこと言えるか?」
京子ちゃんは私の顔に写真を押し付ける。
「こんな料理作るかもしれないんだぞ」
「きっと優しく教えてくれるよ!! なんで教えてもらってもできない前提なの!?」
すると京子ちゃんは下を向く。
「私が高校生の頃。家庭科でレシピ通りやろうとした、でも出来上がった料理を班のみんなと食べたら、みんな倒れたんだ!!」
「大事件だよ!!」
「だからお願い。私が間違えないように見張ってて欲しいんだ。それだけで良いんだ」
凄い勢いで頼み込んでくる京子ちゃん。あの強気でかっこいい京子ちゃんに、こんな弱点があったとは……。
「分かった。見張ってるだけで良いのね。楓ちゃんもついてきてくれる?」
「はい! 良いですよ!!」
可哀想になった私は、京子ちゃんを手伝うことにした。
そしてお料理教室当日。商店街の入り口で京子ちゃんと待ち合わせをしていた。
「そろそろ来る時間ですね」
私とリエ、楓ちゃんは事務所で合流してから出発。待ち合わせ時間より早く着いたため、適当に商店街をぶらぶらした後、待ち合わせ時間に集合場所に向かう。
「あ、来ましたよ!」
浮いて上から見ていたリエが、先に京子ちゃんを発見した。
「待たせたか?」
「いや、全然。じゃあ行こうか」
集合した私達はお料理教室の開かれている商店街のある建物に入った。
エレベーターで3階に登り、チラシに書かれている部屋に入る。
すると厨房がいくつか設置されており、すでに体験に来た何人かの主婦が、それぞれの厨房で談笑をしている。
「あ、レイさんあそこ」
部屋に入ると奥の方に知り合いがいるのを楓ちゃんが発見した。
私はその姿を見てちょっと関わりたくはなかったが、向こうも気づいて手を振ってきたため、仕方がなく近づく。
「スコーピオンさん、お久しぶりですね」
奥にいたのは鋭いハサミに、毒針の尻尾を持った凶暴な怪人スコーピオンだ。
「あ、霊宮寺さん達じゃないか。久しぶり〜」
「スコーピオンさんもお料理教室に?」
「ああ、支部のみんなに美味しい料理を食べさせたくてな。まずは体験からやってみることにしたんだ」
怪人は笑顔で立派なことを話してくる。私が苦笑いで返していると、スコーピオンは私達の後ろにいる京子ちゃんに気づいた。
「そちらの女性は初めてだな。俺はスコーピオン、よろしく」
スコーピオンは頭を下げて挨拶をする。
「おう、私は早乙女 京子だ。しっかし妖怪を見たのは久しぶりだなぁ」
京子ちゃんは興味深そうにスコーピオンを観察する。スコーピオンは少し恥ずかしそうにしたが、京子ちゃんの言葉を聞くと興味を持つ。
「自称怪人なんだけどな。俺みたいなのに会ったことがあるのか?」
「私霊感強いから。見た目からしてサソリの幽霊と人間の?」
「よく分かったな! そうだ」
なぜか京子ちゃんとスコーピオンで、話が二人で盛り上がる。
二人が話している中、私はあることが気になりスコーピオンに聞く。
「確か体験って三人までよね。他にも怪人が来てるの?」
「いやぁ、ヒョウスベとガメゴン先輩誘ったけど、めんどくさがられて、結局……」
スコーピオンがそう言って隣を見ると、そこにはパツパツの服を着て頭に番号の書かれた人が二人立っていた。
「どうも戦闘員七号です」
「八号です」
二人は深々と礼をする。
「あ、こちらこそ初めまして。霊宮寺です」
「坂本です」
「早乙女です」
私達も礼をした戦闘員に頭を下げる。どうやら他の怪人に断られて、この戦闘員達が来ることになったらしい。
というか、こんな「キィッー!!」とか叫びそうな戦闘員が、礼儀正しく挨拶してきたことに驚きだ。
私達が挨拶を済ませると、扉が開いて初老の先生が教室に入ってきた。
先生が入ってくると他の体験者達が皆頭を下げて挨拶をする。どうやらこの老人がお料理教室の先生のようだ。
私達は先生が教卓につく前に、空いているテーブルに向かう。
先生は教卓につくと挨拶を始めた。
「今回は体験に来ていただき、ありがとうございます。私は野高と申します。よろしくお願いします」
おっとりとした先生だ。優しそうな先生で私はホッとする。
先生が自己紹介を終えると、扉が開きもう一人誰かが入ってくる。
「それと今回私の助手をして、皆さんを手伝ってくださるボランティアの……」
可愛い花柄のエプロンを付けて、立派なアゴを備えた女性。
「アンドレア・アゴリンさんです」
「アゴリンです。よろしくお願いします」
アゴリィィィィィィィン!!??
「それでは今回はハンバーグを作っていきます。皆さんのテーブルに食材が揃っていることを一緒に確認しましょう」
私達はテーブルにある食材を確認する。ホワイトボードに書かれた食材を一つずつ目視して、全てあることを確認する。
全て見終わると、突然京子ちゃんが顎に手を当てて不思議なことを発する。
「あれ、隠し味にキュウイとハチミツは?」
それを聞いた私と楓ちゃんは同時に叫ぶ。
「何言ってるの!?」
「何言ってるんですか!?」
私達に叫ばれて不思議そうな顔をする京子ちゃんは、リエは苦笑いする。
私たちの声が大きかったのか。周りの人たちが睨んでくる。
「うるさいですよ、そこの方々」
「ごめんなさい」
そこからはハプニングはありながらも順調に調理を進めていく。
「霊宮寺さん、お久しぶりです」
お肉を丸めていると様子を見にきたアゴリンさんが話しかけてきた。
「アゴリンさん、お久しぶりです」
私は肉を握りながら挨拶を返す。
「アゴリンさん、料理得意だったんですね。お料理教室の先生をやってるなんて……」
「いえ、助手ですよ、助手……。教授に頼まれてしまって」
私達が話していると隣の班にアドバイスを終えた先生もこちらの話に入ってきた。
「アゴリン君はお料理上手ですよ。私も時々参考にさせてもらうことがあります」
「そこまでじゃないですよ〜」
顔を赤くして照れているアゴリンさんは、顎を高速で振る。
「なんで教授って呼んでるんですか?」
京子ちゃんの暴走を抑えるために、見張っていた楓ちゃんがふと疑問に思ったのか、こちらに目線を向ける。
「私、本業は大学の教師なんですよ。これは副業で今日はいませんが妻と一緒にやってるんです」
「へぇ〜、じゃあアゴリンさんは大学の卒業生なんですか?」
「そうですよ。ゼミの卒業生でこうしてたまに手伝ってくれる良い子ですよ。あ、すみません、向こうで呼ばれてるのでこれで……」
離れた場所にいる主婦達に呼ばれた先生は話を終えてそちらに向かう。
「この調子で頑張ってくださいね」
アゴリンさんも私達から離れようとした。しかし、その時。
「わぁっ!?」
「何やってるんですか!! 早乙女さん!?」
楓ちゃんが目を離していた隙に、京子ちゃんが握っているハンバーグが炎上していた。
「どうしてそうなるの!?」
京子ちゃんは燃える手のひらサイズの肉を、大道芸のように投げてキャッチを繰り返す。
「ど、どうしたら良いの!?」
焦る京子ちゃん。私達も突然の状況に動揺する中、アゴリンは冷静にテーブルにある蛇口から水を出して、
「こっちに持ってきてください!!」
京子ちゃんの持つお肉を水の溜まった洗面台に投げ捨てさせた。
「はぁ、助かったぁぁぁぁ」
ホッとしている京子ちゃん。私達も肩を下ろす。
「アゴリンさん、ナイス判断」
アゴリンさんの冷静な判断でどうにかなった。
「いえ、私はそこまで……しかし、どうしたら握ってたお肉が燃えるんですか?」
アゴリンさんが京子ちゃんに疑問を投げかける。正直私達も凄く気になる。
「え、ライターで火を付けたけど。こうやるんじゃないの?」
「…………教授、霊宮寺さん。この方私が一対一で教えて良いですか。このままじゃビルが火事になります」
私と先生は同時に頷いた。
「「任せた」」
京子ちゃんがいなくなると、私と楓ちゃんだけなのにさっきまでの倍のスピードで作業が進み。あっという間にハンバーグが完成した。
「いつもとは違う材料とやり方だけど、結構美味しそうね。今度からこのレシピも使おうかしら」
「良いですね。その時は僕も手伝いますよ」
私たちだけではなく他の班も続々と完成し始める。そんな中、残る批判だけが完成せずに苦戦していた。
「スコーピオンさん、無理なら俺たちがやりますよ」
「ハサミの手じゃ無理ですよ」
戦闘員にそう言われながらも頑固に自分で盛り付けをしようと、箸を何度も切断してしまうスコーピオン。
そして後は焼きあがれば、やっと完成まで漕ぎ着けた京子ちゃんとアゴリンさんの班。
その二班だ。
「スコーピオンさん!!!!」
「あーもううるさいなぁ!! 眷属達よ、こいつらを黙らせろ!」
「うわっ!? ちょ、なんでこんなところで蝉を召喚するんですか!!」
厨房で蝉を召喚して戦闘員を黙らせようとするスコーピオン。しかし、そんなスコーピオンの頭を先生がフライパンで叩いた。
「厨房で何してるんだ!!」
優しそうな先生に怒鳴られたスコーピオンはシュンとする。
反省したスコーピオンは戦闘員に盛り付けを任せる。
スコーピオン達が完成したところで、アゴリンさんにおんぶに抱っこだった京子ちゃんもやっと完成させた。
「やっと完成だ!!!!」
嬉しそうにハンバーグの乗った皿を掲げる京子ちゃん。隣ではアゴリンさんは疲れ切った顔だ。
完成したハンバーグを食べて、片付けを終えた私達は帰りの支度をしていた。
「レイさん、この食器どこでしたっけ?」
「それはここ、あと楓ちゃんそこにある箸もちょうだい」
二人で協力して片付けを進める。私達の上空では、ここでは目立つという理由でハンバーグをお預けにされたリエが不自然そうに浮いている。
「リエ〜、そろそろ機嫌直してよ」
私は目立たない程度にリエに声をかける。
「だって美味しそうだったのに。食べさせてくれないし、私基本見てるだけだったじゃないですか」
「今度作ってあげるからさ〜」
「今日が良いです」
「今日……? …………はぁ、分かった。じゃあ、帰りに商店街のお肉屋さん寄らせてね。ひき肉事務所に無いから」
「やったーーー!!!!」
簡単に機嫌を直したリエ。こんなチョロい幽霊だったっけ…………。いや、チョロかったわ。
私達が片付けを終えると、隣で片付けを終えた戦闘員の一人がこちらにやってきた。
「すみませーん」
「あ、……頭に七ってあるから七号さん?」
「はい。霊宮寺さんですよね、これから俺たち打ち上げで飲み会やるんですけど、良ければ来ませんか?」
軽いノリで誘ってくる戦闘員。スコーピオン達の方に目線をやると、もう一人の戦闘員はこちらに手を振っているが、スコーピオンはテーブルの台を拭いて最後の仕上げをしていた。
なんとなく様子からして、スコーピオンは殆ど関係なく戦闘員の二人が誘ってきている雰囲気だ。
私は近くにいた楓ちゃんを引っ張り寄せると、
「この子未成年なので無理です!!」
「そ、そうですか……」
断ると戦闘員は諦めて戻って行った。
「レイさん、どうしたんですか?」
楓ちゃんが不思議そうに聞いてくる。
「虫を払っただけよ」
虫を払ったところで京子ちゃんも片付けを終えてこちらにやってきた。
「片付け終わったから帰るか」
荷物を持って、教室を出てエレベーターに乗ると、アゴリンさんもエレベーターに乗り込んできた。
「アゴリンさん帰っちゃって良いの?」
「教授が帰って良いって言ってくれたので」
知り合いがいたため気を遣ってくれたのだろうか。
エレベーターが閉まると開くまで無言の時間が続き、扉が開いてみんな降りると京子ちゃんがアゴリンさんに話しかけた。
「今日はありがとな。あんたのおかげで少しは上達できた」
「はい、最初よりもかなり上達しましたね!」
「また教えてくれるか?」
「良いですよ。次は少し難易度を上げてみましょうか」
それからビルを出て商店街を進む中で、京子ちゃんとアゴリンさんの仲は良くなっていた。
しばらく進み、それぞれ帰路に帰るためバラバラに帰る。別れた私達はお肉を買って事務所に帰った。
「ただいまー」
事務所に着くとソファーで黒猫が寝ている。
「ん、帰ってきたか。どうだった?」
「そうね。これから見せるから待ってて」




