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霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?  作者: ピラフドリア


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第30話 『学校の七不思議』

霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?




著者:ピラフドリア




第30話

『学校の七不思議』






 時刻は昼過ぎ。昼ごはんを食べたリエと黒猫は昼寝をしている。ソファーを占領さている私は仕方なくパイプ椅子に座った。




 テーブルに置いてあるリモコンを取りテレビを付けると、ワイドショーが始まる。




 司会者に紹介されて出てきたのは、赤い髪の女子高生。テロップには高校生探偵という文字が書かれていた。




「へぇ〜、こんな子もいるのね……」




 司会者が意地悪で難しい問題の書かれたテロップを出すが、それを難なく解答する少女。




 私じゃ到底解けない問題を簡単に解く。そんな高校生の姿に、私は知り合いの高校生の姿を重ねる。




「あの子は……無理ね。運動だけしかできないし……」




 比べる相手が違いすぎる。でも、運動なら絶対に勝てそうだ。

 テレビに出ている子は、頭は良いみたいだが映像からはひょろひょろに見える。




 番組は進み、高校生が解決、または関係した事件が画面に並べられた。「朝倉駅での事故に見せかけた事件」「アレニエ美術館で怪盗との対決」「SALI商会のジェットロケット発射事件」など他にも最近報道に出ていた事件が並べられている。




 そういえば、探偵が解決したとニュースで言っていた気もする。だが、その全てが同じ人物だったとは……。




 画面が切り替わると、次に探偵が追っている事件についての話題になった。

 少女は事件について語る。




 ある田舎町で起きた事件。内容は殺人事件だ。すでに五人の被害者と二人の行方不明者が出ている

 だが、警察はその犯人の手がかりを掴むことすらできずに苦戦している。




 そこで若くしていくつもの事件を解決した彼が調査に参加した。




『この事件の犯人は人間ではなく、不思議な力を持った妖怪だという人もいる。だが、オレは妖怪など信じない。必ず犯人がいる、オレがその犯人を捕まえてみせる』




 少女の熱い言葉にスタジオ内は盛り上がる。




 テレビを見ていた私はちょっとがっかりした。




 妖怪がいない。妖怪はいる河童にバク、私は妖怪に出会っている。

 それに妖怪だけじゃなくて、幽霊も怪人だっている。




 高校生探偵だとチヤホヤされているが、そんな人物が見えていない世界を知っている優越感に、私は浸っていた。







 今日も依頼はなく時間が過ぎて、日が落ちてきた頃。楓ちゃんがやってきた。




「レイさーん、依頼ですよー!!」




「え!? 依頼!!」




 楓ちゃんの言葉に私達は飛び起きた。









 夜道を私とリエ、楓ちゃんで進む。タカヒロさんは事務所で留守番している。




「それで依頼って誰からの依頼なの?」




 私が聞くと楓ちゃんは前の道を見る。




「この先にいますよ」




 しばらく進みたどり着いたのは楓ちゃんの通う学校。そして正門では赤いバンダナを頭に巻き、首からカメラを下げた高校生が待っていた。




「お久しぶりです。皆さん」




 正門で待っていたのは石上君だ。




「本当に久しぶりね。でも、あなたが依頼だなんて、びっくりね」




「俺はジャーナリストです。面白い記事を書くためなら、どんなことだってしますよ!」




 かなりの意気込みの石上君。私はそっと楓ちゃんの耳元で聞く。




「その、今回は大丈夫なの? 変な記事書こうとしてないの?」




 前に石上君と会った時は、幽霊を信じておらず。私達を似非霊能力者として新聞にしようとしていた。




「大丈夫です。僕達に護衛の依頼をしてきたんです。あれ以降幽霊を信じるようになって、もしもの時のためにってことらしいです」




「そういうことなのね……。それで護衛っていっても、何をするの?」




 集合したのは学校。夜の学校というだけで不気味だが、そこで幽霊からの護衛と聞くと余計に危ない予感がする。




 私の疑問に石上君が答えた。




「今回は学校の七不思議を調査します。一つ一つ、学校のスポットを巡って本当にいるかを調べるんです」




 学校の七不思議。それは学校に起こる怪奇的な出来事を七つ集めて都市伝説だ。

 例えば、音楽室のピアノが勝手に鳴り出したり、理科室の模型が動き出したり、その教室に合わせた怪奇現象が起こるのが定番だ。




「そういうことね。でも、こんな時間に学校に来て大丈夫なの? 先生には許可は取ったの?」




 私が聞くと石上君は胸を張る。




「しっかりと取りました。先生には部外者を一名入れることも許可を貰いました」




「流石は新聞部部長ね。しっかりしてるじゃない」




「生徒会を説得するのには苦戦したんですけどね。ま、なんとかなりました」




 この前会ったときとはだいぶ印象が違い、しっかり者という感じだ。




 記事を作るためならなんでもするが、常識がないわけではないらしい。




「それで七不思議を調べるってことはこの学校には七不思議があるのよね。どんなのがあるの?」




 石上君はメモ帳を取り出すと、一つ一つ丁寧に説明を始めた。




「まず一つ目は動く銅像」




 私の中で動く銅像と聞いて、ファンタジーゲームのゴーレムのようなものが思い浮かぶ。




「なんかファンタジー感あるのね」




「動くのはこの学校の設立者の銅像です。校庭を歩き回ったり、笑い出したりするという話です。二つ目はプールの女幽霊」




「プールの幽霊。また王道ね」




「生徒と関係を持った女性教師が笑いながら水中に引き摺り込んでくるらしいです。三つ目は第八校舎の2階から3階の段数が登るときと降りるときで変わるというものです」




「これは直接数える必要があるのね」




「四つ目は四個目のトイレから鳴き声が聞こえるというものです。五つ目は校内の木の一つに顔が浮かんで襲ってくるというもので、六つ目は12時丁度に鏡の前に立つと鏡の世界に引き摺り込まれるです」




「へぇ〜、ありきたりだけだ。しっかりしたのがあるのね」




「そして最後は体育館に全身真っ白なゾンビが現れるというものですね」




「ゾンビで一気に世界観変わったんだけど」




 しかし、これで内容は分かった。




「今ので全部ね。順番にまわれば良いのね」




「はい、お願いします」




 こうして学校七不思議調査が始まった。








 まず私達が最初に向かったのは、動く銅像だ。

 銅像は校庭と第一校舎の中間辺りにあり、まずは一番近い銅像から向かうことにした。




 校内を歩き慣れてる楓ちゃんと石上君が前で話している中。私はリエにこっそり聞く。




「ねぇ、七不思議って本当にあると思う?」




「あるかないかで言えばないです。しかし、火のないところには煙は立ちません……。例えばです」




 リエが説明を始める。




「学校というのはいくつもの機材や教材があるので幽霊からしたら、取り憑くことができるアイテムの宝庫です」




「そういえばそうよね。現代人なら学校にあるもののなんらかと関係があるはずだしね」




「そうです。そのため弱い幽霊も強い幽霊も集まりやすいんです。七不思議などは幽霊の悪戯で起こった現象が殆どです。……しかし」




 リエは私のズボンのポケットに手を突っ込むと、五円玉を取り出した。

 そしてそれを私に見せる。




「レイさんはコックリさんを知ってますか?」




「ええ、文字を書いた紙を置いて質問するやつでしょ」




「あれは幽霊がコインを通して誘導してるんです。弱い幽霊なら誘導だけで終わりますが、強い幽霊だと気に食わないことをすると、何をされるか分かりません」




 リエは五円玉を私に返す。




「七不思議の中で強い幽霊と出会さないことを願うしかないですね」




「怖くなってきたんだけど」




「ま、所詮は噂なので殆どのところは弱い幽霊すらいないと思いますけどね!」




「いや、さっき火のないところとか言ってなかった!?」




 そうこうしているうちに銅像のところまで辿り着いた。

 銅像は動いている様子も笑っている様子もない。至って普通の銅像だ。




「何も変わってないな……」




 少し残念そうな石上君。そんな石上君を楓ちゃんを励まそうとする。




「まぁこの銅像だって重たいはずだし。幽霊も取り憑かないよ」




「君みたいな怪力バカお化けなら、あり得ると思ったんだけどね」




「なんで君はいつもそういう言い方をするんだ!!」




「俺は俺の思った情報を口に出してるだけだ。言いたいことを言って何が悪い」




 歪み合う二人。私はそんな二人を引き離す。




「はいはい、そこまでにして。次はどこに行くの?」




 石上君はメモ帳を取り出して確認する。




「次に近いのは体育館ですね。真っ白いゾンビがいるか見に行きましょうか」




 次に向かったのは体育館。校舎内は土足で良いらしいが、体育館だけはダメらしく。来客者用のスリッパを借りる。




 リエは浮いてるし、楓ちゃんと石上君は体育館履きだから、本当にゾンビがいたらスリッパの私が一番最初に食われる……。




 私は本当にいた時のために用心しながらも、三人の後ろをついて進み。体育館の扉が開かれた。




「ゾンビどころか、誰もいない」







 そして体育館のトイレを使い、四つ目のトイレから声が聞こえてくるというものも試したが、結局何も起きず。

 12時になったので、第一校舎の要務室にある鏡の前に立ったがそこでも何も起きなかった。




「これで四つ外れた。残るは三つ、階段の数とプール、そして人面木だけか……」




 落ち込み気味の石上君。あれだけ意気込んでいたのに、一つも当たりがないとなれば、落ち込むのも当たり前だろう。




 そんな石上君に楓ちゃんは声をかける。




「まだ三つも残ってるじゃないか。諦めるのは早いよ」




「しかし、階段は君みたいなバカが数え間違えただけだろうし。期待できるのはあと二つだけなんだよな」




「僕だって階段くらい正確に数えられるよ!!」




「君が〜? 嘘だろ?」




「なんでそうやって君は!!」




 またしても喧嘩を始めるそんな二人を私は止めた。




「それで次はどこに行くの?」




「期待はできませんが、第八校舎の階段へ向かいましょう……」




 そうして第八校舎に移動して、例の階段がある2階と3階の間にたどり着いた。




「じゃあ、僕が数えるよ!」




 さっき言われたことを気にしているのか。楓ちゃんが意気込んで立候補する。

 しかし、そんな楓ちゃんを疑う目で石上君は見たあと、




「霊宮寺さんも一緒に数えてください」




「なんで僕だけじゃダメなの!?」




 結局二人で数えることとなった。まずは階段を登り数を数える。




「1、2、3、4……」




 一段ずつ登りながら数える。




「24段ね」




「僕も同じです」




 登りは二人とも同じ数。次は降る時の段数を数えるために、一段ずつ数えながら階段を降りる。




「24!! 登った時と同じね!」




 私は登った時と同じ数になった。しかし、私が数え終わった後、降り終えた楓ちゃんは、




「23……僕だけ、一段足りないです」




「え、これってまさか……本当に……」




 七不思議が本当に起きたのか。そう思った時、石上君が楓ちゃんを怒る。




「俺は見たぞ。楓君が最後の一段飛ばすところを」




「え…………」




 戸惑う楓ちゃん。しかし、すぐに気づいた。




「あ、そういえば癖で一番最後の段飛ばしてた」




「だから君には数えてほしくなかったんだ!! そういうことをやりかねないから!!」




「それなら僕にやらせなければ良いだろ!」




「君がやるって頑固だったんだろ!!」




 二人がまた喧嘩を始める。私はまた止めるのはめんどくさくて、




「お花積んでくるね……」




 それだけ伝えてその場を離れた。離れた私の後ろをリエがフワフワと飛んで心配そうに聞く。




「放っておいて良いんですか?」




「ずーっとあの調子だからめんどくさいのよ」




 男子トイレしかないが、女性用トイレまで行くと第一校舎まで行かなければならない。

 私は諦めて第八校舎の男子トイレに入ることにする。リエを入り口の前に騙せて、私は一番奥の個室に入った。





「…………あれ、…………紙、ないじゃない」




 私は用事を済ませてから気づいた。トイレットペーパーがなくなっていることに……。




「ね、ねぇリエ〜。紙ちょうだい」




 私はリエだけに聞こえるように小さな声で助けを求める。




 返事はない。聞こえていないのだろうか。





「リエ〜、紙がなくて……」




 私が再び助けを求めると、今度は声が返ってきた。




「赤紙が欲しいか? 青紙が欲しいか?」




 聞こえてきた声はリエの声ではない。しかし、楓ちゃんでも石上君でもない。全く別の男の声だ。




「ね、ねぇ〜、嘘でしょ…………」




 嫌な予感がした私は扉を開けようとするが、扉が開かない。鍵は掛かっていないのに、不思議な力で扉が閉じられている感じだ。




 騒ぎを聞きつけてかリエが扉の反対側に現れる。




「レイさん、どうしたんですか?」




「扉が開かないの、それに変な声が聞こえるし」




「…………妙な霊力を感じますね。楓さんを呼んできますね!」




 リエはそう言ってトイレから出て行く。




「早くね!」




 リエがいなくなり、トイレの中は私だけになる。いや、正確にはもう一人誰かいる。

 だが、その存在は確認できない。




 とにかく早くこの場から出たい私は、何か拭くものはないかと、便器に座りながらトイレを探す。

 しかし、何も見つからない。何も発見できず落ち込んでいると、お尻に何か冷たくて湿ったものが触れた。




 湿った何かは谷の間をなぞる。気持ち悪さに私は立ち上がり、何が起こったのか便器を覗く。




 すると、便器の中に男の顔が浮かび上がり、舌舐め回していた。




「選べ……赤紙か、青紙か」




 私は顔を青ざめる。恐怖よりも気持ち悪さが勝っていた。




「…………あ、あ……か………………」




「待ってください!!!!」




 扉の反対側から楓ちゃんの声が聞こえた。リエが楓ちゃんを呼んできたようだ。




「どうしたんだい、楓君。突然走り出して」




 楓ちゃんに続いて石上君もやってきた。私は扉を叩いて助けを求める。




「男の人の幽霊が、赤い紙か青い紙かって聞きながら私のことを舐めるのよ!!」




 それを聞いた石上君は「もしかして……」と呟くとメモ帳を取り出してあるページを探す。




「あった、これだ!! 赤い紙青い紙だ!!」




 石上君の言葉に楓ちゃんは不思議そうな顔をする。




「なにそれ?」




「都市伝説の一つだ。赤と答えると血だらけにされて殺される。青と答えれば全身の血を抜かれる」




 説明を聞いた私は絶望する。




「どう答えてもダメじゃない!!!!」




「いえ、待ってください」




 私は頭を抱えて諦めかけた時。リエは扉を叩く。




「有名な都市伝説。これはその状況に似ていますが、幽霊です」




「それがどうしたのよ!」




「悪霊になりかけて流みたいですが、進行が止まってます。つまりこの幽霊の目的は都市伝説として恐れられること」




「でも恐れられることが目的なら、答えたら……」




「本当にやられます。でも、一か八かの方法はあります。楓さん、石上さんに赤い紙青い紙の質問に別の色で答えた場合どうなるか聞いてみてください」




 リエは楓ちゃんにお願いする。リエの姿は見えていないから、楓ちゃんが聞くしかない。




「石上君、この質問に別の色で答えた場合はどうなるんだ?」




 石上君はメモ帳のページを捲ると、




「諸説あるが異世界に連れて行かれるというものがある」




「それです!!」




 リエは作戦を告げる。




「レイさんは適当な色で答えてください。そして楓さんはレイさんが答えたら扉を抉じかけてください、そのタイミングなら開けられるはずです」




「本当に大丈夫なの!?」




「大丈夫……。です!!」




「間が怖いんだけど!! …………でも、答えるしかないのよね…………白よ!! 白い紙が欲しい!!」




 私が答えると便所にある顔は眉間に皺を寄せる。




「…………白だなぁァァァァ!!」




 そして便利の顔は大きく口を開くと、カエルのように舌を伸ばして私を捕まえようとしてきた。




 しかし、その前に楓ちゃんが扉を抉じかけて、舌を蹴り返した。




「ぐっばぁ!?」




 舌を蹴り飛ばされた男は苦しそうにする。楓ちゃんは私の腕を引っ張ると、個室から引っ張って救い出した。




「レイさん怪我はないですか」




「ええ、大丈夫。でも…………」




 救い出された私は個室の方を見る。すると、便器の中から腕を伸ばし、男の人が這い上がってきた。




 便器から出てきたため、服も髪も濡れており、悪臭を放っている。

 男性は冷たい目線でこちらの方を見てきた。




「ま、まだやる気なの!! …………こっちには楓ちゃんがいるのよ、やってちゃえ楓ちゃん!!」




 私は楓ちゃんの後ろに隠れて応援を始める。しかし、男性の幽霊の身体は淡い光に包まれ始めた。




 すると男性は目を細めて笑って見せる。




「ありがとう。怖がってくれて……。都市伝説を信じてもらえず。僕はずっと後悔してたんだ……」




 男性はそう言って光に包まれて消えて行った。




「成仏したみたいですね」




 個室を除きリエが確認する。どうやら幽霊は消えたらしい。




 幽霊を発見した石上君は嬉しそうにはしゃいでいる。




「やったぞ!! 七不思議の八個目の不思議を発見した!!」




「いや、そしたら八不思議になるから」




「よーし! 残りの七不思議も一緒に探しましょう!!」




 そして残りの七不思議の捜索を始めた。




 プールに行くが引き摺り込まれることはなく。人面の木も見つけることはできなかった。




 探索を終えた私達は正門にいた。




「結局、赤い紙青い紙だけか〜。でも、これだけでも十分記事が作れるな」




「もう夜も遅いから私が送ってくよ」




「霊宮寺さんも今日はありがとうございました」




 石上君は深く頭を下げる。そんな石上君を見て楓ちゃんは




「僕には感謝しないの」





「なんで君に感謝しないといけないんだ。階段すら数えられない馬鹿楓」




「なにさ、このスクープ頭!!」




 またしても喧嘩を始める二人とも、私は二人の喧嘩を止めると、みんなを連れて学校を出た。










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