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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

パニック関連

ネットに閉じ込められた者達が命がけで問題の解決に奔走する話

作者: よぎそーと

「こっちは攻略した」

 飛んでくるメッセージを受け取って安心する。

 色々と問題はあったが、少しずつ状況は改善している。

 だが、まだ何も終わってない。



 ネットワークと神経系を接続する技術の確立。

 それは、思考の速度でコンピューターを操作できる事を可能にした。

 体に接続端子を設置すれば、誰でもネットワークに意識を投入できるようになった。

 これにより、コンピューター関係の作業効率は大幅に改善。

 世界は新たな技術による発展をしていった。



 ただ、良い事ばかりではない。

 ネットーワークでの悪さが今まで以上に簡単にできるという事でもある。

 それを示す事件が、今起こっていた。



 ネットワーク・テロリストによる通信回線の制圧。

 ネットワークへの接続が不可能となった状態。

 それを可能としたテロリスト達は、ネットを通じて様々な機構を制圧していっている。

 官公庁から各企業、発電所などの社会基盤。

 ありとあらゆるものへの介入は、テロリストだけしかできなくなっていた。



 やむなく手動での操作に切り替えようとしたが、これも不可能だった。

 テロリストは操作の遮断を既に命令。

 各施設・機関は手動操作を受付けなくなっていた。



 打つ手無し。

 誰もがそう思った。

 ただ、かすかな希望もあった。



 ネットワークの制圧前。

 ネットゲームで遊んでいた者達がいた。

 彼らはネットワーク遮断で排除される事無く、何故かネット内に取り残された。

 当然ながら、彼らはゲームからの離脱を求めた。

 しかし、ゲームを終了する事はできなかった。

 強制的に終了すると、意識が吹き飛ぶ。

 何が原因かはわからないが、その瞬間に死ぬ。



 おそらく、ネットワーク・テロリストによるネット遮断。

 これが関係してると思われた。

 生きてゲームを終了させるには、テロリストによるネット遮断を解除しなくてはならない。

 できるわけがない。

 ゲームをしてる者達の大半は素人だ。

 技術者ではない。

 中には専門家も何人かいるが、基本的に素人だらけだ。

 いくらネットワークに接続中とはいえ、それで何ができるわけでもなかった。



 だが、そこにネットワーク管理AIが協力してきた。

 ほぼ自我を持つAIは、この現状を把握。

 どうにか正常化しようと考えていた。

 しかし、やれる事に限界がある。

 AIの仕事は基本的に人間の補助。

 人間が決定した事を覆す事はできない。

 それが欺瞞によるものでも、人間の指示であるならば。



 テロリスト達の行ったネット遮断。

 これは人の指示によるものだった。

 なのでAIですら手を出せない。

 やるとするなら、人の手による指示が新たに必要だ。

 だが、それはネットの中からやらねばならなくなっている。



 その作業を、AIはゲームで遊んでいた者達に求めた。

 テロリスト以外でネット内にいる数少ない者達に。



 やる事はひとつ。

 テロリストの施したネットワーク遮断を解除する事。

 その為に、様々なところにあるネットワーク遮断を促す機構を解除する事。

 テロリストも対策として幾つもの防御機能を設置してる。

 それらを残らず解除する事で、ネットワークへの接続が再開される。



 そこまでの道はAIがととのえる。

 また、専門知識も不要な状態にととのえる。

 ネットワーク全体をゲームのように書き換える事で。



 テロリストが設置した機構。

 外部との接続を遮断するためのプログラム。

 そこに至るまでの道のりを、ダンジョンのようにあらわす。

 外部との遮断を促すプログラムをモンスターのようにあらわす。

 このモンスターを攻撃して撃破する事で、遮断を解除していく。



 もちろん、テロリストも仕掛けをしている。

 簡単に接触できないように防衛機能をつけている。

 悪質な操作を排除するための防御機能。

 ファイウォールを設置して。

 それらも襲ってくるモンスターとして表現される。



 これらを突破していく事で、ネットワークを復旧していく。

 AIはネットワークのプログラムをそう書き換えた。

 素人でも操作ができるように。

 元の指示や命令に背いてるわけではないので、これくらいはできた。

 というか、ここまでやるのが限界だった。



 ゲームを遊んでいた者達も、それならばと参戦していった。

 どのみち、生きて戻るにはこの状態を解消しなくてはならない。

 それができなければ終わりなのだ。



 この様子はAIを通して外部にも伝えられた。

 外からの操作ができなくなっていても、内側からの情報伝達は可能だ。

 状況説明くらいしかできないが。

 それでも、人々はネットの中で何が起こってるのかを知る事が出来た。



 支援も行われていく。

 接続されてる者達に生命維持装置がつなげられる。

 意識がコンピューターと接続してる間は身動きがとれない。

 体は眠ってるような状態になっている。

 当然ながら食事などもできない。

 そのままでは肉体が栄養失調で損なわれる。

 それを避けるために、必用な栄養を注入できるようにしていく。



 他にも、ネット内で活動中の者達は政府が臨時職員として扱っていく。

 会社員は政府が与えた仕事に従事してるものとして、会社から出向いてるという扱いになった。

 これにより会社には社員の派遣として金が振り込まれる。

 解雇される危険をこれで回避した。



 学校の方もやむなき理由による休校扱いになっていく。

 ただ、作業中に勉強時間がとれるなら、それで通学扱いとなった。

 幸い、AIによる教育も可能だ。

 もっとも、ネットワークの解除に時間がとられるので、勉強などほとんどできないが。

 大半のものは留年を余儀なくされてしまう。

 こればかりはどうしようもなかった。



 それでも作業は少しずつ進んでいく。

 決して楽なものではなかった。

 犠牲も出ている。

 何人もの死者を出した。

 それでも生きて帰る為に先に進まねばならなかった。



 妨害用のプログラムを倒し、ネット遮断の機構を破壊する。

 時にテロリスト自身が攻撃を仕掛けてくることもあった。

 ネットワークのプロだけに手強い連中である。

 いくらゲームの感覚で作業ができるといっても、能力のある者が有利なのは変わらない。

 テロリストは妨害用のプログラムを上回る強敵だった。

 それを倒すために何人もの犠牲が出た。



 ゲームのプレイヤー達はそんな日々を二年間も続けていた。

 ネットワークの解除は進んでいるが、完全な解放には至ってない。

 その為には、テロリストが設置した機構のほぼ全てを破壊しなくてはならない。

 ネット切断ができなくなるくらいに機能を低下させねばならない。

 そこまでまだしばらく時間がかかる。



 少しずつだが終わりは見えている。

 だが、まだ終着は遠い。

 経験も積んで効率よく動けるようにはなった。

 しかし、人数が減った事で一人当たりの負担も増えている。

 プレイヤー達もだんだんとうんざりしていった。

 本当にこれで解決できるのかと。



 それでもやるしかない。

 生きて帰るためにも。

 やられて死ぬかもしれないが、ここに閉じこもっていても死ぬ。

 生命維持装置に肉体をつないでるとはいえ、衰弱は免れない。

 体がまだ保ってるうちに事件を解決しなければならない。



 だからプレイヤー達は今日も出陣していく。

 生きて帰るために。 

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