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ファントムの召喚  作者: こでまり


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17/28

教会の秘密

 翌朝、まだ薄暗い中を昨夜と同じ道を歩いていた。


「レイモン、こんなに朝早く来なければいけない理由を教えて」


 理由も聞かされないままオリビアに叩き起こされて眠い目を何とか開けてレイモンの後をついてく。

 ハミルトンはいない。その理由も聞かされていない。


「来れば分かる。それと、このことは王家だけの秘密だ。ウォルターたちも知らない」


 企業秘密といったところか。また、秘密が増えた。


 レイモンは教会の正面に立ち、扉に手を当てて何か呪文を唱えている。

 それを少し離れて見ていた。


 レイモンの身体から白い光のようなものが出て扉に吸い込まれていく。

 リコは、はっきりと目が覚めた。何度が瞬きをして光の行方を探る。


 昨夜見たのと同じだ。ただ、ローサンは黒い煙のようなものでレイモンは白い光だった。


「リコ」


 考え事をしている間に扉が開いてレイモンに呼ばれた。慌ててレイモンの傍に駆け寄った。


「なにをしたの?」

「扉を開けた」

「光のようなもので扉を開けたってこと?」


 レイモンはリコを凝視している。何か変なことを言ったのか?


「そこまで見えるのか。それなら、ローサンが何をしていたのか見えていたか?」

「さっきのレイモンと同じよ。ただ、ローサンは黒い煙のようなものだった」


 レイモンが不気味に笑う。思わず後ずさりした。


「ローサンが使っている魔法ではこの扉は開かないようにしてある。それが上手くいったようだ」

「じゃあ、昨夜のローサンは教会に入ろうとしたの?」

「ここにあるものを盗もうとしたんだろうな」


 レイモンが歩き出し、教会の中へ入っていく。


「レイモン、私も入っていいの?」

「ああ、大丈夫だ」


 リコは入り口でレイモンに聞いた。

 禁忌と言われて、更に王家の秘密とやらを聞かされたあとで、踏み入れるのに躊躇した。


 レイモンについて行く。

 教会の中の通路はレイモンが歩くと、壁の備え付けられたランプが自動的に灯っていく。まるでどこかにセンサーでも付いているのではないかと疑いたくなる。


 一番奥と思われる部屋に着くと床に魔法陣が書かれていた。

 レイモンはその上をどんどん歩いてさらに奥へと進んでいくが、リコは少し怖くなって、魔法陣を避けて奥へと進んだ。


 レイモンは一番奥の壁に手を当ててまた呪文を唱えている。

 今度は何が出てくるのか。これも企業秘密なのだろうなとぼんやり見ていると壁が消えて階段が見えた。


「これも、王家の秘密よね」


 レイモンは笑っていた。それが答えだ。秘密が積み重なっていくのが怖くなる。


 レイモンが階段を降りていく。リコも慌てて後をついてく。


 階段を降りた先には先程よりも広い部屋があり、床には魔法陣が書かれている。

 でも……魔法陣はさっきとは少し違う。


「リコ。上」


 レイモンが顔を上げて指さした先から朝日が差し込んでいる。

 さっき、上の部屋を歩いているときには気がつかなかったが、下から見ると床が透けて見える。その為、天井から差し込む朝日がこの部屋まで届いているのだ。


 先程まで、少し肌寒い感じがした部屋に光が差し込みほんのり温かくなってきた。


 そしてその光で気がついた。

 今、リコたちがいる部屋の壁一面が透明な石で朝日を浴びて光り輝いている。魔法陣の中心には天井にまで届く大きな石があってそこに光が集まって見えた。


 昨夜感じた強力な魔力はこれだと確信した。


 レイモンは魔法陣の中心に歩いていき、中心にある大きな石の下に転がっている小さな石を数個拾って戻ってきた。


「ローサンはこの石を狙っていたと思う」

「それって、何?」

「魔法石。ただ、一般的に流通している物とは違う」


 レイモンは手のひらに広げて、一番大きいものをリコに渡してきた。

 手のひらに乗せてみると石が熱を帯びてその意思自体が光っている。かなり魔力が込められているのが分かる。しばらく眺めて、レイモンに返そうとして断られた。


「どうして?」

「何かあるといけないからリコが持っていろ」

「でも、貴重な物でしょう。私が持っていていいわけないじゃない」

「この間、変な魔物に遭遇しただろう。それなら尚更だ。持っていろ」


 リコは仕方がなく、ハンカチに包んでスカートのポケットに入れた。


「ローサンはこの場所を知っているの?」

「ここまでは知らない」

「じゃ、どうして?」

「上の部屋のどこかにあると思っているんだろうけど、上の部屋の床からはこの部屋を見ることが出来ない」

「あの階段は?」

「あそこは、王位継承者しか知らない場所だ」

「継承者ってネヴィル皇子も知っているのね」

「知らない」


 聞いてはいけないものを聞いてしまって頭を抱えたくなった。

 王位継承者しか知らない、ネヴィル皇子が知らなくて、レイモンが知っている。


 これは秘密ってことよね……。


 教会を出て部屋に戻ると急に疲れが出てきてソファーに倒れこんだ。

 秘密が多すぎる。いつか口を滑らせて言ってしまうかもしれない危険を感じて何度も守秘義務と呟く。


 このまま二度寝をしたいところだが、スカートのポケットに入れた魔法石を取り出しハンカチをそっと広げてみる。先ほどまでの熱も光も収まっている。なんだったのだろう。

 とりあえず、オリビアに小さな袋を用意してもらい、石を入れて首から下げた。



〇〇〇

「ローサンは教会に入り込もうとしていたみたい」


 細かいことが言えないもどかしさを感じながらも、王家の秘密をペラペラ喋るわけにもいかず、誤魔化しつつレイモンが言っていた話を伝えた。


「あの教会に眠ると言われている魔法石ですか」

「そう。それを手に入れたかったみたいだけど、レイモンが教会の結界を別の物にしたからローサンは扉を開けることは出来なかったみたい」

「前の結界が破られたことも疑問ですが、ローサンが扉を開ける呪文を知っていたことも不思議です」


 ハミルトンは首をかしげながら、考え込んでしまった。

 そういえば、あの教会の秘密が書かれた王族しか見ることが出来ない本をローサンたちが持っていたと言っていた。それとレイモンの結界がどう繋がるのかさっぱりわからない。それに、ローサンは魔法石を使って何をしようとしているのか。


 ハミルトンに説明した後、レイモンのところに行くと皇女の様子を聞いた。


「やはり、ローサンが皇女に会っていた形跡がある。そして手引きした者も判明したが何の目的なのか調べるため泳がせている」

「どんな人なの?」

「静寂の館の護衛騎士で、今は皇女が謹慎している館の警護についている」

「その目的が分かったら教えてくれるのよね」


 護衛は皇女の謹慎が決まったとき、側室が皇女の護衛にと送り込んだものだと言う。


 あっ!


 忘れていた、もともとあの場所を見たいと思った目的を。あの場所だと思ったのはただの勘違いだった。それならと記憶を頼りに可能性を探ると繋がった。後はこれをどう証明すればいいのかだけだ。

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