何もしてないんだけど
僕には友達が居ない。
昔から。
「もういいかい?」
「まあだだよイライラするからな」
「僕何もしてないんだけど」
「見ただけでイライラするんだよ」
友達は居ないが僕は虐められていた。
いじめっ子から。
たった一人に。
無視や机のへの落書きは軽い方。
殴る蹴るの暴行は当たり前だった。
酷い時は黒板のチョークを無理やり飲まされた時も有る。
理由は簡単だ。
見た目がムカつくからだそうだ。
理不尽な理由だと思う。
だが小学生だから仕方ないと思う。
それから何とか仲良く成ろうと努力した。
でも全部無駄だった。
見た目がムカと言う大した理由もなく虐めるんだ。
当たり前だ。
毎日が耐える日常。
だが耐えきれなくなって僕は隠れた。
有る場所に。
それから天国だった。
虐められない。
干渉されない。
そんな毎日。
いじめっ子は其れから孤立した。
何故か。
友人だった子から侮蔑の目を。
先生からは冷ややかな目を。
親からはろくでなしを見るような目で。
「もういいかい」
「まあだだよ本人はまだ反省してない」
「そうだな当分は此のままだな」
いじめっ子を嫌悪する人たちは何時もいじめっ子を睨んでいた。
だけどいじめっ子は全然堪えず一人で遊んでいた。
「もういいかい」
「まあだだよ……あの子は何の後悔もしてないんだね」
其れを見た人は更に嫌悪した。
いじめっ子を。
そんな様子を見て僕はいじめっ子の事を気にし始めた。
その前の時点では僕は既にいじめっ子の事をどうでも良いと思っていた。
恨みはない。
憎しみではない。
気が付けばそんな状態だった。
だけど孤立するようになって気に成り始めた。
この感じはなんだろう?
遠くから見つめて僕は思った。
いじめっ子は中学を卒業すると家を出て働くようになった。
やがて仕事先で交際相手と巡り合う。
そのころからいじめっ子は暗くなった。
何が原因か分からない。
酷い罪悪感に苛まれてるみたいだ。
「もういいかい」
「もういいよ本人もようやく反省してるし許してやろう」
そういっていじめっ子を嫌悪していた者たちは二人を祝福していった。
幸せになったみたいだ。
うん。
僕も過去の事は忘れて会いに行くか。
いじめっ子が死んだのは僕が合いに行った翌日の事だった。
死因は心臓麻痺。
その顔は恐怖に染まっていた。
何故か。
多分夢枕に立った僕が理由だろうか?
やはり気にしてたのかな?
僕が苛めを苦に屋上から自殺した事。
気にしなくて良いのに。
既に済んだ事だし。
とはいえもう話せないな。
魂が恐怖で砕けたみたいだし。