俺は彼女たちの二番目~一番目になりたくて~
ちょっと息抜きに書いてみました。
好評なら続きを書くかも?
俺の名前は聖護院 大輝。実は俺は結構いいところの育ちなのだが、あまり裕福の暮らしをしてきたわけでもない。というのも、『若くして楽に生きれば、大人になってから困る』という親の教えもあって、中高ともに今の自宅から近い学校を選んだ。
今の家と言うと不思議に聞こえるかもしれないのだが、別に前に住んでいた部屋がもうないという訳ではない。親の教えによって、俺は妹と2人で今の家に住んでいる。しかし、小学校は良いところの――所謂お坊ちゃま学校に通っていたため、あまり友達というものになじみがなかった。
それでも高校に入ってほぼ一年が経とうとしているのだが、多少は改善されたと思う……というかそう信じたい。学校生活は順調に進んでいるように思えた――ある一点を除いては。
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう、香奈」
彼女の名前は聖護院 香奈。俺の一つ下の妹で、黒髪のショートカットで目はクリッとしており、身内贔屓で見なくても十分可愛らしい美少女だ。そんな彼女だが、俺との距離がすごく近い。何故かとは言わない、原因は分かっているのだから。
「お兄ちゃん、私を二番目に大事な女の子にして?」
香奈はブラコンである。とは言っても小説の設定みたいに、何処かから拾ってきただとか親戚の女の子とか幼いころに両親を亡くした隣の家の女の子と言った訳でもない。正真正銘の妹だ。この国において兄妹で結婚をすることは出来ない。昔はよく結婚しようと言っていたのだが、ある時きちんと告げたのだ。
それ以来、「自分を認めてくれる彼女を探してきて」だとか、「二番目にしてなど」と言ってくるようになった。てっきり愛そのものを諦めるのかと思ったのだが、思った方向に曲がってしまいその時期には香奈とニ人でコチラに住むようになってしまい、拒絶することも難しくなったまま、月日が経ち、香奈もどんどんエスカレートしていって今の状況があるということだ。
俺はいつも通り、制服に着替えて学校へと向かった。学校に向かうと、2人組の女性生徒がいた。彼女たちは俺の姿を見つけるとハッとした表情になった。
「おはよー、清二君!」
「おはよぉ、清二ぃ」
茶髪のミディアムで凄く明るい性格の 九条 彩花。そして、九条の隣を歩く長い金色の髪の持ち主。その髪を一つに纏めている――所謂ポニーテールという髪型をしている彼女は来見 玲奈。九条は運動が得意な少女で、よく色々な部活の助っ人を頼まれるという程だ。一方の来見は見た目通りのギャルで、九条と同じくクラスの中心人物であったりもする。
「九条君、好きだよ?」
「あたしも九条のことは好きだから」
そんな2人は顔たちもよく、学校でトップ3に入る美少女と言われている。そんな彼女っ体に告白されれば動揺ぐらいするだろう。俺も最初はした。しかし俺は彼女たちの告白を断り続けている。
「九条君、世界で二番目に大好きだよ?一番は玲奈ちゃんだけどね」
「あたしも二番目に好き。勿論彩花が一番だからな」
お互い俺に告白していたはずなのだが、気づけば2人でイチャイチャしている。そう彼女たちは同性愛者だ。――いや、この場合は両性愛者なのかもしれない。そんな彼女たちはなぜが、俺に好きと言ってくる。けど、二番目何だよなぁ。一番と言われたら考えるんだけど、二番目と言われたらあまり乗り気がしない。
今日も彼女たちは俺の両腕にまとわりついて、教室に入るまでそれは継続される。教室に入るといつものごとく、男子から舌打ちや陰口を言ってくる。別に俺も好きでこの状況にいるわけじゃないんだけど。しかし、そう思っていても……俺があっち側の立場だったら同じことをしていたような気もするので、何とも言えないのだが。
「おはようございます、聖護院君」
「ああ、おはよう」
黒のさらっとした長い髪。成績優秀で運動も九条には劣るものの、それでも十分に動ける。ほぼ完ぺきな人間――それが、天王寺 千尋。俺はよく天王寺家はしょうがうちに並ぶくらい大きな家だとは聞いていた。しかし、まさか近いからだという理由で選んだこの学校に天王寺家の令嬢である彼女がいるとは思っていなかった。俺はあまり騒ぎにはならないが、天王寺家の令嬢である彼女の校内の人気は高く、その顔、性格、才能、家柄の全てが完璧で、この学園で一番の人気がある。
そもそも俺が二番目と言う言葉があまり好きじゃないのは彼女の影響が強い。
「聖護院君、私と結婚してください」
彼女はサラっとそう言うことを言う。とはいえ、俺以外の人に言っているところは見たことないのだが。ニコッと笑う女神のような笑みだが、騙されてはいけない。だってこいつは……
「どうせ、家柄が目的だろ?」
「はい、聖護院君はニ番目です。一番は家のことです。貴方と結婚するのが良いのが家のためと判断しているからこそ、こうしてプロポーズしているわけです」
彼女は俺の家柄しか見ていない。ニ番と言っているが、俺のことをどう思っているかはわからない。完璧人間が何を考えているか何て俺には分からない。そもそも家柄を出すことさえ揶揄っている可能性だってあるのだ。ある程度彼女が声を落としているから、周りの男子には聞こえてないのだが、最も聞こえていない人たちには聞こえている。
「駄目だよ、聖護院君は私たちの彼氏になるんだから……ねっ、玲奈ちゃん」
「聖護院はあたしと彩花の彼氏になるんだから近づかないでくんない?」
「いえいえ、認めませんよ」
また始まった。彼女たちのニ番目戦争。これが始まると、男子生徒ったいは妬みの視線を向けてくるのだが、こいつらは俺にニ番目しか求めていない。
「はーい、席についてください。HRを始めます。まず初めに、今日は転校生の紹介をします」
先生がそう言うと、銀髪のショートカットの女子生徒が入ってきた。
「初めまして、イギリスから来ましたフローラ=テレス=ローズと言います宜しくお願いします」
彼女は自己紹介をするとニコッと微笑んだ。一瞬目があったような気もするけど、気のせいか。フローラさんか、可愛いな。彼女を見ると胸の鼓動が少し高まっていくのを感じた。これは恋なのだろうか?まずは友達になれたらいいな。
――しかし、この時の俺はまだ知らなかった。彼女も俺に二番目を求めるようになるなんて。
初の短編だったので、ちょっと書きづらかったけど何とか書ききることが出来ました。
他にもいくつか小説を書いているのでよければ是非チェックしてみてください。
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