第1話【前方不注意】
神様は貴方が思うヤクザ映画の重鎮の顔を想像して下さい
「唐突だが貴様にやり直す機会を与えよう」
唐突に現れた神様はピーマン王子にそう言った。
「・・・やり直す?」
「そうそう、 やり直せば幸せになれるルートも存在するかもしれない
でもいきなり何言ってんだって思うだろうから
まずは一回お試しでタダでやり直させてやるよ
言うならば初回無料と言う奴だな
それで一回やれるところまでやってみて
カラシナが死んだこのルートとやり直して戻って歩んだルート
好きな方の人生を歩ませてやるよ」
「・・・本当ですか? 本当に俺はカラシナを助けられる事が出来るのですか?」
神様に縋るピーマン。
「それはお前次第だ、 カラシナを救えるか如何かはお前にかかっている」
「・・・やります!! やらさせて下さい!!」
「良いだろう、 では始めるぞ」
閃光が周囲を包んだ。
気が付くとピーマンは自分が通っていた王立学園に居た。
校門に看板が掛けられており、 看板には『王歴1500年度入学式』と書かれていた。
「3年前に戻っている、 戻っているんだ!! 神様有難う!!」
叫ぶピーマン。
周囲の生徒が怪訝そうな眼で見るが気に留めないピーマン。
「そうだ・・・確かカラシナが道に迷っている筈・・・」
カラシナを探すピーマン。
カラシナは元々庶民の出で男爵が庶民の愛人との間に作った子供なのだ。
「何処だ・・・あ!! 居た!!」
カラシナを見つけるピーマン。
カラシナはきょろきょろと何かを探している。
「おーい!! カラシナー!!」
カラシナの方に走るピーマン。
ドンッと馬車に刎ねられるピーマン。
カラシナは車道の向こうに居たのだ。
ピーマンは前方を見ずにとっとと行ってしまった為、 馬車に刎ねられる事になってしまったのだ。
「え・・・ちょっと待て・・・嘘だろ・・・」
口から血を吐きながらピーマンは意識を手放した。
【死因:前方不注意による交通事故死】
何も無い空間で神様の前に座るピーマン。
「お前馬鹿じゃないの? 何で秒で死んでんだよ」
神様がピーマンをせせら笑う。
「神様、 お願いします、 もう一度だけやり直させて下さい」
「良いだろう、 ただし有料だ」
「有料? 一体何を支払えば・・・」
「金だよ、 金、 一回につき金貨3枚、 十一回なら金貨30枚で請け負う」
「金貨30枚!? そんな金ないです・・・」
「安心しろ、 私が月30%複利で貸し出してやろう」
「おぉ・・・なんと有情な・・・」
「良い良い」
ピーマン王子はイケメン王子の顔を想像して下さい