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Dea occisio ーFlos fructum nonー  作者: つつみ
Recte hominem movere speculationis(征く者と、思惑に動く者)
64/91

『Hiems vestigiorum』

ーー遠方の何処かで、恐らくは辺境と思われる土地。

珍しく雪の降る地域で、少しだけ積もっている。

此処は元々寒冷な土地なのだろう。冬枯れに伴う白雪がはらはらと降っては、様々な所を白く変えた。


其の白い大地を赤く染めながら、横たわる者が居る。








































「あ…ううっ………………………、」

微かにだが呻き声を上げている。どうやら、赤く染まった雪は此の人物の流血によるものらしい。

何故流血した儘横たわっているのか、其れは本人にしか分からなかった。

























ザク、ザク、ザク、ザク。

ーー少し遠くの方から、何かが歩いてくるらしい。雪を踏む音が、此方に近付いている。

ザク、ザク、ザク、ザク、ザク…

音は次第に大きくなり、足音の主が確実に近くに居る事を示していた。









































ーー………ザク………………

足音は其処で止まった。大凡(おおよそ)目の前。獣だろうか、其れとも人か。

倒れる者に、正体を知る為に見上げる力は無かった。



「………。」

倒れる者、追従者であるニルスィには、もう殆どの力は残っていないし、獣であれば間違い無く喰らわれている。

然し、足音の主は立ち尽くすばかりで何もしてこない。

警戒してるのか?

其れともやっぱり人間なのか?




(あ…駄目だ……目が……………もう…開けられ……ない………………………)

ニルスィの視界は暗くなってゆく。最早目すら開けられない。流血があまりにも多過ぎたらしい。…尤も、幸いな話追従者の一人である為此の程度では死なずに済むがーー

































ニルスィの視界と共に意識が沈んでゆく時、僅かだが足音の主が()()である様な、そんな気がした。









































































……ああ、大丈夫ですかねこの人…


……………でもまあ大丈夫だろうね………この人も追従者だし……




丁度仲間が必要だって思ってたし■■さんなら適任かな。

確か…幻術使いだったっけ……上手く撒く事が………………


…こんな所で死なれちゃ困るわーほんと

















「■■さんには存分に役立ってもらう。だからこんな所で死なないでねー」



スノーリー(幸せな雪)の為にね。

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