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Dea occisio ーFlos fructum nonー  作者: つつみ
Infirmitatem et Play(衰弱と再生)
5/91

『Perturbationibus stella』

「では、ユイルさん。此処と村の方達の事は頼みますね」

























レミエがぺこり、とお辞儀をする。

彼女がお辞儀をしている方には一人の女性が立っていた。



「分かりました。聖堂の管理も村民の皆さんの事も任せて下さい」

レミエとはまた違った落ち着いた声が、彼女の心を安心させる。




「もう良いのか」

「はい。…彼女、ユイルさんになら任せられます」

急な事ではありましたが、と答えながら。

















…少し時を遡って、事はレミエがこの場を発つ前に「寄りたい所と、会いたい人が居る」という一言から始まった。

彼女によるとその場所は聖堂のある場所からはそう遠くも無く、会いたい人というのは彼女と共に聖都を離れ落ち延びたのだという。

曰く、彼女も「女神の行いに嫌気が差した」そうだ。




「すみません…お時間取らせてしまって」

「いや良いよ良いよ。信頼の置ける相手なんだから伝えておかないと」

復讐者も待ってる、と言ってニイスと共に外で待つ事にした。

一方、レミエは目的の場所にあった小さな小屋の中へ進み行くのであった。









「ユイルさん、いらっしゃいますか?」

「あ、今日はレミエさん。如何かしました?」

レミエから「ユイル」と呼ばれた人物が立ち上がり、彼女の所へ寄って来る。その容姿は男性の様にも見えるが、列記とした女性である。所謂、男装の麗人というものなのだろうか。




「今日は少し事情があって…いえ、説明した方が早いですよね」

すうっと息を深く吸って、レミエは突然の来訪について話し始めた。



「今日ユイルさんを訪ねに来たのは、その…私、旅に出ようと思いまして」

「旅…ですか?何処まで?」

「…えっと、事情を説明すると長くなるかもしれませんが大丈夫でしょうか」

「ええ。大丈夫ですよ」









「…私、女神殺しに行く事にしたんです」

「女神殺し…!?」あれ程穏やかなレミエの口から、物騒な言葉を聞いたユイルは酷く驚いていた。


「そうです。正確には女神殺しを理由に旅をしている方のご助力をしようと思いまして…それで同行を、私の方から」

「…そ、そうでしたか。私、てっきりレミエさんお一人で女神殺しに行くのかと思ってしまいました」

ユイルはほっと安堵の息を漏らし、胸を撫で下ろした。



「なので、聖堂も村の方達も、私が居ない事で不便な思いをするのでは無いかと思って。…ユイルさんも武人でしたし、周辺の護衛は出来ます。それに、薬草等の知識も豊富ですからーー」

お願い致します、とレミエはユイルに対し頭を深々と下げた。

















「………正直とても驚きました。でも、顔を上げて下さい、レミエさん。本来出来るなら私も同行致したいですが、レミエさんの願いですから断る訳にはいきませんし、勿論聖堂も村民の方々も私にとっても大切な全てです。…喜んで受けましょう」

ユイルの落ち着いた声が、レミエを宥める様に彼女の耳へ届く。断られてしまうかもしれない、と思っていただけに快諾してくれるとは思わず、レミエは顔を上げて喜んだ。


「ユイルさん…っ!あ、有り難う御座います…っ!!」

「ふふ。良いんですよ、気を遣わなくたって。相当な長旅になると思います。お気を付けて。旅の方共々…」

ユイルの微笑みが心強い程温かく、優しかった。


































…と、この様な経緯である。

『暫くどころか無事に帰ってこれるのやら』ニイスが縁起でも無い事を言い、其れに対して復讐者が少し曇った表情を向けた。いかん、と思ったニイスは『大丈夫、きっと無事に戻れる筈さ』と付け加えるのであった。

「…まあ良い、行こう、今の目標はリンニレースの殺害だ。あまりのんびりしてもいられない」

気持ちを切り替え、復讐者達は第一の目的である女神リンニレース殺害の為に目的地となる癒都リナテレシアへ向かうべく歩み始めた。



癒都リナテレシア、衰弱と再生の女神リンニレースの膝元となる場所。

復讐者一行が目指す第一の目的地にして、最初の女神殺害の場所となる地。報復の花を咲き誇らせる為、彼女達の命を蛇に喰らわせる為に。

































「…………………。」

一行の後ろ姿を木陰から密かに見つめる影が一つ。其の姿は何処かあどけなく、そして愛らしい少女の様であった。

宇宙の熱量を反映させた髪、星を散りばめたドレス。その姿はかの「星の乙女」に酷く似ている。




「……■■くん…」

彼女は誰を見つめているのだろうか。その表情は、まるで恋をする乙女の様に、切なく甘いものであった。


木陰より覗き込んでいた少女が、ふわりと地から足を離して、一行の後を追う様に飛び立った。

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