EXTRA-EPⅠ『Cumque diluculo millesimum』
ーー世界が運命の女の革命の炎に燃え上がり、圧倒的な力を以て世界中へ革命の炎の波が押し寄せられた頃の話を少しだけしよう。
見せしめとして破壊兵器ベルトニウム・エクスプロージョンが使用され地図上からとある島国の一部が消された後、
破壊兵器の破壊力に着目した彼女達が「地殻変動を意図的に発生させる兵器」を開発、世界平定と称し各地で使用された。
兵器による大陸の変化は彼女達が満足するまで続けられ、彼女達が満足した頃には世界の大陸の大部分は一箇所に寄せ集められ四つの区域に分けられた一つの超大陸が誕生していた。
…後に女神となる彼女達が行った所業の数々を、二人の青年は眺め続けていた。
彼等の其の行動もまた、大陸が今の様になるまで続いた。
彼等が其れを続けられたのも"ニイス"という存在が彼等に干渉した為に、不老不死を獲得してしまっていたからである。
彼女達の手で世界中に災害が訪れるのを、二人は、二人と不思議な一人はただ見ていた。
そして凄惨な光景が展開されてゆく度に一人は女の身勝手さに唇を噛んで無力を嘆き、一人は眉を顰めてただ粛々と、まるで光景を忘れまいと見詰めていた。
残るもう一人が、二人の姿を痛ましい気持ちで苦しそうに見ていた事は二人にも分からない事だろう。
ーー其れから、世界中が赤く染まった運命の女の革命から大凡永い時が経った。
あの時の二人の青年は女神となった彼女達へ復讐するべく旅を続けている。
"ニイス"の加護があっても無力でしか無かった自分自身を努力と研鑽で極致へと至らせ、戦う能力を得た。
其の彼等の旅路は、不思議な縁もあって同志が増え、そして二人の女神が死んだ。
彼等の復讐の旅自体は徒花と終わるものなのかもしれない。
然し花は咲かされるだろう。蒼い焔が燃え続ける限り。
季節は冬の寒さに等しく、肌寒さに震える者が傍に。
修道女はそっと外套を羽織り、復讐者はコートを静かに着込んだ。
「………空が明るくなってゆく」
白煙の吐息を吐きながら青年が明けてゆく空を眺めていた。
彼の言葉を皮切りに同行している修道女とツブ族、不思議な青年が彼と同じ方角を見る。
時期に間違いが無ければ今日は一年の始まりであり、それ迄の年が終わった日。
女神の暦に変わってから何度も見た夜明け、始まり。
未だ旅の最中。
千年目の夜が明けてゆく。




