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Dea occisio ーFlos fructum nonー  作者: つつみ
Dura et somnia(夢想と苛烈)
45/91

『Occidit rebel』

「……………リンニレースが杖先から癒しの光を展開する。彼女の行使した力が傷付いたアンクォアを癒した」




彼女の傷は立ち所に癒え、先程まで身動きすら取れぬ程傷付いていたとは誰が思うのだろうか。

ーー否。誰もそうは思わない。アンクォアとリンニレースの二人が共に戦えば無敵だ。癒しのリンニレースに、力のアンクォア。両者の相反する属性が補い合う。

















「リンニさんいやありー!!!よーし、ワシもフルパワーで戦えるゾ〜!!!!!!!」

「頑張れっ!!アンクォアさん!!!!!!!」

リンニレースの明るい声音が、アンクォアに更成るエールを贈る。


「へへへwwwwwwリンニさんおったらワシは百人、いや千人力、じゃ無くて万人力ですわ!!!!!www」

アンクォアは嬉々として大剣を振るい、回廊の壁に一閃をくれてやった。然し壁が斬り落とされただけで、肝心の敵は仕留められなかった。

「チッ…素早いネズミですな……ま、相手するのはワシだけじゃ無いけどwwwwwwwww」

敵を仕留められなかったにも関わらず、アンクォアはからからと陽気に笑い、相手を更に煽る。

















































彼女達が戦っている相手は、白い衣の男ーー叛逆者。

其れと彼に追従する修道女リュミエと、小人のウェモルである。

「くっ…強い!!」叛逆者はアンクォア達女神の強さに苦戦を強いられ、焦りを見せていた。

「追従者達は何とか制する事が出来ましたが…破格の強さですね……」

修道女リュミエもまた苦戦を強いられている。




「余所見をしていたら危ないですよっ!!!!!!!」

修道女リュミエの上から降る声。

女神デインソピア。私のデインちゃんだ。


「たああああっ!!!!!」

「きゃあああっ!!!!!!!!」デインソピアの一振りがリュミエを断ち斬った。其れでも彼女は斃れない。憎たらしい事にデインちゃんの一振りを杖で受け止めていた様だった。




「…っ、そんな事でやられませんっ!!!」

「ひゃああああっ」

リュミエがデインソピアの剣を杖で受け止め、其の勢いで弾いた。デインちゃんの身体が吹き飛び、彼女の硝子の剣が投げ出されてしまう。

「デインちゃん!!!」

私は思わずデインちゃんの所へ駆け出していた。

「デインちゃん大丈夫!?」

「あー…うん、大丈夫だよ姉ちゃん、早くあんな奴等やっつけよう、姉ちゃん!!」

デインソピアの自信に満ち溢れた声がシーフォーンの心に勇気の灯火を宿させた。




「…剣を再生成したら、私に合わせてね、デインちゃん」

「了解っ姉ちゃん!!」

デインソピアが其の手から硝子の剣を再生成して、再び構える。彼女の其の様子を一瞥と共に見届けたシーフォーンは溢れんばかりの輝きを携えて、破壊の光を展開した。

私達(女神)に刃向かった罰を受けろ…!!叛逆者……!!!」

シーフォーンは怒りに満ちた声音で叛逆者達を見据える。



「シーフォーンさんが本気出しちゃいましたぞwwwじゃあワシも本気でブッ殺してあげましょーっ!」

「ふふふっ私もこの力を癒し以外に使う方法が出来たんですよね…私の力でもーっと痛い目に遭わせてあげちゃいますっ」

「姉ちゃんや皆の力を合わせたら負ける筈が無いですし!創作者馬鹿にするんじゃねえぞって声を大にして言ってやりますとも、■■■■ちゃんかわいい!!:D」


「んもうデインちゃんったらw■■■■ちゃんかわいいのは当たり前だけど先ずはこのゴミ共にありったけの殺意をぶつけてぶち殺してからにしちゃいましょw」

「そうだね姉ちゃん…でも言わせて、■■■■ちゃんかわいい、■■■■■最高!!!!!!!!!!」

妙にテンションの高いデインソピアに対して、呆れながらも微笑むシーフォーン。

「╮(´・᎑・` )╭」

自分の生み出した騎士の■■■■ちゃんと、大好きな■■くんとを掛け合わせた■■■■■の尊さを声に出して叫ぶデインちゃんに対して私は顔文字で「やれやれ」と答えた。


デインちゃんの気持ちは分かるし、私だってデインちゃんの■■■■■が大好きだし、■■くん好きについてはデインちゃん!だし■■■■ちゃんは最高の美少女だし、■■■■■は私にとっての最高の二次創作だと主張したい。



でも其れは先ず目の前の事を終わらせてから。

其れからだって語れるし、■■■■■や■■■■ちゃんの可愛さや尊さを世界中の人間に強制的に広めさせる事も出来るんだから。




「ーー辞世の句は出来ましたか!?別に伝えたりするつもりは一切有りませんけどもねwじゃあぶち殺してあげます!!!!!!!」

絶対の自信に満ち溢れた、四女神の瞳が一層強い輝きを持った。

美しい彼女達の美しい光が、更に彼女達を引き立たせ、圧倒的な力を見せ付ける。









ーー…シーフォーンが放つ、光芒、もたらす破滅。

彼女と三人の女神が織り成した力の奔流が、叛逆達を呑み込んでいった。









































「ーー!!!!!!!!」叛逆者達は膨大かつ強大な輝きに呑まれ、彼等の其の身は跡形も無く消し去られた。

























































「……はー!いやー流石にやり過ぎちゃいましたねーwww」

アンクォアの大きな笑い声が響く。

「四女神の全力を出し切る必要は無かったかなぁ」

大口を開けてにこやかに笑うアンクォアの言葉に、シーフォーンは思わず先の行動はやり過ぎてしまっただろうかと戸惑った。

「はわ、そんな事無いよシーフォーンちゃん!!だって相手は私達に背く奴等だよ?容赦なんか一切しなくて良いんだから!!!全力で潰した方が見せしめとしては一番だよ!!!!!」

リンニレースが空かさずフォローに回る。

「えっへへへwそうですよねwww全力でプチッと潰してやるのが一番ですよねwwwwwwwww」

彼女のフォローに笑顔が漏れる。



「にしても姉ちゃん達が四人で全力出したのって革命以来だよね!あの時程じゃ無いけど久し振りに皆と一緒にゴミ掃除出来て楽しかったー!!!」

デインソピアもまた明るく楽しそうな声で喜んでいる。

「いやーホントですな〜!!!!!」

「あの時のデインちゃん可愛かったー♡」

まるでSNS上の遣り取りの時の様に、きゃっきゃと盛り上がる。

勝利の美酒に酔いしれながら、女神は追従者達と宴に盛り上がっていた。

































「…姉ちゃん?どうしたの??」

ふとデインソピアがテラスの方へ視線を向けた時、シーフォーンが立っていた。宴から離れている彼女の様子が気になって駆け寄ったデインソピアに、シーフォーンは話す。



「ちょっと暑くって。…あのね、デインちゃん。私ね、この世界をもっと良い世界にしたいんだ」

シーフォーンは星を眺めながら、これからの事を話し始めた。


「今でも充分良い世界だとは思う。けどこれでは足りないんだよね。聖女や災女、■■くんとか好きなキャラを祀る為の神社とか聖堂とか沢山造りたいなぁ。宗教はデインちゃん所の■■■■ちゃんを据えた■■■■ちゃん教で良いけれど、ほら、私もデインちゃんもアンクォアさん達も、"あれ"が切っ掛けで仲良くなれたんだしさ」

シーフォーンの語りに、デインソピアは感動する。

「……姉ちゃん……………やっぱり姉ちゃんは凄いよ!聖女や幼女ちゃん、■■くん達の事をちゃんと想ってるんだね!!!姉ちゃん大好き!!姉ちゃんの嫁()で良かった!!!!!」

デインソピアはシーフォーンの身体をぎゅうっと抱き締める。

「ちょ…デインちゃんったら……ふふっ、そりゃそうさ、私はデインちゃんの旦那()だし(キリッ)」

シーフォーンは敢えてキメ顔を見せ、直ぐドヤ顔になる。


「でもその為の土地の確保は必要だよね、塩寒天爆弾を使う時が来たぜ!!」

「ええ!!姉ちゃんアレ使うの!!?」

「そりゃそーよ!塩寒天爆弾で地殻変動を意図的に起こして建築しやすくしたり邪魔な建物や街とか投下して一掃、土地ゲットだぜ!!ってね」

グッ、と親指を立てて見せた。

































改めて二人は、お互いを見詰め合った。

「…デインちゃん、どんな時でも皆と一緒に居ようね」

「うん。姉ちゃん達と■■■■ちゃんの事や■■くんの事とか、幼女ちゃんの事とか…色々語り合いたいし」

二人の友情の強さと、改めて結ばれた絆を、星空だけが知っていた。

…………………。

……………


………

































































「〜♪」ふんふふーん、と楽しそうに鼻歌を歌いながら童女の姿のシーフォーンが文章を書き綴っている。


「シーフォーン様、何を書いていらしているのですか」

「しょうせつだ!とーってもすてきなやつな!!」

「素敵な小説ですか。ーーして、其の標題(タイトル)は何と?」

「"叛逆者殺し"って名前だ!!どーだ、さいっこーにクールだろー、わたしが主人公ではんぎゃくしゃってやつがてき、ラスボスな!そんでデインちゃんがヒロイン!!!」

シーフォーンは嬉々としながら標題を語り、内容を語る。

「左様で御座いますか」

「かんせーするのがたのしみかー?たのしみだよなー、まってろ、ぜーったいかんせーさせるから!!」

ぜったいうれるしにんきでる!!なんたってめがみがかくしょうせつだからな!!!と豪語しながら話を書き続ける。

幼い姿の彼女を、侍者が朗らかに見ていた。




そんな一時(ひととき)に、白衣の人間が介入する。

「シーフォーン様!!完成しました!!!ベルトニウム・クエイカーが!!」

「ええーっ!!ほんとかーーー!!!」思わぬ吉報にシーフォーンは目をキラキラと輝かせながらすっくと立ち上がった。


「はい!嘗て…革命期頃に貴女様達が使用されたベルトニウム・エクスプロージョンの小型化と破壊力の向上、及び生産量の拡大に成功した逸品です!!」

「なんとっっ!!!それはすっごいな!!……あー、そうだ、ところでハカセ、()()はどうかね???」

戯けたシーフォーンの言葉に、白衣の人物はこっそりと耳打ちをする。

「はい。"あちら"の方も成功しておりますよ。それにしても流石シーフォーン様、武術に秀でた者を計画の被験体に重用するとは…」

白衣の人物の言葉に、シーフォーンは胸躍らせる。









「〜くぅーっ!なにもかもが上手くいくなぁ!!やっぱりわたしはありとあらゆる全てからあいされてるし、めぐまれてるんだなぁ」

嬉しそうな声の反面で、彼女の幼い顔はゆっくりと恐ろしく歪んでいった。

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