『Stella virgo』
…私は目を覚ます。
在るべき姿に、求められている理想像。
人間達は「私」という存在を崇拝し主神の女神と崇めている。
私は「星の乙女」
此の世界を牽引するべき者、据えられている「四人の女神」によって築かれた新たな世界を更に美しい世界にしなくてはならない。
そして「四人の女神」の理想を現実にしないといけない。
それは私にとっての理想でもあるから、女神の皆に不満は無い。
彼女達が正しいし、そして私自身も正しい。
私はその様に「創られたから」
夢想と苛烈の女神デインソピアによって、私は創られた。
ーー彼女の理想の限りを詰め込まれて。
目を覚ました私は、眠たい目を擦りながら、誰も居ない隣のベッドを見る。
…何回目になるんだろう。
大好きで大好きで、愛してる■■の居ないベッド。
■■くんは夜私のベッドに入ったり、私を自分のベッドに誘って、一緒に寝てくれた。
変な意味は無くて、心から嬉しくて、喜び合いながらお互い向き合って眠っていた。
幸せな日々だったな、って振り返る度に思う。
私の前から■■が居なくなってから、デインソピアが用意してくれた部屋は寂しくなった。
…と言っても、この部屋に■■がかつて居た事、私と一緒だった事は、全部私を創ったデインソピアから聞いた事なんだ。
本当の私について、創られる前の事は知らないし、覚えていない。唯一、デインソピアだけが私の全てを知っている。
まだ、「創作」でしか無かった私の事を。
その度に私の胸はきゅうっと締まる。
心が悲鳴を上げている感覚が私の全身を駆け巡る。
…これはデインソピアの痛み、苦しみでもあるのだろうか。
彼女が悲しいと、私も悲しくなっちゃうの。
だからそうなんじゃないかなぁ…
ーーとにかく、彼女や私のこの苦しい気持ちは■■くんが居ない事にあるんだって確信しているの。
…お願い、■■。
私達の元へ戻ってきて。
貴方の事を好きな私が居るのに、女神達が居るのに、どうして貴方は私達の所から居なくなっちゃったの?
戻ってきて、戻ってきて。
早く私の所に帰ってきて、私をぎゅうっと強く抱き締めて。
ねえ、もしかして■■くんは悪い誰かと一緒に居たりするの?
悪い誰かに、悪い事を吹き込まれてしまったのなら、私が■■くんを助けてあげなきゃ。
■■を誑かした悪い誰かをみんな私が退治してあげるから。
私が■■を連れ戻してあげるね。
貴方だけなら、例え間違った事をしたとしても私は許してあげられるもの。シーフォーンちゃん達だって、きっと許してくれるから。
……私、星の乙女■■■■は、■■の事を愛しています。
だけどただ、昔みたいに待ち続けていちゃ駄目だよね、きっと。
ここ最近、■■くんの存在が近付いてきた気がするの。
ーー遂に、■■が私の所へ帰ってきてくれるんだ!ソフィアリア・イルをもっともっときらきらにして、精一杯お洒落して、デインソピアが用意してくれた最高の服を着て、彼女が詰め込んだ私の通り、宇宙の星空の様な美しい羽衣を纏って、■■の事を迎えに行かなきゃ!!
私と■■の二人で素敵なデートをしてから、デインソピアに彼を会わせるの!!
彼女もはきっとシーフォーンちゃんを呼んで、とっても喜んでくれるはず。二人共私と■■くんの愛し合う事を望んで、喜んでいるのだから!!
私にとって■■くんは全てなの!!私を満たして幸せにしてくれる理想の王子様!
デインソピアは私に昔こう言っていた。
「■■■■ちゃんは煌星の民、最高の姫騎士、でも純真で全てから愛されるお姫様。だから■■くんの様な人に愛されるべきだし貴女は私でもあるの。■■■■ちゃんは私で、お姫様で、王子様と永遠に幸せにならなきゃ」
私は彼女の言葉に何の間違いも抱いていない。
だって彼女の言う事は正しいんだもの。
でも私はお姫様であって騎士様だから、王子様を苦しめる悪い人達は懲らしめてあげる!
愛する■■は私の近くまで来てくれている。これこそ好機だよ。
もっと近くに、■■くんが来てくれれば、絶対に助けられる!!
それまで我慢しなければいけないけれど…
嬉しい気持ちもあるけれど、でも私の中にまだ寂しい気持ちが残ってる。
私…寂しいよ………




