『Genesis Graece by deam』
ーー此の世界は、人類の歴史と地続きで成り立っている。
それ迄は、それ迄は確かに、自由な繁栄をしていた事だろう。
然し、
その繁栄も、自由も、四人の女神によって崩され、そして立て直された。
表向きでは女神となる四人の女による、腐敗した世界への革命にして変革。
四人の女は自分達の意に同意した、数人の仲間を引き連れる。
彼女達は、苦しむ者への救済と称して世界を動かしていった。
戦場を、世界の情勢を変えゆく様は地上に降り立った女神の様と例えられ、そして平定後彼女達は女神として正式に迎えられた。
彼女達に付き従った数人の者も四人と同様、世界中から祝福を受け、そして同じく不老不死へと変わった。
ーー其処からである。
女神と呼ばれる様になった四人の女は、変革により変えられた世界を、遂に己の欲の実現と捌け口にすべく手を広げ始めた。
ーー女神の一人が嘗て生み出した一つの物語「星の乙女」の神話化、
ーーその星の乙女を主神と置き、四女神をその背に据えた統一宗教の強制化、
ーーそして、四人の女神に少しでも反した者の処刑と断罪、
時に一方的な虐殺と粛清。
…其れが叶われた頃には、世界は既に女神の統治下に置かれ、そして女神に従うものばかりで溢れ返っていた。
世界は女神の理想となる星の乙女、乙女の愛の物語に満ち溢れ、世界を統一する宗教は実質的に四人の女神により運営され世界は担われ、そして彼女達の機嫌を少しでも損ねた者達は彼女達の怒りと憎しみを以て殺された。
…慈愛を持って信奉する者を愛する、嘗て女だった四人の女神。
女神の寵愛を常に受け、同じく不老不死となりながら付き従う少数の勇士。
女神による神話宗教の統一に怯えながらも慈愛を受け只管信奉する民草達に、
虐殺の憂き目に遭った者達。
変貌し傲慢と欲とを振るい、白熱の下に機嫌を損ねさせ、歯向かった者を焼き尽くした女だった四人の愛は、其の世界に「女神殺し」と呼ばれる復讐者を生み出す事となるのであった。
ーー麗しい女神、憎き運命の女、余りにも傲慢な欲の集合体。
その様、滑稽にして愚者そのものである。
お前達はその奔放と驕慢故に"あの人"を追い詰めて殺したのだ、…復讐せねば、彼女達は報復されるべきなのだ。
世を己の理想に塗り変えただけで無く、ほんの些細な事ですら粛清の対象と看做して多くの者から希望と幸福を奪った、無邪気な少女達の形をした残酷なモノ。
シーフォーン。
デインソピア。
アンクォア。
リンニレース。
全て殺す、連中に追従する者も、女神自身も。




