3話 1歩目
3話目デスよ
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作:雨色
光の玉も消え俺は草原に一人取り残されてしまった、改めてあたりを見回してみると光の玉が去ったこともあってか草原がさっきより広く感じられた、これからこの世界で俺の冒険が始まると思うとついワクワクしてしまう、ふと地面を見下ろすと程よく草木が生い茂っていて寝っ転がると気持ちよさそうだった、最近レポートと新発売のゲームの攻略に追われ寝不足だった俺はまずは少し休もうかと考えてしまったがそんなことをしてる場合ではない。
とにかく今はこの世界がゲームの世界なら情報が必要だ、あの光の玉はここが剣と魔法の世界と言っていたがまんま俺のやってたゲームと同じ世界とは限らないだろう、正直このちょーおもしれー状況に浮かれ気味だが油断は禁物だ、光の玉は罪滅ぼしみたいに言ってたけど本当はこれから危険な目に遭わされるかもしれない…
けどこんなネガティブに物事を考えていても仕方が無い、とにかく人の居そうな町なり村なりに行ってみるとしよう。運が良ければ俺みたいに転生してやってきた奴もいるかもしれない。
そう思い早速一歩を踏み出そうとしたそのとき後ろから気配を感じ振り返ろうとする、が、
「うわぁ~~!!!」
次の瞬間俺は変な悲鳴を上げ無様に尻餅をつくことになった、目の前に何かが飛んできたのだ、慌てて飛んだ方向を見てみると木にダガーナイフが突き刺さっていた。
「私の一撃を避けるなんてあなた何者?」
その丁寧でゆったりと落ちついた声のする方を振り向くとそこにはうさ耳の少女が立っていた、何故うさ耳?
すると彼女の周りにプロフィールが現れた。
名前:サラ
種族:獣人(兔族)
《称号》
三流盗賊
ケモ耳はお好き?
どうやら能力値とスキル以外は周りのプレイヤーも見られるらしい。
「人間?変わった種族ね、旅の方かしら?」
そして相手と同様俺のプロフィールも相手に見えているようだ。
「この私が問いかけてるというのに答えないとは何事かしら?」
うさ耳の少女サラは俺に問いかけながら距離を詰めてくる、追撃してくるのか?反撃すべきか?けどそもそも反撃って何すればいいんだ?グーで殴ればいいのか?耳を二つまとめて上に引っ張ってやればいいのか?
そんなことを考えてる間もどんどんうさ耳は距離を詰めてくる、腕を伸ばせば届きそうな距離にまで詰めてきたとき俺は意を決して耳を掴みにかかるが、その手は空を切った。
うさ耳は俺の背丈を助走無しの一回転ジャンプで越えてしまったのだ、そしてナイフが突き刺さった木の前で着地する。
「本当は殺して身ぐるみ剥いでやろうと思ってたけど…私の投げたナイフを避けきれたことに免じて今日のところは見逃してあげるから速く逃げなさい、私の気が変わらないうちにね。」
うさ耳は今まで通り落ち着きながらもどこか強めの口調で逃げるよう勧めてくる、そしてダガーナイフに手をかけ木から勢いよく引き抜……ん?
どうやら深めに刺さってしまったらしい…
「何見てるのよ…速く逃げなさい?」
それはナイフを引き抜こうと顔を真っ赤にしながらいう台詞じゃない。
このまま変なうさ耳を無視して先を急ごうと考えたがふと俺はここで悪いことを考えてしまった、確か俺の能力値とスキルは魔法特化型に偏っていた。
しかしまだ魔法を使ったことがない今目の前のナイフを引き抜くことに躍起になってるうさ耳は良いサンドバッグとなってくれるのではないか?
むしろ俺の試し打ち役として現れた雑魚キャラなのではないか?
そんな自分勝手なことをついつい考えてしまいそれにさっき投げつけられたナイフ事のイラつきもあいまって気が付いたら俺はうさ耳に向けて手を構えていた。
そして俺はイメージする、子供の頃好きだったゲームの主人公の必殺技、大きな火の玉を手から打ち出す大技を、そして気合いを込めて俺は技名を叫んだ!
「地獄の業火!」
すると俺の手から丁度掌ほどのサイズの火の玉が現れ禍々しいオーラを放って勢いよくうさ耳に飛んでいく。
「きゃ!」
自分に向かって迫り来る熱気に気が付き慌ててたのかうさ耳はナイフから手を離しのけぞる、俺の放った火の玉はナイフの突き刺さった木に命中してその木は一瞬で炎に包まれる、そしてすぐにその炎は消え木は黒炭となって粉々に崩れ落ちた。
それと不思議なことに俺の放った火の玉は少しも燃え移ることなくその木だけしか燃やしてないようだ。
「わ、私のダガーナイフが…」
おっとその木の他にも一つ燃えてしまった物があったようだ、俺は黙ってその場を去ろうとするがうさ耳はそれを許さなかった。
「あなた何してくれるのよ!!!!!あれは名の高いエルフの作った芸術的一品だったのよ!?いくらしたと思ってるの!?ちゃんと弁償して頂戴よね!?いや、弁償して貰うだけじゃ気が済まないわ、100回ほど殺させて頂戴!」
さっきまでの落ちついた口調はどこにも無く元から赤かった目をさらに赤くさせて睨み付けてきた。今にも噛みつかれそうだった。
「わ、分かった分かったからタンマ!ステイステイ!」
「何が分かったってのよ!何がタンマよ!ステイよ!それよりもっと大事なことがあるでしょ!謝罪!わかる!?しゃ、ざ、い!」
お前こそ人に向けてナイフを飛ばしといてと喉まででかけたがそれを抑えて俺は
「ごめんなさい…」
と謝っておくことにした。よほど大事なものだったのだろう。
しかしうさ耳は、
「謝ったら許して貰えるとでも?」
と、まだ強気の姿勢のままだった。
「第一何よ!地獄の業火なんて低級魔法の名前で火と邪のS級合成魔法放ってくれてるのよ!」
?????
いちゃもんをつけられてるらしいがどうやら俺は一発目で凄い魔法をきめてしまったらしい…
そして俺の子供の頃の思い出の技はここでは低級魔法らしい…地味に悲しい…
「砲散弾混を道具も無しで生身の体から放つなんてあなた本当に何者なの??」
どうやら俺の放った魔法の名前は凄いダサいらしい。
そしてこの世界はことあるたびにホウ酸団子を前面に出そうとしてくる。
「はぁー…あぁ…もう…」
いろんな事を一気に捲したて疲れたのかうさ耳はだいぶ落ちついたようだった、
「とにかく、あなたはどう責任とってくれるの?」
「責任って…急に言われても…」
「ごめんなさいってちゃんと言ったよね?それとも君は責任をとる覚悟もなく安易に謝っちゃうの?」
こいつ面倒くせーーー
なんなの?クラスに一人はいる面倒くさい女子なの?
けど俺はここで一つの案を思いついた、
「ならさー、変わりのナイフ買ってやるからこの近くの町か村まで案内してよ」
名案と言えるほどではないが知らない世界を一人で旅するのはなかなかに心細い、だからこのヘンテコうさ耳野郎をパーティーに入れてしまおうという案だ、俺がナイフを買えるだけの資金を持ち合わせているかどうかは知らないが、まぁ俺にも非はあるわけだしなんとかするとしよう。
「…そう、ならこの近くのエルフの村まで案内するわ」
それだけ言うとうさ耳は黙って回れ右をしてどんどん進んでいった、パーティーに引き入れる事に成功した…ってことで良いんだよね?ここはポジティブに受け取っとこう。
《サラがパーティーに加わった》
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「ふー、一瞬気が付かれたと思ったけどどうやら勘違いだったのかな…」
その一連の様子を草陰から見ていたプレイヤーが二人が見えなくなったのを確認して顔を出した、
「にしても人間かー、面白そうな種族だなー、観察のしがいがありそう♪」
雨色「ケモ耳って一定の需要あるみたいですね、サラを考えたときエルフとかだとありきたりだなーと思い、とりあえず獣人という種族だけ明記してどこまで獣寄りにしようか考えたときまず特徴的なのは耳かなーってことでケモ耳にした次第です、最初は語尾をぴょんにしようかとも思ったわけですが流石にそれは面倒なので辞めにしました。
そこから先のサラの設定は他の皆さんにお任せします。
最後の人については何も語りません。そのうち誰かが良い感じに活かしてくれることを祈ります。」
次話2日以内にだします。