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デザイア テンペスト  作者: 昇真
審判者の 巣
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第一話のサブタイトル

□ 2076年 4月 8日

2076年 4月 8日、世界を変える男の一言が世界に響いた日だ。

「始めまして、全日本市民の皆さん。私は神峰星(かむみね せい)です。」

神峰星、日本政府中央省庁に新たに新設された未知科学省の総理大臣だ。新設当時は、基本の12省庁体制から急に現れ13番目の新たな省庁になった未知科学省に非難の声が高かった。

だが、未知科学省が開発した技術が自然災害を予測し人命を助ける事に繋がった時から市民からも無事に13番目の省庁だと認められた。

「皆さんご存じの様に人間には心が有ります。本日はこの心という話題で一言。」

その話は当時八歳に過ぎなかった俺の心には響いてなかったがそれを理解できるものは全員驚きを隠せなかった。何故なら、神峰博士の言葉にはその力があったからだ。


「人間は背景や思想等で対立し自分の考えを相手に説破しようと努力します。互いの育ち方や、人生の重みは無視して。この過程の中に私が伝えようとすることの一部がいます。対立の果てに何が待っていると思いますか? 互いのことを理解して仲直り? それとも平和? いいえ。今の世の中は戦う方法は知って、その結果は考えない。戦いの理由も大勢いると思いますが結局動機は単純すぎます。自分が相手より高見にいる、若しくは高見にたどり着きたい願いから戦いは始まります。社会と言う多数ではなく自分と言う小数のために。だが戦うのは決していい未来を作りません。何故なら戦いの中で欲望が生まれるんです。ここまでは皆さんのご存知の通り。そう、今までの話だけなら。今よりこの私はこの場を借りて宣言する。」

これからの彼の言葉が本題だと今の俺は知っている。無理もない。沢山の人の幸せな暮らしはその日終わりを告げたから。

「最近、感情任せの行為は増えている。その原因とは心に化け物が住んでいて多量のストレスで刺激され目覚めたからです。」

当時にはまだ分からなかったこと。

でも、今の時代の市民にそれは忘れない物だ。

いいや、忘れない物ではない。

現に今も俺の目前にいる化け物、グリードこそがその化け物だから。


□ 2088年 5月 3日 日本本州 大阪港

「こちょこちょ逃げ回って....命拾いもいい加減にしろ!」


皮膚で囲まれているはずの血菅が骨越しで現れてその中から冷たい氷の光線が湧き出た。あのグリードの最も得意とする攻撃パターンだ。


「Hwaaaa!」

変な叫び声同様奴は背中の雙刃刀を右上から振るった。だか、遂に時は来た。もうこれ以上町に被害は出せない、そう誓って俺は必死で叫んだ。


「今度は俺の攻撃だ。覚悟しろ..」


「はっ、来るなら早く来い!暇潰しに成らなかったからな!」


暇潰し。

その一単語で彼の運命は決まった。

両腕に伝うこの脈動。

このタイミングがピークだと体が信号を送った。

何時から俺にこの力があったかは分からない。

断言できるのは、この力は彼らを潰すためにあると。


「永世と死が共存する矛盾。今我が身に祝福あれー 《開け、平行世界(トランスオープン)》!」


脈動が俺の腕から消えるような感覚がしたが心配はしなかった。

何故なら、全て放出したまで。放出したエネルギーが今戦っている港区域を中心に広大な範囲で広がり始めた。

港周辺の全てが粒子単位で空に散らばった。正確に言うとこれは物質が消えるのではない。

俺たちが誰もいない平行世界のその区域にいって戦う。戦いの火蓋として軽く息を吸って足の力を一点に集めて飛び出した。


「バカな.... ふふふ。ハハハハ。」

一瞬の一蹴りで 停泊していた船の奥まで突き飛ばされた今の彼は何を思っているかは分からないがこれは確かに言える。

驚いている。

逃げ回るだけの弱者だと思っていたが人間を遥かに越える力を持ったから。


「狩る味が有りそうだな。お前名前は?」

天岡勇翔(あまおかゆうと)だ。お前は?」


通姓名を要求しながら俺は彼の期待に答えるため妙技を見せることにした。


「アウトロー <引殲の 法> 率いる 自治組織インテグラル フォース所属 幹部 加々美克哉(かがみかつや)だ。以後お見知り置きを。Hwaaaaa!」


露出された血菅を操るのだけは本音じゃないらしくまた妙な叫びを叫んだ。

その瞬間、彼の身に変化が起きた。だが、奴の変化をずっと見てやるほど俺は優しくない。


「《ファイアターン》!」


膨張した彼の胸部に向けて閃く焔を放った。

炎を直視した加々美は人間の体では見ることもない鱗付きの腕を振るい焔を消した。

元々の顔は中々イケメンの中に入るような金髪の男だったが、今には欲望が顔に表すほど惨めな赤い皮膚と角でまるで悪魔を思い出させる姿だ。


「おいおい、テレビのヒーロー野郎も敵の変身は待ってくれるんだよ。ひどいな~」


そう言いつつ船の奥に飛ばされた雙刃刀を取りに彼は船の中に乗り込んだ。勿論逃しはしない。

だが、一度変化したからかもしれないがグリードとして使い魔を呼び出し加々美を追うのは少し遅くなりそうだ。


「krrrr....」


ファンタジーに出そうな悪魔犬とインプの集まり。制圧できる範囲内だ。流石に純粋な武力だけでは敵わないが伝能を解放したら簡単だ。


「伝能解放。《パラドックス》」

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