狼と最高神
天照…恐ろしい子…!
ー出雲付近ー
跳ぶ
何もない空を俺は跳んでいく
やっぱりこっちの方が早いな
グングン速度を上げて出雲付近まで来た
久々に能力を全開だな…
天照が倒れるなんて緊急事態だから泣き言なんて言ってられんな
俺はさらに脚に力を込め空を跳ぶ
「…ん、来たようだな」
「月夜見か」
出雲の入口に着くと月夜見が待っていた
銀髪が風になびき閉じられた瞳がわずかに開く
毎度思うがこいつは性別を間違ってる
「まず、いきなりで申し訳ないこちらもこんなことになるとは思ってもいなかった」
「大丈夫だ、今から行くのか?」
「あぁ…その前…にと」
月夜見が指を鳴らすと
神族が着る神衣が目の前に出てくる
これを着るのか…
ー出雲社ー
「いったい…いつからなんだ?」
「日数的な物だと2週間ほど前からすこし調子が悪いようであった、その程度なら特に問題はないがおととい急に寝込まれてな…」
「ふむ…あっちの連中は」
「可能性はあった、しかし我らの目を掻い潜りこちらに来るのは奴らの力では難しい」
「基本隠れてコソコソするような連中ではないからな…」
「須佐乃男も探っているが、あいつには厳しくてな今は姉上の為の料理の食材を狩りに行っている」
「あいつ肉持って来るぞ…」
「いやさすがに病人…あ、ありえるかもしれん…」
月夜見は少し顔を青くしてブツブツ呟きだす
須佐乃男は月夜見の弟である
武神素戔嗚
神にしては珍しく純粋な強さだけで武神を名乗ることを許された珍しい男だ
力を持ってはいるが、使うことは一切せずに己の腕だけで武神に登りつめた
ただ姉と兄想いなのは納得できるが少し脳筋するぎのがな…
ー出雲社天照私室ー
「姉上入りますぞ」
「えぇ…」
天照は布団に座って待っていた
月夜見は急いで寝るようにお願いをするが天照は俺の前では寝たくないらしい
「少し…痩せたか?」
「あら、女性にそういうのを聞くのはご法度ですよ?」
「姉上…」
「月夜見ありがとう、少し灰狼とお話ししますので席を外しなさい…」
「姉…はっ、ではごゆっくりされてください」
「ありがとう」
天照は俺の心配をコロコロ笑って流し月夜見を退出させる
天照はお香焚き身体の力を抜いて話しかけてきた
「さて…村はどうですか?」
「特に何もないな、次世代の子達も学び問題はない」
「そう…それはよかった、梅が咲いた頃に貴方下へ行こうと思っていたのよ?」
「やめてくれ…村が大騒ぎする」
天照はコロコロ笑い会話を進めてくる
このお香がとても柔らかい匂いで身体の力が抜けていく
「灰狼よ」
「ん?」
「子は成さないの…?」
「は…?」
「貴方程の力を持つ神は子をなして修行をさせ神を育てたりするのよ」
「とは言っても…元々が妖だから出来にくいし、相手も特に居ないからな…」
「そう…想い人くらいは居るのでしょ?」
「ん〜居ないなぁ、村の連中は俺の宝だからなそんな気は起こさないし…」
「ふふふ…やっぱり優しいのね…」
「やめてくれよ…」
むずかゆい気持ちになり、目を合わせずに頬をかく
にしても…
「天照…」
「はい?」
「元気じゃないか…」
「ふふふ」
そう天照は部屋に入ってきた時に比べて頬は赤みをまし顔には生気が戻ってきた
じゃあ俺が来るまでの弱ったのは演技か…?
「いいえ、貴方に会うまではほんとに弱ってましたよ?」
「読心はやめろ…それにそんな言い回しはやめてくれ…あんたくらいの美人に言われるとその気がなくとも期待してしまう」
「あら、ぜひ期待して貰いたいのだけれども?」
「考えてはおくよ、そろそろ俺は戻…!」
「ようやく効いて来ましたか」
力が入らない…ぼーっとする…な、なんなんだ!?
天照は立ち上がりこちらへ近づいてくる
まさか…!
「そうお香ですよ、このお香は心身ともに力を抜くお香です貴方も気が抜けて尾が出てますよ?」
「げ!?」
「昔と変わらずにいい手触りですね…」
「ま…ッ!」
「私が貴方を呼んだ理由はですね、そろそろ我慢も限界なんですよ♪」
「は、はぁ!?」
「女をこんなに待たせてイケナイ狼さんですね」
「じょ、冗談デスヨネ?」
「答えはイイエです♪」
「ちょ、まっ…ッアーーー!!」
ー出雲社本殿ー
「ん?晴れてきたな…姉上はご回復なされたか…感謝するぞ灰狼よ」
「月夜見様」
「どうした」
「天照様より言伝で「調子が戻ってきたので、狼と語らってから出てきますその間はわがままだけど部屋に入らないようしてくださいね」とのことです」
「わかった、では姉上が出てくるまで我々は今夜の宴会の準備をするか」
「わかりました、守護狼様より薬膳のお酒などを預かっておりますので準備いたします」
「ん」
ちなみに天照は念には念をいれて、私室の周りに強力な結界を張っていた
狼がいくら助けを呼んでも無駄だったのだ
登場人物
天照
日ノ本の最高神
いっちゃん偉いんやで?
1話の光の正体(言わなくともわかる
とても優しい面倒見のよいお姉さん
弟LOVE
月夜見に女装をさせたがる
作中では1番の美人様スタイル抜群
男神は9.5割でまず天照に恋をする
最初は珍しい妖が居るなーと思ってた程度で神界に狼が来た時に話をしたりしていた
狼の亡き後に村の様子をたまに覗いたりして、村が狼を祀ってると気づき純粋な想いをそのまま狼に流し神にする準備をしていた。
実は正体を隠しよくフラフラお出かけしたりする。
狼についてはもう夫婦になりたさしかない
割と強引な所もあるが、基本はおとなしい性格…のはず