狼の日常
メモ帳保存って便利…
「いいじゃないですか、丸々事実ですし」
「お前…自分が語りの主人公じゃないからそんなこと言えるぞ?自分の話をなんかこう凄い感じで話されてみろ羞恥心が振り切るぞ」
「えー…、じゃあ道中の路銀稼ぎどうすればいいんですかー」
「出立金くらいは出すから、それを元手にどうにかするんだな」
すこし不貞腐れた顔をした村人は俺の社から去って行った
今月はあいつが村を出るので少し話したらえらい目にあった…
まさか路銀集めを俺の語りでやるとか勘弁してくれ…あの頃はとても楽しかったけど流石に恥ずかしさが勝る…
ただの狼として生を受けもう何千年か…
まさか神になるとは群れにいた時は思いもしなかったなぁ
あぁ…あの時の啖呵切ったのが恥ずかしい…!!
……準備するか
俺はお供え物を食い社を出る
今日は寺子屋で手伝いの後訓練場に顔を出して長の家か…
ー寺子屋ー
「うっし、はじめっぞ」
「「「「お願いします!」」」」
「845年に壱ノ国に当時の…」
寺子屋の手伝いっていっても歴史のお勉強を少し語るくらいだ。
様々な場所に旅した経験で色んな人の話を聞いてきたおかげだ
ー訓練場ー
「だーかーら!霊力を詰めすぎなんだって!1の霊力に5も込めなくていいんだよ、それじゃあすぐ霊力切れになるぞ」
「わかってますけど…細かい調整が…」
「それを学ぶのがここだろ、ほれこの玉に霊力込めろ。」
「うげ、これ苦手なんすよ…」
「1の霊力を超えると小爆発するからなー」
「なにその仕様」
「細かいコントロールは練習あるのみ」
人が誰しも持ってる力
「霊力」
総霊力に個人差はあるも、人として産まれると持っている
訓練場ではその霊力のコントロールを教えている。
まぁ俺は霊力はないんだけどね…
この村を出る時に必要な最低限の生きる為の手段をここで教えたりしている。
武芸もその一つ。
今日は武芸課程が無いので教鞭は振るわないけど、自主練してる連中はいるから少しアドバイスなどをして訓練場を出た。
ー狼梅村長の家ー
「……」
「狼神様」
「……」
「狼神様」
「…な、なんだ?」
「今日ここに参られた理由は言わずともわかっておられますね?」
「…こないだ無断で子どもを連れて山に入ったことだろう」
「えぇ、そうです。」
やべー…こんなに早くバレるとは思ってなかったぞ…
今代の長はかなり厳しいなぁ…
ちょろっと山に入った川の魚を狩って皆で食っただけなんだかなぁ…
「貴方様はそれでよいかもしれませんが、こないだ連れて行った子どもは山に入る楽しみを覚えてしまって無断で入られたりしたらどうなされます?山にはまだ妖だって潜んでいるんですよ?友好的な河童族以外にも非友好的な種族だっております。」
「わかった、わかったから…」
「そもそも貴方様は神としての自覚が…」
ま、まずいスイッチ入りやがった…!
ここは術で変わり身を作ってこの場を抜けよか…
ガシッ!!!
「うぇ!?」
「あら狼様?なにをされようとしてしたか…?」
「あ、飛鳥…」
「変わり身で逃げようとしましたね?」
「……」
「有罪」
「ちょ、やめ、そこはッアーー!!!!」
ー狼梅村社ー
「おのれぇ…飛鳥ぁ…!」
痛む尾を労わり俺は寝っ転がりながら飛鳥に呪詛を歌っていた
飛鳥は長の一人娘で厳格な長の教育をしっかり受けてまだ若いながらも同年代の中では抜きん出て器量がいい娘だ。
「器量が良すぎるのも考えものだ…」
「狼様入りますよー?」
「おうさ」
「また長と飛鳥ちゃんに怒られたんですか?それじゃあ威厳とかがですねぇ…」
「わかったわかった、ここでも説教はやめてくれ…」
「まったく…」
こいつはこの社の今代の世話係
まぁ巫女というやつだ。
男の時もあるが今代はこの娘こと弥生に巫女業をやってもらっている。
掃除洗濯料理
完璧な弥生様だ
俺も飯は作れるが大雑把になってしまうから任せている
「ほら、ご飯ですよ。今日はかぼちゃを頂きましたので煮付けにしました食べましょう?」
「おぉ好物だ、頂きます」
俺は仮にも神様で村の皆からお供え物を頂いてありがたく食べている。
年々野菜と米が美味くなっていってるのがとても嬉しい、やはり食は美味しいのがいいね
「私は今日は帰りますね、明日はお出掛けになられるんでしょう?」
「あぁそうだったな、明日は帰って来れないから飯はいいぞ」
「わかりました、それではおやすみなさい…」
茶を飲みながらゆっくりしてると弥生から明日も忙しいから早く寝ろよと言われた…
夫婦の会話ってこんな感じってのはわかるがこれが何百年続けば慣れるからそう感じない
俺は術で保存していた日程を目の前に出してみた
「えーーーっと…げぇ…鬼山の所かよ…酒用意しないとな…」
明日の予定を思い出しめんどくさくて逃げようと思ったが怖いのが2人もいるから逃げれない…
俺は明日の酒の買い出しを何軒回るか想像して明日に備えることにした
人物紹介
飛鳥 17歳
村長の娘
器量良し顔良し体型良し
洗濯良し掃除良し料理悪し
厳しい村長の一人娘
父の事は大好きで言うことはよく聞いている
反抗期などは特になかった
同年代の村娘達の中では1番人気がある
当の本人は見向きもしない
体型はスレンダーなモデル体型
料理は「見た目」はいい味は化学反応
主人公の尻尾を思いっきり握って変なことをさせないようにするのがとても好きSだね
ヒロインとかそういうのでは無いのです