クラス決め
入学式が終わると、すぐにクラス決めが始まった。
えっと、僕のクラスは………………………。
そんな時だった。かなりうるさい、THEお嬢様という感じの声が聞こえてきたのだ。
「あらあら、どういう事ですか?私のクラスには私が知っている名前がほとんどありませんわ、どういうことでしよう」
『それは、麗香様がお知りになるようなご令嬢がほとんどいないからですわ』
「あらあら、そういうことですの。つまり、私のクラスには庶民ばかりが来ているということですね。なんと非常に嘆かわしい」
『その通りですわ!』
僕がクラスを確認しているときにTHEお嬢様と、その取り巻きが周りの事も考えずに大声で周りを罵倒していた。
あまりにうるさかったので、顔を覚えておこうと、ふと見るとそのお嬢様は金髪のツインテールだった。
はぁ、金髪ツインテールはツンデレの専売特許だと思っていたけど、そういえばお嬢様にもそういうキャラいたな。
全く、全国の金髪ツインテールファンに謝れ!
「オッホッホッホッ!なるほど、この学園でも私が一番のお嬢様ということですわね!」
『そうです、お嬢様は一番です!』
まだ、金髪ツインテールのお嬢様と取り巻きは声高らかに笑っていた。
しかし、なんだかあの人………………………………、
「すごいサブキャラ感を醸し出しているな、あのお嬢様」
そんな事をポツリと言った時だった。
ちょうど周りががお嬢様によってほとんど会話していなかったために、僕のぼやきはあの金髪ツインテールのお嬢様の耳に届いてしまったのだ。
「なんですとーーーーーーーーーー!誰ですか!今、私の事をサブキャラなどと言った愚か者は!」
わぁ、サブキャラお嬢様か怒っている。体をピクピクさせてる。
これはマズイ早く逃げないと!
しかし、そんな僕の思惑はむなしく取り巻きに捕まって金髪ツインテールの元に連れていかれた。
「あなたですか!私をサブキャラなどと言ったのは!」
「すみません、悪気はなかったんです。ただ思った事が口から出てしまっただけです!」
「余計に問題ですわ!」
あれ、弁解しても全然許してくれそうにない。
どうやら、このお嬢様短期だな。
「大体、あなたは少し、自分が可愛いと思っていい気になっていませんこと!」
なんだと、今、可愛いと言ったか!
「ふざけるな、あなたに私の何が分かるのよ!」
僕がいきなり、叫んだのでお嬢様は驚き、動揺していた。
ふざけるな、何が「少し可愛いから」だ。
この容姿でどんな目にあった事か!
中学時代はほとんど毎日のように体育館裏に呼ばれたんだぞ。男に!
女子には僕の事を着せ替え人形のように色んな女の物服を着せさせられたんだぞ!
しまいには、父親と大好きなパフェを食べに行ってたら、軽い援交だと思われて警察に通報されたんだぞ!
そんな苦しみも知らずに軽々しく可愛いから、何て言うなんて。
許さん!こいつだけは絶対に許さない!
「お前のどこがすごいんだよ!」
金髪ツインテールのお嬢様は僕にビビっていたが取り巻きはすぐに反論してきた。
「なんと、失礼な!このお方は有名な前田グループのご令嬢ですわよ!あなたごどきが何を言ってるんですの!」
「だからどうした!それは親の力だろ!そいつ自身の事を言ってるんだよ。そいつはただ親の権力を振りかざしているだけだろ!」
僕がそう言うと取り巻きは黙りこみ、そして周りからは歓声があがった。
「よく言ってくれましたね!」
「おかげでスッキリしました!」
「すごいですよ、あなた!」
「君達、静かにしないか。今はクラス決めの時だぞ!」
周りは歓声で埋め尽くされて先生達は必死で周りを押さえようとしていた。
これはちょっとマズイな。
そんな時だった。
あの人が来たのだ。
あの黒髪の綺麗な生徒会長が。
「あらあら、今年の1年生は元気がいいですね。皆さん静まりなさい!早く教室を確認して速やかに行動しなさい!」
生徒会長がそう言うと周りはすぐに静まり、自分の教室に移動を始めた。
「そこのあなた!こちらに来なさい!」
生徒会長が指を指す方向に立っていたのは………………………僕だ。
急いで行くと生徒会長は思わぬ事を言ってきた。
「あなた、面白いわね。本当は前田さんは私が止めようと思ったのだけど、あなたがビシッと言ってくれて助かったわ。そこでお願いがあるの。あなた生徒会に入ってくれないかしら」
「えっ、いや、そんな事はむりですよ。きっと他に向いてる人がいるはずですよ」
「そんなことは無いわ、それに………………………」
生徒会長はすぐに僕の耳元に来てささやいた。
「あなたの秘密を守るためよ」
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