act6:編入、そして「せるあの つうこんの いちげき!」
さて、エルゼスは入学履歴はこの軍高が初めてなのですが(小学校すら
入っていないです
どうなる事やらと思いつつ楽しんで読んでもらえたらなと思います。
今回は残酷描写はないです。ギャグ補正のおかげで(ぼそっと
難しい漢字読み仮名集?
繊維:せんい
監査:かんさ
瀟洒:しょうしゃ―あかぬけしているさまを表すそうです
◎:今回も結局15歳未満の方お断りの性的描写が出てきます。苦手な方は
今すぐページバックボタンを押す事をすすめさせてもらいます。
いつも通りの早起きをしたエルゼスはいつも通りケンスイに腹筋運動も
加えた。その後、タオルで上半身をふき、木造りのタンスを開け制服の下を
選ぶ。最後の2つは、ここに来た当初には想定しなかった行動だ。
むずがゆくはある。しかし、2人の少女達が自分の手を引っ張った際の
笑顔がエルゼスの胸をよぎった。
(悪くない、か)
つくづく自分は女に甘いのだろうと感じながら服を着替え、かばんを確認し
登校の準備を整えると…
コン・コン・コン
自室の扉を叩く音に目を見開く。忘れるわけがない幼い頃の思い出。
開けた先にいるのは笑顔と流れる様に揺らした鮮血色の髪を持つ彼女―
おはよう きょうも来ちゃった
彼女は町にいる間、必ずそう言っていた。扉が開く。まさかと思う
エルゼスの目に飛び込んできたのは―
「やっほー!おはよ」
扉を開けて現れたのは当然ながら思い出の中の少女ではなく、緑色の
長い髪を一つにまとめた少女だった。
「…」
ひたいを左手で押さえ、2段作りの木製ベッドの上段をエルゼスは右手で
持つ。そして頭部中央をベッドにこすりつけうなだれた。ノックしたのが
思い出の少女ではなく別の人間なのは分かっていた事だった。ただ誰か
セルア以外の人間が来てもいいのでは?そう思えてならなかった。
「ほえ?何?どうしたの?」
気持ちが全く分からないという風にキョトンとした顔をかしげたセルアは
エルゼスを見る。エルゼスは先程の姿のまま疑問を彼女に投げかけた。
「来てくれたのはいい。それはいいんだが…男性寮のセキュリティやらは
一体どうなっているんだ?」
「管理人さんなら「どうぞどうぞ、行ってらっしゃい」って言いいながら
合いかぎを渡してくれたよ!」
明るい答えがオチを見事に語っていた。
げた箱は特別クラスの為か名札が入っていなかったのが大半でエルゼスの
名前は当然ながらなかった。エルゼスはセルアの隣のロッカーにくつを
入れるのが決定事項だった。
「それじゃあ、俺は職員室行ってくるから」
「ん、2階で待ってるね。職員室はずっと左回りの方だから…って確か
資料読んでたんだっけ?」
「ああ。んじゃ、後でな」
軽く手を振りながらげた箱のスペースを出て左に向かっていく。帽子は
ロッカー前でとっているので、誰もが奇異や負の感情でエルゼスを見る。
その全てをあえて無視しながらエルゼスは早々に職員室の扉を軽く
ノックした。「失礼します」と言い、入る。今日編入するというむねを
伝えると右はじのほうから誰かが歩いてくる。白ひげをズボンの上程まで
伸ばし、頭の中央に光るはげが分かりやすくある老人がエルゼスを迎えた。
「うむ、遠路はるばる央都のここティスフィーブルがほこる特別待遇組…
得待組へよく来た。ワシが担任のマイクスじゃ。…どれ、お主も来た事だし、
下手な事が起きないよう早々に問題児達に顔向けに行くか」
「…下手な事、ですか?」
話す半ばで敬語をし忘れかけたエルゼスに、カカカと笑いながらマイクスは
言う。
「おぬしの事は昨日までに相当噂になっとるわい。どこの誰が仕向けたか
丸分かりではあるが、の」
付いてくるよう先にうながし歩き出したマイクスの後にエルゼスも続いた。
*
あたしが教室に入ると何人かがこちらを見るけど、すぐに目をそらした。
少しだけ違和感を感じながら自分の席に座ろうと歩いてる私を横目に見て
皆が何かヒソヒソ言ってる。…私もそこまで鈍感じゃないから分かるけど
ゼス君と…あの男の話だと思う。けど、中身はなんだろう?そう思いつつ
あたし自身が座る窓側の席へ向かう前に声がかかる。
「おはよう、セルア」
イアシェ君でした。いつになく鋭い目であたしを見てきた。少しだけ心中で
ざまあ見ろって思いながら無視して席に座ろうとする―強引に彼のうでで
抱かれてしまった。思わず身をすくめたあたしの首を、この男が舐めてくる。
悲鳴を殺せたのは幸いだったかな。まるでこの男自身の所有物だからどんなに
もてあそぼうが自分の勝手だというような押し付けがましい嫌な気持ちを
これでもかとぶつけて来てるのを感じる。
なおも悲鳴を上げかねないくちびるをかんでこらえるけどとてつもない気味の
悪さに腰が抜けそう…そんなあたしに耳元でこの男は呟く。
「いつも通りの胸の揺れだね。下着はちゃんとしないといけないとこの前も
言ったろう?それともあえてその状態で誘ってるのかい?オレだけでなく他の
男にも、さ。もしかして、あと1月でオレがうばおうとしていた乙女の証も
君はもうないんじゃないかな?それが君の父上にばれればどうなると―」
見当違いで身勝手な事を言うこの男を半ば無視して周囲を確認してみる。
分かってはいたけど、周囲の人は見て見ぬふりなのは当たり前みたい。
それだけ確認してあたしは鋭い目で見返そうとし―無意識に表情がうつろな
笑顔となる。口を皿の半分にしたような笑顔にヒビキちゃんの国でいう
おぼろげという表現の合う感じで顔をかたむけあたしは言う。
「怖いんだー?」
「何?」
「どことも知れない男にあなた程度がおとってるって事実ー?」
あえて面白がって歌うように。あたしはそこまで得意じゃない馬鹿にした
冷笑を顔にはり付ける。これでも一応お嬢様として育ってるから表情を
作るのはそう言った教育の延長と思ってたけど、割と自然にできて内心で
おどろいたり。その時、化けの皮がはがれた様にイアシェ君の余裕顔が
これまで見た事無い怒りに引きつる。ある意味可愛いと思っちゃった。
ひたいの端に×の字をつけた顔が顔芸と言えるくらい面白かったから。
「本当にいけないなあセルア。これはきついお仕置きが必要かな?何なら
今この教室にいる皆で君1人を犯し回してもいいんだよ?マイクスの
老いぼれが来ようが、この―機龍軍高:テスフィーブル―で俺がやる全てに
問題等は何一つないのだから―」
「―…っ」
ガラガラガラガラ
この男が言った内容はある意味正しいという事に、あたし自身が言葉を失い
万事休すかなと思ったその時。教室の扉がまた開く。もうそろそろ朝礼の
時間だったかなと思いながら私は扉に向けた目を―見開いた。始めて
あった時と同じ、鋭く冷たい目をしたゼス君と同じだったから。体が、反射で
簡単に…勝手に動くのが分かったの。
*
(久しぶりに認識―思い出せたな)
鋭い感覚―聴覚が目ざとく聞き取ったのか、それとも言う本人達が
エルゼス自身にわざと聞こえる様に話したのか。
「…おい、あれ………か?…先は……」
「…うらめし…高だ……得待の……うちの……が」
「もう逃げられ…何よりも誰より…君を……」
一部別の内容のものも聞こえたがどう聞いても耳に入ってくる大半は
エルゼスに対した話の内容だった。忌子―キラワレモノに対する呟きは
商業区のさわがしい人ごみでの話声などならまだ雑音ばかりで気にも
ならないが、中途半端に耳に入ってくる為かエルゼスにとってあまりにも
フユカイだった。マイクスと共に教室に入り、氷点下の冷たさを帯びた目で
エルゼスは周囲を見渡す。
視線の内容もこの教室まで来るまでに受けた感情と同じものが大半を
占めていた。ただ、端の方からそれらとは違う2つの感情を1つは…どこか
心配と嬉しさを含めたこの中では珍しい好意的な感情。そしてもう1つは
周りの憎悪を大きくしたもの―とエルゼスは考えかけ。
(いや、違うな)
内心で首を振り、目だけでそちらを見る。視線の先にいたのは自分がここに
来て初めて顔を覚えた少女と、切れのある顔に不敵さと野性味を持つ
―エルゼスは野心と言うものを知らない―笑顔を浮かべ、少女の肩を抱いた
男だった。彼の目からは見上げているにもかかわらず見下ろすような感覚を
受ける。あの感情はエルゼスの頭の中で1つの単語として浮かんだ。
(逃避…か?自分の持つ強さに酔ってただ相手を見下すだけの―)
ガン!
突然起きた鈍い音にエルゼスは思考を中断する。エルゼスが見ている目の前で
緑髪の少女はあろう事か自分の婚約相手とされてるだろう男―エルゼスの
中では一応確定していなかったが―を引っぺがす、というより押し飛ばし
エルゼスの近くへかけてきた。その際に、男があわれにも机の角に頭を
ぶつけ立てた音が先ほどした音なのだが…彼女自身が立てた音を気にもせず
少女はエルゼスの一歩手前までかけて止まる。心配げな目でこちらを
見つつ、少女は少しの間呼吸を落ち着かせた後
少年に向けて両手を軽く広げる。まるで迎える様なセルアが示した態度に
教室内がざわめいた。
「俺の中から何か妙な成分でも吸い取る気か?」
「馬鹿言わないで。…だってゼス君」
「何だ?」
「ひどい位、冷めた目してたもの」
それだけいってセルアはむかえる形をくずさず、エルゼスは呆れた感じに
目を細めセルアを見る。セルアがますます心配して口を開きかける前に
エルゼスは手で顔半分をおおいながら言う。
「一応お前さ、イイナズケとか言うの大丈夫なわけ?」
「―?」
「後ろ後ろ」
「え…そ、そういえば何かしちゃったかな?」
本当にそう思っているらしく首をかしげながら目をそらして言うセルアに、
エルゼスは反射的にも片方の足だけ後ずさってしまった。「ゼス君!?」と
それを見とがめたセルアがエルゼスの手を取ろうとした直後―
「うおっほん!」
「わひゃっ!!??」
セルアとエルゼスの間にいたマイクスがわざと壮大にせきばらいした事に
おどろき、素っとん狂な声をあげ顔を真っ赤にしたセルアは後ずさる。
マイクスはやれやれと首を振りながら教え子の1人であるセルアに言った。
「チワゲンカは後でにしてくれんかの?テルラスクよ」
「は、はーい!すみません、先生!」
明るくシュタッと右手をあげたセルアを見て。エルゼスとマイクスは盛大に
ため息をついたのだった。
大きな机に淡々と自分の名前を書き。マイクスにうながされ、エルゼスは
一言だけ言う。
「エルゼス・クォーレ」
それだけ言う。他はいらない、どうせ忌子の事を知りたい等と言う奇特な
者は極めて少ないだろうとエルゼスは内心で思ったからだ。その後エルゼスは
教壇の段差を機械的な動作で降りる。マイクスが片手をひたいに当て、
天井を仰ぎながら次のように言う。
「あー、質問やらはあるかの。ないなら席は―」
「こっちこっち!」
思春期のそういった知識がある男達が見たのなら鼻血やら何やらが出そうな
勢いで胸を揺らし、セルアが座ったまま上半身全てを使い自身がいる場所を
主張しだす。エルゼスはまたも呆れて足を止めたが。
「おてんばなお姫様がお呼びのようじゃの…」
「…」
エルゼスはマイクスの方を見るよう振り返るが、こちらが見ているのに
気付かないという風にマイクスは遠くを見ていた。わずかなためらいの後
エルゼスはセルアの席がある机と同じ椅子に座る。当然とでもいう様に
セルアがこちらに椅子ごと近寄って来たが、マイクスの声がかかる。
「これ、テルラスクよ。授業する場でそんなに同じ机の者と距離を詰めては
いかんじゃろう。クォーレは教科書を見せてもらう必要はなかろう?」
「はい」
「むー…」
注意と共に質問したマイクスの言葉を肯定するエルゼスに口を尖らせ拗ねる
セルアを、後方から見ていたノレットがいた。
「フッ…」
エルゼスが教壇で黒板に文字を入れる頃には気絶から回復したノレットが
自分の席に付いて恐らく意味がない余裕の笑みをもらしたのだった。
*
「さて。まずは…そうじゃな、主らの扱う兵器事態について。転入生も
来た事じゃし、少しばかりおさらいするかの。魔術兵器理論の××ページに
お主らが未来に使う事となろう―機龍:ワイヴァーン―の写真が載っておる
わけじゃが…」
授業が始まると同時にクラス内の全員の視線が教壇に集中し、静まり返る。
エルゼスも内心感嘆しつつノートと教科書の指定されたページを開いた。
マイクスの説明が続く。
「ワイヴァーンのコアには、魔玉に対して地脈内や、大気中にある魔力を
科学的に1か所へ集め送り込む事で安定した魔力を出力する魔玉に変換した
物が使われておる。それを…クォーレ。たった今ワシが説明したものを
何と言ったかの?」
「龍玉」
マイクスの問いに迷う事無くエルゼスは言った。いくら何でも簡単過ぎた。
教科書に何のひねりも無く説明が載っていたそれは、問題があり過ぎる
不良生徒でもなければこの問いは無意味だっただろう。それを
確認したかったのか、マイクスは頷く。
「フム、もはや常識として予習しておるようだなクォーレ。ならば…
テルラスクよ、この龍玉と装甲を繋ぐ神経的な部分を龍神経線維と言ったが、
それを使い各兵器へ魔力による命令を伝達する際に起きる現象と詳細は?」
「ええと…コネクト・シーケンスですよね?魔力を流す速さにより兵器の
起動に個人差ですがほんの少し時間差が発生するって…」
「うむ。テルラスクもノートを書いとるようじゃし、よく学んでおるの。
さて、もうすぐ進級の要となろう魔力監査の時期がもうじき来る。この話を
したのは他でもない、近い将来帝国の兵力でありたいと思うだろう龍躁者こと
ドラグーン1人1人が…」
精神論の説明に移ってしまったマイクスをエルゼスは音だけ耳と意識の
一部だけでひろいつつ。先程からこちらを見ている視線の気配をたどる。
誰だかはわかっていたが、さきほどのにぶい音でこぶができたろう場所を
冷やしている男だろう。視線から取れる感情はそうとう分かりやすい。そう
考えている中話が授業の本筋に戻ったらしく。エルゼスも授業に再び
集中する。そして
カーン…カーン…カーン…カーン…
「さて、少し脱線した話もしてしもうたが、午前の授業はここまでと
しとこうかの。午後からの授業は。監査の前と言う事もあり、準純魔玉で
行う事前測定と…最上段にあるロッカーの前に置かれた模擬戦術機で軽く
実力測定もしとこうかい。チーム分けは時間になってからの」
午前の授業終了をつげる鐘と共にマイクスが言った言葉にエルゼスは
少し顔をしかめる。軍高での機器を壊しかねないという心配。魔玉は初め
触れた際は壊さなかったが…それとはどうにも純度が違うと言うのは、
教科書で知っている話だからだ。
それともう1つの問題は―ふと、左手に何かがふれる。エルゼスは手に
ふれたセルアを見た。エルゼスの手をセルアは優しく両手で包み込む。
しかし、その瞳はたしかな意思をエルゼスに伝える。
―覚悟はできているから―
2人で見つめ合う。周囲が注目している中でも全く気にも留めず。しかし
「おい」
後ろから冷たい声がかかった。
*
カーン…カーン…カーン…カーン…
昼を告げる校内中央台の鐘の音と「では、ここまで。午後からは課題の解を
終了1時間前の発表時間までに各自しっかりはげむこと」という得待組の
最上級生教師が上げた声を合図に、昼休みが始まるのを私は確認する。
ノートを畳み、鞄を机の中から取り出し中身を確認したその時。
「失礼するよ!」
突如、教室の入り口が開く。入ってきたのはノレットの取り巻きだった。
1人は制服をまるでとび色の髪を持つ鋭い三角形型のメガネを付けた
女性という言葉が似合いそうな少女で、もう1人は学生服を人目はばからず
改造し、完璧なほど着こなした女番長だ。後ろには仰々しく大きな荷物を
背負っている。名前は2人とも知っている。レフィーアとジャクシールだ。
私の所に何のためらいもなく近づいてくる2人を私は冷静にむかえた。
「や、昼休み早々にご苦労だね。何の用だい?」
「では単刀直入に1つだけ」
メガネをクイと上げ直し、光らせた後。
ヒュッ
音と共に私の目の前に小さな切り口が現れる。私の国、アカナチで作られた
軽さと手ごろさを持ち合わせた武装―クナイだ。
「貴女はこれから弁当を持ち下の学年のここと同じ教室へ行くでしょう?
それは困るのですよ。大人しくしてくれませんか」
「ふむ」
言いながらレフィーアはすぐに手を引いたが、いつでも何かできるよう
クナイは手元にある。あごに人差し指を当て、私は考えるフリをする。
この事態は昨日の内に予測し結論は出ているが。相手もそのつもりの
ようだし、ここはあえてこの2人のの手に乗ろう。ただし、私の本音も
加えさせてもらう。
「ジャクシールさんをお姉様と呼ばせてくれるなら従おうか?」
「…………」
そう言ってみたら、ジャクシールの方は持っていた武器―砲盾と言う人が
担いで扱うサイズまで小さくした大砲に盾を付けた代物だ―を手元に置き
視線を遠くへさまよわせる。心底傷ついたように―正直少し傷ついた
わけだが―私は口をへの字にしてプイと顔をそらした後
「はぁー、仕方ない。適当に課題でも済ませておこう」
ノートと教科書を広げる。余程の事でもない限りエルゼス達はそう遠くなく
彼―ノレットをいなし、ここに来るだろう。
「全くあんたって子は毎度毎度…ある方の事抜きにしても食えないねぇ…」
「皆のジャクシール姉さんになら言われても構わないさ。フフ」
わずらわしくというより恥ずかしそうに本人はしているが、他の女子と
同じように私はこの姉御肌の同級生を慕い、気に入っている。生徒会長の
立場でないなら彼女が着こんだ服も私自身ののサイズで頼みたい位には
好きだからな。そんな私の気持ちや私が逆らう気持ちもあまりないのを
察しているのか、彼女の隣にいるレフィーアもクナイをしまった後に。
「「!?」」
レフィーアが持つ鞄の1部から木作りの可愛らしいコップが3つ現れる。
それにはジャクシールも驚いたらしく何事かとしている中で。
「あなた程ではありませんが私とてジャクシール様をお姉様と呼びたい
気持ちは分かります」
そう言いながらレフィーアはコップに私の国が作る汎用的な飲み物―茶を
温かいだろう湯気を上げさせながら入れた。…瀟洒だ。
*
エルゼス達に声をかけたのは当然ノレットだった。
「やぁ、これからどこに行くのさ?」
そう言いながらノレットは同じ机にいた2人に目配せする。どうやら
エルゼス達を取り囲み、何かするつもりだ。しかし
「行くぞ」
「うん」
そうするよりも前にエルゼス達が動き出す。鞄を机から取り出し
立ち上がった二人は、しかし―
「お前さ、さっきから何―」
教室の中ほどまで来て、けりを出したノレットにはばまれる。ノレットが
狙ったのはエルゼスの頭。ノレットはこちらを見もしないエルゼスの頭部に
直撃するのを確信した。セルアがハッとしてノレットのけりを見る。
ガシッ
エルゼスの観点から言えば昨日にうでを肩から吹き飛ばした女の拳の方が
まだ早かった。簡単に足首を掴む。ノレットは呆けた顔をした。
「おい…」
それだけの呟き。にもかかわらずノレットが言った言葉はセルアでも今まで
聞いた事のないほどどす黒い何かに満ちていた。言葉は続く。ノレットの
口から【まるでこの世の毒のように】もれ始める。
「何やってんのさ…」
セルアはエルゼス越しにノレットを見る。見上げた婚約相手であるはずの
男は短い人生の中でだがどんなものよりもみにくくゆがんだ顔をしている。
「テメェのきたねえ手なんかでオレの足に触れるどころか掴んでるんじゃ
ねええええええええええええええええええええええええっ!!!!!」
早口でノレットがあらん限りの怒りを口にしたその時。セルアとエルゼスが
目にしたのは、掴まれた足でエルゼス達の段差を踏みもう一方の足で
かかとを振り上げたノレットだった。
【act7に続く】
そんなわけで今actもイラストを用意しました。(ぇ
今回の下手絵は得待組の教室内配置です。ヒビキのクラスも内容に
変わりはありません。
上記の絵にある記号の意味は下にあります
長方形:机
セ:セルアの席 ゼ:ゼスの席 ノ+\フッ/:ノレットの席 K:黒板
マ:マイクス ○:空席 □:他生徒の席 *:模擬戦術機 教:教壇
△:参考書棚 ///:ティスフィーブル広報部掲示板
/ガン\:ノレットが頭をぶつけた所(笑) R:ロッカー
だ&曲線:段差(高さ10センチ前後 左端のハの字:出入り口
Next:次話のスタート位置
では、次回予告を据えて次回actをご期待下さい。
*次回予告!*
1人の男のこれまでうまくいきすぎた人生と
「どもー、2年の得待組っすー。生徒会長さんはいますかー?」
「得待組でーす」
軟禁に近い状態である彼女の下へ来た声に、2人の女が凍りつく。
「イイナズケ?そんなのいたっけ?」
「俺はしらねー」
「貴様ら…!」
「ただでおけるか!」
感情に火がつき犯した失敗と、その物証を手に
「先輩、これ」
「それはまさか…!?」
「一応、俺なりに考えたのさ」
そして両者は再びぶつかる。少女の決意は。
「たとえゼス君が敵に回っても、私は構わなかったもの。何なら、不満が
ある人は位置、変わる?」
act7:初編入日の終わり「あるがままの心で」
一週間以内にお届けします!乞うご期待
注:次回予告は予告であり、自身の未熟など執筆の都合で、文内容が
変わる可能性があります。同意の上、次回作をご期待下さい




