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act・Last:歪みと旅路「少年少女達は」

少しお待たせしました。

最終回だけあって長いぜ!一応ステージラスボスを某機動年齢みたいに

1分内クッキングする所だったけどな!(←

物語の1つの区切り。少年少女達の青春はこの後も続いていきますが

今1度の休息を…そして皆様には多大な感謝を!


ではでは、最後にこの言葉で〆させて頂きます。良い読書の時間を


前回のあらすじ

キロメ:クソ…orz」

ヒビキ:推理など無かった…(´・-・」

ゼス:どうどう」

セルア:あたしの方が空気だったよね?」

イェスの影:ア、己ノ名ハおーしょんりーとラシイゾ」

???・ベルク:次回出番かなー?」ペルリア:むきゅ」


暗闇が

また黒いこウネウネがアタシの中へ入って侵そうとしてくる

いや

いやなの

もうやめて

また来る

きちゃう

来ないで

こんなのいらない―


アイツサエ…

アイツサエイナケレバ…

アイツガホロビレバッ!!!!!


イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!



「待タセ―:キュバァー!!バフォン!!!:本当ニ酷イナ、何ヲドウシタラ

コンナタメライ無ク恥トナリソウナ事ヲココマデ重ネラレルノカネ?」

先手必勝とばかりにソル・ヴォルグのバスターニクスモードが光を噴き出す。

生態系の頂点に並ぶ大物すら一瞬で灼き尽くすその光は機龍の残がいから

魔力を用いたのだろう鋭利で禍々しく毒々しい装甲色はそのままに気味悪く

脈打つ動脈のような線を体中に浮き出たせ、おぞましさを増した作りへ形を

取り現れた悪意の龍―オーションリートを狙う。しかし、直撃の瞬間に薄い

紫の膜が龍玉に刺さっている魔剣より龍をを包み込み光と衝突した。結果、

光はその膜に弾かれ消えてしまう。


「その言葉をそっくりそのままテメエに返してやんぜヘドロバカが!お前も

言葉並べてるだけじゃねえのか、ええ!?」

「…君以上ニハ恥ヤミジメヲ知ッテイルト言ワ―ふむ」

ガァアアアアッ!

ギャギイイイイイイリリリギリ!

エルゼスがアルクから光を放ったのと同時にエクスドはオーションリートへ

既に体当たりをかましてしていた。質量と魔力で起きた衝撃が耳障りな音を

立て、オーションリートを押しつぶそうとする。


しかし。


ブゥウウウォワッ

ドォオオオゥウウウウウウゥン…ッ!


「チ…!」

龍玉に刺さった黒い魔剣から今度は先程以上にどす黒い魔力の膜が広がり、

エクスドごとエルゼスは弾かれる。誰が見ても分かる完全な力負けだった。

「くく、ははははははは!貴様ラガア奴―う゛ぉーげを倒シタオカゲデ、ヨリ

己ノヨリシロデアルコノ魔剣ガ力ヲ増シタゾ!!」

「ざけんじゃねえ、テメェみたいのにやられる程俺はヒマじゃねーんだ!!」

そう吠えながらエルゼスは相棒のエクスドと魔力の手綱で会話する。

(エクスド、まだやれるな!?)

グルウウウウゥウウウウ…

何言ってやがるオレはやるぞ、今度は必ず勝つという意思が魔力の手綱を通し

伝わってくる。どう考えてもガキ大将の強がりだがその空元気さえ今は当てに

するしかない。


先程3機のワイヴァーンで共鳴魔術を行使した際、エルゼスは後ろのセルアと

ヒビキにもう少し継戦できるよう魔力を分けていた。エルゼスは先程の戦った

さ中で間違いなく次の戦い―今この最後の戦いがある事を予測していた。あの

禍々しい魔力で暴走したニアテルスと機龍は確かに全身凶器と言えるもので、

強さと速さの2つだけならエアリシドの分身達程度なら手こずると言えた。

しかし、それを含めてもこの程度のものを機龍を扱うエルゼス達にぶつけて

どうにもならないぐらい簡単な戦いだったのだ。最後の予想外な気まぐれさえ

無ければ。


結果、3人3機でこの戦いに臨めるわけだが。それがまさか自身の首をしめる

事になるとはエルゼスでも予測していなかった。


(…どうする…!?魔力がカッツカツなのは戦力そろえるためにも必要だが…

矢面に立つにしてもさっき感じた通り目前にいる奴の力は増している。

何かしら絡めてとか考えねえとこっちに勝ち目は―)


―エルゼス―

差し迫るかつてない危機に聞きなじんだ声がひびいた。思わず心の底で声を

上げる。


(ペルリア!?)

―今、あたしの力、寄こすよ。もうすぐ、そちらに、付く。届けるよ、…えと

るー、じゃない、イタガキグンソーが―

(?ルー?)

―とにかく、届くの。お願い、その影を、作っている、元は―

夜でもないはずなのに一瞬だけ月明かりのようなものがオーションリートの

胸にある龍玉、そこに刺さった魔剣の塚を輝かせたように光る。その塚に

はりつけにされているのは刃のような羽の作りをした妖精の像だった。

(あの剣か!?)

―壊して、助けて、あげて。誰か、苦しんでる、泣いて―

「ヨソ見ヲスル余裕ガアルノカネ?」


エルゼスはオーションリートの声に反射的にエクスドから離れる。エクスドは

下へ急下降しエルゼスは飛び上がりオーションリートの腕にソル・ヴォルグの

光が生み出した刃をつきたてる。


パキィン…


「何?」

思わずオーションリートは損傷のあった場所を見てしまう。全く予想しない

反撃に来たエルゼスをオーションリートは見て、固まってしまった。そうして

生まれた一瞬の硬直を見逃さずエルゼスは龍玉のそばへ駆けより刺さった剣を

右手のアルクから出た光の刃で凪ぐ。


ギィイン!


まるで光を拒むかのように魔剣が黒く光を通さないかのような黒に包まれ、

エルゼスの攻撃にはわずかな手ごたえが残っただけだった。しかし、包まれた

黒が龍玉へ戻り現れた魔剣には小さくもくっきりと欠けた痕が残っている。

オーションリートもそれを感知したらしく

「貴様こぞう!」

エルゼスを振り落とそうと体を振り、振り落とそうとする。あわよくば自身の

体の上で暴れた青年をつかもうとした腕をエルゼスはかわし、振り落とそうと

動き回る時には首元を自ら蹴り、空中へ躍り出た。それを見事にエクスドが

高速下降していた所から乗り手を拾う。


「オノレ…!舐メタマネ…「よそ見厳禁だよ!」「がら空きだ!」チ!」


毒づく事もそこそこに、オーションリートは翼を折り畳むことでセルアや

ヒビキの駆る機龍から打ち出された2つの回る黒い円盤と槍の穂先を形にした

氷を防ぐ。あの噴き出す魔力をとっさに使えなかったのか、使わなかったのか

分からないが、1対の防いだ翼が凍りつき、仕掛ける際の足場となった。

そこへ


「オラ、今度はこっちだ!」

「真下ダト!?」

真下から発されたのは光ではなく弾頭群。


(後一息か…!?だが――!!)

反射的にエルゼスは龍玉からオーションリートの横へ広がってい翼へ飛ぶ。

エルゼスがいた場所へ龍玉に触れないすれすれまで、魔力で軌道を操作された

弾頭の群が一斉に迫っていた。エルゼスの感知が遅れていれば全身が瞬時に

焼きただれていただろう。しかし、そんな過ぎた危機を感じる余裕もない。

エルゼスは再度オーションリートの体からエクスドへ飛び乗ると叫ぶ。


「隊長!セルア!」

「意図は察している、問題もない!」

「狙いは外さないよ!」


口内火球と搭載弾頭、各々の一斉射撃がオーションリートの龍玉に刺さった

魔剣へと迫りゆく。


「オノレラガァ!!」

ブガァアアアアアアアアアアアッ!!


当然オーションリートもむざむざそれを受けるつもりはなく、正面から魔力を

直線状に凝縮した光線を作り弾頭や火球を打ち消しつつエルゼス達の機龍を逆に

狙い返す。互いに回避と迎撃でこう着はしたものの次の展開は早いようだった。


ガルァ…!

エクスドの口から吐き出される火球が止まってしまった。

(残り魔力間もないのか!)

エルゼスのやる手は最早残り1つと決まった。

「エルゼス!?」

「前に出るの…!?ちょっと、今のゼス君でも―!」

2人の制止を聞くわけにもいかない。エルゼスを突き動かしているのは、ただ

1つだった。ベルクやネーペルリアから頼まれた事がある。それだけあれば、

エルゼスが動くには十分すぎた。

「ワリ」

砕けた調子であえてセルアとヒビキに笑顔を―苦笑を返し、エクスドと魔力で

つながった手綱ごしに会話しつつ突撃を開始する。

(いいかよ相棒、テメェだけはしっかりよけろや?)


オーションリートが魔力で装甲の端から取り出し包囲するよう操る爆弾頭と

腕から前方へ広がるよう打ち出す魔力の波動を全て紙一重でかわしながら

エルゼスはエクスドに思念で会話するも。エクスドは聞く耳を持たないとでも

言うかのように可能な所まで突っ込んでいく。押し押せる攻撃の渦の中で

反射的にエルゼスはエクスドの背中から尾に降りてしまった。それと同時


バチイィイイン!


エルゼスの乗り場所、エクスドの3対の羽の内左右に広がった羽の付け根の

3か所を巻き込む黒く丸い力場が突如襲った。オーションリートの隠し玉とも

言えたのだろう攻撃をエルゼスはよけたが、エクスドは耐えられず、叫び声と

共に降下が始まる。このままではこの至近距離まで来ておきながら共倒れと

なってしまう。しかし、尾に降りたエルゼスをエクスドが尾が振り子とした

反動を使いオーションリートへ打ち上げた。最後にニヤリと笑いながら。

(あのバカ、無茶しやがる)

そう思いながら人間弾頭のごとく龍玉へ一直線に身一つで迫りながら左手を

エルゼスは伸ばす。オーションリートが既に何か叫びながら魔力の演算式を

空中で球状に浮き上がらせている。全力攻撃に近い事をやろうとしているのが

よく分かった。それが発動するまでにあとどれくらいの時間があったろうか。

チャンスは触れる程度しかないかもしれない。それでも


(戻って来い!その精神こころだけでもせめて―!!)


エルゼスは諦めずに魔剣の柄ではり付けられた妖精の像にふれた。その瞬間


「エエエイ、邪魔ダァ!落チ失セロ、亜とんぼ共ガァアアアアアッ!!」

オーションリートの巨大な魔術が発動したらしい。


ゴパァァァアァアアアアアア!


今まで以上の黒く禍々しい魔力の渦にともない、機龍の残がいに入っていた

弾幕用の破壊兵器が一斉に魔力の流れに乗ってあふれ出し、爆散する。周囲の

空気すら灼きかねない爆発が起き、エルゼスもオーションリートの真下へと

落ちていく。正にエクスドを追うように。

「エルゼス!?エルゼス!?!?」

「ヒビキちゃん、待って!ゼス君は…!」

いつもと違いエルゼスが吹っ飛んだのを見たヒビキはセルアが制止しなければ

飛び出していた程に取り乱した。


「マズハ1匹ト1人追加ダァ!!ハハハハハハハハハ…ハ?」

オーションリートの高笑いが止まる。気配が上ってきたのを感じたのだ。何が

起きたのかとオーションリートは考えながらも体は反射的にヒビキやセルアと

距離をとる。浮かんできたのは―


「はぁー…やっぱり、間にあったんだ」「何だ?あれは―」

淡い水色の魔力が包んでいたエルゼスとエクスドだった。正確には緑と青を

混ぜたその魔力は影となって形を取りエクスドには魔力で羽を生やし影の

1人を乗せ、エルゼスは誰かに持ち上げられている。そして、持ち上げられた

エルゼスの手にも青白い影があった。


(お待たせ…)(あ・ち・し・ら・参上!!)(…)

「待ちかねたぜ、ベルの姐さんにペルリア。後、生きてるかお前?」

エルゼスはエクスドに飛び移る。持ち上げていたネーペルリアの影を逆に

肩に乗せて、ベルクがいた肩口へ戻った。ベルクはエクスドの首元へ移る。

そしてエルゼスの手の中にいたその小さな羽小人が目を覚ました。ふわりと

ウェーブがかった髪は川の清水のようで、鋭利さと曲線を組み合わせた鎧を

まとう、虫羽を生やした小人。そんなエルゼス達を舌打ちしながらいう

オーションリートの声が途中から驚がくのそれへと変わった。


「トンダ事ヲ…ナ―!?ばかナ…!?ばかナばかナばかナ!?貴様ナンゾニ

何故古代封印サレタ獣ガ…くれっせんとびーすとガ力ヲ貸シテイル!?」

そんな叫び声にネーペルリアはジト目で答えた。

(目ざわり。うるさい、エルゼスに、悪口、ゆるさない)


「ナ―」

ネーペルリアの影が伸ばした肘から無数に生えた刃より放たれた放射状の光が

鋭く大気すら切りさく音を立ててオーションリートの龍玉に刺さった魔剣へと

突き刺さる。オーションリートの反応速度を完全に度外視した光速の一撃は

柄にはりつけられた妖精の実態を解放する。

(エルゼス!)

「おう!」

ネーペルリアが言う前にもエルゼスは動いていた。ネーペルリアの攻撃で

オーションリートが怯んでいる内にふところへと入り、落ちる妖精の実体を

取り戻す。


「ソノ羽小人ヲ寄コセエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!」

絶叫にも似た、オーションリートの攻撃は大半がエクスドに迫る手前で何かに

切られた感じで裂け、意味を残す事無く消えていく。ネーペルリアの中にある

聖獣の力の前ではオーションリートの魔剣は完全に無力となっていた。それを

知りながらも力ずくで取り戻そうと接近しようとし


「…黙り、な…さい!」

妖精の肉声でビシリと実体となったオーションリートの残がいに再びヒビが

刻まれる。無数に、いたるところに。


「ナ、グ、ゴォオオオオオオオオオオ!?主ハ…BA、かナ…!?」

「壊れ…れば、こちらのもの…ですわ。構成源権限に…おいて命じます…!」

妖精が次いでその言葉を言い、崩壊が始まった。


バキャァアァアアアアアア…ッ!ガラガラガラ…!


オーションリートの龍の体が龍玉ごと崩れ落ちていく。しかしその崩れていく

体から除くモヤが視覚となる光を灯し、エルゼス達を見下ろす。

『マダダ…!ナメテクレルナヨ貴様ラ…!タダデ死ネルト―』

「それはこっちの話な」

『な…』

オーションリートはエルゼスとエクスドを包む光が更に大きくなっているのを

目の当たりにした。エルゼスの髪は鮮血色が完全に広がっている。


『ばかナ!?ソレ程ノ魔力ヲ一体全体ドコデ―!?』

(私が預かったのはリアっちとルニっちの力と願いだけじゃ断じて無い。

あなたはあの滅びの声を上げたせいでこの大陸の大小関係ない全ての命から

にらまれたと気付いていないの?)

いつになくベルクが真剣で鋭く親の敵でも見るような目をオーションリートに

向ける。ベルクだけではなかった。この場にいる誰もが―否、世界中にいる

数多の存在から静かながらも敵意を向けられている。そうオーションリートは

錯覚する。


(デルタブラッド―私の中に灯った光!どうかエル君達の力になって!)


ベルクを通し魔物達―否、央都だけではなく帝国で平穏を望む命達の魔力が

エルゼスを、セルアやヒビキ達を柔らかく抱きとめ包み込む。


「弾薬0…いや、エクスド!使えるな!?」

グルァアアアアアアアアアアアッ!

魔力を与えられたエクスドの背に生えた羽内にある赤い輪状の翼が分離し、

上下にオーションリートの位置へ追いすがる。


ブウゥウウウウウオオオォン…!


出現したのは先程の残がいとなる前の戦いで見せたのと同じような魔力で

包み込むオリ


ヒンヒン…キィイイイイイン!


次いで4つのソル・ヴォルグから放たれた分離攻撃端末が十字を切るような

位置で魔力のオリに閉じ込められたオーションリートを包囲した。


『何を…』

「テメェの魔力を演算解析して霧散消滅する所まで引導を渡してやるぁ!この

世に今お前の居場所がねぇ事は既にベルの姐さんが実証している!」


最早8割がた残がいの装甲がはがれ気体状になったオーションリートの気体に

更に亀裂が入る。大気に亀裂が入る程の魔力の浸食は止まることなく災厄と

呼んでいいオーションリートを崩壊へ突き動かす。


『ぐ・く…おのれぇええええええ!!!』


ヒキパシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…ッ!


その言葉を最後に。この大陸で混乱を巻き起こそうとした悪意の影はガラスが

破れるような甲高い音を鳴らし、彼らの前から姿を消した。エルゼスは気配が

無い事に気を配りながら左手の中に収まり、気絶している妖精を見る。まだ

胸が上下しているのを見ると、生きてはいるらしい。


「んで、こいつどうするか…:グル…:あ?エクスド?」

ルゥウウウ…


ぴょーんぴょーん

跳ねながらここ―要塞砲撃試験機のそばに来るよう精一杯存在を表している

ネーペルリアを見つけてヒビキが言った。

「彼女達に預けるのでいいだろうか?」

「むぅー、起きたらなでたかったなぁ」

「ま、一先ずはそうするか。後で話もできるだろうし、よ」

そうして3人と3機は降り立っていく。その場所でなで回しとすり合いの

行為や展開などはいつも通りだった。山々へと沈みそうな日の光が最後まで

その光景を優しく映し出していた。



「おう、あそこだ。まあ、いい思い出なんざあんまりないんだけどよ」

オーションリートから助け出した妖精―ルフィニーという彼女の名前を後に

知る―を預けた後、エルゼスはセルアとヒビキに「少し連れたい所がある」と

フォルデロッサの前でへたれ込み休みながら提案した。セルアとヒビキは

それを承諾するも、必ずエクスドとエルゼスには休むよう言う事も忘れては

いなかった。エクスドの左右に広がる羽は今回の戦いで残がいとなって大地に

刺さっていたが、何とレイアの魔術でしっかりと取り付け直す事が出来た。

残りの魔力は魔術の専門家がいるなかなうえ、先程ベルクやネーペルリアから

送られた魔力で十分補てんされていた。だが、魔力があるだけで機龍を駆る

ドラグーン達3人が疲れていないわけではない。3人と3機が出発する頃には

日がもう山に沈みかける頃になっていた。


かつてエルゼスの人生で幼なじみと呼べる少女と出会った遺跡の跡地に3人は

いた。エルゼスがフォルデロッサを出る前よりも更に風化が進んでいる中、

セルアはキレイなまま全く腐敗と言う言葉を知らないかのように建っている

像を見て言う。


「これ、エド君…なの?」

「みたいだろ?あ、それとな。下の文字はエイキドゥって読むらしいぜ」

「ほえー…あ、こっちならなでられるね」

「ホント、お前嫌われてるよなあいつらに」というエルゼスにほおを可愛く

ふくらませながらも、石造りの龍の像をなでようとしたセルアの指がそれに

触れた瞬間


パリイィイイインッ


「お、およ?」

「何か…破れた?いや、一体何が…!?」

エルゼスでも判別できない魔術破裂音が一体にひびく。ヒビキもその音に思わず

辺りを見回し始めた。

「今のは…―!?誰だ」

「ちわーっす。数時間ぶりね、姫様」

3人が降りたった山の裏手とは別に山の端を回り込んできた道から彼らは姿を

見せた。


ファーニフアル―トウゼだった。そのそばにはエルゼスの前髪以上に―かつて

ノレットや先程オーションリートとの戦いの最後に見せた髪と同じく鮮やかな

赤色をした少女がいた。まるで夕陽を包む衣―しかして鮮血の色を連想させる

髪の色が彼女をこの世のものとは思えない存在のようにゆらめかせるようだ。

そんな彼らの後ろには巨大で白いカラス頭を持つ機械の使途が忠臣のように

ヒラメザの後ろでひざまずいていた。ヒビキはその使途を見てがく然と言う。

「2足直立機構機龍・タダカゼ…!?完成していたのか…!!」

今のエルゼスとセルアにヒビキが言った事を聞いている余裕はなかった。遠い

昔、ほんの少しだけ心を通わせた幼なじみが目の前にいる。反射的に、そして

同時に鮮血髪の少女から聞いた名を叫んだ。

「ムル…!?」「ムルちゃん!?」

「「!?!?!?」」

そしてセルアとエルゼスは引きつった顔を互いに見合わせる。まさか同時に

同じ人の名前を呼ぶなんて想像もしていなかった。2人の思い出をつないだ

少女は今間違いなく、目の前にいるのに。場の空気が緊張で凍りついている。

それを壊したのは―トウゼだった。


「へっくし!!」

「わああ!ちょっとおじさん頼むからこっち見てくしゃみしないでよ!?」


「「お(あ)、ムル(ちゃん)だった」」

「…風の魔法で乾かさなかったのか?」

「無茶言わんで下さいよ、まだ冬開けて間もないに川入ったんですよ!?」

「そうしたのはどう考えてもあなただろう。仮にも帝国の機龍をだな…」

「オレっちは過去を振り返らないのさっ(キリッ」

「モウナニモイウマイ…」

たちまち空気が緩くなったのをそれぞれが感じながら話し始める。

「えと、ゼス君が探していたのって…」

「あいつだよ。…どんだけ待ちぼうけくらったと思ってやがる、ムル」

「どれくらいだっけ?」

「数字計算もできねー花畑頭だったか、お前も?」

「ゼス君、中傷メ!」

「ゼスちゃん、前からしゃべるようになったんだー(ジト目」

「お前ら何でそんなにいつも通りなんだよ…同じ呼び方なのわざとか?」

「「んー、シーンキーンカーンとかそういう感じかな(だよ)?ねっ」」

「…そうかよ…(がっくり」

うなだれ肩を落とし、そのまま地面を手に付く体勢になりかけたエルゼスを

おいてムルタは腰から下げた入れモノから見た事無い多面体の果物を1口

むしゃっとかじった後、セルアとエルゼスに1個ずつそれを投げて言う。


「まだ私は世界の半分しか見てないんだ。もう少しだけ、あとほんの少しだけ

ルアちゃんもゼスちゃんも待っててくれない?」

「また、行っちゃうの?」「まだ、なのか?一緒には…」

ムルからそれぞれの手で投げられた果物を互いに受け取り、ほぼ同じように

たずね返した2人へムルはエルゼスの方を見て言った。


「ねえ、ゼスちゃん。また今度、また必ず私はヴァルガナウフに来るよ。

その時―よかったら私の手を取って」

それを聞いたエルゼスは投げ渡された実でかじられた場所を口にし、ムルへ

投げ返した。幼い頃にした事を思い出したのか少し顔を赤らめていたムルは

慌てて両手でエルゼスから投げ返されたそれを受け取る。それを見届けた

エルゼスは1言だけ告げた。

「気が向いたらな」

トウゼが後ろで手招きをしている。どうやらここに立ち寄ったのは次いでの

ようだった。最後に3人が見たムルは夜空の月明かりに照らされながらも、

まぶしくはにかんでいた。



「うらやましいものだな」

「隊長?」「ヒビキちゃん?…じゃない隊長?」

「私よりお前達の事を知っているよう見えるのを内心でうらやんでいたら、

まるで風のいたずらの様に飛んでいってしまったじゃないか」

「あはは…変わってないようで安心しちゃってた。今度ヒビキちゃんにも

話すね。ムルちゃんの事とかお姉ちゃんの事とか―ああああああああ!」

「どうしたんだ、セルア…」

「ってぇ…何叫びやがる」

「一晩ゼス君の古里で適当に泊まったら、ヴァルガナウフにすぐ戻らないと!

お姉ちゃん思いっきり殴ってやるんだから!!」

「(エルゼス。今晩の内にセルアを縛るぞ)」「(了解)」


「へっくし!…少し冷えているか?と、あ!狙ってたのがもうない!?」

「誰かに噂でもされておるんじゃなかろうかの…ほ!早いもん勝ちぞ!」

「ガハハハハッ!そんな事言うとる位なら口にされたらいかがか!今の飯は

将殿が言った通りじゃ!!」

「チェトフさん大きくしゃべらないでよ…:チューキュー:わ!ちょっと、

ボクの皿からまで!?」

「やれやれ…娘よ。追加してやるから落ち着け…と言うのはこれは無理か…」

キューキューチュークァー!!

『世話をかける。森人よ』


世界は花のよう そう誰かが言ったこの世界で


「お」

「あ?」

「あ、かわいい…って言ってる場合じゃない!?」

「…」

「あの、大じょ―「クソがぁ」…」

「隊長にセルアもこっちを見んな…」

「テメェこのクソ兄貴、しゃべんなくせえぞ」

「アーアーキコエネーキコエネーあとキロメ、食う気あるのか?」

「…チッ。とっとと入らねーとかーさんの飯冷めっぞクソ共(ぷい」

「…(ニッ)んじゃ、たまにゃ皆で食おうぜ」

「やたーっ、ごっはんーごっはんー」「…いいのか?」

「内の母さんだし、それに今日は俺等の大好きなやつだ。2人とも参考にゃ

なるだろうぜ。ああ後。2階にはいかない方が身のためだぜ(ククッ」


「許サヌ…許サヌ…オノレハ…マダ消エヌ…!」

「オノレ…奴ラメ…オオ…我ガ半身…消エズ戻レタカ…」

「あっちで言う阿鼻叫喚のよ…ヒ…!?な、何だ…これまさか…ジジイ!?」

「イイ所ニ…来タナ…肉体ガ…アレバ…」

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!

…ヒヒ…フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒャハハハハハハハハハハハハハハ!!!」


誰も彼もがまだこの世界で踊っている


「とりあえず、出る事は出来ましたが…」

「面目ねえ…」「ここぞって時に…クソ!」

「アニキもアネキも気にすんなだ」

「皆無事なのが……」

「んだ、従者はん。まだ諦めるにゃ早い」

「…はい」

「そうさね。どんなにくじけても、立ち止まってる暇も無さそうさ。…でも

辛いかい?」

「まだ動ける分は動きましょう。私達はまだ…何にも見離されてはいない」


「痛いぃ痛いぃ痛ぁい痛い痛い痛ぁい~♪」

「ああああ……ああぁぇあああぁぁえぁぇぁああああ…(ガクガク」


誰も彼もが生きて世界を回している


「…」

「これからどうする?」

「今のまんまじゃおわれるか…!レヴリーのかたきはいつか必ず討つ…!

ボウズじゃ無く、こんな状況に落としたあいつらは…!」

「冷静になって。…何か見落としてる事があるかもしれない」

「そうだな…って言っても行くのは」

「3人で、決まってるでしょ?」


「結論からいえば…最早下々の者共ごときは当てにならないということか」

「フン!当てにしていた事自体が間違いなのだ!見てろ、至高にて栄えある

我らの手にかかれば下々の這いずりなど(ry」

「ヒヒ、結局何もできず逃げるしかできそうにない無能が立ったよ。まあ

クソとクソ同士でこね固まればいいさね」

「…」

「どうしたね?流石にクソとクソでも違ってきたかい?」

「顔そらし)…視界に入れたくない」

「ヒヒヒ(にぃいい」


何も誰も未来は分からない


「何もかもどうでもいい。何もかも…目的以外は何もかも邪魔だ」

―ふざけよる。主の相手は先延ばしするぞぇ、この抜けたわっぱめ―

「…(ギリ」


先の見えないこの様々な輝きを持つ世界で


「さて、いよいよですか…」

「むきゅ…」

「大丈夫ですよ。彼女は寝ているだけです。疲れているのは先程力を届けた

戦いの前に挑んだ彼女がそれ程だったという事ですね…。…あなたのこの

幼馴染みのように、【大いなる可能性】がまだ世界にあればいいのですが」

「ある」

「ですね。そのためにも…」

「(こくり:ごめんね、ルーに…エド。…ごめんね……エルゼス)」


「【おお見よ、世界は花がごとく。輝く種にあふれておる】。…世界はまだ

夢見るように回る、か。魔族の姫様が言う事じゃないよね(クスッ」

「お嬢ちゃん、その本のそれが好きなの?」

「うん、大好きなの。ヒラメザのおじさんも読みたい?」


誰も彼もが色の夢に抱かれ今一度眠る―


―Stage2:帝国激動― end…



to be next…?


次回作品なんですがサスペンスとホラー、どっちがジャンルになるだろう?と

考え結局ホラー種別で出す辺りがやもーんとお察し下さい(笑)読書の秋が

終わる前に一応の完結ができてよかったー


ではでは、またどこかでお会いしましょう。ご愛読ありがとうございました


―とはいかず、おまけを1つだけやっとこうと思うんじゃ(←


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