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act27:テノサキ クロ 「都 彩乱れ」

結局ここまで遅くなってしまいました。読書の秋、皆さんはどのように

お過ごしでしょうか。少しゲームの秋もあると思いますg(


何はともあれ、楽しい読書の時間である事を!


とある集落で私達を待っていたのはそれぞれをつなげる答えと言えました。


ノレット様やエユス様と言う人柱


先程カドラバ全域にひびいた声明


軍部と調停部、双方にある頭の排除


かつて起きた突然の興国より私達の国に進攻したと事で続いた戦乱


アカナチとの和平関係


全ては―とそこまで考え、私は反射的に足を止めます。私が止まった先に

飛んでいったのは砲弾。狙いは私だったのか、すぐわきを駆け抜けたのを

始まりに、砲弾がいくつも止まった私を狙って殺到します。体は生きるために

動きはしますが数発目の砲弾が私の足をかすめます。


「くぁっ!!」


人の足で砲弾を避けるのは当然ながら無茶があります。なおさら、私達は

特務隊の方々のようなその場にいるだけで巨人のようにさえ見える強さを

持っているわけではありません。そして私は頑丈な体でもありませんから

それだけで転倒し、片足が歩けなくなります。息すらできない、風の魔法で

周囲に流された花粉の内容を私は知っています。


(幻惑効果まで含めて街中に散布したのですか…!誰かれ構わず狂った揚句

腐り死ねとは…砲弾が来ていると言う事はジャクシール様は…ならば)


私だけは何を見ても敵意を示してはならない、何を見ても何をされようとも

今だけは私自身の役目だけを―そこまで考えて私は顔を起こします。いえ…

顔を起こし、私は見てしまいました。


違うこれは幻です何故ってこの風と植物の散布により爆発に使われる魔力や

大気がいちじるしく不安定になり人の形を取っているだけなのですだから

やめなさい体動かないで―

そう分かっていても目の前で私は私が見たそれが信じられません


爆炎の中で狂喜の目を閃かせながら、下半身を火の液体で煮えたぎる石にし

私を見下ろすノレット様を。そして、そのノレット様の持つ槍には…私が

よく知る人達の顔が刺さっていました。


「あ…あ…」


最後の理性と呼べるかさえ分からないまま私は私自身に腰から取り出した

クナイを向け―



バラバラ バラバラ バラガバラバラノヨウニバラバラト キッテキッテ


ワタシガキッタ キッテステタ ゲンジツトユメノクベツモツカナイデ


テ テ テ ウデトテウデトテウデトテガハナノヨウニハナノヨウニナランデ


ツメタイ ナンデ ヤワラカイノニ ツメタイノ チュウトハンパハダメ


ヌルイノガイイ ヌルヌル ヌルヌルッテマトワリツイテ カンジルノ


アアウン ホントハヤ アレハヤ モウコンナコンナノオキナイタメニ


ミンナ ミンナ コンナワタシデモ テヲトッテヒッパッテクレタノニ―



ソンナコンナデ マタナンダ ワタシ


―ええと、またなのですか?


ソウダヨ ホント スキダヨネ ネタガナイトイウカ ナントイウカー


―えと、えと、すみません。ゴメンナサイ


イヤ チミガアヤマッテモ ショウモナイデSYO―


えとえと…す、すごいノリノリなのですね!


1ドシカネージンセイ ジンジョウッテモノデヤンスヨォ~


ジンジョー…なのですか?


ソンナチョウシデツギイッテミヨウ!


次…次なのです?あのその…次どころか…


ナンノシンポモネェー!!ンデコレハカクセイフラグトカナニカデスカ?


えとかくせーなのです?呼びかけておいて何なのですが…


アア ダイジョウブダヨ


―え?


ウケイレル キミナラダイジョウブダネ?


え、でも―


ダッテサッキカラ―


―ナイテイタノヲ カンジテタモノ―



存外、あっけない。否、あっけなくてはいけなかったか。仮にも彼女の事を

私は生かしていたと言うのが正しいのだからな。彼女の中にある【黒】。

察知をしないわけがない。セルア―テルラスク伍長が今どうしていたかも。

そして目の前にいる彼女を私の力が最早廃人同然としていると言う事も。


余り時間はかけられなかったのもあるか。あの少年から軍曹に渡されていた

あの異物が、どこまで私の予想外に軍曹を動かすか―彼の力を私は計り違え

見誤っていたというのか?


そう思っているその時に、それは起こった。


「―?――――!!!?」


(何だ!?一体何が起きた!?―!!)

私はそれを意思の強さで拭い去る。この場でのそう言った言葉は思う間にも

死を招く。だが―次の時には口をついて出てしまった。何故なら


「バカな…」


大きすぎる。その黒が夜空のように澄んだ輝きを持つ事も含め、何故こうも

一介の軍人に異物の力がこうも制御できる兆しを与えている!?迷う思考も

置き去りに反射で私は魔術を行使した。


「っ!黒雷―…!?」


それがどうだろう、球体状に私達を囲った黒雷だけではない。私のそばに

生じた黒雷さえ、彼女から煙ではなく海のようにはい出てきた【黒】に触れた

瞬間に私の制御から外れた。


何をしたと言う口を閉ざし、自身の魔術を制するよう力と声を飛ばす。原因を

主力の魔術であるこれが破られるのは確実にこちらの不利を招く。一刻も…

一刻も早く何が起きたのかを知り、戦況を自分の手中に入れねば。


「どうした黒雷!私が分からないのか!?」


すると、どうだろう。軍曹が剣を持っていない左手を立てる。その合図に

呼ばれでもしたかのように私の黒雷が彼女の手に集まる。


バチン!バチバチイィイイイイ!


そう、彼女は私と同じような形で黒雷を返してきた。まるで私達がある日の晩

壊した長道要塞を破壊したように。黒雷が私と彼女を一本道にするよう囲い、

私の機龍を討ちすえる。まずい、威力がまさか増しているのか!?それでも

私はできる事をするしかない。黒雷が封じられ敵の手に渡ったのなら先端を

けん制で飛ばす、蛇腹槍にわたる黒雷はどうやら使えるようだ。これも

使えないとなったら最早終わっていたと半ば安堵しかけた私の顔が凍りつく。

彼女が私を見ていた。正確には私を倒す場所を見ていたと言う事だが。


彼女の剣が私の首を狙っている。目で分かった。肩口あたりだろうか、機龍を

見ていない。そう、見ていないのだ。彼女の軌道は先程と同じままにまるで

水を得たように加速している。狙いきれると確信しているのだ。機龍と言う

空中の巨大武装と言う矛であり盾であるこれが意味をなしていない。仮にも

上層部用に量産され、軌道能力や弾薬、そのほかにおける基本性能を各地に

配備した量産機龍より1回りも2回りも強化を施されたこの機龍を彼女は今

正に無い事のように私を見ていた。


まずい、このままでは…


「…!なめて…なめてくれるなっ!」


何を…今私は何を情けない考えをしようとしていた!私はもうこの状況を

作り出した要員の1つだ。その私がこうも簡単に、仮にもこんな彼女相手に

「仮にも今みたいな状態の貴様に…っ!」

思考と直感、その両方で私は気付いた。今の彼女は、【黒】を制したわけでは

ない。彼女の中に【何か】言い得ない、私が知りえない何かが宿ったのだと。


考えてみればおかしかった。いきなりの加速、彼女の体が耐えられる剣速は

太刀筋は変わっていない。にもかかわらず体の方が速さを増している。それは

どう考えても暴走だ。これはまずい。私の為ではない、


バジャアアアアアア!ヒュンヒュンヒュンドゥドゥドゥバンザンバンザン

ジャジャジャジャジュシシバシバシズゥウウウン!!


先端を自在に黒雷で飛ばし戻しをしながら、機龍が再起動するのを魔力の綱で

感知、弾幕や彼女の飛ぶ魔刃がみだれ、戦場を互いの武で彩る。美しかった。

私はかつて親のお陰で戦場を離れたと言うのに、初めて今芽生えた美しさに

思考が加速するのを感じていた。火が灯っている。私と言う戦場で他の者達と

それほど変わらない戦闘単位の1つでしかない私の中に明確な思いの輝きが

ある。不思議な気分だった。今私は何のために戦っているのか。それすらも

忘れてしまいそうなのを、私は冷静にそれはできないと断ずる。今の彼女を

ほおっておく事は出来ない。戦士として、


「そうだ、最早貴様の思惑通りだ、だがな…!」

私は、今私は帝国を自分なりに考える者として、負けられなかった。私が駆る

機龍と彼女の異形の下半身で動く軌跡が、弾幕と魔刃、それぞれの物質を伴う

斬撃の攻防がより早く1つへ収束していく―



「これは…私の意地だ」

私達の方に正しさがあるとはあまり思っていない。結局私達もこの帝国を覆す

計画のために、あんまりと言える人物達を手にかけた。それがたとえ私的な

観点で気に入らない相手であったとしても。私には戦いと自分の信じた道を

進むと言う事を止められなかった。その結果はその内受ける事となるだろう。


「戦況は…ヴァルガナウフの制圧は私の【黒】と少将をもってしても無理か?

否、それ以前にまずは【補給】だな…」


向かう先は央都ではない。央都の目前ではあるが【まだ連結していない】。


「しかし…何故だ?」


私は私のひざをまくらにしている彼女に視線を落とし、私は疑問を口にする。

蛇腹槍は私の背に収めた。シュウシュウと音を立てる程、我が家のアルクを

酷使したのは久しぶりだ。後でしっかり磨かねば…私はまだ戦わねばと周囲へ

視線を寄こしながら考える。この軍曹、「お姉様…お姉様…」と寝言で

うめいている。…後で会議にかけようか。一応言うが、私的な目的ではない。

彼女は一体何者なのか、先程の変化は一体何が起きたのか。忘れないわけには

いくまい。彼女は下手したら彼女の身に余る力で滅びかけたのだから。

そう考えていると


―助けて


「え?助け―」

今の声は一体?まさか今のがこの―


―ぴーちくぱーちく呟いてるようだがそこにいると危ないぞえ


「何?ハッ!」

私は反射的に機龍を旋回し、翼を盾に停空する。

私の黒雷とは違う色の2つの稲妻が上空より何かの影と共に飛来する。



ドガァアアアア!


受け止めたがぐらりとした姿勢をすぐに立て直し、滞空状態にした私は

3つ頭の影が向かった先を見―最早射程範囲外まで飛び立っていたその影を

見送りながら、こう言った。さっき見えた顔は…正直忘れたいな。私も

まだまだ、女のようだ。他より年こそ取って入るけどな…


「今向かった方角は…南か。これでは…ますます勝ちの目は無いと見える」



アスカレナを半ば機龍ごとひき殺さんと言わんばかりの早さで衝突、すぐさま

追い抜き央都南へアロルーファを走らせたセルアはジト目でこんな事を思った。


(そっかー、お姉ちゃん軍そーさん倒したんだー、やる気なんだそうなんだー

どうなっても覚悟してるんだー、へーへーへー…)


ク・クー


怒りが真っ黒なオーラとなって立ち上っているセルアの耳に、彼女を乗せた

アロルーファの怯えを含んだ鳴き声が届く。自分自身が怒りに我を忘れていた

事に気付き、慌てたセルアは前方に意識を向け真剣な顔になり呟いた。


「やっぱりあった…!」


ゲニトルフ湖に浮かぶようにそれはあった。見覚えのある形でそびえたつ

少し薄く見える直方体。それは央都外壁から連結するよう作られ、南の果てへ

向けて、今も無機質な工事音を立てている。何れ繋がるだろう央都街壁の

南部分も同様に音を立てていた。


「アルー…食べ散らかすよ」


セルアにとって、その言い分は【ヒビキにも譲らない】と言う意味だった。

恐らく、エルゼスやヒビキが今のセルアの表情を見たら「なにもするな」と

言うかもしれない。なんせ、1人でこのカドラバ大陸の南側を両断するだろう

この長い砦を制圧するつもりなのだから。しかし、それを止める者はいない。

いるのはセルアの分身ともいえるアロルーファで、機龍も吠える。


クルルルルルゥ…!


了解と言うようにアロルーファが声を上げた頃。この砦内部では巡回警備班の

1人がこの要塞建設の取締役に連絡していた。


「警戒班より緊急伝達!、東側の中距離位置に未確認飛行物体を確認!!

機龍のようですが…」

「何!?ここの建設計画はばれる事はない筈だ!まさかあの少佐隊長から

情報が漏れたわけでもあるまい!アカナチから新型の情報はない。そして

我らカドラバにも…一体何が来たと言うのか…」

「機龍のドラグーンは目視で来ました…父が前に央都で死んだと言う…」

「まさかあの日見たあの影か!?あの巨大な影に乗ったテルラスク卿が何故

北西方面の森ではないこの湖上に現れている!?」

そんな彼らの言い分をセルアは【感じていた】。


(ごめんね、兵隊さんたちも何か思う所があるとは思うけど…あたし達が今、

【これ】を踏みにじる。そうしてでも一緒にいたい人達があたしにもいるの)


「プラズマ扇形射出旋回方向左右!魔力配分を足場固定と停滞浮遊意外全て

次の攻撃に充てん!あたしの魔力4割まで攻撃に変換…!」


バチチチチチチチッ


セルアの足に手のかわりに巻き付いた魔力綱がまるで灼くかのように乗り手の

セルアの足を稲妻が走る。過剰な魔力の武装変換はアロルーファといえども

無理があるようだった。当然使い手であるセルアの方もである。その暴走とも

いえてしまう魔力の発露もお構いなしに、セルアとアロルーファが叫ぶ。


クゥウウウウウルォオオオオオオオオオオッ!


「目標、眼前に広がる直方体補給要塞全域!斉射…開始!!」


ババババババドゥドゥボゥボンボンボンジジジジジジジジジジジジジジジジ


長く長い砦が瞬く間に灼かれ崩れて壊れていく。それを頭を抱えながらも、

最後まで見届け―長く伸びるゲニトルフ湖に浮かぶ残がい達を見届けながら


「ごめん、アルー…ちょっと眠らせて…」


セルアは余りの魔力の消費に気絶した。アロルーはしばらく辺りを見回した後


クー…


北の方へ飛んでいく事とした。央都の方で捕まえた気配を追って。



嫌な汗を流しながらニアテルスは必死で残存貯蔵魔力が心もとない自身の駆る

機龍の前方を逃げるように向かい―雲が晴れた先に現れたその街と呼ぶにも

お粗末な外壁でくくられた村落―のような街を見下ろし笑みを浮かべ呟く。


「よもや…我らが悲願を果たす前にこの地に再び降りる事になるとはね」


全ての計算が狂ったのはここより出てきたあの化生と呼んでもいいと思う程

いまわしき2色髪の男。


「我らが主も既にこの場におる筈…それすら忍び無いと言うに…この屈辱は

必ず私の手で晴らさねば…」

空を見下ろし自分のした事の甘さにニアテルスは思いふけること数秒…再び

冷たい声がエルゼスの故郷へ落ちていく。


「しかるべき裁きの火を今再び落とすぞ。この街―フォルデロッサに」


―act28へ続く―




次回は少し遅れるかもしれません、11月5日前後の投稿を予定します。


ちょっとまだあきらめきれないある事があるので期待してお待ちください(おい

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