act22:下剋上「アリカタ シュウネン ブツカリアイ」
開幕野生幼女注意です←
何はともあれ、今回も楽しい読書の時間を!
前回までのあらすじ
ニアテルス:行ってこーい」エルゼス・ヒビキ:無様な…?」
セルア:もう2人で企みとかよす事!」エルゼス・ヒビキ:はいはーい」
アスカレナ:本当にどこで育て方を…」セルア:絶対メ、だよ?」
ニアテルス:我らが世の春だー!(゜□゜#」ドールモート:うるさい…」
パチ…
「むきゅ…」
ごそごそごそ…
「きゅ?」
「リアちゃ~ん、むにゅむにゅ~」
(レイア…これは…)
「イッちゃめ~ですよ~」
(やっぱり、2度寝するくせ…)
「リアちゃ~ん、うフフ~…」
ダキュゴロゴロゴロ…
(囮…カンペキ…!!)
ぐっ…
パタパタパタ!
「おっちゃん、おは」
ビシ!
「朝から元気そうだな。今日はお前の好きなポテトを緑ノリで漬けたやつだ」
「やたっ…」
カチャ…カチャ…すとん
ぐわぁー…
「何か手に持つものは使っとけ…姉ちゃんの方からもいわれてるだろうけど
頭から入って汚れたら美人台無しだぞ?」
「……むきゅ~…」
サクサクもきゅもきゅサクサクもきゅもきゅ…
「ごちそー様でした…」
「おう、お粗末さん。そういや、まだかい?姉ちゃんの方は…」
「…(フルフル」
「はあ、そういう事かよ。まあ何だ、心配かけねえようにな」
「んぅ…かご、お借りします」
「おう、心配ねーとは思うが気を付けてな?」
「んっ」
がちゃっ…カランカラン
とたとたとた…
「(食べ物、術用具、そろえるもの、少し多い…)急がないと…むきゅ?」
「よう、お嬢ちゃん…近くで」
ヘヒヒ…イヒヒヒヒ…
「…(じとー」
ぴょん…ゲシィ!!
「ゲアアアア!?」
「ア、アニキィ!?」
ぴょんっトタトタトタ…
「チ、あの小娘…!」
じとー…(周囲の視線
「ア、アニキ…」
「チ、どいつもこいつも…いくぞ、今日帝国は変わっちまうんだ…クク…」
(準備急がないと…央都は問題ないかもだけど…)
「レイア、おっちゃん…ただい「リアちゃあああああああああああん!」」
「どこへ何しに何のためにいって他の分かっていたけどちゃんと繰り返して
ああ繰り返すだけでも足りないのただただ可愛い鳴き声だけでも聞ければ
それだけでいいのにもう無事じゃなかったらどうしようとあの日の事さえ夢に
見るのあのデクはエサにする前にあんな真似をくどくどくどくどくどくど」
「レイア…落ち着く…時間、そろそろ…だから「ああもうだから大好きよぉ
リアちゃ~ん!!」」
「とりあえず準備急いだ方がいいんじゃないか?レイア嬢達も急いでるから
お嬢が飛び出して行ったんだろうしな」
「おっちゃん…また(ぶんぶん」
「おう、また来るんだろ?(トン」
「トン)ん、頑張ってくる」
「さてと…ドラ娘にも連絡しとかねーとな。機龍軍高通いでも安全とは
限らん…」
*
「逃がしはしませんよ」
「…」
ニアテルスが告げた言葉にも反応することなくドールモートはただ左手にある
得物を背に担ぐとこちらにただ歩いてきた。何を考えている様子も無く武器を
構えた面々に正面から何もせずただ歩いてくるだけのドールモートは、気でも
触れた人間にしか見えなかった。
(自殺願望か何かか?嫌、ためらいも何も無い)
「やるぞ」
冷徹にニアテルスは指示を出しながら獲物を突きつける。ドールモートは
避けようともしない。全て、直撃するはずだった。それが
ひゅひゅひゅひゅひゅひゅ
同時に繰り出された全員の得物がただドールモートをすり抜けた。まるで
全員が武器をさすよう突き出した所にドールモートの虚像があるかのように。
(な…ッ)
誰もが硬直する中で得物の交差する中心をただただ歩いて行くドールモートは
来た道をただ戻っているんだろう崖の前に広がる林へ入ろうとした所で何の
きも無いかのようにニアテルス達を振り返り言った。普段より冷たい口調で。
「何をやっているんだ?帰るぞ」
誰もが言葉を失った。ドールモートは自分達上層部が今ドールモート自身を
殺そうとした事を認識していない?
「貴様さえいなければ…っ!」
ブウ…ヒュンッ!!
鋭く繰り出された袈裟がけ切りはやはりドールモートにかすりもしない。
「だから?」
「貴様のような者が我らの帝国を落とした…!消えてわびろ…!この世から
消えろ…!」
コヲヲヲヲウォオオオ…ヒュォッ…!!
次いで放たれた突きは刺突の形に魔力が洗練されていた。しかしそれすらも
意味がなくすり抜ける。まるで魔術でその場に投影された映像のようだ。
「意味を感じられない」
「私が貴様にいった言葉が聞こえないのか?!この世から永遠に消えろ…!
今なら貴様自身が私の前で「話が長い。自分はもう帰る」」
ブンッッッッ!!!!
最後の渾身の両断攻撃さえ手ごたえを感じさせずドールモートはかまう事すら
煩わしいと言う風に背中をニアテルスに向ける。
「…貴様と言うやつは」
震えが、怒りが押さえられずにニアテルスはなおも声を張り上げる。感情の
制御も失い、わなわなと肩を震わせながら言う。
「貴様と言うやつは一体何様のつもりだ!!」
「自分も他も何でもどうでもいい。言い分も知った事ではない。何をされた
所で何の価値も感じられない。誰が何をどう言おうと、何をしようとだ。知る
つもりも無いし知った事ではない。もう何も感じないし感じるつもりもない。
ただそれだけだ」
それは最早会話と呼べるものでさえなかった。片や怨嗟の押しつけ。片や
何もかもをどうでもいいという言葉で切り捨てる拒絶。
「貴様はなんだ!?一体なんだと言うんだ!魔力を乗せた一撃さえまるで
水に通した物質のようにすり抜けるなどありえん!波紋すらないだと!?
そんな存在構造などどこの世にあるというのだっ!?一体貴様は何だ!?
貴様は何をもってしてここに存在しているっ!?!?!?!?」
最早それに応えるつもりはないと言うように顔までニアテルスからそむけた
ドールモートへニアテルスは滅多切りと言う早さで魔剣をふるう。たとえ
その刃がドールモートに掠りもしなくても構いようは無かった。
「死ね!死んで貴様のようなのは今まで殺してきたすべてにひざまずき、
わびろ!死ねと言ったら死んでしまえ!」
余りにも無様に、しかしその非情なしつこさに初めてドールモートの表情に
変化が見えた。ニアテルスを見下すように見ながら言う。
「さっきから目ざわりで耳障りなんだが」
「貴様が死ねばそれすらも感じないだろう!!」
いつものドールモートなら関係ないと切り捨てていた所だろう。しかし、
今ドールモートの心は苛立ちをおぼえていた。そうであるが故に
「今自分は非常に気がたっている……せめていい声でないて貰うか?」
ここでドールモートが背にかけていた得物を改めて抜いた。
巨大な体躯に背負われたその武装は持ち手の場所を中心に剣と斧を双方へ
向けられ取り付けられている。双方の刃へ寄り添われているのは蛇の体。
まるで尾と頭の両方が頭となった蛇のごとき武装。
そして。ドールモートが剣をただ1度だけ振った。否、そう振ったように
この場の4人には見えた。
ニアテルスの体から10の裂傷が生まれ、悪魔の翼が所々から生え出しでも
しかたのように、大量の血が噴き出した。
「は…」
誰もが絶句した。かろうじてニアテルスが先程の言葉を言った中で。
バスッ
悲鳴は上がらなかった。口からも血が吐き出される。正にゾウが鹿の子を
ふみ潰したかのようだった。ふまれた場所から内臓が口へと逆流しなかった
だけでもアスカレナのいるこの場では幸いと言うべきだろう。ニアテルスは
あっけなく崩れ落ちた。そしてドールモートは来た進路を戻ろうとし。
しかし
ざっ…
再度立ちふさがった3つの影にドールモートは淡々と言う。
「数が増えるだけだ」
「そうだな、数が増えるだけとなるだろう。誰がたとえ倒れようとも」
ドールモートはアスカレナのを見据えた。迷いのないアスカレナの口調は
普段の真面目な彼女と変わらず、き然としている。
「…中佐」
「力と武装…もしくはそのどちらかを持ち戦場に立てば、その存在は1つの
戦闘単位となる。その存在が戦場を左右する単位の1つとなる事を自覚する
事から兵になると言う事は始まる。…しかしだ」
「…」
「少なくとも、閣下の―卿の在り方が命として、戦闘単位として戦場に立つ
上で破たんをしていると言うのを見過ごす事は出来ない。仮にも現在国を
背負う輩が先程のような発言をしていいはずがない。間違いようなく卿の
在り方はこの帝国を歪め―…既に歪んでいるとも言える」
そんなアスカレナの前にベゼグが、ドールモートとの間に割って入る。
「…少将。貴殿もか」
「何、ワシとしては老い先短いおいぼれとして国を憂う大きな花火でも1つ
上げようと思うただけよ。武人として主を【あの場】に導いた時からワシにも
主がそうなった一因があるのは見過ごせんだけに、な」
そこで一区切りし、ベゼグはドールモートへ落胆ともいえる目を向ける。
「ファルチザンよ。…主はもう【高みにあるあの方】しか、死した目には
映せなくなってしもうたのか?」
「ベゼグ少将…?」
アスカレナにはベゼグの言った事が分かりかねた。しかし、彼が何がしかの
目的を持ってドールモートに相対しているのは気迫から感じ取れる。そんな
ベゼグに呼応するように軽やかに己の得物、風車の形をしたアルクだろう
それを構えなおしたファーニフアルが口を出す。
「オレっちもニアテルスのダンナや普段からお世話になるか時々する事になる
レナちゅわんに顔向けできるようにはしておきたいし?それにさ、オレっちも
中佐の言う通り、先程の言い分を言わせたまんまアンタを央都へ返すのは
どう考えても展開的に酷すぎると思うのよ」
「撤回でもすれば帰れるのか」
「口だけじゃメ☆って言ってもそんな目で帰れると思うわけ?そんな面と
心持で戦っているから皮装備のジョブに後れ取って病院で病院食を食べちゃう
羽目になるのが大人のダイゴミってなあ!」
ブワァアアォッ!!
気合いなのか何なのかわけのわからないファーニフアルの言葉と共に暴風が
ドールモートだけを包み込む。どうやらファーニフアルが持つアルクは大気を
操ることができるようだった。アスカレナが声を上げる。
「途中から言っている意味がわけわからなかったぞ!」
「それだけ軽口言えるなら大丈夫ね!行くよ旦那にレナちゅわん!」
「ホホッ!!」「ちゃん付けで言うなこの大バカモノ!」
そう言い3人で再度ドールモートを包囲する。初めにしかけたのは―ある意味
ファーニフアルとも言えるが―アスカレナだ。
「飛べ!黒雷!」
チィイン!チィンシイイイイイ!!
その雷はまるでドールモートの行く先を止めるかのように奔り―停滞する。
魔術だった。黒ずんだ紫の雷は網のようにドールモートを囲い始める。
それを身を屈めながらかいくぐろうとしたドールモートの目の前に
ドムンッ!!
物理的な障壁ができる。ベゼグが退路を地面を掘り起こし立ったのだ。
しかしその物理的な障壁を難なく破壊しようとドールモートは得物を暴風の
中で振り上げ、
バキン!!
アスカレナの槍の先端から射出された穂先がドールモートへ迫っていた。
後ろから放たれたそれをドールモートは弾くも体が鈍くなっているのを
忌々しげに舌打ちしながら剣とは反対の斧をファーニフアルに向けて
振り上げ、放った。
「とと!油断ないったらないね!オレっちそこまで強さは無いのよ!?」
木の上へ逃げたファーニフアルのすぐ横の気何列かが斧の葉先が通り過ぎた
後に何本もの木が根元近くまで両断されていく。どこまで斧が飛んだのか
確認する余裕は3人には無い。だが、それでよかった。
そして
「ヌ……ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
ニアテルスが、立ち上がる。体中から黒いモヤが噴き出している。
「―…」
まためんどくさいのが来たか、と思うような顔をドールモートは向ける。
そんな彼を憎悪の片目でにらみ上げながらニアテルスは言う。
「まだ終わらん、貴様を死まで追いやるまで…貴様を殺し【あのお方】の
理想とする世界を作るまで終わらせん!!」
「…」
切り結ぶ。否、切り結び押し付ける。魔剣から噴き出す黒いモヤがより濃く
大きくなる。まるで使い手の生命を糧にして強くなるかのように。使い手の
感情の高ぶりを、負の感情を糧としているかのように燃えあがるように剣に
まとわりついている。
「この剣はあのお方より賜ったのだ…!この私が貴様を討つ、その為に!」
ニアテルスの剣速は先程より上がっている。ドールモートも神がかる早さを
先程使ってニアテルスを圧倒した後だ。しかし、今。ファーニフアルの
暴風のお陰か、太刀筋の早さは互いに拮抗している。
「貴様だけはこの剣の露となれ!死に開けぇぁああ――!!!」
そしてその妄執とも言える叫びは何の奇跡があったのか―届いた。
ガキャァアアアン!!!
武器を払い突きを繰り出したその速さはベゼグでさえ簡単に避けれるだろう
鋭さすら欠いた意地の一撃だった。ドールモートでも簡単に反応できると
誰もが見て分かった。
しかし―
とすっ
ニアテルスが渾身で繰り出したた突きは何故かドールモートを突き刺した。
そしてドールモートの背後には
流れる川すら見え無い程深い淵い底なしの崖が作る暗闇広がっていた。
そこへとドールモートは落ちていく。
「ふ、フフフフフフフ…!やった…やったぞ!ついに…!!」
「…おん敵の姿、確認できません。この高さでは…」
アスカレナもニアテルスの感動に続ける。その言葉を受け、ニアテルスは
他の2人も見回しながら声を張り上げる。先程の激戦が嘘のように。
「さあ…ここからが始まりだ!!真の正当たる支配者による楽園が!奴を
討ち果たしたこの時より始めるのだ…!!」
そんなニアテルスの言葉に応えるかのように
ヴゥウウァ…!!
後ろで1機の上層部専用量産機がニアテルスの元へ降りてくる。まるで
偉業を成し遂げた勇者を迎えるかのようだった。ニアテルスが駆る機龍の
色は毒々しい沼の紫を表しているかのようだったが。
「今いる位置から東へ渡るぞ!問題は無い、途中で補給はできる。そして
その補給地点を抜けた後は―!」
勝利の興奮やまぬ状態でニアテルスは次の指示を出す。この時。誰もが
冷静ならばおかしい点に気付いた筈だった。
*
央都の主が普段いない城でエアリシドは呟く。珍しく嘲りとも言える呆れが
口調には含まれていた。
「はっ、可愛い小童の主も今回は業をにやしたか。少しはこれで単細胞な
頭も、反省したかや?そんな気分で術を乱す未熟を道ながら、己が目的を
果たすなど口にするとは、片腹痛いわぇ」
「しかし、無この民がこれで勢いづく賊徒の小ざかしい手にかかるのは
いただけん。貴様らが社会の裏で好きにやったように、妾もその準備は
ぬかりないゆえ、な」
右手をくるりと回し、城の最上階を不可思議な魔法陣と光が満たす。
「妾の下から離れし半身達よ。今一度、妾の呼び声に応えけれ」
*
央都ヴァルガナウフの西側から広がる樹海。
「よくよく考えてみりゃあ、央都から西へ波打つ蛇みてーに広がってる樹海を
この人数で調査しねーといけないっつーのは酷じゃね?」
「エルゼス、被害が出ている場所は既に地図で印が付いてきている。それに、
私達には」
「野外探しのエキスパートがいるのです」
エルゼスが難色をつぶやこうとしたのをヒビキが重ねて意見し、セルアが
はちきれんばかりの揺れる胸をエヘンと張る。その胸の揺れに反応しセルアに
飛びかかりながらベルクが言う。
「被害があったと言うのは央都の付近、央都が狙われていないのが不思議な
場所なのだよ。お分かりかね、後輩君~」
「いや、姐さん。先輩としてのへったくれも何も今はねーですよ。どこから
どう見ても…まあ、それはともかく」
少し木々の間を除くように体をかたむけながら、エルゼスは右手に付けた
ソル・ヴォルグの重さを確かめる。そして
ヒン…ヒンヒン
ソル・ヴォルグの分離武装格納場所から幾つかのそれらが宙を舞う。それは
エルゼスの合図を待つようにていたした。そして
ガサ…ガサササ…
その音と影はわずかながらもエルゼスの耳に届いていた。かなりの知性を
持ち合わせているらしく、音はごくわずかだった。しかし、エルゼスの耳は
その距離を特定できる所にまでその影はせまっていたようだ。ただ1つ、
エルゼスは言う。
「やれ」
合図と共にその場所を攻撃し、敵の姿をさらけ出す。その影は出てくるなり
【エルゼスにも理解できる言葉で】言った。
『来たようだな…!覚悟して貰おう!!』
「こいつ…!!」
ソル・ヴォルグから刃状の光が固定化される。現れた影は頭部にある鋭い
【それ】をなぎ払うように頭を振った。
ブンッ!!
ガキィイン!
ぶつかり合う。火花が散り、互いに距離を取る。現れたのは赤い角をまるで
宝石のように輝かせた巨大な馬だった。ワイヴァーンの半分程度の大きさが
エルゼス達の前に立ちはだかる。
「こいつが!?」
「ゼス君!」「エルゼス!」
「下がっててくれ!何とかできそうッス」
「まったく君は…」
『中々の御仁と見受けるが…!』
再度、互いの得物が火花を散らす。
「野郎!」
(できる…!)
相対して分かったエルゼスだが、ネーペルリアやエアリシド程とは劣るとも
勝らない実力を、巨大な体躯を持つ一角獣は手にしていると感付いた。
しかし、そんな相手にも互角にやりあえる確信が今のエルゼスにはあった。
エルゼスもこれまでの苦楽合わせて様々な敵と渡り合いその実力が本人の
自覚も鈍いままに伸びていた。その腕が今、振るわれる。
ブンッ!!
『それはオトリか?』
「よまれたかよ畜生がっ!!」
横なぎが大ぶりすぎたのを察したのか軽く身を引く程度で居住はエルゼスの
けん制攻撃をいなす。次いで放たれたのは
キュバァ―!!
一角獣の大きな胴体を丸々飲み込む太さの光の道だった。それは一角獣が
瞬間までいた場所の背後まで灼きつくしながら。互いに何度かも分からない
距離をとる。
ザッ!!
エルゼスは目の前の一角獣と戦線を張りながら言いようのない何か違和感を
感じていた。
(何だ…?偶然にしては妙なつながりを感じる。俺と角公は何か…何かしらで
つながれている?)
赤く輝かしい角がきらめいている。赤。かつて約束をした少女、鮮烈と言う
言葉が合う鮮血色の髪―そこまで思い出したエルゼスに声がひびく。
『その武器…そして貴様その髪は…まさか…』
「あ?何言ってやがる角公」
『私の言い分を感知しているのか…!?ここはひとまず退―「そんな簡単に
問屋がおろすとでも思うかね?」』
ビュイイィイイイイイォオオ!
ベルクの足が魚のそれになり中を遊泳するようにバケモノの進路方向へ
回り込む。
『なっ…!?』
「にょほほほほほ、甘い朝食べるアイスよりはるかに甘いざますよ!!
これなら通常3倍速の方も指先ひとつで真っ青でヤンス!」
『言っている意味のわけが分からないが、貴殿まで何故こちらの言葉を
把握している。貴様ら本当に人間か!』
「いやー、それについてはお宅こちとらやめたばかりで怪しいのですよー。
それはさておき」
苦笑のあと咳払い1つをして、ベルクは真剣な目で巨大な一角獣へ改めて
語りかけた。
「話が分かるなら率直に申し上げますがあなたには樹海付近の村落などを
襲ったと言う嫌疑がかけられています」
『嫌疑、嫌疑だと!?この央都へ急いで駆け付けて来た私達を!本当に人と
言う奴らは小賢しく面倒な奴らだ。命は十人十色とでも言うのか』
「私達、ですか…?あのお角さん、他にどんな子が…」
「ウッホー!」
セルアの問いに聞き覚えのある鳴き声が樹海の上方よりひびいた。セルアは
その鳴き声の主を呼ぶ。
「ヨブムー!」
「ウホッホ!」
ブゥウワッ
その影はセルアやエルゼス達の前へ降り立つ。ベルクもヨブムーの近くへ
歩いてきていた。そんな特務隊に対し、一角獣は言う。
『やはり、あなた様がこの子の言った黒巫女の申した子でしたか』
「え?」
「お?」
「黒巫女…お姉さんの事を知っているのですか?」
『いえ、こちらの話です。余りお気になさらぬよう願いたい』
「YO!! また会ったな魂の友よ!!」
「ウホウホウホウホウホ!!」
喜んでいたヨブムーは胸を叩いた後、妙なジェスチャーをしながらベルクへ
話している。
「ウホウホ」
「お、4本角に6本指?と言うとあの隠しボスみたいなあの方ですか?」
「ウッホ」
うなずいた様子からみると、彼らを呼んだのはエアリシドのようだった。
『仲が良いな…まあ、その小童が説明した通りだ。私達は彼女の願いを聞き、
今この央都へ向けてはせ参じた次第なのだ。途中で明らかに悪意ある者達が
いたので排除はやむを得なかったが…』
「彼―ええと、彼で良いか。彼は何と?」
「(隊長が言い分を分かっていない…と言う事は)お姫さんから何か願いを
聞いてやって来たらしいです。て、ことは…」
「どうやらそのようだな」
うなずいたヒビキの顔はより険しさを増していた。
「私達ははめられた可能性が大きいわけだが、ね」
「って事は?」
「良い反射神経だ。全く…ずい分と謀られ、踊らされたようだよ」
エルゼスは話をしながら左手に首を狙って鋭く飛来してきた矢を持っていた。
その矢は即座に折られ、エルゼスは飛来してきた方をにらむ。
「無事か、エルゼス」
「問題ねーですよ。それより、いきなりご挨拶っすねぇ。数年ぶりの再会が
台無しじゃねーですかい?」
「―?ゼス君?」
セルアはエルゼスの言い分に奇妙な懐かしさを感じた。エルゼスにとっては
どうやら知人らしい。そして、そんなエルゼスの言い分に反応した返答も
やはり、知り合いらしい言い分だった。
「お、お前は…まさか…?」
硬直しているのはかつてと同じように大剣を構えたアルメド。杖を向けるよう
構えて樹海の影から出て来た女性、アローナも顔を青ざめている。
「よう…5年ぶり、ぐらいですかい?冒険者のあんさん」
そしてエルゼスがにらんだ先には。片腕全体をを機械仕掛けにし、今にも腰が
抜けて倒れ込みそうな弓持ちの男、レヴリーがいた。
―act23に続く―
いやはや、遅れて申し訳ありません。ここで出てくる一角獣は強さをこのactで
アピールしとかないと他に活躍場面が少なくなってしまうので…また、彼の
強さはエアリシドの人間形態やネーペルリアとそれなりに渡り合います。
次回投稿は20日以内の投稿を考えます。目標は18日以内です!!
それではお楽しみに




