act11(後編:それぞれの空で「それぞれの道で」
おくれた上に少し短めです。
ちょっと耐えかねて自分からBAKUROするターン!感想とか意見などは
随時募集してます。処女作だからか、こんな不定期更新になってますが
これからも楽しい読書の時間を提供したく頑張る次第でございます。
ではでは、今回も楽しい時間を
「本当にご苦労だった…」
「責務を全うしたまでです。それにそこまで苦ではありませんでした」
「頼もしい事だ。良い部下に恵まれて嬉しいものだよ」
「勿体なきお言葉です」
普段企みごとを常にしているニアテルスも素直に目を細めて安堵していた。
今回の件は間違い無く帝国内では両の指で数えられる―脅威:きょうい―の
1つだったが、奇跡的に
機龍の修理、補給が緊急で行われている拠点のそば、組み立てた天幕の中で
会話は続く。
「少佐のご容態は?」
「周りを囲まれているのにビクビクしてたがいつもの事さ。何も覚えては
いない分、こう言う点は楽だが、ね」
恐らくニアテオはアスカレナに止められた事自体憶えてはいないだろう。
機龍の方を相当壊した事におびえたのか、普段人付き合いがない分周りを
囲まれた事におびえたのか。はたまた両方なのかは定かではない。そして
アスカレナは機龍の補給が済み次第イアシェへと向かう必要がある。
今回のさわぎに関した始末書は、特務隊と共に央都に帰還してからだろう。
そのアスカレナが乗っていた機龍にある魔力の充てんも先程完了していた。
アスカレナは天幕を出る前に、ニアテルスに1つたずねる。
「ニアテルス様、本当に大丈夫ですか?」
「?一体何が?」
具体的にアスカレナはこう続けた。
「お体には問題が?」
「ないな。何、―エルゼス:ヤツ―にされた事など後でどうとでもできる。
君のお気に入りのようだが、保証の必要はないだろう?」
「……はい」
間があったのは、―少年:エルゼス―もそんなものを必要としないだろうと
考えたからだった。最後に「では、また央都で」と敬礼した後、天幕を出た
アスカレナは歩きながら軽くうなるように悩んだ。
(恐らく、あの人に未来はそう残されていない。ましな所ならともかく、
これからニアテルス様がする事は…)
アスカレナはニアテルスの状態を【理解】してしまっていた。彼の企みから
降りるなら今の内かもしれない。だが、ニアテルスに付いていかなければ
彼女の目的も達成しようがない。頭に生意気な、しかし自分の事をお姉様と
呼び慕う誰かの部下や自分の従妹に当たる最近人を殺した少女の顔がよぎる。
(嫌な予感はしている…しかし、やると決めた以上)
「私は生き方を曲げる気は無い」
そう言い、自身が乗っていたテルラスクに配備されていた機龍の整備場所へと
歩いていく。それをある少女が茂みから見ていた。柔らかい小麦色の髪を
両脇のピンで丸くまとめ、ハーフパンツやそでの無い服と探険家のような
服装をした少女は事態が収拾した天幕の集まりである緊急拠点を見て呟く。
「フム、もう1ひねりくらいしておけばよかったかや?」
エアリシドだった。好奇心おうせいな通りすがりの娘として自分の仕掛けた
困りごとを作り出したのは他でもない彼女だった。手ごろな虫を軽く捕まえ
魔力を軽く吹き込んだのが今回の騒動となった蛾のバケモノの正体だった。
何故やったのかは文字通りニアテルスを狙っての事である。ニアテオと互角に
渡り合う魔獣をおいそれと出せば、この事態を収めに来るのは当然彼だと
エアリシドはそう読んでいた。そこまでは見事に予想通りだった。ニアテオと
怪物の戦いを目のあたりにした彼はどうする事も無く巻き込まれボロボロに
なるか、央都へ戻り―撤退:てったい―してきたという汚名を着るか。その後
ニアテオとバケモノ両方をエアリシドが軽くのして央都へ帰還させれば完全に
ニアテルスの権威は―失墜:しっつい―する。それが狙いだったのだが。
まさか、アスカレナが不利なニアテルスの下にこうも早く駆けつけるとは
思いもよらなかった。そこまで考えた所で。
「ん、そこに誰かいるのか?」
「誰かいるな…何だ、お嬢ちゃん?迷子か探検かい?」
どうやら見つかったらしい。エアリシドはあえて見つけた兵士達にほほ笑みを
残した後、林の奥へと踊るように軽快な動きで消えていく。人目が離れた所を
確認した後、自らの体を魔力の霧へ変質させてその場から消えた。
*
空を走る薄紫の影から時折けたたましくも快活なうなり声がひびく。しかし
「「…」」
それに乗る2人の人間は、普段の2人からは考えられない程に無言だった。
エクスドに搭乗する背中部は1人乗り専用だった。そんなエクスドにセルアが
エルゼスとどう相乗りしているのかと言うと。文字通りエクスドに乗っている
エルゼスの肩を握り、エルゼスの背後にある腰かけ場に足を入れていた。
セルアは何の気も無しに空の向こうを見ているようだったが、エルゼスは
セルアをとがめる事も無く考えごとをしていた。
エルゼスの心境は色々と悩みを抱えている状態だった。まだ1つのまとまりに
なっていない記憶を1つ1つ何か絵やら形やらになる様に組み立てるよう、
頭の中で考えている最中で。そんなエルゼスに何を思ったのかセルアは口を
開いた。
「ねえゼス君」
「…あん?」
内心でエルゼスは手を顔に当て空をあおいだ。返した言葉にふきげんそうな
雰囲気が何故か乗ったからだ。そんなつもりはないはずなのに。自然と自らの
魔力で作った手綱に力がこもる。そんなエルゼスの心持を知ってか知らずか
セルアは聞く。
「いつから、ヒビキちゃんの事。隊長って呼ぶように考えてたの?」
「―…あいつを踏みつけたあとかな、少なくともそう言わなきゃとは」
「あの准将の人?」
「そうだな、…で?距離だったか?呼び方変えただけなんだが」
「うん、何か距離を取ったように思えた気がしたから聞いたんだ」
「距離、か…」
ガシガシと片手で頭をかきながらうなり首をかしげるエルゼスに心配そうに
セルアは言う。
「そんな悩む事なの…?」
「いやなあ、考えちまうって。距離とかそんな今更な状態で、なあ。高だか
呼び方1つで距離を取ったように感じるかね?と。時折俺も先輩なんて何かの
ひょうしで言いかけちまう時もあるからな」
「そうなの?」
「―ニアテルス:アンチクショウ―の言い分認めんのもしゃくなんだけどな。
一応最低限の勉強は必要だろう、とは俺も思ったんだよ。今までそうなって
ないのが不思議なくらいなんだ」
「あたし達って強引にヒビキちゃんの隊に入れられたんだっけ?ええと…」
「セルアはホントあのお姫様メチャクチャだって思わねーか?本来なら俺と
セルアは1年だけだけど―ティスフィーブル:あそこ―にいられたんだぜ?」
それはエルゼスの素直な考えだった。1年そこいらでこの国で何か大きな
事が起こるとは思わなかったからで。
事実、入学した当初こそ忌子であると言うことや貴族であるノレットとの
ケンカなど波乱ばかりだったエルゼスの学園生活も本人に下手に触れなければ
害は無いと理解した大勢やヒビキが信を置いていると言う事実もあって、
何事も無く穏やかに過ごす事が出来た。その間こそ、帝国内に反乱分子が
入っている事やエルゼスの身に異常な事が起きかけた時もあれどそれを除けば
問題無くもう1年をエルゼスとセルアは―機龍軍高:ティスフィーブル―で
過ごしていただろう。1年後れてもいいからヒビキが入る軍部に追い付くよう
自分自身を鍛えようと考えていたのだ。その上でセルアと彼女の許へ行くと。
そんなエルゼスやセルアの背中をヒビキの下まで押していったのがこの国の
女王にて魔姫のエアリシドだったのを2人は忘れていない。そんなエルゼスの
言い分に対してセルアはこう返す。
「あたしは…深く考えないようにしてたのかもしれない。だって、皆が皆
知ってると思うけど…あたし、頭良くないもの」
「俺でも知ってるものな」
「でもそんなあたしでも思う所はあったよ。あたしとヒビキちゃんとゼス君、
3人一緒なら何でもできるって。だから、3人でいけるのならどこでもいいと
そう思ったの」
「でもよ、セルア。俺らは1年後れてでも隊長…先輩に追い付けばいいと
思ったんだ。それを自然と流したのは何故だ?」
「お姫様のはそれを早めただけ。そう考えるようにしてたんだ」
エルゼスは内心でやばいと思った。しかし、もう遅い。話が変わる。セルアが
きっかけを作った。今エルゼスはセルアがどんな顔をしているのか見えない。
と、エルゼスが思っている間にセルアはたたみかける用に続ける。
「他に、意味があるんだよね?」
「…」
「ゼス君。お願い…話してくれない?えと、聞かない聞こえないはしないし、
多分…怒んないから」
泣きそうな声で言われた。エルゼスはふと思う。
(この泣き虫)
だが、セルアが泣くを知っているのはエルゼスとヒビキの2人だけで。今
セルアのそばにいるのはエルゼス…と一応エクスドしかいない。そして
「無責任言うよなあオイ。ったく」
エルゼスはセルアのこう言う部分が苦手だった。彼女の弱さを否定する程
エルゼスは非常識ではない。が、そういうのを認めない程にエルゼスは世界を
さつばつと見てはいなかった。その結果
「じゃあ今度はこっちから聞くけどな、お前さ。家族とかどうなってんだよ」
ある意味彼女が思う復しゅうの核心に触れる爆弾をぶしつけで投げつけた。
その結果。
「………」
ギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!
ジト目になったセルアはエルゼスの髪を2つだけ握り伸ばした。エルゼスは
わめく。
「話だけでも、話だけでも聞けってなあオイ!?」
言葉で何を言おうとするか迷ったセルアに先出しでエルゼスは更に続ける。
「父親なんていない、は無しだからな?」
「むー!ゼス君の意地悪!」
どうやら言おうとしていたらしい。そして更に考え込むセルアに今度は
エルゼスの方がたたみかけるように続ける番だった。
「そんなに親がにくいか?仮にも血を分けたんだろ?うちの妹でさえ俺に
対してのバトウは少ない方だったぜ?」
「バトウするのがデフォなんだ!?じゃない、正直に言うけどゼス君にも
何が分かるっていうのよ!」
「ふみ込ませてもらう形で悪いが、オレとセルアの違いはそこだろ」
「!」
同じ復しゅう者。しかして、対象が大きく違ってくる。片や肉親、片や親を
殺した相手、そして自分を痛めつける方を作り出した元凶。ただし前者に
加わる内容をエルゼスは言い当てる事にした。
「母親でも見殺しにしたとか、か?」
「―!?何でそれを?」
「伝手がどこから、ぐれーはお前で考えろよ。考えなくても分かるもんだと
思うけどな」
テルラスクを訪れ、現地の人と話して。セルアの事を訪ねないエルゼス達では
無かった。そして、2人の和解を願う声をエアリシドからだけでなく彼女が
生まれた場所での住人達から任された以上エルゼスに選択できる道は1つと
決めていた。
「だから人様の髪を変に伸ばすないじくんな…」
「む~余計伸ばした後だから直さないといけないんだよー」
「まあそれで気も紛らわせるならいいけどな」
エルゼスはテルラスクの―邸:やしき―を預かっていたらしい、セルアの
小父から話をありのまま話した。
『あいつがセルアを覚えていないなんて事は無いんだろうよ。確かに前に
この街来た時はおかしかったぜ。あれはまるで別人だと、な。そうなる何か
理由がなきゃ人はあそこまで変わんねえとおもうんだ。…オレからも言うか
迷ったけど、あいつはあいつの女を少しでも救う為に何でもしようとしたよ。
それこそポッと出て来た妙なお嬢ちゃんの話に乗ってでも意気込みで、な。
…でなきゃ、オレらにあるもんを指示するわけ無いしなあ』
「ある物って?」
「何だろうな。そこまでは聞けなかったし、送った後らしい」
「その上で閉ざした心なら納得するわけにいかないにしても、あの男から
話聞くのを止めたら本当の【それ】はどうにもならないんじゃないか?」
それでも、セルアの中にあるそれは根深い。これが彼女自身だけのモノなら
まだよかったろう。セルアが背負っているのはエルゼスが言った通り『もう
1人分』も含んでいる。結果、セルアはこばむ様に言う。
「ウソ!嘘だよ…それに、あたし相手にあれが話なんて」
「やったのか?」
「やった上であれは次会った時に終わりだと思ってたのに!ゼス君だって
知ってるでしょ!?あんなのは―」
「俺ん所の親父は口下手でな」
「―…?ゼス君?」
「俺が3歳の時におっ死ぬ時まで両の指で数えるほどしか話もしてねえ。
けど、本当に色々なことを教わったんだ」
エルゼスはエクスド越しに眼下で流れる景色を見ながら言う。
「『倍返し』、『女は選べ』、『泣いた分強くなれ』。んでもって―『世界で
つながりが無い点は無い』。関わりのないモノや経緯なんてねーって事だろ」
「何か…チューショーテキだね?「だな」」
「行動ってのには理由がいるだろ。俺たちゃそこらのバケモノじゃねえ。時が
どうとか記憶がどうとか以上に流れる命の源がそんなに安いのかと言ったら
あまりに―」
―趣味やら性質が過ぎる―。エルゼスはその言葉を飲み込む。
そこで2人の会話は途切れる。その後に口を開いたのはエルゼスだったが。
「だからな…頭のワシワシはもういい加減やめてくれねーか」
「えー」
「さり気なくやってたよなあ。…あんまりやってると軍曹の姐さんや隊長に
ジト目されるぞ」
「てへ」
「などと反省する気無いようだからチクリ決定な」
「いいもん!ここにはゼス君とエクスド君しかいなかったし。ねー、エド!」
ガル?
まるで「え、オレ?」とでも言うかのようにエクスドがエルゼス達の方を
見た。その後「クァー」と何かあくびでもしたかのような声を上げつつ頭を
ゆらゆら揺らし始めている。魔力で出来た手綱から伝わってきた思念は何と
あきれだった。
「前方見ててくれよ、頼むから…と?」
既に村落が見えていたようだった。ゆっくりとエクスドが降下していく。
広がっていたのは一見本当に何も無さそうな田畑を並べた村の景色だった。
*
「して、急ぐ旅ではないわけですが…」
レフィーアが話をしながら止まる。アタイ達も足を止める、と。
ピタッ………………ザッ…
足音もある程度殺しているらしいが、アタイ達からですらどう考えても素人の
してる事にしか思えない足取りだった。付けているのは分かっていたが、
アタイ達がするどいのか相手がこう言うのに不慣れなのか…何にしてもこんな
マネされて無事に逃がすつもりも無いねぇ。そう思っているとレフィーアが
遠目に何か見つけたらしく話しかけて来た。
「この辺は見晴らしもいいですね。特にあそこの林から伸びる坂みたいな
所は」
「そうさねぇ」
成程、あそこに誘い出そうって話かい。アタイは後ろの2人に手で『一応』
合図を送っておく。
恐らくレフィーアもこの2人をそこまで信じているわけじゃあない筈さね。
けど、アタイと違ってレフィーアは実際強じんな力や魔力どころか、この前
アタイ達の主に盾ついたコゾウ達ほど速さがあるわけでもない。頼れるものは
頼らなければならなかった。それにそうすれば数の理は恐らくこちらにある。
やや後ろから来る足音の数がそう教えてくれていた。囲んだ後は楽しいことに
なりそうさね。そう思いながらアタイ達はあえて足を速めて林の中に入り、
隠れる。案の定、後ろからついてきていた連中はアタイ達を見失ったようだ。
「くそっ!どこだ!?」
「いけない……足あとがまだ新しいわ。この辺にいるはずよ」
「わ、悪い…2人とも…簡単な仕事だと思ってたのに…」
「「…」」
「ふ、2人は帰るなら今の内だろ!?だって、こんな情け―「ふざけるな」」
「オレはお前を信用してる。だから、そういう事言うな。10年くらい前の
事からも言った通り、オレ達はずっと組むと決めたんだろう?」
「例えあれが、あまりに非道な事でも…あなたには何か考えがあった。違う?
それとも今まで―「違う!違う…!!常に考えてる…考えて仕事うけないと
それこそ身を滅ぼす…もうあんな目には…」分かったから落ち着いて…」
いい話のようだが怒りでこぶしが震えるのを同じ茂みに隠れたアイハウトが
気まずそうに見ている。アタイとしちゃ当然だ、何だいありゃ…アタイ達の
始末が簡単だと言いたいってのか!?と、思う時にアタイの腕にはめていた
腕輪の宝石が小さく光をともす。レフィーアの合図だった。この腕輪は2つで
1つの魔法道具で、然るべき入力装置を押すともう一方の宝石が光るという
合図を送ると言う一般人でも流通している代物だ。軍のものだと、光る色も
何種類かありそれで更に合図を明確化すると言うのもあるらしい。それは
さておき。
レフィーアが送ってきた合図でアタイとアイハウトはしかける。アタイが
砲盾で彼らの前に躍り出ながら足元に撃ち出す。陣形や体勢を崩させる狙いは
上手く成功するどころか、浮き足立つ3人の中で腰を抜かした奴までいた。
ちょろいもんさね。アイハウトはローブを着た魔術師風の女性の杖と手持ちの
―曲刃:サーベル―で切り結んでいたようだ。―こいつ、義足にもかかわらず
とらえられなかった…!?
アタイはそう思いながらも表情に出さずに大剣を背負っていた男へ砲盾を
向け―て少し待たないといけないようさね。弓をもつ男をかばう様にワキに
抱え、女性のもとへ駆けつけようとする男の後ろに出現したレフィーアが
クナイを逆手に持ち、胸当ての付け根を狙い、切った後に背中をけり付けて
敵後方をふさぐ。
両の手で逆手に持ったクナイはうまく破壊しつつ男の肩にも裂き傷を付けたが
浅いようだね。だが、それで上半身の防具はガバと音を立てて落ちる。そこに
アタイが砲撃を放つ。が―ヤツ、血を噴き出した腕で持った大剣でその砲撃を
受け止めた。思った以上に腕は持っているようだ。が、
「はっ!?」
男が気付いた通りアタイ達が前後をもう包囲している。レフィーアが降伏の
進言をして詰み、だ。
「大人しくお縄に付くなら―「ちっ!!」え?」
「な―レフィーア!?」
ブワァン!!
大剣持ちが得物をブン回した。仲間の形振りさえ構わずってのかい…!?と
そう思ったら他の2人は体を伏せていたようだ。何の示し合わせもせずこの
動きをやったのか…アイハウトの方は無事だが、レフィーアの方には―!
ガバイイイイィィィイイイン…!!!
予定外に予定外の幸が起こったのは良かったと思うべきか。レフィーアの
となりにいたイノ公がレフィーアの前に立ちふさがり、盾で受け止めた。
「…」
「あ、あの?」
レフィーアが何か声をかける前に、ペールとか言ったイノ公が盾を突き出した
姿勢のまま、大剣を大振りした男に突進していく。あいつ、レフィーアを
かばった…?……貸し1つか。チッ、粋なイノ公だね!
ただ、大剣の男がやってくれた大回転振りでアタイ達の方に道が開けた。
男は女性と弓持ちを両脇に抱えて駆けだしている。
「野郎!待ちやがれ!」
「逃がすか!」
アタイがそう言って砲撃するが、あいつらの行く先に逃げ場はない。あるのは
丘と言うには少し急な坂だ。そも、あいつらはそこでアタイ達を追いつめる
為に来たはずだが…
「まさか…」
あいつらを追うアタイ達に追い付きながらレフィーアが呟く、高い坂の先に
見えた大剣持ちの男は…なんとその丘から飛び上がった。何てヤツさね!?
アタイ達は草原を逃げていく3人を丘から見下ろすしかなかった。流石に
アタイ達は同じような真似はできない。レフィーアがあいつらを見て呟く。
「戦場を知っている動き、でしたね…」
「追うかい?」
「泳がせるのがいいとも思いますが…」
「考えがあったかい。口出してすまないね」
基本的にアタイはレフィーアに考えがある場合は引こうと考えている。それを
いつもレフィーアにとがめられるのだが、事実【アタイ達】はそうして今の
結果や日々に納得している。それこそアタイは求められた時以外は余計な口を
出さない方がいいとバカなりに考えた結果でもあるし。
「あの、肯定的なのは助かるのですが…」
「オレら考えるの苦手なんで。そこはパスで」
「意見が合うさね。レフィーアなら何か考えてくれると信じたいさ」
「んだんだ」
まあ大変そうなら、アタイがそばに行けばいい。今もその考えは変わらない。
それともう1つ。思い出すものがあったのでアタイはレフィーアに訪ねた。
「あのさ、レフィーア。まだアンタは…」
「今は何も言わないで下さい。…とりあえず引き返しましょう」
そうしてアタイ達も林を引き返した。次にアタイ達が向かう所は…
―act12に続く―
何故、加筆が丸々1日おくれたと言う…(がっくり
本当に済みませんでした。(現在
次は1週間後(4月11日)を予定しています。お楽しみに




