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act8:彼と彼女の町へ「根深き感情と糸口」

第8actでございます。実はまだこの帝国激動、半分もいってないんだぜ…

少しずつ伏線を一まとめにしつつ次回Stage用の伏線も見落とさず

拾っていければいいのですが…ヒビキのワイヴァーン3Dイラストといい

しっかりせねば!ではでは、今回も楽しい読書の一時を



注意!:今回も一部15才未満の方々お断りな残酷な表現が文内にあります。

14才以下の方や上記の内容に嫌悪・抵抗のある方はページを閉じるのを強く

すすめさせて頂きます。


「イェス・トラスパロ。何故彼の御仁の名がこの資料に記されている?」

「いえ、それは…トギル少尉殿が『それは断じて不備ではありません。

間違いは無いのでその点は不問とするように』…と」

「益々分からないものだな…誰もが知っている英雄なのは確かだろうが。

その名を継ぐ者が現れたとでも言うのか?しかも、よりにもよって少尉と

すり変わった犯罪者が?」

村落の者達への対応をあえて駐軍していた者達に任せた私は軍内の資料が

改ざんされていないかどうか見ていた。そして書類の最後についた名が先程

私が口にした者の名だ。


私は他に駐軍所の者達へ指示を飛ばすもう一方でトギル少尉…とすり変わった

者が扱っていた書類資料へ目を通していた。細かく見れば不備には気付いた。

が、あえて何とも無しに後で特務隊の3人に寄こす事にしておく。試すのが

私の仕事の1つだからな、こう言うのはあまり好き好むものでもないが。そう

思いつつその名が刻まれた書類の右下、確認者のネームサインを見て改めて

思い出す。


イェス・トラスパロ。十数年前帝国がアナファルジャに向けて先陣を切った

豪将であり、その戦役で多大な戦果を出し歴史に消えた人間の名だった。

一説によれば最初に我らが帝国の機龍―ワイヴァーンを駆った私達軍人の

憧れの1人であり、消息はアナファルジャで最後に制圧した都市。そこで

炎吹き荒れる町の中で抵抗を続けるアナファルジャに残るだろう最後の軍の

―許:もと―へ単身身を投じ…戦闘の結果、息を引き取ったとされる。死する

最後まで戦った武人。


かの方の死を看取ったと言っていたのは…とそこまで思いふけった所で私が

借りていた駐軍所テントの一角に何人かが近づいてきたのを確認する。私の

問いに答えた軍人も「あの…すみません、失礼した方がいいでしょうか」と

遠慮がちに言ってきたので承諾し下がらせた。その後、私はベルクと特務隊の

3人へ向きあった。


「中佐、ただ今戻りました」

「軍曹、それに特務隊諸君。処理を終えて来たのか?」

「ちょっち余計な手間もありましたが、まとめて終えてきましたぜ」

「手間、とは?」

「村の子供にテロリストが入ってたみてぇで、さ。本人は逃がしやしたが

潜伏していたのは始末しましたぜ」

「何?」

「死体を確認しますか、中佐?あたしがやった1人は5体満足ですけど」

「な…!?」


私は不覚にもおどろき、セルアの方を見てしまう。いつもの彼女と変わらない

穏やかな表情で、少しあどけなくセルアは私を見返してきた。だが、そんな

反応だからこそ私はおののいた。セルアが、人を殺めた。私の妹分がそうして

私の前で平然としていると言う事に動揺してしまった。それを察してしまった

セルアやクォーレ少尉がこちらを見てこう話してくる。


「あ…えと…」

「中佐。…すいやせん…?」

すぐに私は落ち着き、かぶりを振りながら2人に返した。

「…謝る必要はないぞ?」

「セルアに1人相手させたのは俺達です。やらせた責任があると思ったので」

「とっさにそうなっただけなのだろう?」

「た、確かにそういう対応となってしまったであります。ですが…」

「奇襲では無かったと?」

「ある意味では伏兵による奇襲です、中佐どの。ある意味でなのだが…」

「ならば仕方がない。軍人である以上自衛で殺す権利はある。…先程不覚にも

取り乱したのは申し訳ない。私も人だったようだ」

そう言いながら居住まいを正し、私は話を変えた。こちらもするべき事は

しておかねばなるまい。

「それより、話は変わるが。1つ歴史の勉強といこうか」

「「はい?」」「?お姉さん…?」「うむん?お姉様?」

「お前達…」

セルアのお姉さんもともかくとして、イタガキ軍曹の呼びかたは本当に他の

女性軍隊員も含め何とかならないものか?そう思い何度目かの嘆息をした後、

こう聞く。


「さて、今より15年ほど前。他国の崩壊を持って集結した」

「アナファルジャ戦役」

「早い返答、見事だなクォーレ少尉。では、君に続けて聞くとしようか。その

戦役において最後のアナファルジャ国内の街を破壊した英雄の名は?」

「確か…イェス・トラスパロって言うのですかい?」

「見事だ、というよりすまない。君は確か機龍軍高に最短在籍だったな…」

「あー…まあ読書は独学でもやってたんで(危ねぇ、姐さんの機龍内で読んだ

―フレミル:あいつ―本にあってホント良かったぜ)」

「さて、「はい!」テルラスク伍長」

「南西でーす。ワイヴァーンを初めて部隊実装って言われてるのですっけ?」

「素晴しい答えだ。そこへの進攻で命を引き取った英雄なのだが…彼について

少し気になる事が、駐軍所の書類で分かってな…」


書類を4人の前に出した。すぐに見た結果で、クォーレ大尉と姫君の顔が

ピクリと動く。もう気付いたのか?全く有能なのは戦闘能力だけではないのが

―特務隊:ここ―の利点だとつくづく思わされるな。

「この書類に確認サインをしたのがその死した英雄なのだそうだ」

「「はいぃ!?」」「―?」「―」


お化けを見るような顔で目を白黒したセルアとベルクは…女性である私や

姫君から見ても可愛いものだな。…2人とも彼氏とかいるんだろうかと思うと

うらやまし…オホン!!!!!2人の反応はともかくクォーレ大尉と姫君は

どこから出したのか別の書類と照らし合わせ真剣に書類を2人で見比べつつ

「隊長、どう思いやす?」や「これは…これらは確保しておかなければな」と

話している。思いっきり首をかしげているセルアと軍曹には悪いがしばらく

待つか…と思い、少し2人に自由にするように合図しようとすると。


すっ


イタガキ軍曹が私の前に出て来た。何か話があるようだ。

「中佐。後で話があるのでありますよ。…よろしいですか?」

「今ここではまずい話か、軍曹」

「はい」

「分かった。この調査中に時間を開けるか」


私の返答に礼をしたイタガキ軍曹は妙に悲しい顔を姫君やクォーレ大尉に

向ける。何だ…?と思っている内に話し込んでいた2人の話す内容が「俺でも

おっさんから聞いてやす。そいつは…」やら「そうだな…ならこれは」と

言う風にまとまってきているようだった。そろそろ声をかけ時だろうか。


「2人は何か思う所があるかね?ヒビキ特務隊長どの?」

「今の所は仮説でしかないですが…よろしいですか?」

そう前置きしてくる姫君に私はうなずく。うなずいた私へ特務隊長どのは

次のように続けた。


「そのネームサインは、暗号なのでは?テロリスト組織の」

私と―憶測:おくそく―は同じようだった。


…さて、これから先向かうか所は本命の―要塞都市:イアシェ―まで含めまだ

4つある。どれ程の蛇が我々の足を止めに出てくる事か…


そしてニアテルス様がいる央都での準備は順調かどうか…



「足で地面を思いっきりふんで体重込めろ。で、相手なぐるギリギリの時に

こぶしを思いっきり握るんだ。やってみな」

「分かった」


パン!!


かわいたいい音がエルゼスの手の平で鳴った。


エルゼスはケンカの仕方なら―故郷:フォルデロッサ―で意地でも覚えた。

キロメでも知っている村とも言えるあの街のルール、今は亡き父に連れられ

戦乱時代の冒険へ出たアエルードから教わった【戦い方】。その2つをまだ

エルゼスは覚えていた。


「持つもんで直接叩く時は大体今のやり方が強ぇ。手ごたえを忘れんな」

「分かった!」

昨日、駐軍所で起きた事件があったからか、エルゼスから言われた手ごたえを

覚えたのか。村落に来て小屋の場所を教えてくれたこの少年はずい分素直に

エルゼスの言った言葉にうなずく。それを見てエルゼスはうなずいた後、1つ

たずねる事にした。

「お前大丈夫なわけ?親共に怒られるじゃねえの?あと、俺らは今日の内に

ここを出る事になるし」

「そうならなおさら今日しかねえじゃねーかよ。あんちゃん達があいつらを

ぶちのめしてくれたんだろ?」


エルゼス達はアスカレナの元へ戻った後、レイアからの贈り物だった村落の

各施設経費書類と軍内の補給などの経費書類に対し計算見直しを行った。

ただ、計算をしているだけのエルゼスに遠目から見ながら陰口があったのを

エルゼスは聞き逃しも、忘れもしなかった。


『見て…あの子、2色髪よ…』

『やはり軍は信用ならないな…―忌人:あんなの―を置いた所で百害しか

ないだろうに。おい、家の子たちをあれに近づけるなよ』

『全く手間をかかせる疫病神め…はいはい、ただ今こちらは封鎖中です』


(見るだけで害毒扱いかよ。俺以上のクソはここにもそこにもいそうでいっそ

清々しい程だなオイ)


そうエルゼスが思った翌日の昼前から子供が軍部にいるエルゼスへ訪ねに来て

騒ぎが起きなかったわけではなかった。しかも、とんでもない事件だった。


まず子供を追いかけて来たらしい親が子供が会いに来たと言うエルゼスに対し

あらぬ事を言ってきたそうだ。親が言う事にはこの村落で昨日の事件が起きた

一番の原因がエルゼスだったと、何をどう考えたらそうなるかも分からない

とんでもない言葉を軍に文句のように言ったらしい。ただ、そんな証拠も何も

無い言葉を言った所でどうという事は無かった。問題なのは聞いた駐屯中の

軍が下した対応だった。


そんな村の親の言葉を受け、軍はエルゼスを即刻駐軍所含む村落周辺から

追放するよう動き出したのだ。最悪、エルゼスと会えば半殺しにすむ程度で

済んだかもしれなかったが。


ただ、もっとまずかった事態になったのは。とんでもない爆弾を投下したのは

いつも通りセルアだった。彼らがそう決意した現場に彼女はたまたま散歩で

立ち会ってしまった。セルアをお嬢様といいながらも、『あのような忌子と

共にいるとは嘆かわしい』や『あなた様やご友人はあなた自身が汚れるのを

いとわないのか』という親達にセルアはまるで汚いものを見る目で次のように

言い返したらしい。

『目がいらないの?そんな汚い風にしか見れない目なら自分から取っちゃえば

いいのに』


そう言ったセルアに後ろから(様々な意味で)手を上げようとした軍人が1人

いたらしい。ただ、その人物から変化―事件は起きた。


いきなりその軍人の両目がドロリと黒い液体をまき散らしながら落ちたのだ。

それを見た誰かが「え」と言ったのを切っ掛けに、その場にいた大半の人間が

同じようになったらしい。セルアも目の前で何が起きたのか信じられなかった

らしく、誰もが目を落とし絶叫するその場の人間達から視線を全くそらさず、

口をおさえペタン…と雨が降るように広がる黒い水たまりの上へ座りこんで

しまったそうだった。


アスカレナが駆け付けた時にはセルアとエルゼスを疎んじてたらしい大人達が

黒く広がった水たまりにうずくまっていた。誰も彼もが何も見えないと嘆き、

黒い液体を血の代わりに眼球が取れた顔から流していたらしい。


『昨日の今日、だからか…後、君が嫌われていたのが理由とはな…』

セルアをおとぎ話の王子が姫を抱き上げる様に抱きかかえてエルゼスの元へ

連れて来た、アスカレナが何か知ってそうな事を言っていた。


ただ少年の親に対する言い分は「とーちゃんやかーちゃんに言う事じゃない

とは思うけどよ」と前置きしながらも辛らつだった。


「言ってた意味は知らねえし分かるわけねぇだろ。ただかみの色が変なだけで

人をわるいヤツだってさべつしてるヤツの方が意味の分からねえバカだって

オレ思うんだけどな。ただ、父さん達どうなっちまうんだ?まさか…」


そこはエルゼスも同意するので、ただ肩をすくめるしかなかった。恐らく

エルゼスはその根源だろう男に復しゅうしてもこの扱いは帝国ではすぐには

変わらないだろう。そうエルゼスが考えていると「そんなことより」と

少年の方から聞いてきた。


「何コか聞きたい事あるんだ。あのむねに詰めモンでもしてそうなお下げの

姉ちゃんは?」

「俺達が出てく時に乗る乗り物の中で寝てるとよ。出発までにいつも通りに

なってりゃいいんだけどな…」

「だよな…。次なんだけど、あんちゃんはどうして軍人になったんだ?」

「ある野郎をブッつぶすため。後は…誰かを探すのに苦労しない身分でした

っつー経歴とかを取っとこうと思ってな」

「へー?けいれきって必要なん?」

「あった方がいいってガキの頃に言われた。後は仕事とかで色んな人とも

知り合えた、ってのもある」

「何か色々あんだなあ。じゃ、これで最後なんだけどよ…この前に、親の

ツゴウで遊びに来た子が今日になって何でかいないんだ。思えばどこに仮家を

作る事になったかも聞いてねえんだけどさ。どこ行ったか、あんちゃんは

何かしらねーかな?」

「…」

流石のエルゼスも言葉を失うしかなかった。その子供はビルオラだからだ。

「…?あんちゃん、どうしたん?」

「いや…何でもね。何でもねーし、ちょっと分かんねーな」

「ふーん」

どうやら少年の方はエルゼスの返答で何か察したのか、それだけ相づちを

うった。その時遠方の方からベルクの「エル君やー、準備できたどー」と

いう声が聞こえて来た。


何にしても特務隊と監視役である2人は今日中にはこの村落の調査を終え、

出るはずだった。それをいらぬことで混乱を招きかけた駐屯軍や村落から

子供を止めに来た住人達は自業自得だったと言える。そう言った話を気にせず

エルゼスは最後まで特務隊としての仕事をしようとしてたわけだが。


『仮にも君をしたってきた者もいるんだし、ここは一つヒマを寄こそう。何、

中佐どのには言ってあるし、ゆっくりしていくといいそうだ』


そのヒマも終わりのようだった。エルゼスは最後に少年へ行った。


「ぼちぼち行く時間らしい。お前らも達者でな」

「おうよ。兵隊のあんちゃん、色々ありがとな!」


こん


軽く握りこぶしを作りぶつけあってエルゼスと少年はわかれた。



エルゼス達が村落を離れた日の夕刻、機龍内の奥にある補給物資搭載部で

セルアとエルゼス、ヒビキは夕飯を物資入れから取り出していた。

「そう言えば」

といいながらヒビキが話を切り出す。

「次は君の家名で、生まれたあの都市に行くんだったな。セルア」

セルアの表情がみるみる冷めた氷点下になった。

「うん、2人が言う通り。あたしが治めるはずだった所だよ…そしてあれの…

ううん、あれが…っ」

「おっと」

エルゼスがセルアの手から握りつぶれそうになる食料を抜き取る。エルゼスは

「まあ落ちつけって」と言いながらヒビキへ軽く目配せした。それにヒビキは

うなずく。


「お前さ、そこまで自分の親父をうらむ理由って何?」

「あれが、あたしの―ううん、男として、人としての最低限するべき責任を

投げ捨てたから」

「分かってるか?俺も分かってるけど、そんな事してもやる俺ら自身の気が

済む程度しか利点ねーぞ?」

「そうだね、そんな事して何がどうなる事も無いはずだよね。むしろそれ以外

あってほしくないし、認めない」


「セルア、その事なんだが…」

「あいつはまだ、人としてお前の事を覚えているんじゃないか?」


何気なくエルゼスは確信に触れる言い方をした。セルアの復しゅう対象である

セヴァルが人ではないモノのようになっているからセルアはそんな彼に対し

復しゅうしたいという考えを暗に否定しようと遠まわしに言った作戦だった。


それに対するセルアの反応は次の通りだった。


「仮にそうだったとして、何なの?」

「セルア!!?」「―!?」


ヒビキとエルゼス、2人してセルアを信じられない目で見た。見てしまった。

それすらも気にしない程セルアの目は暗い感情で染まっていた。エルゼスは

理解できたかもしれない。この調査に出る事になった原因。魔物の暴走した

感情、憎悪。魔物に近づきつつある彼女はあれを受け止めて乱れながらも

理解しようとしていた。【それ程の容量を】セルアは【前から持っていた】、

という事を。恐らく、エルゼス達と会うその前から。2人がおどろくのを

見ながらセルアは続ける。


「2人とも知らないなら言うよ。あれにとって自分の持ってた義務さえ

どうでもよかったの」

「何だってんだよ、そりゃ…?」


エルゼスには、そう言った義務がない。義務というのをエルゼスは持った事が

無かった。だが


「それは……まさか!?」


ヒビキなら、理解できる。未来に統率者として立たなければならない立場の

人間なら。理解できてしまった。セルアの言い方でヒビキは察した。それを

セルアは肯定しながらこう続ける。

「そうだよ、ヒビキちゃん。あたしはあたしが生まれた北東地区統商都市の

領主になる事も無かった。ううん、それだけじゃない。あれを地主と言い、

少なからず思っていたおじさん達さえも、あれはどうでもいいって一言で

切り捨てたの」


セルアの腕が震えていた。そばには機龍の外殻がある。よく怒りに任せて

そこを叩かないな、とエルゼスはそう思った。


「あれは自分の持つ街ごと女王様に売ったの。あの町はあたしのお姉さんが

治める事をあれは知っていた。あたしと言う娘がいた覚えすら捨てたのに

その上で皆を小手先で利用して…!イタガキさんにどこを調査するのか

聞いた時点でこの調査にだって…」

「セルア、そこまでは」

「ヒビキちゃんに何が分かるの!自分の目的の為なら家族の命だって簡単に

見捨てるあれの何を分かるの!?」

そこで自分が言った事に目を見開いてセルアはシュンと縮こまる。そんな

セルアを横目にヒビキとエルゼスは顔を見合わせ同じことを思う。

((根が深そうだな))


エルゼスは知った。同じ復しゅうと言う行為にも違うケースやタイミングが

ある。エルゼスの復しゅうする対象はそれこそ外道だが、思い立ったのは

遠い日の幼なじみにあった頃から。セルアは多分生まれた幼い頃からだろう。

対象が違うだけでこうも違ってくるとは。そう考え中の2人を置いてセルアは

最後に「八つ当たりごめん…」とだけ残し携帯加工食料をお膳にある程度

つんで持っていった。2人はそれを見送るしかなかった。



体や思考に最近ガタがついてきているのが分かる。腕が震え書類を通す目が

色を認識しないようになってきている。


関係無い


そう思うだけである程度は和らぐが、またガタがくるのはいつだろうか。

だがそれも


どうでもいい


くり返す。まだだ。まだこのような所で終わるわけにはいかない。陛下に

命ぜられた。他の何を、自分の体や魂まで捨ててでも自分にはやらなければ

ならない事がある。


肉体がどうした。心がどうした。記憶がどうした。何も、どれ1つとして

関係無い、どうでもいい。どうなった所でどうという事は無い。問題は無い。


問題ない、繰り返すが問題ない。だから動くのなら動け、腐れ落ちようと

陛下が自分に命じた事が全てだ。奴らを、奴らの尻尾を掴むべく、演じ、

謀り、全てを自分自身の手中で動かせ。時間がないのは、この体も、奴らの

企みも同じなのだ。最後の―糸口:ピース―を手に入れる競争はどちらが

先か。全てはそこにかかっている。企みがどう言ったものかはつかんだ。

後はネズミどもが起こそうとしているさかしい手を始める正確な時間と場を

割り出せば―そこまで考えながら書類を片付けた所で声がかかる。


「失礼します、セヴァル様…そろそろお休みになられては?」

「意味がない。最早残された時間が無い事さえどうでもいい自分に今から

休め、だと?」


どうでもいい。もう、寝ると言った行動をとる必要性すら全く感じられない。


「失礼~、ちょい込み合ってる?…フムフム、あいよ。何か無茶とか何とか

そういうの通り越してるみたいね、ダンナ」

「だから何だ、このコウモリ男が。要件が済んだら消えろ。そういう

ものだろう、お前達の国の役職は」

「倒れでもしたらお互いそれまでなんだから無茶はいかんよ、無茶は」


とん


何か軽い衝撃が首に走ったが関係無い関係無い動け動くんだ動かないなら

そのまま死ね―



その暗がりにて明かりを受けていたのはビルオラだけだった。ビルオラに対し

光を当てているのは3つの水晶のような玉。、それを手に持っているのは

見た目清らかな尼僧の像だった。しかし、物言わぬその像が持つ光を放った

球から放たれた声はしわがれただみ声だった。


『おめおめと命拾いをして逃げてくるとは』

「言ってくれるじゃないか、ただの引きこもり共が。クソしか脳に入って

ないんじゃないかい?むしろクソだけで構成されてるか」

『貴様と一緒にするか、薄汚いドブ女が』

「低能なクソがほざいた所でクソはクソでしかないとはよく言うさね!!

アンタ達というクソは高見見物しかできない無能じゃないか!」


互いの利益で組まれた関係、にしても最早崩壊寸前に見えるだろう。事実、

嫌いあいながら仕方なく組んでいるのが明白だった。ビルオラは使い勝手が

ある手ごまを、その組織は世界の細かい動きを示した報告を。それぞれ

提供しているわけだが、どちらかが破滅すればもう一方も多かれ少なかれ

困る事はあるはずだった。だからこそ今互いの―罵倒:ばとう―だけで

済んでいる。


『全く無能なのは貴様も同じであろう!』『我々はただ見届けるのみ』

『今回はただの戯れ程度でしかないわ。捕まえた有象無象の魂をただ軽く

解き放っただけで万人をけ散らす兵にできるのならば、何の苦労は無い!!

問題なのは我らが真の裏切り者た要の小娘1匹すら捕らえられない事よ!

結果有限な世界の魔力を無為に減らしてからに!無様にも程があるわ!!』

「知った事じゃないさね、そんなに手に戻したいなら自分から見物してる

引きこもり場所で重い腰を上げてごらんよ!ああ、それすらできない程体が

動かないデクじゃどうしようもないかぁ!きゃは☆」

あえて最後に見た目のうら若い容姿と口調を合わせたようにして見せるが、

この場では火に油を注ぐ行為でしかない。しかし、光る玉から発せられた

返答は相当な強気を含めていた。


『貴様…今から死んでも代わりは我らの手で簡単に作れるのだぞ?』

「へえ、やってみりゃいいさね」

『いいだろう、次良き話が無ければ所詮は貴様なぞそれまでと言う事実を

くれてやる。全くこのようなものと通ずる手間を置く方がそもそも間違いで

あったか…』


そう言い、宝玉の光が消えていった。さいごの皮肉はあえて当のビルオラに

わざと聞こえるようにしたのだろう。それに舌打ちしビルオラは心の底から


「ただの日和見クソ主義共が…その内引きずり出されればいいさね」


そういいながら暗闇の端に置いていた木箱を持ち出す。光の球からだみ声を

発していた尼僧の像。それを見ながらビルオラは木箱の中から柔らかいそれを

取り出し口元をゆがませる。


にぃいいい


その行為はビルオラが満足し立ち去るまでつづいた。


―act9に続く―


次も出来ればなるべく早く上げるつもりで行きます。フラグ?何、もう

起きてもこわくないです。つべこべ言っても始まらないと悟りました!

さて、本日は2つイラストを持ってきました。1つはこれ


挿絵(By みてみん)


ドクロ:前actの最後 渦巻き:エルゼス達が見つけた小屋

テ:テルラスク *:今actで出た村落 ◇・△:他の村落

⇒:特務隊の行き先 …→:レイア達の行き先

→+レ:レフィーア達の行き先 F→:フォルデロッサがある大体の方向


さてもう1つは…うん、駄作なんだ。すまない。でもこれを見て色々思ったら

感想をくれると嬉しい。と言うわけで受け取るべし!本文読んでない人は

見る前に読むのをおススメ!でも本当に消すとこ消えて無い駄作なので

文はここまで!次回もお楽しみに


挿絵(By みてみん)




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