act7:夜を征く者達「バカシギツネハ ドッチ」
毎度お待たせしました。エイプリルフールを皆さんは堪能したでしょうか?
ようやく今回から物語の裏側が動き出し、明るみに出てくる感じがありますが、
今回は、前話に出て来たクソママの素晴らしい輝きを皆さんの目に焼き付けて
下りますよう(笑)。
ではでは、今回も楽しい読書の時間を
注意!:今回も一部15才未満の方々を対象に断らせてもらう性的な表現が
文内にあります。14才以下の方や上記の内容に嫌悪・抵抗のある方は
ページを今から閉じるのを強くすすめさせて頂きます。
―要塞都市:イアシェ―を出た私達は近くの坂のふもとで一休みを入れ北東へ
向かっています。帝国カドラバの北東端、テルラスクにとなり合う漁村へ向け
足を運びながらそれぞれ―要塞都市:イアシェ―の中で得た事を整理します。
「エユス様はテルラスクのとなりにある村落へ向かったそうです。このまま
行くと行き先は…」
「ガブラヌ山脈の方へ反時計回りに帝国内を渡り歩いているってのかい?」
「そう考えると私達も非効率ではありますがガブラヌ山脈を通る必要が
出てきますが…出来ない事も無いでしょうからね」
「あんなトゲしかなさそうな鉱山でかい?」
「やりようはありましょう。まず、雨つゆをしのぐ穴。掘れる場所を探す
必要がありますが、鉱山なのですから見つけられない道理ではありません。
次に食物をとれる林もですね。その2つがあれば何とか潜伏は可能ですが
更に見つからないとなると掘る場所の計画性も必要になってくるでしょう。
…あと、何人周りで警戒態勢をしくか、などでしょうか…」
「山越えは気をつけなきゃいけないようさね…で…」
「そうですね。1つたずねますが…」
「お二方は何故来てくれたのですか?」「確かに私達と来る利点が無いねぇ」
そう私達が振り返る先にいたのはロット・アイハウト様とペール・シップ様の
お二方でした。ロット様のガチャキ…と言う義足の音がひびく中、私達は
お二方が口を開くのを待ちます。
私達が奇襲を受けたあの日。ノレット様のお知り合いから私達を待っている
人がいると聞き向かった酒場で、私達が目にしたのは義足を片方のひざに乗せ
酒の入った杯を片手に見返してきたロット様でした。ペール様もこちらに
据わった目を向ける中で
『待っていたぜ』
ロット様はそう言い、私達に同行を申し出てきました。理由も聞かずじまいで
イアシェを出た昨日の今日。私達のたずねにお二方はこう答えてきました。
「気に入らねえ」「気に入らんだ」
「気に入らない…とは?」
ノレット様に仕えた日より、私とこのお二方はノレット様を互いに通した
知り合いという関係しかありませんでした。共に冒険者の仕事をする上で
連携する事はあっても、何かしら2人の時間や4人での時間を過ごした事も
決してありません。私達はノレット様を通してしか関係が作れないのかもと
もしかしたら、これからも。私はこの時そう考えながらお二方の具体的な話に
耳をかたむけました。
「オレの足―義足:こんなモン―にしたあいつも気に入らねえがそれ以上に
頭の足りないオレ等を色々利用して何か考えてるやつらが気に入らねえ」
「おでぇ、頭は足りねえけどアニキの気持ちは分かんだ。おでもこれでも
ノレット様がどこで変わったか分からなかったことや、どこのどいつが何か
するためにノレット様を利用しようとしたことに感付けなかったおで自身が。
何かしないわけにもいかなんだべ」
ロット様はそう言ったペール様を親指でさしながら私に言いました。
「少なくともこいつだけは連れてってくれ。最悪壁にもなるし、見ての通り
察知能力だって種族として持ってる。役には立つはずなんだ」
「そんなつもりはありません」
私の返答に苦虫をかんだような顔をしますも、私が振り返る事でけげんそうな
表情に、そして差し出した手を見て最後にお二方は真剣な目と顔で私達を
見上げてきました。私は言います。
「お互い行動で生み出していくしかないでしょう?ほえる程度のことなら
犬でも出来ますし」
「へっ、違いねぇ」
こうして私達とこのお二方はノレット様を通じ同行する仲間となりました。
くり返しますが私達はノレット様を通じてしか関係は作れないと、確かにそう
思っていました。この時は…
*
最近になって心の余裕がなくなるのを感じています。理由とその感情を私は
知っています。
―嫉妬:しっと―
私はあの2色髪さんに焼きもちを焼いたのです。思えば私は1つだけ過ちを
犯していました。あの男をそそのかして央都で軽く彼らへの警告を行う前日。
私はあの時リアちゃんの変化に気付くべきでした。これまで無かった央都での
出会いに戸惑っていたこの子を。
私はリアちゃんを人に近しいものにしました。文字通りそうしたのです。
万象・古き文明より分かたれた3つの魔。それを術―式として魂に刻まれた
情報を元に形を変える創造・形成・発展の禁の1つ。魂はそのままに姿形を
術者や第三者の視点―もしくは被術者の観点を統合し理想の形へと術対象を
変化させる魔術。それを用い私はこの子を人ならざる古代に作られた魔の
存在から魂はそのままに人の形をした存在へ変える
実験を したのです 未来にあの方と会う その時のために そして彼女が
私を真にに受けとめてくれる そして受け止められる程に清らかでありたい
私の思いを試す そのために
ためらいはありました。その時も、今もそれはあります。それでいいの、と
あの方も言ってくれました。初めは巨大な母にこそ戦りつを覚えもしましたが
丸く可愛らしい瞳と綺麗で特異な形の宝玉のように器用に丸まる寝姿。顔を
柔らかい毛並みをスリスリとこすらせ愛情を寄せていく愛らしさは恐ろしい程
作られた魔とは思えないほどの―無垢さ:むくさ―を感じました。
この子がもし私と同じ憎悪を抱くような事があれば私はこの子と離れ離れに
なってしまう。それも嫌でした。それでも…それでもこれは必要だったこと。
未来にあの方と話すその1歩すら歩めない。それを是とする事が私にはどう
あがいても認められませんでした。その結果今は一緒にいられるのですが。
リアちゃんは今の姿になっても本当に愛い子で、今でも私が手を出すだけで
ギュっと体ごと私の手に抱きつき付いてきてくれます。
彼女はかつて私以外に特殊な人間を見た事が無かったからでしょうか。いえ、
生徒会長で今は軍に所属した隊長のアカナチの姫様や貴族で黒を受け止めた
彼女達とのふれ合いを見ると人間らしい感性は前から持っているようでした。
ならあの少年と一体何が?答えは尋ねればかえってくるでしょう。それでも
私は今この時をためらっていると。
「レイア」
「え?あらあら~?ごめんなさい、リアちゃ~ん」
「違う。レイアの…手じゃない。レイアの…心が」
「―」
少しキョトンとした顔で私はリアちゃんを見てしまいます。確かに今の私は
心がとがっているのは確かでしょう。でもそれは表面上のことです。私は
あの2色髪さんをそこまで嫌っているという事はありません。仮にもあの日
真紅に髪全体を赤くし、あの男の魂を破壊した時から。彼の事を目的こそ
ありますが、友好的に思う所はあれ本当の心の底からねたんだ事など私は
無いのに。最近のリアちゃんは周りにいる人達の心の動きに大小かかわらず
何かしら感じる事が多くなってきている気がします。リアちゃんが持つ心の
在り方が変わり始めている?そう考えながらも私はリアちゃんに次のように
答えます。
「確かに~そうかもしれません。でも~、それを言っていたら今までも~
これからも~そうあるような事になってしまいますよ~?」
「…?レイア、それは…?」
「私の目的は~話した通りですよ~?覚えていますね~リアちゃ~ん?」
「復しゅう……あ…」
「そうですよ~♪リアちゃんが感づいたのは~表面上のものでしかないと~
分かりましたか~?」
「……レイアは…今、幸せ?」
「幸せですよ~、十分…と満足してはいけませんが満たされてるとは今も
思います~」
「ん…」
スリスリなでなで
2色髪さんがなでるリアちゃんの頭天辺とは別の場所を私はなで回します。
リアちゃんの気持ちいいなで場所は後頭部の方にもあるのです。私しかきっと
知らないだろうそこをなで回しながら
空を見上げます。私のパートナーを象徴する存在は形こそ変われど―本来なら
見え方が変わっているだけだと言う事を私は知っています―あり様は変わらず
夜の世界をてらし続けています。昼上る日の光を受けて。光、土、そして
照らされる意味から概念的に導き出される鏡と言う金の属性。それらを1つに
まとめた地上の月、クレッセント・ビースト。月を模して生み出された根源に
近しき聖魔の獣。リアちゃんの月を見上げる顔がまたしてもくもっているのを
見ます。今度は私の方からたずねる事にしました。
「リアちゃん?」
「月…憎悪の影が…」
そこまで言ったリアちゃんがすっと無表情になります。私の顔もリアちゃんと
同じようになっているでしょう。…気配はいくつか。何のしょうこりも無く
わくあたり羽の無い害虫のようです。私達は街明りですか?全くもって命とも
考えたくない単純製造の、世が生みだしてしまった自らを痛ませるシミです。
理解できる余地は純白にて潔白たる私の生い立ち―本質でさえあり得ません。
触れられただけで生理現象を起こしゲロを吐きかねない異物ですから。そして
それは…
「レイア…数20以上」
リアちゃんも同じなのです。
「人扱いして無いのですね~」
「道具…みたいな、もの…慈悲、いらない」
「それもそうでしたか~」
どうせガラクタとなった残がいなのですからリアちゃんの言う通りでしょう。
因みに今言った残がい。感じにすると『残骸』とも『残害』とも書けます。
誰がうまい事を言えと?とも思いますがそれ位楽しみしかこれらには他に
ありません。『彼ら』がどうなのかは別としてですが…それはともかく
私が虚空に示した式で私の家の宝具…確かちまたでは―聖遺物:アルク―と
名がついていたでしょうか…が浮かびあがり、私の手に入ります。この方法は
あの方が教えてくれた私と言う巫女でもできるはん用的な術の式らしいですが
少しは様になってきたでしょうか。そう考えている間も私の手は宝具である
楽器を奏で始めます。それだけで、周囲のその気配たちはいつくばり手足を
リアちゃんの指差し一つで動かなくなっていきます。単純な作業。人形を
ただ壊していくだけの不快感しか残らないそれを私達は何を思う事も無くただ
淡々と行っていきます。…少し気を害しました。私はもん絶しながらも私達を
憎悪と驚がくでにらみ上げてくる彼らの1人をあお向け体勢にし、腰かけ
言います。こんなモノになっても元は人ですもの、ね?
「先にイッっては…め、ですよ~?♪」
「…っ」
それからしぼりつくさせて貰いました。それはもう―魂の―髄:ずい―まで。
こんなモノに下の口を開く必要すらありませんでしたが…1人逃がしました。
1人、です。これらではないようでしたので。これらの統率だったようですが
それも見た所はどこにでもいる一般人に毛が生えたような方のようですし、
泳がせておけば大きい獲物の顔が近い内に見つかるでしょう。
調子乗る時に首を取り、ねじればそれでオシマイでしょうからね。
*
「んで?何だい、あんなチンチクリンで乳くさいクソ小娘2人でさえロクに
仕留められないのかい?ホント無様ったらありゃしないねぇ。聞いてるかい?
お前らクソ共の事言ってんだよこのクソブツ」
「「「「…」」」」
久しぶりのクソ坊やと再会からわかれたアタイは文字通りヒマじゃない用事を
済ませるよう、この量だけあるクソ共を使って晩に襲撃をかけたわけだが。
何だいあの無様な壊され方は、壊されたクソは結局どうつぶれようがクソで
他の何にもならないって答えの
「付いてきな」
「「「「分かりました」」」」
まず初めにアタイが初手を仕掛けた方が正解だったかと思える。アタイが
連れるよう指示されたのは今アタイが身を寄せているボンボンの組織を何か
狂うモノがあったのか支援してやると言っていた何かのシンリダンタイだか
何とか言ってる間抜けクソが作り出したらしい、使い捨てのブツだ。クソの
心を解放するだか何かして結局なのも無い虚無の状態した人間の成れ果てと
あのクソ共は言っていたが、分かったものじゃないし使えたものじゃない。
クソは結局どう変わろうがクソなのはアタイが今まで知ってきた通りだ。
暗闇越しにクソ小娘共の影が何か若さなのかいかがわしい事をしているのを
ほふく状態で確認しながら、アタイは懐から複数下げた香り袋の1つを手に
複数のナイフを片方の手で投げ放つ。手なれた動きで地面と小娘へ向けて
けん制代わりに迫ったのを確認後、香り袋から粉末を前方へ向けを払う。
その後アタイはナイフの刺さった位置を―媒介:ばいかい―に魔法を組む。
そう、魔法。それも儀式が必要な形式の古代文明が生んだ連式魔法と呼べる
代物さね!!風・毒・輝きに惑わされ自然の習性をそこに取り入れたこの
世紀の悪魔女と言えるビルオラ様が先手に使う主力の1つ。そしてそれが
今このクソ小娘に向けて放たれ迫りむかう。
「クフフフ、ヒヘヒャハハハハ!そらそら逃げないとあの世行きさね!」
アタイはこの長い人生の中でクソがどう組み合わせどうなろうがクソは何の
施しようも無いクソであるという結論をテッテイテキにつきつめた。例え
それは野花に咲く花でも例外では無くクソと混ざればただのクソとなり、
クソは更にそれを踏みにじるクソのために存在し量産され続ける。そうして
出来上がるクソの山の頂で輝くのはその全てを利用できるこのアタイだけ。
先程このクソブツ共のあり様を言ったが、こんなクソブツとアタイは何が
どう起きようと同じにはならない。アタイは違う。確かに前世じゃあ散々に
男を泣かした挙句に刺されて死んだ。あの世のクソ共は星の輝きがどうたら
宝石がどうたらと言葉を軽く並べるだけでクラッときて扱いやすくなる、
そんなクソ共ばかりだった。そしてアタイが持つその自明の理はクソだけの
こんな世でも全く変わる事は無い。
このクソばかりでクソだまりのおもちゃ箱ではアタイは最高の、天に愛され
生まれて来たと言っていい命運を持っている。何と言ったってアタイには
十年ほど前に一応落ち着きを見た戦乱時代で生き抜いた修羅の英雄、そんな
男の子種を文字通りたぶらかして手にする事が出来たのだから!私には手に
入らないものは無い。その気になればこの世の全てを手に入れる事さえこの
アタイ、ビルオラ様には容易いのさ!
そう思っていた。これからもこの先もずっとそうだと。私は目の前で起きた
その光景に呆けた声を出し動きを止めてしまう。
パァン…
そんなどこでも鳴りそうなクソい音1つで値の仕掛けた初手全てがまるで
『無かった事になった』ように消え去った。
「は?」
口からそんな間抜けな声が上がる。あり得ない、それだけでアタイの魔法が
簡単に解けるわけが…これは…まさかあのクソ小娘共のまやかし?…チッ!
そんなこけおどし如きにビビるこのビルオラ様じゃないよ!
「そんなハッタリで何とかなるとでも…!?」
そう声を上げかけ、アタイは見た。いや、見てしまった。その小娘の目を
何だあの目は。何だいあのモノの在りようをただ映すだけの無機質な目は。
何でそんな目をこのアタイに向ける。いや、前に1度―そうだ。アタイは
アタイはこの目を知っている。
『何だ、クソかよ。キロメがそうなるわけだ』
何故だ。何故クソがクソガキの目と同じ重なる!そして―
「っ!」
クソッ!アタイは何で逃げ出している!?あんなクソ小娘共ごときに背を
向けて逃げだなければならない!?殺される!?そんなことあるわけがない。
アタイは最高の天に愛されたものなんだ、そんなアタイに敗走など言う
ものがあってたまるかい!
私が背を向け遠ざかる中で残されたあのクソ共が初めにしかけたクソと
同じような行為で使い物にならなくしてやがる。
冗談じゃない、それがアタイの未来であってたまるものか。断じて認めない、
認められたモノじゃない、アタイが法則だ―!!
…
………追ってくる気は無い、か。…………
「クソがっ!!」
バリン!
クソがクソでクソのくせにクソでクソだけのクソにこのアタイがクソ共を
踏みにじり頂点に立つこのアタイがクソごときに!?
グシ!グシ!グシ!
見られただけでやられた!?このアタイが、このクソまみれの世界でただ1人
輝くこのビルオラ様が!!!チッ…!良いさ、その顔覚えたよ…何のクソが
どんなにクソしてクソしようと最後にお前達クソを踏みにじり笑うのはこの
ビルオラ様だ!!!
*
あの魔女さん達と会った日の晩、オノレは定期連絡を行っていた。
「はい、はい…順調そうです。彼らならイアシェの方までメス入れは的確に
行うでしょう。物事の裏も手は回せそうですから」
これでテルラスク側の調停部へ正確な連絡が寄こされた『事になっている』。
何故ならオノレの雇い主も『オノレと同じ立ち位置なのだ』。2重勢力の情報
管理者。これまた神経を使うわけだが、ある意味オノレの生まれ的にも役目は
中々会う仕事であるわけで。ふっ、オノレも因果なものよ。軍を出たオノレに
頼みごとをするとは、な。しかもそれが潜入任務と来たものだ。オノレには
確かに得意とするものだがそれを仕込んだ
かつての隊長である【あの方】がこの帝国の方へ来ているとはオノレも流石に
おどろきはした。人生とは分からないものよ…
「ご連絡はお済みですかな?」
「偽の報告は完了した。次の任務はおありか?ご老体」
この帝国でネズミと言われるテロリスト集団―【灼蛇:しゃくじゃ】の工作は
確かに的確であり、情報隠ぺいへの手回しも早い。見事な手腕と敵をまどわせ
攻撃をさけていく手段や、直接工作対象へ排除に映る指揮能力は正に手慣れた
軍と呼んでもいい。それ程の統率力や連携力がある組織が何故表舞台に名が
上がらないかと言うと、彼らの隠ぺい能力ならば自分達の存在を世間に対して
隠し通すのもた易いのだ。これ見よがしな強大な兵器などが無いというのに
こうも?と皆は思うが、それがこの組織の暗く黒い凶悪さでもあるのだ。
オノレが愛すべき国と別れて世界をめぐってたあの日、偶然出会ったかつての
上司である【あの方】に頼みを聞かされた。
『この国に巣くっているある組織が、我らが愛すべき国とを相手に、混乱と
火種を持ちこもうとしている。そんな大組織へ潜入、調査をしてほしい』
このオノレもそれを始め聞いた時は面食らったが、今では納得していた。この
組織は確かに強大すぎる。2つの国の中で密かに、しかして根深く存在する。
そして彼らは間違いなく我が愛すべき祖国とこのカドラバ帝国に強大な傷を
残しかねないと。オノレは確信を持って言える。なるほど、オノレの上司が
オノレを頼りにしたいと、今にして思い当ってきた所だった。妙な力を持つ
もの達もこのカドラバ帝国に入るようだからな。前日にあった彼女達といい
本当にここは退屈しない国だが。
そして今、オノレはその統括者の1人である老体に指示を仰いだのだが。
直後オノレの目前を黒い影が広げていた。それは夜の闇でさえ明るいと、そう
思えるほどの黒さと質量を持ってこちらにおおいかぶさってくる。
「な―!?」
何故だ。敵意が感じなかった?いや、これは…まさか……!?!?!?
愛嬌がありそうな程穏やかな、しかしどこか無機質な笑い声のような老体の
声が黒の壁ごしにひびく。
「では、あなたの役目は終わりでございます」
まさか、まさかこの老体は。この老体そのものが【敵意やそう言ったものを
含めたそのものだった】とでも言うのか!?このような…!そう思いながらも
オノレは抵抗するが…この黒い影は底なしのどす黒さに小さな個でしかない
オノレ自らが抵抗できるはずもないという暗示にかけられたかのように体が
全く、動かない。これは…これは【人の暗部そのもの】…なのか!?
「ホホ。心地よくなりますぞ。そして最後は喜びだけが残りますゆえ」
意識が遠のき、黒いふちに自らがのまれていく内にオノレは最後、小さな心の
内で叫ぶ。
トウゼ…様…こ奴は………
…どうか…ご武運を。
…
「残るネズミはあと何匹でございましたかの?…ホホ、今からでも存分に
楽しみですなあ、イェス・トラスパロ様」
―act8に続く―
イラストも一応載せる予定。こちらにはカドラバ帝国の現在エルゼス達が
調査に向かっている北東部分を拡大ピックアップする予定なので
こちらもお待ち下さい!
―次回予告―
「どうでもいい。最早残された時間がない事さえ」
動き出している何かは時計の秒針のように近づいてくる。
明るみになる古代からの使者達
『全く無能なのは貴様も同じであろう!』『我々はただ見届けるのみ』
『今回はただの戯れ程度だ。そしてわれらが真の裏切り者たる肝心の奴を
捕らえられないとは無様にも程があるわ!!』
「ただの日和見クソ主義共が…その内引きずり出されればいいさね」
たどり着いた街は確かに活気があった。そこであった事とは
「うん、あたしが治めるはずだった所だよ…そしてあいつの…ううん、
あいつが…っ」
「セルア、その事なんだが…」
彼女とその周りに起こった事は。
次回act8:彼女と彼の町で「根深き感情の糸口」




