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act6(後半:村落にて「誰かが広げた手の平の上で」

大変、お待たせしました(土下座 予想外の事でおくれましたが次こそは…

うんにゃ、なにも言うまい。マイペースに行きます(学んだ?

とにもかくにも今回もよい読書の時間を



注意!:今回も一部15才未満の方々を対象に断らせてもらう残虐な表現が

文内にあります。14才以下の方や上記の内容に嫌悪・抵抗のある方は

ページを今から閉じるのを強くすすめさせて頂きます。


「もう、いいだろ?トギル」

いつの間にかトギルの後ろにいた大男が初めて口を開いた。トギルと

呼ばれた少尉は恨めしそうに大男を見てこう話す。首がクルリと180度

回転した。誰も見間違いだとは思えなかった。

「お前はここでは一言たりともしゃべるなと厳命したはずだぞ」

「はん、何をえらそうに。大体お前の名前だって殺した奴の偽名だろ」

「な…」

アスカレナが絶句する中でトギル…と先程まで名乗っていた男は顔をしかめ、

苦々しくにらみ付けた大男に言う。

「これだからお前はしゃべるなと言ったんだ。知っても仕方ないといらない

事をよく話す。お前はただ強い奴と戦えてればいいだけの間抜けだろうが」


片方は自分自身が液状の何かに体が侵されているにも関わらず話し、片方は

へらへらと笑みさえ浮かべている。つぶした花からもれている香りのような

ものさえへでもないという振る舞いに、セルアは痛い思いをしたように目を

伏せながら言う。

「あの花…香りがもう人に対しての毒素をまき散らしているのに…!?」

「セルア、ありゃ何だ?まさかあれも―」

「あれは本来下手にさわらなければ害はないの、けど…あの人は…!?」

誰もがにらむ中で駐屯軍の2人であるはずだった男達の会話は続く。

「元より分かってんだろ?来ると分かったのはオレ達がここのお偉方と

すり変わって数日前。【先方】は問題も何もないと言っていたしな」

「忌々しい。貴様があの方を語るな」

そう言い、トギルと呼ばれていた男はようやくエルゼス達の方に向き直る。

口調には不機嫌さも隠さず、開口1番に彼はこう言った。


「はあ、よもやこうなるのなら昨晩の内にあなた方が泊まった宿にでも

―侵入:はい―り、消しておくべきでしたか」

「仮にも私達の目の前で言うか。蛮勇ぶりは認めるが無謀とも見えるぞ」

辛らつとも言えるヒビキの言葉を余裕の笑みで返す。

「連絡があったのですよ。【我々】の邪魔立てに、子供が小ざかしくも

ウロチョロする、とね。アカナチ姫、あなた方の事です」

「貴様の言う我々とは何だ、現拠点管理官!」

「それは…ふふ、あなたは後で知る事になりましょう。うるわしき中佐殿」

見下ろすようにアスカレナ達を見るトギルと呼ばれていた男は体の大半―

すでに肩あたりまで―液状化し酷い状態にもかかわらず余裕があるように

ほほ笑んでいる。しかし、変化があったのは奥の方の大男の方だった。


「グヒ…グヒヒヒヒヒヒヒヒィ!!!ヒフェフェフェフェェ!!!!!」


ただでさえ大きい男の体がふくれ上がる。頭どころか肩・首・二の腕・手と

体のいたる所が空気を入れる風船のようにふくらみ、それはもう人と呼べる

図体では無くなる。弾けた鎧から露出した肌は人のものから毒素を含んだ

紫色へと変化していく。


(あの花はこんな香りを…こんな規模の香を出す習性は無い…何で…?)

セルアはこちらに来るたびに凍りついていく香りを見上げた。

「違うとしたら元からだろ」

「ゼス君?」

「改良…妙な受粉配合を繰り返して―あげくの果てって所か?」

「何でそんなひどい事をしてまで―」

そこまでエルゼスと話していたセルアは凍りついた大気とは別に大きく頭上に

伸びて来たのだろう影にそちらを見上げる。エルゼスはすでに見上げながら

それに向けて呟いた。

「人を魔物にするとか…どんだけだよ」


それは耳の無い象頭の巨人だった。管のように伸びた口とふくれていながら

なぜか異様に捻じれた腕と肩が大木の枝を思わせるがどうなっているのか

所々が溶岩のように泡立っている。そんなあり得ない存在となった大男を

エルゼス達が見上げる中でただ1人トギルと呼ばれていた男が次の瞬間


「あん?」「へ?」「なに?」「な…」「おいぃ!?」


口と思われる細い管に頭から崩れていない頭から液状化した体まで丸ごと

飲み込まれた。


「おいぃ!これがちまたで噂のコドクってやつですかぁ~!?」

そう言いながらスタコラサッサとベルクは彼女自身の機龍内へ逃げるように

駆けていく。ある意味何か考えを思い付きすぐに行動したのだろう。内心で

エルゼスは感心した。そしてこの状況で一番問題だったのは


ギュヒャアアアファファファ!!!


「え!」


怪物が振り上げたこぶしが向かった先、セルアだった。目の前で起きた

余りの出来事に、固まっていたから狙われたのか。どうやらこの怪物は

最低限人としての意思はあるらしい。が、それ故に狡かつで汚い手だった。

そしてそんな怪物の行動を許す者はこの場にいなかった。


セルアの前に立ち、エルゼスはソル・ヴォルグを盾のように構えた。


「さわんじゃねぇよ」


そんなエルゼスの前にこぶしの数倍の高さと広さを持った氷壁が出現する。


パキィィィイイイイインヤォ!!


ヒビキだった。氷の壁にぶつかったこぶしは即座に凍りつきかけ、怪物が手を

引く。そんな怪物の


チィイイン!!


氷でしもやけになったこぶしが急に帯電し文字通り吹き飛ぶ。すぐに再生した

バケモノがにらんだ先にいたのは―聖遺物:アルク―を背中から抜き放ち、

構えたアスカレナだった。黒色を基調とし骨状の蛇腹部分や砲身のような

持ち手部分、先端に付いた射出できそうな刺突部が印象的なアルクには少し

禍々しさがありながらも一本筋の通った儀式法則めいた神秘さがあった。

それを抜いたアスカレナや周囲の魔力を手で制しているヒビキを見て、

エルゼスは言う。

「…隊長、中佐」

「いいぞ。やれ、エルゼス」

「仕留めるぞ」

「ウッス」

2人の上官に指示されエルゼスは手元にあるアルクに自分の意思を伝える。


ヒンヒン…チャキィイイン!


―Baster nics mode:set on!!―


友が命名した形態に変ぼうした聖遺物を怪物に向け、エルゼスは言う。

「ああそうだ。あと、もう1つ。立つんじゃねえよ」


キュバァ―――――!


それこそ、ソル・ヴォルグから放たれた光は文字通り光速であり、図体の

大きい者が少しでも触れれば、触れた部分が灼けるのは自然である。しかし


バンッ


その下半身が文字通り灼ける前に怪物の体が消える。エルゼスは悠々と影が

飛んだ方向―上空を見上げた。


(へえ)


エルゼスは内心で感嘆の息をもらした。怪物の2倍程はあるだろう、その

高さまでの―跳躍:ちょうやく―はエルゼス達でも簡単にはできない。


ファゲエエヒャヒャヒャハ!!


怪物の指先から伸びた爪より糸がまるで生き物のように伸び、うねりだす。

その長さと量たるやここら数百レープをおおい尽くす勢いで、きらめきは

1つ1つの細さの中に鋭利な切れ味がある事を眼下のエルゼス達に教えた。

ただ、その切れ味のある糸を見ただけでも慌てた様子を見せたのは誰1人も

いない。セルアにはエルゼスがそばにいると言うだけで安心だった。その

エルゼスがただただ糸を打ち出した怪物を静かに見ているだけで何の反応も

示していない。あれは簡単に何とかできると信じていられた。他の2人も

身構えたようだが同じ様子だった。エルゼスとヒビキが顔色を変えたのは

声が上がったこの後だった。


「な、何だありゃああ!」

「あん?」「え?」「!…」「な…!?」


3人が振り返った先には村落の住人たちだった。中には子供達までいる。

エルゼスは舌打ちをしながらソル・ヴォルグの発光口を爪から伸びた糸に

向け―アスカレナにさえぎられた。


「何を!?」

「すぐに奴ごと落ちてくる。あれも、周囲に被害を出さずに済むだろう」

「中佐、一体どう言う…?」

「君のを使ったようだ」


ガラァアアアアアアアッ!


そのエルゼスが聞きなれている咆哮は飛び上がった怪物更に上空から

こだました。


ドゥドゥドゥ!!…ドドゥドゥ!!


赤黒い炎の塊が数発、空から飛来し、怪物の背部と糸へ直撃した。糸は

燃え消え怪物は断末魔と共に落ちてくる。


グロォオオオオオオオッ!? ズスウウゥウウウウウウン…ッ!


怪物を見下す上空の影はエクスドだった。背にはベルクが乗っている。

エルゼスの機龍が普段とは違う色の焔を―口部魔炉機関砲:ワード―から

放ったのはベルクの中にあるエルゼスとセルアの魔力が関係したのか。


ググゲ…


尚も起き上がろうとするバケモノ。まだ戦うには余裕があったようだった。

しかし


コカキコキカキ…ズブブブン   ルゲエエエエェエエァアアアアア!?


怪物の体が泡立つ所から石化し始め、両手両足が突然岩となり地面に沈む。

聞こえて来た断末魔はそれこそ怪物のものだが、それが意味しているのを

怪物を見ている誰もが感じた。


『こんなはずは』


結論からいえば彼らに未来は無かったのだろう。誰の指示であれ、恐らく

先程言った通り軍部の者を殺し、すりかわる前から。


そんな怪物の目の前へ


スチャ


向けられた武器が2つある。エルゼスとアスカレナのアルクだ。アスカレナの

アルクは先端部分と蛇腹部分がそれぞれ一本の管を作り出すように変形する。

奥には黒い雷の渦が今にも吐き出されようとしているのを怪物は目にした。

そんな怪物に向けてそれぞれエルゼスとアスカレナは言う。

「んじゃ、覚悟ぁ出来たか?」

「許すのは2つだ。泣け、そして―悲鳴を上げながら光に消えろ」


黒と無色。2つの光の柱が化け物を飲み込み灼きつくした。



残ったのは石化し、動かなくなった怪物の両腕だけだった。物言わぬそれの

片方をエルゼスはソル・ヴォルグを付けていない左手で持ち上げる。周囲が

ざわつくのを無視しエルゼスはヒビキとアスカレナに振り返った後、言う。

「中佐、隊長。…どこに、いや…どう処理しますかい?」

「何か利用する手は…いや、どちらにせよロクでもないか?」

「ロクでもないです、中佐」

そう口にしたのはセルアだった。続いて言う。

「毒だろう可能性もあります」

「伍長はそういう知識があるようだったな。大尉、聞いた通りだろう。適切な

処理ができるか?」

「あい、灼いときますぜ」

「もう一方も持ってくよ、伍長とね~」

地に足を付けたエクスドから降りて来たベルクがそう言う。セルアも「あ、

分かりました」と言いながらベルクが向かった岩の端とは別の方を持つ。


「せーのっ!」


威勢のいい掛け声で2人の女兵士が岩と化した大きな腕が持ち上がるのを

見届けたエルゼスはヒビキに言う。

「行ってき―「何を言ってるんだ、私も行くぞ」隊長?」

「ここの事は任せておいてくれ。他の者たちにも指示を飛ばしておく」


彼女からの感謝を背に受けながら特務隊の3人とベルクは駐軍所の更に外へ

向かう、その道中で。口を開いたのは、セルアだった。


「えっと、ゼス君。あのね、あたし知ってる事があるんだ」

「何を?」

「ええと…」


エルゼスがセルアから聞いた事をかいつまんで話すと要点は3つだった。

花には様々な種類と花粉や特性を持つこと

その中でまずあんな怪物になるような毒を出す花は存在しないこと

あれはどう考えても自然をいびつにゆがめた結果だと言うこと

それを聞いてエルゼスはこう言った。

「と、なると。合点がいくわけだ」

「ゼス君?」

「そこにいるだろう?出てきやがれ」

岩と化した怪物の腕を鉱山の彼方へ投げ捨て。エルゼスが振り返った先に

いたのは昨日村落でエルゼスがあった、顔を髪で隠した少女だった。

「何で…分かった?」

「気配消した所で気付くもんは気付いちまうよ。このタイミングで俺らを

見てどれくらい何を知ってるか」

「あなた…ヘン…私はただ…」


とつとつとおびえるような少女にゲンナリとした顔で見下ろすエルゼス。

はたから見れば幼い娘にからむ不良のそれなわけだが。

「まだるっこしいなあオイ。言わねえとわかんねぇか?」

「ええと、ゼス君?」

「何、見てろよ。口汚く言うだけで化けの皮ぁはがれるぜコイツ」


そうセルアに言った後少女の方へ向き直ったエルゼスはエルゼスと少女を

除いた誰もがおどろく言葉を口にした。


「いい加減きもいマネはやめやがれ、このクソババアが。テメェ自身の年が

いくつだと思ってんだよ。目を隠す肌の造形やら髪の色やらテメェらしい

ブタヅラに変えてから次は俺の前に出てきな」

エルゼスが暴言を吐いたその時。ギチィ!と言う音が少女の顔から鳴った。

セルアとヒビキは分からなかったが、これが歯ぎしりの音だとエルゼスは

知っている。こいつはそういうクズだと言う事を。


「けっ!気づいてたかいボウヤァ」


バッ!と頭を回した勢いで髪をかきあげ整えた顔立ちは子供とは思えない程

―子供ではないが―歪んでいる。エルゼスから見て見慣れた彼女の顔は

憎悪とは真逆の欲望に歪んでいた。


「1目見た時は分かんなかった。ただ、似たような体つきと髪を持つ子供が

村にいても何と言う事はないものな。ただ…」

思う所があった。少年とも言える子供がどうやって見つかる事無く大人達が

村落外れのあんな小屋を見つけられたか。子供なりの賢しさにしても何か別の

原因があるのではないか。それは今日起きた出来事とセルアの言葉で合点が

行く。


―キロメ:エルゼスの妹―がクソを好きになった理由。クソしかない中で

輝かしく咲く花は1輪でいいというこの女の思想。彼女は野花や自然を武器に

人を惑わし利用し、かどわかし…使い捨てることを至上の喜びとした女。


そして駐軍所にいた、軍の者をいとも簡単に殺した2人の変わりよう。そして

その後の彼らの末路。最後は彼らも利用するだけして使い捨てるやり方。


『結局クソがクソしてクソをクソしようがどこまで行ってもクソなんだよ』


エルゼスはキロメのその言い分を目前にいる女―ビルオラに対し肯定できる。


「え、えと。ゼス君、知り合い?」「彼女は一体?」「何だってばよ?」

「俺の妹の母親だ」

「ええええええ!?」「何と…」「あんのちんちくりんが!?」


エルゼス以外の誰もが目の前の見かけ少女に目を見開く中、ビルオラは坂を

背に言う。

「あいにくアタイは忙しい。今アンタ達クソと遊ぶヒマは無いのさね!」

「逃がすと思ってんのか?隊長、こいつだけは油断しちゃいけねえ。後は

ここで殺さねえと色々面倒に―」

「逃がすよ、お前は。逃がさざるをえないのさ!」


パチン!


ビルオラが指を鳴らすと草むらから更にいくつもの影が飛び出してくる。


「な、何!?」


セルア達もビックリするその一団は容姿が全て同じ格好で統一されていた。

顔も含む全身を灰色の布で覆い隠した者たち。全員で4人現れた彼らは

草むらから出現するなり、エルゼス達にそれぞれ接近する。その先頭が

エルゼスを見、言った言葉で全員は理解した。


「…死ね」

「ああそうかよ、クソ」

エルゼスが言ったクソをどうとらえたのか、顔全体を隠した布ごしに

クッと言う笑い声の後、その灰ずくめの姿が消える。エルゼスにとって

とらえられない速さでは無かった。むしろ遅すぎたので反応しなかった

エルゼスに更に気を良くしたようにこんな事を灰ずくめは死角の耳元で

口走る。

「呪って死んでいけ、クク…」

「ハァ、何言ってんだ?」

肩をおとしながら握りこぶしの甲の方で死角をとっている灰ずくめの

顔面を【あえて手加減し】なぐる。鼻がつぶれた音がした。

「かはっ…な…?」

「クソってのはお前の事を呼んだんだよ、クソ」


空中で回転しだした灰ずくめに向き直り無造作に上げた足のカカトであごを

叩く。それだけで灰ずくめは地面に埋まった。しゃべる事が出来ず地面に

めり込んだ灰ずくめへ、エルゼスは無造作に足を上げる。エルゼスを恐怖と

おどろきで見開いた目で見上げて来た灰ずくめに足をふみ下ろす。


「クソがぁ」


グチャピャン!!


布ごしに顔全体の骨も砕け内蔵が顔を覆い隠した布からつぶしたものの一部が

飛び散る。完全に頭を破壊する直前、誰に盾ついたのかを印象付けてあの世に

送る。エルゼスらしいと言えばらしいやりようだった。

「うわぁ…」「君と言う子は…」

「…」

「わっとと!」


まるで今近くで起きた事に対し何も感じないかのように灰ずくめはそれぞれ

迫った相手へ得物を振う。セルアがかわしたのは上半身ほどの大きさがある

刃がついた十字に鎖がついた武器だった。


パン…ボフォァ!!


セルアのアルクから打ち出された実が灰ずくめが消える瞬間に爆散する。

姿を消した灰ずくめでも爆散した木の実の粒に体中を強打され、たまらず

上空から地面に這いつくばる事になった。体のいたる所から穴が空き血が

噴水のように出ていく。灰ずくめが死ぬのは時間の問題だった。

「先に手を出したのはそっちだものね?あと、すぐに体から血が抜けてくから

苦しまずに終わるよ」

そんな灰ずくめの前でひざ折りにセルアはしゃがみこむ。憤怒の目で

見上げるそれをセルアは少しさびしげに見下ろし

「じゃ、バイバイ」

体から噴き出す血が緩やかになって行き、セルアと相対した灰ずくめは血の

海に沈んだ。


「始めて手を染めたか…」

「ん…」

ヒビキが声をかけて来たのに浮かない表情でセルアは立ってヒビキの言葉に

相づちをうつ。ヒビキとベルクの方は当然ながら首元まで氷づけだった。

首には少し触れるだけで血が流れそうな距離で氷の刃が複数2人の灰ずくめを

囲むように浮いている。


「特務隊長、【伝家のアレ】は?」

「抜くまでも無かった。何者か、は知らないが」


パチン…ヒュンヒュン…ドササッ


ヒビキが指を鳴らすと同時に頭が2つ地面に転がった。エルゼスは周囲を

見回す。そしてその結果を口にした。

「で、本丸は逃げると」

「ただ捨て駒にするには不自然ではあるな。奇策さえしかけられた気が

するが…」

「知らない顔がいたから、警戒したんでしょうな。俺や隊長ならともかく

次はねえでしょう。あのババアなら―」

「待て、何で私の名前が出てくる?」

「あのババアなら知っていかね無いッスよ、お姫様なんでしょう?」


ただでもどこに言ってるか不明な存在のようだった。残されたもう一方の

岩となった腕はエルゼスが何度か踏みつけて砕く。そんな所へベルクが

「そう言えば」とエルゼスへ向けてこう話してくる。


「エル君だったね?あのレイアちんって言う子の知り合い」

「…直接じゃないけどそーっす」

「彼女なんだけど(一度居住まいを正して)あまり信用はできないみたいね。

村の人に何かツキモノ使ったみたいでさ」

「…ツケがあるんなら払わせますかい?」

「うんにゃ、軽く何か抜かれた状態だったみたいで今は安全みたいよ。本人も

彼女達を泊めた記憶が抜けてた以外は大丈夫だったみたい、だけど…」

「姐さん達軍が動くとかブッソウな話なら俺はかばうつもり全くないっすよ。

多分俺らに同行してるのは、何かしら利があいつにあるからだと思いやすが

ペルリアの事以外、俺は基本的にあいつを信じていない」

「それだけど、さ。ここの役所の方へこれを君達に渡すよう、彼女が何故か

手配したらしいんだけど」


エルゼスはベルクから受け取ったものを見た後にヒビキにも見せる。そして

セルアもそれに加わり―3人して顔を見合わせた後エルゼスがたずねた。


「これを、あいつが?」

「君にオクリモノ、だってさ」

ベルクからの返答にエルゼスは首をかしげたのだった。


―act7に続く―


実は予想よりも話が進んでいない今回…他にも策謀やら色々あったんですが

今回はここできるようにしました。次回こそ早くできたらいいなあと思いつつ

別視点のオンパレードです。それではまた

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