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act6(前編:村落にて「けじめ」

そんなこんなでいつも通りのペースで出しました。今回も楽しんで読んで

頂けたらと思いつつ、どうぞ!


注意!:今回も一部15才未満の方々を対象に断らせてもらう性的な表現が

文内にあります。14才以下の方や上記の内容に嫌悪・抵抗のある方は

ページを今から閉じるのを強くすすめさせて頂きます。


「セルア、大丈夫かい?」

「ん、何が?」

「いや、何…とは言わないが」

「えと、今仕事中でしょ?妙な話は…」

「そう…だな。すまない、後で話をさせてくれ」

「ん…」

流石に私は心ここにあらずな親友との話をそう打ち切る。最近目的に手段を

選ばないエルゼスも対外だが、彼女の方も言えたものでは無かった。大好きな

エルゼスの前では健気に振る舞ってこそいたが、数日前からはこんな状態が

いつも通りと言う形になってしまっていた。ある意味今のセルアの方がどこか

お嬢様らしいと言えばお嬢様らしいのだが、ここまで振る舞いが合わないとは

私でも思わなんだった。


原因はやはりエアリシド女王の「あれ」が原因なのは察している。彼女の

言った事も分からないわけではないが、エルゼスもこの答えがどうあっても

難しいのはもう分かっているだろう。セルアの父、セヴァルとは数ヶ月前の

ノレットが仕向けた生徒裁判の日が私も初めてあった日だからだ。それに、

エアリシド女王の言ったことが確かなら、彼は私達の事など恐らく記憶の

片隅にも置いていないだろう。……?待て、そういえば。彼は私達を見た時

何と言っていた?…もしかしたら糸口があるのではなかろうか。とも考えるが

今はそれとは切り離すべきだと考え、思考をまっさらに親友を改めて自らの

目に入れる。


セルアの今の目には普段の明るさがかげっている。学園に通っていた数日前の

彼女とはまるで同じ姿をした幽霊が私のそばにいるかのようだった。それ程

今のセルアは危うげで、私さえ声をかけるのをためらってしまうぐらいには。


くいくい くいくい


セルアが気に入ってるのに少女まで至近距離に来て心配されている。それに

ようやく気付いたセルアはパチクリとした後両手をがほぼ本能的に伸び―


バッ!


少女は凄まじい速さで人を盾に隠れる。今度は私が盾か……仮に私がこの

ペルリアと言う子を羽交い絞めにした場合どうなるかなと思う所ではあるが、

そんな私の心情まで察したのか


パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ!!


腕を前足にして逃げてった。正に脱兎のごとくだ。おいおい、畑と構わず

踏み荒らし…て無い!?あんな私と一部分以外はさほど変わらない体くで

どう言う動きをしたらああなるんだ。…考えるのはやめとこう。私は彼女に

声をかける。

「…セルア」

「ア、ハイ。タイチョウ…」

ギギギとぎこちない顔がこちらを向く。そこまで汗を流さなくてもいいと

思いながら私はこう言う。

「まあ、少し考えごとに意識を持って行き過ぎないようにな?目の前の事も

今どっかにいる誰かのせい…とは言えないが、重要なやるべきことの1つで

それは他を優先しながらしていいものではない。後は…1人でいつまでも

悩んでも分かんない問題はそう簡単に解決しないぞ。事前にテスト勉強でも

しない限りはな」

「ヒビキちゃん、あたしは…」

「ああ」

「ううん…ごめんね。ありがとう」

そう言いようやく暗さが和らいだセルアを見て私はうなずく。こうでないと

私だけじゃなく彼もこの子に引っ張られるからな。とはいえ、しばらくは

見ておかないとまた空回りしそうで怖いが。そう考えながらも私は背後の

自己主張がはげしい一本毛を持つ私達の監視人に声をかける。

「そんなわけで、今のは見なかった事にしといてくれるかい?軍曹どの?」

「うわー、根回し来ましたわー。百合百合だZE!も言い損ねましたわー」

「そこはしかたない。して相変わらず何を言ってるか分かりづらいが…」

「ウム、画面の前の皆は理解してるからよろしいのYO!で、今少しばかり

心あらずな伍長たんの様子だよね?前から気づいてはいたけど…学生の時とは

えらい違いだよね?それは最近姫様達と行動共にしてる私でも分かるのよ。

でもさ…」

軍曹はそこで1度会話を切り、改めて私を見る。真剣な表情だった。恐らく

良く考えた上でものを言うのだろう。

「何て言うか、私が口出してもいいのかな、とは。だって、私自身部外者で

親友の姫様までいるのに、私がそこに入っても仕方ないとは」

「正直な話これは手に余る話でもある。私も彼女の父親をよく知らない」

「と、いうと?」

「それにあなたも無関係ではないんだ。あの時巻き込まれたのはセルアが

あなたを正にひき殺すかのよう―違うな、ひき殺す事もいとわず無視して

走り出した事から始まったから」

「んー…自分が口出していいとはそれでも思わないんですが…」

首をかしげながらも1つ1つ大切な言葉のように言うイタガキどの。こちらを

余り誤解させたくないからだろうか、言葉慎重に彼女は言った。

「何か、普段考えてない事を、考えつめて、答えが、今持ってるものじゃ、

見えないのに…関係無く、探している、みたいな?」

「なるほど…参考にさせて頂きたい。言ってくれた事、感謝させて貰おう」


「どうってことないってばよっ」と相変わらずの彼女を見ている時、腰の方に

下げていた調査書類入れなどの中で何か黒いものが揺れるのを私は確認する。

「失礼」と2人に言った後にすぐ振動場所のスイッチを押し、通信機の電源を

入れながら私は応答して来たのだろう彼に通信機越しで話す。

「こちらヒビキだ。どうした」

『あー、聞こえてますか?聞こえてるならどうぞー…』

この慣れない声は…こんな魔力使わないモノにまで慎重になってどうする。

「大丈夫だ。問題ないぞエルゼス。早い所連絡した方がいいんじゃないか?」

『あい、隊長。この村落が黒だという証拠見つけちまったい。高々ガキの目を

気にしないだけでこう言う所じゃさらっともれちまうとか出来過ぎてる感が

ありやすが…とりあえず、軍曹はそちらに?』

「ああ、確かにいる。そちらと合流した方がいいか?」

『そうっすね。出来る事なら車ごとって、そう中佐が呼んでます。場所は―』


村落で西にある鉱山方面の中間を抜け、林まで入る。ここでは魔物も無害では

あるが、野放しとされているようでセルアの知り合い…でいいな。ヨブムーも

この付近で生活しているらしい。「み~どり~、まいた~、万華~たね~」と

そう言ってた本人が能天気に鼻歌を歌ってるのに苦笑していると…


ガサガサッ


「んい?」

「ウホ?」


ばったり会った。いきなりこのような所で会う事になるとは思わなんだが、

噂をすれば影戸はこの事を言うのか。ただ、少し様子がおかしい。はて?

急に軍曹がシュタッと見事に手を挙げあいさつをした。


「おっす!オラ、べル!」「ウッホ!ウホウッホウホウホウホ!」

「央都から駐軍調査任務に同行しに来たのだ!」「ウホウホ!?ウホ!」

「何ってオメーそりゃ巷で噂のテレビ版がだなあ」「ウホウホ!ウホ!?」

「今時の対神設定とかはそりゃあ配役やらキャラでだね」「ウホウホ!!」

いきなり始まった自己主張の大きい1本毛同士の―会話:コント―に私と

セルアはただ呆然と見ているだけしかなかった。…私達だけでも中佐や彼と

合流した方がいい気がするが…いや、そもこれは会話になっているのか?


「セルア…どうなってる…?」

「ええと、うん…会話…できてる…よ?」

どうやら会話になっているらしい。そんな私達があっ気に取られている中で

会話は進んでいるようで

「最近の央都の流行りはケf「何をやってるんだお前は…」」「ウホ?」

私とセルアが何も言えない中、誰かが2人?の会話に入ってきた。声の主を

私は名前で呼ぶ。おでこあたりに指をあてたその人がいた。

「エッチェンバルグ中佐どの…」

「どうしたというのだ、これは…いや、すまないな」

中佐は何度かかぶりを振ると軍曹の方に話しかけた。

「イタガキ監視官、間抜けな真似は早々に止め早い所この村落外れの林まで

君の機龍を持ってきてくれ」

「お姉様もとい中佐!意義があります!」

「バカを言え、試験機を誰が使う許可があると思っているんだ」

「オウノォ!私に自由は無いのですか中佐ぁ!」

「今仕事の最中だろう。あるわけがあるかアホウが」


「あちしに自由を!「あってたまるか」」

あってたまるか、と私自身もツッコミを入れそうになった。中佐が来た事に

内心で感謝しながら林を抜けていく2人を見送る。


「バカ言ってないで行くぞ。無理なら引きずってでも機龍に戻って貰うぞ」

「とか言いながら引きずらないで下さ~い!?あばよウホ公~!!」

引きずられながらベルク軍曹はアスカレナに連れて行かれた。…私はセルアに

声をかけるとしよう。彼女の知り合いを目の前で置き去りにするようで少し

冷たいかもしれないが。

「私達も行こう、セルア。彼が待っている」

「う、うん…ヨブムー!また今度ね!「ウホウホ!ウッホ!!」」

「早い所帰りたくなったか?」

「うん!ヨブムーは軍曹さんともまた会いたいだって!」

どうやらいつもの調子に戻ったセルアに笑顔を向け。林をセルアの勘で突破し

彼と会う。彼―エルゼスは変わりなくこちらに手を軽く上げてきた。

「ども。この奥っす…ちょっと心配したが迷わずにこれたか」

「大丈夫だったよ!でも…ゼス君」「見張りご苦労だな。では―」

「はい。あとは―」

私は彼の言葉に続いて小屋の中にあったこの木箱や【諸々】を見下ろす。

「ああ、こいつを―」



エルゼスが、朝から鍛錬している特務隊が止まった宿とは反対方角の宿で

それは行われていた。

「はぁ…ん、ああっ、いい、いいですぅ~!もっと奥ま、で…!」

レイアはうららかに体をおどらせ、ふわりとした柔らかい栗色の髪をかき乱し

いつも通り【どん欲に吸い上げながら】別の思考をする。最早今彼女自身の

情事相手である男には何の感慨もわいてなかった。

(あっちの問題は2色髪さんがさらしそうですし~後もう1つの方は~…

あえてここは彼らに協力体制を見せる為にも、こことこの先で2つ程度

貸しを作っておきましょうか~)


そうして情事が終わってただ虚ろな目を向けてくる人形のようになった男へ

一方的に命令をレイアは下す。

「願いは3つ。まず1つ。私達がここに来たという事は…決して、何人にも

言わないで下さい」

「ハイ」

「2つ目は金回りを計算した関係書類を昨日来た特殊部隊に寄こしなさい」

「ハイ」

「最後に。あなたはここに立ち去った客の部屋整理をするため入ってきた。

…そう言う事でお願いできますか~?」

「ワカリマシタ」


了解の言葉を最後に男はどうと崩れ落ちた。それに目配せすらせず、この村を

裏からずる賢く管理していた者達への思考も最早別の方向へ向かっている。

(さて、私の方もここの【仕込み】は済ませました。して…カドラバはあと

どの程度でしょう?2つなら誰が持ってるかは分かりますが…)

考えている間にレイアは身支度を整え終える。その動きは先程まで腰を振り

情事をしていたとは思えない早さだった。最早この場どころかこの村に

用は無いような軽やかな足で宿の階段を駆け降りるとレイアが大好きな顔が

ドアからのぞいた。


「レイア…ご飯、作らせて、貰った…」

「リアちゃ~ん♪ご飯作っておいてくれたのね~♪」

「ん…♪」

たまらずレイアは抱きよせ、なで回す。ネーペルリアはスリスリしながらも

レイアの腰に下げられた物入れに作った野菜揚げを入れた。ネーペルリアは

最近エルゼスに会う度、ネーペルリアは彼の元に言ってしまうためレイアは

寂しい思いを抱えていた。それと同時にあることもあるが、それを原因である

ネーペルリアは気付いていない。そして2人は宿を出、


「君の視線をくぎ付けにするまでだ!」


メガネをかけた変態が2人の前に現れた。余りの奇態にネーペルリアはおびえ

レイアと抱き合ってしまう。

「久しぶりだね、イアシェ君ちのマドモアゼル。ここで君達と出会うとは

オノレと君達は運命の赤い糸で結ば「きもいのでおいとまいたしますね~」

フッ、ふられたか」

「まあいい。そんな事よりも」となおも話をしようとするメガネの男を半ば

意識的に無視して村落の出入り場所まで歩こうとするレイア。ネーペルリアは

半ばレイアをせかすように持ち上げる。そんな彼女達を呼びとめたのは

メガネの男の次の言葉だった。

「そんなに急いで、何を焦っているんだい?君が使っている魔術にどこまで

長けているのかは流石のオノレでも分からないが」


ネーペルリアがかばうように前に出た後、クマのぬいぐるみの背中に手を

そえる。そんな彼女の振る舞いに降参と言ったポーズをしながらメガネの

男はこう続ける。

「オノレは君みたいな魔女さんがどうしてこんなカドラバの東の果て近くに

ある村落に来たのか興味があったのさ。一応情けなくある子の元を不本意にも

離れる事になった雇われ者としてね」


「あなたは…」

「冒険者だよ。近々何か嫌な思いやらを持ってる連中が同業やら軍官やら何か

うようよいてさ。魔術を使うと言う事は、あなたは魔女だろう?」

レイアは返答に迷う。彼女は実は魔女と呼ばれるような経歴ではない。否、

それだけの事をしようとはしているが、未だそれは成らずにいた。

「私は…そうですね~。魔女と言ってもいいでしょう~」

「あまり余計なせん索はしたくないけど、どうしたの?君みたいな美人が

どこか慌ただしく見えるのはどうなんだろうって思ってさ」

「お気づかいはうれしいのですが~…速くに動いた方が事を為すのに余計な

邪魔が入らなそうで楽、と考えていただけなので~」

昨日あった村落の男達の反逆はレイアにも目に余る光景だと言う事だった。

こう言った男が、扇動したならそれも分かるが。


「あの、そろそろ行かせて頂けないでしょうか(何か嫌な予感もしますし)」

「本当に急いでるのか…行く先は要塞都市イアシェの方かい?」

「はい、そこに急ぎますわ」

「これ以上はやぶ蛇のようだね。オノレもぼちぼち行くよ。長くひきとめて

悪かった。最後に余計な変態からのお世話だけど、君達の行く先に幸運を」

そう言い、メガネの男は去ろうとする。レイアもネーペルリアの手を引き―

「エルゼス」

ネーペルリアがやはり嬉しい声を上げる。ネーペルリアの視線の先に呼ばれた

人物はいた。メガネの男もそちらに顔を向ける。特徴的な銀と赤の髪を持つ

少年兵がそこにいた。ただ、いつもと違う点はネーペルリアの声音は少しだけ

心配するように沈んだ感じでレイアの手を振りほどこうとしなかった、という

2つだった。

「や、おはよう。君は…」

「どうも、昨日来た軍人っす。この前お宅等の言ってた1件は調べた結果、

軍の不手際なのは上層部の方も公認みたいなんでそれを伝えにきやした」

そんな感じで始まった2人のやり取りにネーペルリアが口を出してくる。


「エルゼス、何か、あった?」

「あん?俺はいつも通りだぜ。ペルリア」

「エルゼス、心がするどい。何でも切っちゃいそう…なのにもろそうで…」

「ペルリア、いいんだ。今は、気にしないでくれ。…そうとしか言えねえ」

「エルゼス…?」

「はいは~い、リアちゃん。私達はそろそろ行きましょう~?」

ネーペルリアとエルゼスの会話は更にレイアの言葉で打ち切られた。彼女の

口から何かが出る前に、レイアはエルゼスに言う。

「すみませんが、私達は先にこの村を出る事にしました~」

「…そうかよ。中佐達に連絡はしとこうかい?」

「お願いさせて貰えたら助かりますわ~」

そう言いレイアはネーペルリアの手を引き村落の出入りまで向かおうとする。

ネーペルリアはなおもレイアへ食い下がった。

「レイア、エルゼスが…」

「はい、もう行きましょうね~」

レイアは急ぎ足でネーペルリアを抱え、その場を去っていく。エルゼスと

メガネの男はそんな2人を見送った。


「あ、先程の話は分かったよ。決着は君たちで付けるのかい?」

「そのつもりです。心配は…一応いらないはずっす」

「そうか。それじゃあ、オノレはこれにて―」

「それで終わんないでくれやすかい?」

「…君のききたい事はあれかな?多分、オノレが言った『彼女』について

聞きたいのかい?」

「ああ。…あんな箱入り娘そうな奴をどこで知ったんですかい?」

メガネの男はせきばらいを1つした後、こう続ける。


「何、オノレはイアシェ家とつてがあったと言うだけさ。あまり詳しくは

言えねえけど、たまたま前の依頼でイアシェ家の家番を任された際、1つ

いい事をしたんでね。おかげでイアシェ家で数日滞在という厚遇の時に

あの子と知り合った、ってわけさ。ちなみにそのおかげでオノレ達は今しがた

ある仕事にもついてる。もうけ時の真っ最中というものだ」

「突きつめる様で何スがいい事、ってのは?」

「魔物がらみさ、とだけ。まあ悪い事じゃないよ。…話は変わるが君が話を

ふった、あの子は不思議なものだ。幼いなりの価値観が妙に達観していると

言うか、無関心なものにはとことん無関心なだけの子供と言うべきか…」

「そういうヤツ、なんだろうとしか俺も知らないっすけどね。色々役立つ

話をどうも。『もし今後があればよろしゅう』」

「ふっ、覚えておこう。君も行くのかい?」

メガネの男からきびすを返しながらエルゼスはうなずく。

「ぼちぼちとなぐり込みに行ってきますな」



複数の鉄パイプで出来た骨組みの上に持ち運びが簡単そうな折りたたみ式の

屋根を付けたその複数の設備を遠目で見ながらアスカレナが口を開く。

「昨日の内に、何故今日になって訪ねる理由は通信で送ってある。

準備はできたか?」

「はい」

「神様にお祈りはどうかね?」

「いてもそんなん見てるだけッスよ」

「部屋のすみでガタガタ震えながら生きる算段する心の用意は?」

「あえて今しやした。こんな所じゃ終わるつもりはねーです」

「フッ、いいことだ。万一とはどこで起きるか分からないものな…」

そうかすかに笑いながら駐軍所の方へ向くアスカレナをうかがうように

エルゼスは言う。

「…いいんですかい?」

「何がだ?」

「俺達が見つけたのがもし、中佐の上司が指示した事なら大変でしょう?

それに中佐が動く必要は―「あなどって貰っては困る」」

途中でエルゼスの言い分をさえぎりながらアスカレナは続ける。

「もしそれがこの村の真実だったのなら…私も軍人として許す真似はできん」

そう言い、駐軍所へ向けアスカレナは入っていく。エルゼスも後に続いた。

高さはそれほどなく、正にこの村落には補給物資だけを貰いながら巡回体制を

整えるための場所にしたと言う事が明確に現れていた。しかし、それだけでは

無いという村人達の必死の抵抗による足止め、その村人達に魔物さえ手を

貸していたと言う現状、そして原因として見せられた黒いビン。この先に

いるのが自分達と同じ軍人とは思えない。そう覚悟しながら2人は作られた

駐軍場所の受付だろう机に向かう。そこにいたのは村にいた冒険者とはまた

違うメガネの男性だった。青紫の髪は耳の後ろ辺りで少しまとめられどこか

女性的な雰囲気を思わせるその男はアスカレナとエルゼスを笑顔で迎える。


「ようこそおいで下さいました、特務隊一行様…おや?」

その顔はすぐにキョトンとした顔になった。恐らくエルゼス達が訪ねて来た

人数が少ないと言いたいのだろう。

「すみません、来て頂き早々ですが失礼します。他の方々は…?」

「今は用で他所へ行っている。私とこのクォーレ少尉が先にここへ来る事に

したのだ。貴官は…」

「私の名前はトギル。この巡回警備隊北東部管理に任命された少尉です」

「アスカレナ中佐だ。今回は特務隊の監視役としてきた。が、ここに来早々

たずねたい事が2つある。よろしいだろうか」

「どうぞ」

進められた席に座る。エルゼスでも分かった。座り心地は決していいものでは

ない。正に座るために最低限の部品を組み合わせたイスだった。まるでそれを

気にしないかのようにアスカレナは質問を始める。エルゼスがふと感じた

気配に視線を男から外すと、駐軍所の1区画であるここにもう1人大きな男が

いた。


(何だ…?)


その男は何も持っていない。軍服を見るに、この駐軍部隊の一員なのだろうが

鍛え抜かれた巨体を武器にしているにはどうも違和感を感じる。それが何か

エルゼスが考えている内に、アスカレナ達の方で話が始まった。

「まず今回調査と言う事でこの隊が使った車両はこの駐軍所内でどうにか

出来ないだろうか?」


「成程、央都から出発して早い到着だと思いましたが、そのようなものが。

そうですね…大きさは少しわかりませんが、恐らく大きいでしょう?」

「少なくとも、5人1師団を基本に3師団入れられる大きさだな」

「村の方々への負担は免れませんが、せめてこのような場所を少しでも村の

皆さんの邪魔にならないよう空白を存分に使い下さい」

「了解した。後でその旨を知らせよう」

そしてアスカレナは本題に入るよう、机の上で両手を組んだ。

「では、次の件だが…2,3日前に央都の方である事件が起きた」

「事件ですって?」

「私達はそれを調査するためにこうしてきたわけだが…君達がその犯人では

無いかと言う答えに来ている」


そんなアスカレナの核心へ迫る言い分に、片手で頭を押さえながら上を見上げ

首を横に振り否定の言葉を口にする。

「いくらなんでも人聞きが悪いです。仮にも仲間を疑いますか…と、それが

あなたの監視対象であるその部隊の役目でもありますか?しかし…それでも

まさか少佐どのから言われるとは」

「村の者たちも君達に不満をもらしていたぞ。威張り散らすだけならとも角

あたるのはどう言う了見か」


「それこそ、言いがかりですね。簡単な事ですよ」

自分の身を指差しながら笑みを形作り、背の高いアスカレナを見下ろす目で

トギルは見ながら、こう続ける。

「我々は選ばれた。その高き地位と力を持って。そんな我々に彼らがただ

うらやんだだけでは無いのですか?」

「そのような理屈が通るか。私達の使命はうらやむ者たちの声を聞き、共に

歩むべきではないのか」

「力無きものを守る者と支配されるしかない愚鈍な者達。我々はそう線を引き

支配する資格を持つ者が支配すべき美しい社会を作るべき。そう、我々の

隊長であり、あなたの上司であるあのお方も理想としている筈ですよ」


「それに」と言いながらトギルはこう続ける。「言葉が悪いが中佐どのの話は

今何の論理も無い。我々が何かしたという物的な何かがおありか?」と余裕の

態度でトギルは続けて言って来た。しかし、それにアスカレナとエルゼスは

2人して笑みを浮かべた。

「証拠ならばある。村人達の発見報告と、お前達がどう言った事をしたのか、

それを示す決定的なモノがな」

「ほほう、大きく出ましたね。一体どこに?」

「何て事は無い。今もうすぐそばにまで来ている」

「―はい?」

間抜けな言葉がトギルの口から出たその時。その音と光景はトギルの目と耳に

飛び込んできた。


ピーッ…ピーッ…ピーッ…


「な…」

トギルは目を見開く。遠方に見えたのは地走り型の機龍。完成の話どころか

特務隊に使われるとは、聞いてなかったのだ。

「すまないな。私は君に対して、実の所ウソをついていたのだ。そして…

私達をどうにかしようにも、来たモノにはここらを一掃できる兵器が念のため

積んであるぞ」

そういい、アスカレナは少し首をかしげながら電源が入った状態の通信機を

かかげて見せた。トギルは目の前でそんな事をしたアスカレナに目もくれず

駐屯所外に駐車されようとしている機龍の元へ駆けていく。エルゼスと

アスカレナも歩いてトギルを追う。元気な声がトギルと2人を出迎えた。


「はーい、オーラーイ、オーラーイ。はいストー…ップです!ベルクさん」


「よ、運び終わったか?」

「あー…うん、ベルクさんには悪いと思ったけど…あたしがやったのは今

目の前まで運んでるだけのものだし、それほど苦じゃないよ。空っぽの箱に

近い状態だったわけだし…」

セルアのそばからヒビキが顔を出す。手にはこの村落での軍の資金管理票が

書類にして作られていた。

「それ以上に問題となったのは、村を出た彼女達の根回しも回収する時間が

ギリギリあったという事だ」

「単に面倒くさかっただけ、とは言えるぞよ!」

最後に言ったのはいつも通りドヤ顔と自己主張の激しい一本毛がまぶしい

ベルクだった。ただ、その顔はすぐに真剣な顔になり言う。

「ただし、【君が灼いたコイツ】を除いてね」

ベルクは両手で持ち上げていたそれをほおる。


ズシャ…


音と共にエルゼスが間をおかずほうむったウィネットスネークの残がいが

地面へ投げだされる。首が無いのを見るに、死んでいるのは誰もが分かった。

「な、なぜあそこに伏せておいたこの魔獣がこうも…」

そう言いトギルはしまったという顔で周囲を見回す。もはや手遅れだった。

アスカレナが聞いた言葉に言及しない理由がない。

「トギル少尉…今のは問題発言なのは自分でも分かるな…?仮にも人を守る

軍人の身でありながら何をしていた…?」

「それはですね…いえ、今のは全くもって違います!」

「ほう、何がだ?」

「この村落で住人の動きが怪しいというのを察知した我々で内密に調査した

結果、村落の者達が反逆に魔物を扱おうとしているという情報が入り、

処理したのはいいのですが…こいつはその時見つけたものでして…」

「その言い分に嘘偽りは?そしてそれを証明するだけの物的証拠があり、

言っているのだな?」

「それ、は…あります!」

「言ってみろ」

「……ここには……」

間を置き、嫌な汗を流しながらもトギルがなおも何か口にしようとした時。


「カハッ!?なん、すみません。少し、失礼し、ま……!?」

言う事はかなわない。トギルは突然紫色の液体を口から吐き出した。トギルの

下半身が軍服のズボンを溶かし液状化している。その液状からもれ出した

香りか煙かに手を出した少女がいた。セルアだ。指だけ触れ、目で確認した

彼女のは声を上げる。

「これは…!?皆、息を少し止めて!ヒビキちゃん!」

うなずくだけでセルアの親友は魔力を用い溶けだしたトギルから発せられた

香りや液体を凍てつかせた。しかし


ぐしゃり


誰もがその音にトギルから目を話し音がした方を見る。そこにはいつの間にか

大男が自分の手の中にあった花を文字通り握りつぶす光景があった。その

花から新たに香りのようなものが発せられる中で、初めて大男が口を開いた。


「もういいだろ?トギル」


―act6(後半)に続く―


中途半端ですがここで切らせて頂きました。次の話も別視点がメインの話に

なりますが、早めに…あげられたらいいなと思います。フラグは折る!…でも

まじめにリアルは大切にします

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