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act5:迎撃「調査結果と戦果」

前actではトンデモなミスをしてしまい申し訳ありませんでした。

ごめんよフレミル…意図して無視し、空気にさせていたわけではないんだ…

そんなこんなで再び間が空きましたが完成です。今回も彼女の活躍場と

思ったら微妙だった…それでは今回も楽しい読書の時間を…


※:また今話はPCなどから読む事をおすすめします。


「どうするかね?」

エルゼスは開口1番にそう言った。

機龍の出入り口では「ガン!…ガン!!」と何度か打撃音が継続しているが、

すぐに止んだ。エルゼスの足元には自己主張のはげしい一本毛を自身の両手で

抱えた涙目のベルク。ひじをひざ辺りの足に乗せ手を顔の前で組み考える

仕草をしたヒビキ。ぐっと両手で握りこぶしを胸の前に作っているセルア。

何の気も無しに愛用のクマのぬいぐるみを抱きしめ、皆の顔をながめている

ネーペルリアとこちらもいつも通りにのほほんとコンソールにつながった

無数のコードに流れている色とりどりの光を、口の近くに指をそえ見ている

レイア。静かにコンソールの上をながめるアスカレナ。まず口を開いたのは

ヒビキだった。


「先程も言ったが、セルアは留守番だな」

「そうですよね」「うーん、すでに答えがあるみたいだけど、何で?」

「争わせる必要すらない、ようだな。すでにこちらの張った彼女の術中に

はまっている事すら気付いていないようだからな」

「あらあら~、やはりばれていましたか~?」

(やっぱ食えねえ女)

エルゼスは内心でそう思った。今ベルクの機龍を囲っていることを一番に

察知したのは恐らくレイアだろうと思ったからだ。そしてベルクとセルア、

そしてアスカレナがおどろいていることからエルゼスは相当早く大気内の

魔力を秘密裏に制御下に置いた事も分かっていた。それを知ってか知らずか

ヒビキはレイアにたずねる。


「いくらか使わせて頂きたい。よろしいか?」

「あら~何をなさるおつもりでしょう?膜のように気付かれないようただ

ここら一帯を囲っただけの私の魔力を~?」

「何て事はない、ちょっとした手品さ。…エルゼス」

「あい、隊長」

「やれそうか?」

「秒速で動けなくさせりゃあいいんですよね?」

「それでいい。好きに暴れてくるかい?」

「そーしやす」

「エルゼス」

レイアにぬいぐるみを預けたネーペルリアが入口の前に来たエルゼスの

傍までかけてきた。


「あたしも」

「行くか」

「ん…♪」

ネーペルリアのはにかむ笑顔がまぶしくて、エルゼスも自然と口元が笑みを

形作る。

「それじゃあいくぞ、ペルリア。隊長も準備いいっすね?セルア…はまあ

待っててくれよ」

「すぐに戻ってきてよぉ」

エルゼスの言葉にセルアは頬をふくらませながら椅子の前で両足を泳ぎの

練習みたくバタつかせている。そんなセルアにヒビキは後でお灸をすえるか

考えながら言った。


「では、諸君。準備は良いな―ベルク軍曹!」

「あいよ、ポチッとな!」


プシュッ…


その扉をあけるなりエルゼスとネーペルリアは足に魔力をみなぎらせ高速で

外へ飛び出した。



機龍を囲んだ、近くの村で腕に自信のある労働者達。その集団をただ1つの

言葉が支配していた。言いかえる言葉ならいくつもある。我らの願いを、

一矢を、反逆の一手を。その為に彼らは数年待った。この国にある真実を

ある一団から聞いた日より街の中を疑心と怒りが渦まいていた。それが

本当ならば民は一丸となり央都―軍や国の上層部へ怒りの矛先を向けねば。

そうしなければそれが尽きる事はないだろう。


怒り


彼らは既にその竜を象った乗り物の出入り口を見つけていた。そこは誰が

蹴ろうともあかなかったが、恐らく自分達がいるという事は今ので伝わったと

統率した者が止めた。今のままでは彼らは袋のねずみで頭を抱えている筈。

そしてこちらは出入り口が空き次第いつでも侵入が可能。少なくとも先手は

こちらがとれるはず、と思っていた。が、


出入り口が何と言う事は無く空いた。そして、


「は?」

出入り口が開いたと同時に、そばにいる男達が得物を持った両腕で振るおうと

し―、動かない。男達は自分の腕に視線を落として悲鳴を上げ気付く。

「ぎゃあああああああああああああああっ!?」

その影の通った周りの男達の腕があってはならない方向に曲がる。腕の関節を

狙い、ほぼ何もできないよう的確な衝撃で不能状態にしていた。

「おのれ―な!?」

男はそうなった者達見るや悔しく舌打ちした後、逃げようとし―目を見開く。

何時の間にやら自分達の足元が動かなくなっていた。しかもそれだけでは

ない。包囲した乗り物を中心に全員がいつの間にか足元にある氷の網に足を凍らされていた。


その術から逃れている者もいる。男はその集団に指示を出そうと口を開き


ドゴッ!!!


腹部に感じた強烈な圧力に胃液を地面へまき散らし意識が暗闇へ落ちていく。

最後に見たのは2色髪の少年がこちらを見下ろす光景だった。他の者達の

悲鳴も聞きながら自分達は失敗したのだという事を男はさとりながら意識を

失った。



「それでね、となり町のお兄さんの皆?何やってるの?」

「「「「「「「「「「すいまえん」」」」」」」」」」「ウホッ」

シュールな光景がそこにはあった。まるで女神を崇めるかのように頭を地面に

こすりつけている男達の前でセルアが両手を前で組み見下ろしている。しかも

謝ったつもりの言葉がどういうわけかちゃんと言えていない。彼らの腕は必ず

関節からみょうな方向に折れ曲がり治療院で見て貰わないと元通りになるには

難しい状態になっていた。

「セルア、知り合いか?」

「あたしが名義上預かってるって事になってるテルラスクのおとなり集落に

いる皆で…ええとね、何で皆してこんな事をしたのか聞きたいんだけど…」

そう言いながら、セルアと一緒にエルゼスは男達を見回すが

「もう勝負付いてるから!」「あたらなければどうという事はない!」

「けどそんなことはどうでもいいんだ、重要な事じゃない!!」

「ピアたんはオレの心のオアシス。異論は認めない」

「リア充の視線から光が逆流するっ…!」「ウッホ!ウホホーウッホ!!」

「最近こんなのばかりだが大丈夫か?」

「ドーモ、グンジン=サン。ムラビト=デス」

「てか、皆して一体何を言ってるんだ。ええとだな…とりあえずこいつらを

何とかしてからじゃないか?…どうせ、話すしか解放して貰えないんだろ?」


話にならないどころかわけが全く理解できない言葉を勝手に話す男達。その

目はエルゼスをまるで親のかたきでも見るような目で見ているが、ヒビキに

腕を取られ、ネーペルリアを自身の腹筋あたりで顔スリスリさせている

エルゼスは内心で首をかしげるだけで―ふと、聞き覚えのある言葉に思う所が

あったので、口を開いた。

「まず最後にまともな事言ったあんさん、その通りなんだ。来てもらえるか?

あと…今人語しゃべらなかった奴…に。あと1人…誰々が心のオアシスとか

言った奴、ツラ見せろ」

その言葉に3つの影が立ち上がりエルゼス達の前に来た。

「悪い…なんて謝るつもりはないが、同情はする」

「私は純粋に愛を望むっ!真剣なる幼女との愛を!」「ウホ?」

1人は茶髪をほんの少し刈り上げた青年で都市はエルゼス達の2つ3つ上の

ような若者。もう1人はメガネをかけた一見頭脳派とも呼べるような男だが

エルゼスの目からはしっかりと鍛えられた腕などが服越しでもよく分かった。

そして人の語ならぬ声を上げていたのは…ひじから腰にかけて何か折りたたむ

膜状のものを付けたサルだった。セルアがそんなサルを見て声を上げる。

「あ、ヨブムー!?」「ウホッ!ウホウホウホ!!」


ゴキンッ!!


セルアがその魔獣の名前?を呼ぶと音と共に魔獣の持つ関節から折れた腕が

簡単に元通りになった。セルアの前では無様な姿を見せたくなかったのか。

はたまたセルア達を指差したかったのか、ヨブムーは怒りもあらわに何か

怒りながらほえてくる。

「ウホ!!ウホウホウホ!!」

「え、な、何?何をそんなに?怒っているの?」

「こいつが怒ってる理由も分かるから一緒に連れてお前ら打ちのめそうって、

そう思ったんだけどな」

「ウホッ!」

ヨブムーが膜の一方から一行の頭上に見えるようかかげて見せたのは、黒い

小さなビンだった。トカゲのような装飾が掘られ細長く片手に収まりそうな

大きさに何か液体が入っている。その液体を見るなり

「やだ…!何それ…!?何でこんなものを…!!酷い!」

セルアが口元を押さえそれが何か分かったかのように顔が青ざめる。そして

そんなセルアを責めるかのようにヨブムーと若者はこう言う。

「ウホッ!!」「そうだよ、こいつらにこれを渡したのは―」

「頼む、待ってくれ!私達軍にはそんなもの覚えは―!」

ヒビキが制止しようとするが1人と1匹は止まろうとしない、そんな彼らを

止めたのは

「はい、ストーップ。落ち着こう、情報は手札だぜベイビーズ」

メガネの男だった。

「けどよ、こいつら―」

「軍の方も何か事情があるみたいだ。どうやらそれが作られている事を全く

関知していなかったようだが…」

「(余り打ち明けるべきではないと思うが…)つい数日ほど前に軍に入り、

編隊したばかりなんだ。そのようなものが一体どこで何故作られたかなど

分からなかった…どうかお教え願いたい」

ヒビキが話を合わせ頭を下げる。そんなヒビキに応えるよう、メガネの男は

語り出した。


「オノレらも軍が最近拠点見回りを強化するみたいな話が来て、国に自分達が

大事にして貰えると初めは思ったんだけどさ。魔物を集めて何かやってるわ、

オノレらをまるで奴隷か何かのように扱い当たり散らすわ…一体央都の軍は

大半があんなのなの?と思ってしまう位で。今度何かしら央都から来る奴らを

まずは歓迎して、後戻りできなくなったらその時…ぐらいにオノレらは考え

こんな行動に出たわけなんだけど…」

「来るやつ来るやつ本当に偉そうで、大した力も無いのに自分達はこの国に

認められているから下手な真似したらあれだとか…我慢ならねぇんだ!それに

対し、オレらにはそう言ったのも無いからって…何をしてもいいとか何て

理不尽な事を…っ!」

「そんなバカな道理があるのか…!?仮にも同じこの帝国カドラバの人間で

あるにもかかわらず…」

「ウホッ!ウホウホウホ!!」

「人に限った話でもないようだよ…この辺の近くの皆が酷い扱いされながら

何か狭い所にとらえられるとか…」

「とりあえず…事情は分かった。まずは君達の居場所を見せてくれ…ここで

話をしても何も始まらんしな…」

「…分かったよ」

自分達の身の上を話し怒りの度合いが下がったのか若者も特務隊の村内調査を

承諾してくれた。時同じくして機龍の行く手を阻むよう置かれてた複数の

丸太がどかされていた。

「なでなで…追加」

いつの間にかエルゼスの元を離れていたネーペルリアがV字型に指を形作り

突き出していた。この少女がそれ程の力持ちだったとは考えなかったのか、

エルゼスはそれ程おどろかなかったがヒビキ達は目を丸くしていた。機龍の

中にいるベルクに連絡しに行こうとする途中でヒビキは呟くように言う。

「色々と調べる必要がありそうだな…軍内部の事やら村周辺やら多くて時間が

かかりそうだが…」

そう言いながら4人で機龍の中へ入っていく時にエルゼスはふり返る。ふと

思う所があったので、こうたずねた。


「行く前に、1つだけいいですかい?」

「ん、何だよ?」

いかがわしげに若者の方もエルゼスを見る。

「誰から俺達が来るのを聞いたんですか?その調子だと軍の奴らとかとは

どうやっても情報やらそういうのは無理っすよね?」

メガネの青年は考えながらも話し出した。

「ええと、確か村の誰かが言ってたね?…あれ、名前は…?」

「いや、待てよ。他の皆は知らないって言ってるぜ。何だ?一体誰が…てか

サル公が掲げたので忘れてたけどオレらも証拠として(ゴソゴソ)サル公と

同じブツを…」

「「「「「…」」」」」

誰もが顔を見合わせたその中で、まるで氷そのもののような顔をしたレイアが

いつの間にか試験機から出て道先の丘を静かに見ていた。



「のしちまった村人の村に世話んなるのは気が引けるな…」

「フッ、君でもそう思うのだな」

「心あるなら誰でも思いそうではあると思うんスけど…?」

「忘れない事だ、そう思う内は世の中の小さな優しさなどにも気がつく」

「…はい」

そんな会話をしながらエルゼスとアスカレナは村の中を歩いていく。流石に

軍が在沖できる村落として十分な食料などは獲れるよう様々な食物の田畑が

広がっており、集会所を中心に外交所、宿、防衛所と上手く建っていた。

エルゼスは筆記番を片手に、ていねいな字で村の作物内容や集落の特長を

個条書きで書いていった。広大で穏やかな景色に感動で心おどっていると

アスカレナが話しかけてくる。

「いい手と字をしている」

「うい?」

「君はけっこう書く事になれているようだな」

「引きこもりなんで」

「そうか……親とかには?」

「母さんはいい人でしたよ」

「…(少しだけ言いよどんだ後)…父親は…?」

「ガキの頃目の前で火あぶりされておっちにました」

「…辛い事を聞いたな」

「幼い頃だったし、過ぎた話っす。大丈夫ですよ」


肩をすくめて周りを見る。村人達が警戒の目で2人を見ているようだった。

エルゼス達は軽く頭を下げると、キョトンとした目でこちらを見た後に

村人達は作業に戻っていく。どうやっても軍人と言うだけでこの集落では

「見た所、争いとは無縁の場所の筈のようだな…当然ではあるが。それが

あんなことになるとは…」

「さっきダチに借りてた本の中に、この辺の地理の知識があったんスけど。

ここでは鉱山から来る水の汚染で作物とかが害を受ける心配も無く、万が一

そういった災害が起きた場合この地を捨てて別の場所へ移住すればいい為

住民たちが国に反感を持つ事は少ない、と」

本当に気がきく友達を持ったとエルゼスは思った。エルゼスが数ヶ月だけ

過ごした学園生活で察せられたのかもしれない。

「ありがとう…と言うべきなんだろうか。…私達の誤解をしっかり解くため

君達を頼りにしたい」

「初めからそのつもりっすよ。…だから、良ければそんな所に隠れてないで

出てきてくれね?」

そう言いながらエルゼスはこの村に来る前に話した会話を思い出す。

『2色髪さん、記憶や記録を消す方法と範囲はそれなりにありますわ~』

『…具体的に言うと?』

『後は憶えのない記憶を植えつけたりすることで、記憶の混濁で混乱を

誘発させるなどもあります~』

『そんなモノもあんのかい』

『最後は言うのは簡単です~…その記録を得た者自体を消せばいいのです』

『…その2つだけか?』

『いいえ~…他にもありますわ~。しかし知っての通り、いくら隠そうとも

壁に耳はあるでしょうし~ガラス越しに目はあるのですわ~、必ず穴は

どこかしらにあるでしょう~。では、吉報を~』

(どんな相手からも何かささいな手掛かりはあるはず。そう信じたいが…)

そうして村落の物陰から複数の子供たちだった。それ以上に子供達を見て

エルゼスがおどろいたものが、口にして出る。

「ケガ…?」

「おまえらのせいだよ…!!」「そうだそうだ!」「ううー…」

「そっか、そいつは悪いな…何したんだったか…?」

そう言いエルゼスは子供達に近寄ろうとし、足を止める。子供達はそれぞれ

固い木の棒を向け、こちらに抵抗の意を示していた。

「おまえらがふだんおとなしいあいつらつかまえてへんなのをのませてるの

みたぞ!」

「おなじふくのひとがそうするのみました…」

「めずらしいかみ…?」

「あー、髪の事は気にしねーでくれ。それと痛い事とかはしねーから」

そう言いながらエルゼスは子供達を見上げるような高さまで顔が下がるよう

ひざを折った体制になる。子供の1人が疑問を投げた。

「あそこにいたわるいへいたいさんたちじゃない…?」

「そうだな…兵隊さん達、信じて貰えないと思うがお前達の話とか聞きに

来たんだ。どうか教えてくれないか?」

「あいつらがいまなにやってるかをききにきたってことか?」

「そうだ。この通りだ」

そう言いエルゼスはひざを折った姿勢から頭を地面に付ける所まで下げる。

流石の子供達もそれに圧倒されたのかこう言う。

「わ、わかった。あいつらがいったろうところにつれてくよ」

「ありがとな」

「えっと、おきをつけて?」「おにちゃん、かおおぼえた」


そのリーダーらしい少年の1人に連れられ、アスカレナとエルゼスは村落の

外、ある林で隠れたような所へ連れてかれる。

「この辺か?」

「すまない、いやないい方だが…間違いはないのか?」

アスカレナの言葉をそこまで気にしないように子供は言った。

「まちがいないよ。このさきだ。…おれたちはここまでしかつれてけない」

「そっか。…気を付けて帰れな」

子供が村落へ行って見えなくなるのを見送った後、エルゼスはそこへ足を

ふみ入れようとし、アスカレナに声をかけられる。

「クォーレ少尉、預かっているぞ」

ソル・ヴォルグだった。

「一応私にも何故か反応していたみたいだな。それは」

「何かその色違う部分に出たんですかい?」

「ああ…『Blood type search…Unnecessary』と」

「俺が先に、そいつに血を垂らしたからですかね…」

「どうだろうな…」

そうお互いに話しながらも慎重に進んでいく。その奥にあったのは小さな

小屋だった。2人してこ屋の中に気配がないか確認し小屋の中に入る。

中は静まり返っており、空っぽの箱がいくつもあった。

「見つけたが…もぬけのカラか…?無理も無いかもしれないが…」

「いや…そうとも限らないです」

「なに?」


「魔獣の持つ毛があります。この箱の中に詰めていたのはまさか…―!」

エルゼスが顔を上げた時には蛇の顔が目前にあった。

「クォーレ少尉!!」

アスカレナが声を上げるが心配は無かった。


ジュッ


ソル・ヴォルグから放たれた光が発せられ、まず頭そのものを灼き。次は

袈裟がけに振られウィネットスネークの胴体まで灼き切った。

「悪いな」

冒険者ならば腕きき3人でも油断はできない相手。それをエルゼスは軽々と

殺したのにアスカレナは少しうすら寒いものを感じながらこう言う。

「確定か……今日は軍の拠点とは別の場所で夜を明かすか?」

「そうっすね」

2人して黒い話をした後、ここで軽く休んでいく事とした。互いにこの辺で

いつかしようとしていた話をしようとしたわけだが。アスカレナの話から

互いに遠慮合戦した後に始まった。

「どこでどうなったらああいう子になってしまったんだろう…やはり私は

すぐに央都の軍人を目指すべきでは無かったのだろうか…」

「…素直に育っただけでもよかったと思うべきじゃないんですかい?」

「そう思うか…しかし、友人のタカナシ姫君が…」

「あー…俺じゃどうにもなりませんか?」

「…失礼かもしれないが。君が一番問題な気がするのは気のせいかい…?」

「……一応セルアがああなった原因には関わってないつもりです…」

「問題は…未来か…?」

「えっと、それなら。中佐はまた会えるでしょう?あいつと」

「それもそうか…すまない、相談のって貰った事、感謝しよう」

「何てことないです。で、今度はオレの方なんですけど…」

「そちらも話があるんだったな。よければ力になりたいが」

「では、甘えさせて頂きますな。ある人に頼まれたことで、そのセルアと…

セルアの父親についてなんですが」

「それに対して、私から言える事は1つだけだよ。…私は、貴族と言える

家柄以外はどこにでもいそうな女性なんだよ」

「綺麗だとは俺でも思うんですけど、中佐は」

「は、歯の浮いた事をそこで言うか君は…っ!いや、話を戻そう。とにかく

私は軍人としてある目的以外は矜持やらそう言ったものは持ってないんだ。

そしてそんな…私でも言える事だ」

あえてエルゼスは無言で先をうながす。直線的な熱意と怒りが彼女の目に

宿っていた。

「彼女の父親は親として最悪な人間だと、私は思った。それは確かだ」



一通り、集落内の調査を終えたエルゼス達はあえて軍拠点に入らず宿で夜を

あかす事にした。レイアとネーペルリアは別の宿をとったらしいが、この

村を出る際は付いてくるらしい。その日の晩―


 もえている                    燃えている

これでもかともえさかる      正に海のように美しく燃え広がっていく

おれたちがなにをした        圧倒的な喜びと力を手に私は見下ろす

ちからあるならなにしてもいいのか あわれな力も魂も持たぬ者達の明日を


「ハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」

「――――――――――――――――――――」

その男の目にあったのは―他の何でもない、歓喜だった。


「――――――――――――!!!」

声にならない咆哮にも似た叫びを上げエルゼスは悪夢から目覚める。

目が覚めたのは朝早くで日も出始めたばかりだ。


ギシ…ギシ…!


エルゼスはその日、村の宿で日課の朝鍛錬をしていた。


ゴリッ…!


握力に思わず力が入る。木造のつかんだか所が魔力もこめないままに

その部分が歪むのを見ながらエルゼスは呟いた。

「ヤロウには必ずツケを…絶望を味わせてやる。必ず…必ずだ…!!」


―act6に続く―


今回もやはり遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

次はしっかり早めに出したいなあ…と思いつつ、リアル事情で遅れたら

申し訳ありません。


―次回予告―

ギシギシと彼らの宿都は対岸の宿でもその音が鳴る

「んくっ…はぁ…良いですわぁ、もっと奥まで…」


少年兵はたずねることを止めなかった。

「それで終わりと思ったかよ?」

「君のききたい事はあれかな?多分、オノレが言った『彼女』について

聞きたいのかい?」


そして彼らが言った先で待ち受ける者は―

「もしそれがこの村の真実なら…私も容赦はせんよ」


次回act6:村落にて「けじめ」


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