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幽霊船って実在したんだ

馬車で揺られる三人組。

その馬車に漂う怪しい雰囲気。

清澄とジャンヌは一人新しくリディアを加えて三人になった。

だが、


「・・・・・・・おい」


「♪」


「・・・・・・・おい」


「♪」


ジャンヌは不機嫌でリディアを睨み付けていた。

そのリディアは清澄にべったりとくっついていた。

そして、清澄はその光景を心の中で表に出さず楽しんでいた。


「呼んでいるのがわからんのか貴様は」


「ん?私?」


「貴様だ!さっきから何をしている!」


「なにって?見てわかんない?」


「わからん!というか離れろ!」


「いいじゃん♪ね~清澄♪」


「はっはっはっは」


清澄は何も喋らない。

このやり取りを長く見るには何も喋らないのが得策と見たのだろう。

しかし、それは状況をさらに悪化させる。


「清澄!お前もさっさと引き剥がさないか!いつまでデレている!」


「え~っと、まぁ、問題はないから・・・・・いいんじゃない?」


答えをミスりました。

残念だが、清澄さんはアウトです。


「き~さ~ま~・・・・・こぉんの・・・・エロ大魔神が!」


ジャンヌの拳が清澄の顔面をクリティカルヒット。

そのまま清澄は気を失った。


「あ~あ。清澄が気絶しちゃった~。ジャンヌちゃんもうちょっと手加減してよ~」


「知らん。そんな変態」


「む~」


明らかに不機嫌なジャンヌ。

相当イライラしています。

きっとやきもちなのでしょう。

しばらく馬車に揺られること一時間。

ようやく港に着いた。

港に着くと、ジャンヌは船の手続きをして馬車を船の中に乗り入れた。

それと同時に清澄が目を覚ました。


「はっ!ここはどこだ!?まさか・・・・・誘拐!?こんなか弱い俺を誘拐だと・・・・・」


「誰がか弱いんだ」


目の前にはジャンヌが居た。

しかも、清澄を股がって。

清澄はマウントポジションを取られて冷や汗を流していた。

そして、清澄の予想は的中した。


「お前はなんでずっと寝てばっかりなんだ!少しは働け!ビシバシ働け!」


「ちょっぶっ!やめっでっ!おねがっいっ!ブルァアアアッ」


マウントポジションからのたこ殴り。

これはある意味恐怖だ。

というか恐怖そのものだ。


「他人にかまっている暇があるなら働け!私のためだけに働け!」


「わ、わかりぶっ!ましたっ!だからストップ!」


「わかったならいい」


ジャンヌは清澄から降りて、馬車を降りる。

清澄も同じように立ち上がって馬車を降りる。

と、清澄は周りを見回した。


「あれ?リディアは?」


「あいつは船内を散歩してくると言って真っ先にどっか行った。まったく、子供だな」


「そうか。それにしてもすごいなこの船」


「この港で一番大きな船らしいぞ。なんかわからないがタダで乗せてくれた」


「タダで?」


「ああ、タダで、だ」


清澄は何か嫌な予感がしていた。

タダより安いものは無い。

それと同様でタダより怪しいものは無いと思っているらしい。

まぁ、あくまで清澄の思い込みです。


「次の国に着くまで1日はかかる。その間に武器の手入れをしておこう。部屋は100100号室だ」


「この船、どれだけ部屋があるんだよ・・・・・」


そう思いながら部屋を探す。間でもなかった。

すぐに見つかった。


「100100号室ってここだよな・・・・・数が異常なわりに簡単に見つかったな」


清澄はドアを開けた。

そこは二段ベッドが二つ設置してある部屋だった。

空間は広く、簡単なキャッチボールくらいならできる広さだ。

清澄は椅子に座ると、刀を抜く。


刀は綺麗だったが、念のために手入れを施す。

手入れを終えた清澄は鞘に刀を納めると同時にジャンヌが入ってきた。


「清澄ちょっと首を左に倒せ」


「なんで?」


「いいからさっさとしろ」


清澄はジャンヌに言われるまま首を左に倒す。

すると、ジャンヌは座っている清澄の膝に乗る。

清澄の顔がどんどん赤くなっていく。

普段変態発言をしている彼だが、実はものすごく純粋なんです。


「動くな」


耳元でささやかれることによって清澄の顔はありえないほど真っ赤になっていた。

だんだんと頭から湯気が出てきた。

ジャンヌは右の首筋に思いっきり何かをかけた。

それにびっくりして硬直する清澄。

かけられたものは、消毒液だった。

さらに両方の首筋に何かの液体を手で塗って来た。


「これでいいか」


「な、なななな、何をしましててててて」


「消毒だ。それとそのガーゼに聖水をたっぷりとかけた。あのクソ吸血鬼悪魔対策だ」


「そ、そそそ、そうなんですかー」


清澄はかなりてんぱっています。

なかなかこういう清澄は見れませんね。


「さて、飯にするか。まぁ、そこのカップ麺だけどな」


「カップ麺か。俺は・・・・坦々面だな」


「なっ!そんなものを食うのかお前は・・・・・」


「え?なんで?」


「いや、なんでもない」


ジャンヌはカップ麺を選び始めた。

ジャンヌはスパゲティのカップ麺を手に取った。

すごいですね。スパゲティのカップ麺なんて。

そこにリディアが帰ってきた。


「たっだいま~♪おや~?ご飯ですか~?じゃぁ、私も~♪」


清澄の背後に回って右の首筋に噛み付いた。

その時、


「みぎゃぁぁああああああ!」


変な叫び声をあげてその場に転がった。

その際に黒のパンツが見えたのは黙っておこう。

ゴロゴロと室内を転がりまわるリディア。


「どうした?リディア」


「どうしたじゃないよ~!なんで聖水なんかつけているのよ~!」


リディアは涙目で言ってくる。

巨乳ゴスロリ少女の涙目はなかなかそそる要素かもしれない。


「ジャンヌがかけたんだけどそんなにまずかった?」


「ジャンヌちゃんが~!?むぅ~!ジャンヌちゃんなんでいぢわるするのかな~?」


「私はただ、消毒しただけだ。ちょっと怪我をしていたからな。清めておいたんだ」


ジャンヌはスパゲティを作り始めた。

清澄は坦々麺をもう食べ始めていた。

リディアは頬を膨らませていた。

かわいいですね。


「ちぇ、じゃぁ、私はこれで我慢する~」


リディアがバックから取り出したのは血液の輸血パックだ。

それを目にした清澄とジャンヌは目を見開いて固まった。

リディアは輸血パックにストローを挿すと、ゴクゴクと飲み始めた。


「ぷは~っ。あんまりおいしくな~い」


「き、貴様!な、なななな何を飲んでいるんだ!」


「何って血だよ~?」


「いや、そんなのジャンヌだってわかってるって」


清澄が微妙にツッコム。

ジャンヌはリディアを見ないように背を向けてスパゲティを食べ始めた。


「・・・・・・・・・・」


長い沈黙。

きっとまた見てしまうと食欲がなくなるからであろう。

そして、清澄は、


「しまった・・・・・・」


一気に食欲を失っていた。

なぜなら彼が選んだカップ麺は坦々麺なのだから。

坦々麺のスープは真っ赤。

まるでさっきの血によく似ていた。

しかもこれは「通常の3倍辛い超激辛仕様!」とか書いてあった。

ものすごく目にしみる色をしていた坦々面を清澄はこっそりと捨てて結局焼きそばを食べた。


「ごちそーさん。さて、寝るか」


「ちょっと待て清澄」


寝ようとしている清澄の肩を掴むジャンヌ。

清澄は振り返ると、剣を鞘から抜いたジャンヌがにっこりと微笑んでいた。

これは明らかにあれだろう。


「寝る前に私と手合わせ願おう」


「え~明日じゃ」


「ダメ」


「少し寝た後じゃ」


「ダメ」


「じゃぁ」


「ダメ」


清澄に拒否権は無いようです。

清澄は涙を流しながら刀を掴む。

ジャンヌはゆっくりと距離をとって、剣を目の前に掲げる。

そして、正眼に構えた。

清澄は刀を抜いて中断に構える。


「はぁ!」


ジャンヌが請願から右袈裟斬りを繰り出す。

清澄はそれを刀で受け、流す。

その流した勢いで回転斬り。

それをしゃがんで避けるジャンヌ。

その状態から切り上げる。

清澄は体を反らしてギリギリで避ける。

ジャンヌは追い討ちに突きを繰り出す。

それを今度は体を「く」の字にまげて避ける。

よく避けれましたね。


「あっぶな!あっぶな!ジャンヌさん、まさか完璧に殺りにきてますか?」


「日ごろの恨みをついでに晴らしておきたいのでな」


「やっぱりー!」


清澄は刀を鞘に納め、ドアまで走る。

ジャンヌがそれを追う。

そして、清澄がドアに手をかけようとした瞬間、清澄はジャンヌのほうへ跳んだ。


「バックバック!ジャンヌバック!」


「い、いきなり下がってくるな!」


「んなこと言ってられません」


清澄が下がった瞬間にドアは木っ端微塵になっていた。

清澄は額を腕で吹きながら息を吐く。


「あぶなかった」


「あぶなかったじゃ、ないと思うぞ」


ジャンヌが剣を構える。

リディアはいつの間にか居なくなっていた。

どこへ行ったのだろう。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


目の前には半透明の人間(?)がいた。

それはゆっくりと歩いていや、浮いて清澄たちに近寄っていく。


「あれって、幽霊って奴かな?しかも、よく見たら床とかボロ。あはははは」


清澄は壊れた。

ジャンヌはというと、


「・・・・・・・・・・・・・・」


顔を真っ青にして固まっていた。

どうやら幽霊は苦手のようだ。

清澄はしばらく考えて結論に達した。

ジャンヌの手を引っ張って横に走る。

走った先は壁だ。


「き、清澄、前・・・・壁!壁!」


「わかってるよ。でも入り口は幽霊がいて出れないから。出口がなけりゃ・・・・・作るのみ!」


清澄は壁を斬って出口を作った。

そのままどんどん壁を斬りながら上へ目指す。

船のデッキまで行けば何かわかるかもしれない。

二人は走った。

そして、デッキへと転がり出る。

すると、そこには誰も居なかった。

乗客の姿もなく。


「お~い、お二人とも~。だいじょ~ぶ~?」


声が聞こえた。

周りを見たが、誰も居ない。


「こっちだよ~。上だよ~」


「あ、リディア・・・・・黒のレース」


ドゴォ!


グーパンチはリディアからじゃなくジャンヌからだった。

ジャンヌは何事も無かったかのようにリディアに話しかけた。


「一体なにが起きているんだ。あのゆ、ゆゆ、幽霊は」


「わからな~い♪でも~、これだけ大きなものを動かすにはそれなりの能力を持っているはずだよ~」


リディアはそのままゆっくりと降りてきた。

清澄はゆっくりと立ち上がり、頬をさすりながら言う。


「なら、その幽霊使いをやっつければ止まるんだろ?だったらそいつをやっちまおう」


清澄は準備体操をする。

ジャンヌは顔を真っ青にしたまま首を横に振る。


「む、むり・・・・幽霊には物理攻撃は当たらないから・・・・」


「なら、俺一人で行くよ。リディア~」


「は~い♪」


リディアはジャンヌを掴むと、そのままふよふよと空を飛ぶ。

ジャンヌはされるがまま空を飛ぶ。


「白のレースかぁ」


「き、清澄!殺す!」


「はっはっは」


清澄は準備体操を終えると、自分の頬をパァン!と叩いて気合を入れた。

そして、そのまま船内へと駆け出した。

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