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「さて、まずはどこへ行くんだ?」


清隆は頭にできたたんこぶ三つ分を氷水で冷やしながらジャンヌに聞いた。

ジャンヌは地図を取り出して広げた。

そこには十もの大陸が記されていた。


「まずは港まで目指そう。今日は途中の村で夜を過ごす」


「ちなみにどのくらいかかる?」


「そうだな。半日あればつくだろう」


その言葉にショックを受けた清澄は地面に倒れこむ。

そして、泣きまねをしながら言った。


「このか弱い俺を半日も歩かせるなんて・・・・俺をそんなにいじめて楽しいの?」


「誰がか弱いんだ。正直、私も半日も歩くのはきつい。そこでアレだ」


ジャンヌは指を指した。

そこにはド○ゴンク○ストでみたことのある馬車だった。

馬は二匹と言うところが違う部分ですね。


「アレで移動すれば半日の半分以下で着くだろう」


「ぉおおお!馬---!」


清澄は馬に向かって走る。

そして、馬に蹴られた。


「ぐふぅ」


「あ、そいつらちょっとシャイだから近づくと蹴られるぞ」


「それは蹴られる前に言ってくれ・・・・」


清隆は立ち上がって頬を氷水で冷やす。

ゆっくりと馬車に乗り込んでジャンヌが馬車を走らせる。


「しばらく私が走らせるから途中で交代してくれ。その間は寝ておいていいぞ」


「おう、わかった・・・・・寝てるからって襲うなよ?」


頭に鉄拳が振り下ろされた。

清隆は眠らないでジャンヌの隣でボケーっと前を見ている。

ジャンヌは無言で馬車を走らせる。

一時間経過・・・・

清澄はさっきと変わらずボケーっとしている。

ジャンヌは馬車を道なりに走らせる。

二時間経過・・・・

ジャンヌは少し眠たいのか目をこすり始めた。

清澄は相変わらずずっとボケーと前を見ていた。

三時間経過・・・・

清澄は相変わらずボケーとしていた。瞬き一つしないで。

ジャンヌをうたた寝をし始めてきた。

このまま寝たら危ないので清澄と交代してもらおうと思った。


「清澄、ちょっと交代してくれ」


「・・・・・・・・・・・・・」


「清澄?おい、清澄」


「はっ!・・・・・おはようジャンヌ」


「目を開けたまま寝てたの!?金魚か!?」


目を開けたまま寝るという芸はきっと人間では清澄だけしょう。

ジャンヌは清澄に変わってもらい、少し寝ることにした。


「すー・・・・すー・・・・」


ジャンヌは寝息を立てて清澄の後ろに寝ている。

清澄はさっきから前をボケーと見ている。

また、寝ているんではないだろうか。

一時間経過・・・・


「お、アレは村か?」


清澄は起きてました。

それはともあれ、前には村が見えてきた。

小さくも大きくも無い村だ。


「おーい、ジャンヌ。村が見えてきたぞー」


「ん・・・・ふぇ・・・・なに?」


「村が見えたぞ。それと・・・・・・・」


「な、なんだ?」


「寝起きだとお前も女の子なんだな」


清澄が笑顔で言うと、ジャンヌは恥ずかしかったのか置いていた剣を鞘ごと振り上げる。

そして、思いっきり清澄の頭に叩き付けた。

清澄は頭を押さえてうずくまる。

大きなたんこぶが再びできあがりました。


馬車を村の外に置き、二人は早速宿を探した。

村をしばらく歩いていると宿の看板を見つけた。

中に入ると、そこには老けたおじいさんが居た。


「おや、お客とはめずらしい。いらっしゃい」


「今晩止めさせてもらいたい」


「はい、お二人で55ゴールドね」


おっと、ここで説明しましょう。

通貨はゴールド。

1ゴールド100円と考えていただきたい。

55ゴールドだから5500円です。

格安です。

ジャンヌは55ゴールドを払い部屋まで案内される。

部屋は二人部屋。

布団はしっかり干されていてふかふかだ。


「なぁ、なんで同じ部屋なんだ?」


「あまり金を使いたくない。これからは長旅になるからな」


「そんなこと言って夜に俺を襲うんだろ?キャッ」


ドゴッ!


鉄建制裁が下された。

一体一日に何個たんこぶを生産したら気が済むのだろうか。

ジャンヌは鎧を取って布団へダイブした。


「はぁ~きもちいい~♪ふかふか~♪」


完全に清澄を忘れている。

たった数分で存在を忘れられるなんてどういう頭をしているのだろう。

その出来事を清澄はニコニコしながら見ていた。

そして、それに気がついたジャンヌは再び赤面。

さらに、清澄がまたやってしまった。


「普通にしていればかわいい女の子なんだね」


「~~~~っ!このっ・・・・変態!」


その通り。確かに変態です。だけど、今の言葉に変態と言われる言葉は何一つ無い。

ジャンヌは近くにあったハンガーを投げつけた。

清澄はそれを避けた。学習したのですね。

だけど、それで終わるほど甘くはありません。

追い討ちをかけて跳び膝蹴りが清澄の顔面にクリーンヒット。

そのまま清澄は床に倒れこむ。

あれは痛い。


「ふんっ!」


ジャンヌは椅子に腰をかけた。

清隆はゆっくりと体を起こす。

けっこうタフなんですね。


「ん~、ジャンヌ。俺ちょっと散歩してくるわ」


「別にいいが早めに戻って来い」


「ラジャー」


清澄は起き上がって部屋を出た。

そして、部屋に残ったジャンヌは、


「う~ん、やー♪」


ふかふかの布団に再びダイブしていた。

気に入ったのでしょう。

さて、清澄はというと外に出てある家に入った。

そこは村長の家だ。


「こんちわー」


「いらっしゃい。。おや、見ない顔だのぅ」


白い髭を生やしたおじいさんだ。

仙人のような人ですね。


「旅のものでーっす」


「ほっほっほ、いらっしゃい。こんな老いぼれに何のようじゃ?」


「ん~そうですね~単刀直入に言わせてもらうと~」


無駄に馴れ馴れしいですね。

尻が軽い男とはもしかしたらこんな人かもしれません。

清澄は壁に肘を当てて言った。


「ここで何が起きているんっすか?」


さっきとは声のトーンが違った。

村長の表情が固まる。

清澄はさらに続ける。


「ここでは何かが起きているんですよね?教えていただけませんか?」


「・・・・・おぬしは一体・・・・・」


「ただの旅の者だよ」


「一つ聞かせてもらっていいかの。なぜ何かが起きているとわかったのだ?」


「ん~、まずおかしいと思ったのは村に来てすぐかな。人が誰も居なかったからね」


「だが、それだけじゃわからないじゃろ。もしかしたら住民が寝ているかも知れないしのぉ」


「それは無いよ。だって現にあなたや宿の人は起きていた。それと足跡」


「足跡じゃと?」


「そう、俺たちが来た時、地面には新しい足跡があった。しかも何時間も前じゃない足跡がね」


なんか探偵みたいなことを言っていますね。

村長はしばらく無言の後に頭を下げて言った。


「旅のお方。どうか・・・・どうか村娘を救ってください・・・・・」


清澄は村長の前まで言ってしゃがんで言った。


「お話を聞かせていただけますか・・・・・宿で」


いいシーンをことごとく壊しましたね。

ともあれ早速、宿に戻った清隆。

部屋の扉を開く。


「ただいまー・・・・ってジャンヌ何してんだ?」


「き、清澄!?」


そこには薄ピンクのワンピースを着た少女ことジャンヌ・アラークシアさんが居ました。

裾にはフリルがついていてなんともかわいらしい。

髪の毛も綺麗にといてあって正直誰もが見とれるであろう。

だが、そんな長時間見とれる時間はなかった。


「み、見るなーーーーーー!」


赤面したジャンヌは枕を清澄に投げつけた。

だが、清澄にはそんな攻撃は通用しない。

となると、さらに追い討ちが来る。

あのとび膝蹴りが。

ジャンヌはそのまま清澄に向かって走る。

そして、みぞおちを狙って膝を突き出す。

だが、清澄はそれを横に体をずらして避ける。

その先には・・・・村長が居た。


「おふぅ・・・・・」


「あ、村長」


村長のみぞおちに膝がヒット。

老体にあれはまずい。

村長はそのまま後ろに倒れた。


「え?ええ~!」


村長に膝蹴りをかましたジャンヌは自分がやってしまったことが信じられなかった。

清澄は長老のそばに座り込み合掌。


「んじゃ、とりあえず本題に入ろうか」


村長をそのままで本題に入ろうとしている清隆はある意味大物だ。

村長は倒れたまま話した。

村長もすごいですね。


「アレは一週間前からじゃ。急に盗賊に襲われたのじゃ。その盗賊の頭は村娘を根こそぎ捕まえてわしらに言ったのじゃ。村娘を返してほしくば俺たちに物資をもってこい。と」


「なんて外道・・・・許してはおけん!」


「他になにかない?そいつらが食い付きそうな情報とか」


「奴らは三日に一回はこの村に来て物資と村娘を一人ずつ連れ去っていくのじゃ」


「じゃぁ、その時にそいつらをやっつければいいんだな!」


「それじゃ、村娘がどこに監禁されているかわからないよジャンヌ。俺にはもっといい作戦があるんだけど」


「珍しい。じゃぁ、聞いてあげる」


「それはな・・・・・・・」


その後、いろいろ話し合った結果、清澄の作戦が使われることになった。

清澄は宿の屋根の上に居た。

今日は月の光がない。

隠れるにはもってこいの状態だ。

ジャンヌはというと、先ほどの格好で物資と一緒にいた。

作戦はこうだった。

まずはジャンヌが囮となって物資と一緒に盗賊のアジトまで連れて行かれる。

それと同時に清澄が尾行。

アジトがわかり次第、盗賊の殲滅だ。


「しっかし・・・・・普通にかわいいよなジャンヌは」


またその話ですか。

そりゃ確かにかわいいでしょう。綺麗な金髪ショートに以下略。

と、その時、盗賊がやってきました。


「おうおう、今日もいい娘じゃねぇか!しかもブロンドの女とは最高じゃねぇか!」


やってきた盗賊は5人。

その5人は早速物資とジャンヌを連れて行く。

清澄の尾行開始。

バッと屋上から飛び降りた。

そして、そのまま体全体で着地。

地面に人型が出来上がった。

だが、タフな清澄は立ち上がる。

いずれMに目覚めそうですが。


(さて、追うか)


清澄は腰を落としてゆっくりと尾行する。

物資を運ぶ台車には蛍光塗料を少し塗っておいた。

それを追っていけばいい。

しばらく追っていくこと20分。

ついにたどり着いた。

そこは崖の場所でテントを作っていた。

近くには村娘を木とロープでつないでいる。


「お頭、今回は上玉だぜ」


「おう、よこせ」


お頭と呼ばれた大男は傍らに大斧を携えていた。

そして、その背後には血だらけの村娘が三人。

地面を血で濡らしていた。

きっと死んでいるのだろう。

ジャンヌからは見えるが、清澄からは見えない角度だ。


「ほほぅ。いい女じゃねぇか。名前はなんと言う」


「・・・・・・・・・・」


ジャンヌは口を動かすがお頭には聞こえない。


「なんだ?もっと大きな声で言えよ」


「・・・・・・・・ない」


「ああん?なんだって?」


そしてはっきりとジャンヌは言った。


「お前に名乗る名などない!清澄!」


「ほ~い」


清澄は草むらから駆け出した。

剣をジャンヌに投げる。

ジャンヌは清澄のほうに走って剣をキャッチ。

そして、剣を抜くと同時に右にいる一人を切り捨てる。


「くそっ!騙したな!」


「騙されるほうが悪い」


「そゆこと~」


清澄は村娘のロープを斬って開放する。

お頭は怒って大斧を掴んだ。

見るからに重そうな大斧を軽々と持ち上げる。


「てめぇら生きて帰れると思うなよ・・・・・」


お頭が斧を振り下ろす。

そこには誰も居ない。

斧が地面に食い込む。

すると、その亀裂がまっすぐジャンヌに向かって飛ぶ。

ジャンヌはすぐに横に跳んで避ける。


「これは能力!」


「がははは!そう!これが俺の能力!筋肉を極限まで強化して放たれた一撃は大地をも割る!このようにな!」


お頭は何度も大斧を地面に叩き付ける。

地面が割れて清澄たちを襲う。

ついでに盗賊も襲う。


「お頭~!あぶないっすー!」


「ぎゃーーー!お頭ー腕かすりました!」


かわいそうですね。

自らのリーダーの攻撃で危ない目にあう仲間。

実にかわいそうです。

ジャンヌはその隙に盗賊を斬る。清澄はうまく立ち会って盗賊にお頭の攻撃を当てる。

一気に片付けて残るはお頭のみ。


「降参しろ。お前に勝ち目は無い!」


「そいつはどうかな」


お頭はまだ余裕があった。

一体この状況でどこに余裕があるのだろうか。

お頭は大斧を大きく振りかぶる。

清澄たちはそれを避けるべく構える。

大斧はお頭の背後の崖に突き刺さった。

崖の岩が崩れ、清澄たちを襲う。


「なっ!」


「これぞ俺の奥の手!クレイジーロックだ!」


岩の雨が降り注ぐ。

お頭は大斧を傘のようにして岩を防ぐ。

清澄は軽快なステップで岩を避ける。

ジャンヌも清澄と同じようにステップで岩を避けるが、


「キャッ!」


靴が戦闘用のブーツでないためこけてしまった。

岩はほとんど落ちきったが、お頭が大斧を振りかぶって投げた。

ジャンヌは飛んできた大斧を剣で弾き飛ばそうとするが、超重量の大斧はその剣を弾き飛ばしてジャンヌの顔面を襲った。

幸い、刃じゃなく、柄の部分があたって致命傷は防げた。

だが、その衝撃でジャンヌは気を失っていた。

お頭はにやにやしながら近づく。

ジャンヌに手を伸ばそうとしたその時、


「俺を忘れんな」


清澄がドロップキックを顔面にかましてお頭を後方へ吹っ飛ばした。

お頭は踏ん張って体勢を崩さない。


「貴様・・・・俺の顔面を」


「意外とタフなんだね~。悪いけど、俺が居ること忘れてただろ?」


タフなのは清澄のほうですよ。

清澄は刀を抜いて構える。

お頭は今は無手。

勝機は清澄にある。


「おもしれぇじゃねぇか。おらぁ!」


お頭が拳を振り上げる。

清澄は斬り落とすために刀を振り上げた。

その時、お頭が足で砂を蹴り上げた。

その砂が清澄の目に入って視界を奪われた。


「目が、目がぁあああああー!」


「くらいやがれ!」


お頭が近くに落ちていた岩を掴んでそれで清澄を殴った。

清澄は頭を殴られて地面に伏せた。

お頭は容赦しない。

伏せた清澄を蹴り上げて殴り、殴り、殴りまくった。

最後には大きな岩を投げつけた。

その時、見えてしまった。殺された村娘の死体を。


「がっ!」


清澄は血を口から吐いて動かなくなった。


「へっ!調子に乗るからだ。さぁ~て」


お頭は大斧を拾ってジャンヌの元へ行く。


「お楽しみタイムだ」


お頭がジャンヌの元まで行って、ジャンヌを掴む。

そして、ジャンヌのワンピースを指で引っ掛ける。

そのまま引き裂こうとしたその時、


「待てよ」


清澄は立っていた。あれほどの攻撃を喰らいながら。

頭からは前回と同じようにおびただしい血を流していた。

アレだけの攻撃を喰らっても立ち上がる。

清澄は刀を自然体で構える。

無行の構えだ。


「ちっ、せっかくお楽しみタイムを邪魔しやがって」


「うっせぇ。さっさとその汚ねぇ手を離しやがれデカブツ。汚れるだろ」


「死にそこないがいい気になるなよ。今すぐお前をころ」


「あ、その前に聞いていいか?」


「最後まで言わせろよ!雰囲気ぶち壊しやがって!」


「いいじゃねぇかそんなこと。そこの娘たち殺したのはお前か?」


「ああん?」


清澄が指をさした先には倒れている村娘数人がいた。

お頭はゲラゲラと笑って言った。


「そうだ。俺が殺した。俺にはむかったからな。そしてお前も殺す」


「そうか。ならいいよ。ちょうどジャンヌも気を失って見てないし」


「なに一人でつぶやいているんだよ。気持ち悪いったらありゃしねぇぜ!」


お頭がジャンヌを離して大斧を構えた。

清澄はフラフラしながら近づく。

お頭は片手で大きく大斧を掲げる。


「そんなフラフラで挑むとはバカにもほどがあるな。死ねぇえええええ!」


大斧が清澄に袈裟懸けで振り下ろされる。

だが、あたらない。

清澄はギリギリで避けていた。

お頭は目をこすったが再び大斧を振り上げて連続で振り下ろす。


「おらおらおらおらおら!」


しかし、すべてギリギリのところで避けられる。

清澄はじっとお頭を見据える。

おかしらはたじろいだ。


(どういうことだ・・・・なぜ俺の攻撃があたらない。死にかけの男たった一人たっていうのによ!)


説明しよう。

清澄は元気な時は無駄な力が入りすぎて動きが硬い。

だが、今は言っては悪いが死にかけだ。

無駄に力が入らない分、動きも柔らかくなった。


「このくそが!」


大斧を振り上げたその時、何かが上空へ飛んでいった。

しばらくして落ちてきたのは大斧の刃だった。

お頭の手には柄だけだった。


「な、何をした・・・・」


お頭は後ずさりした。

清澄はゆっくりとお頭の喉元に刀の切っ先を向ける。

その切っ先は喉に軽く触れる。


「ヒッ!た、助けてくれ!」


「いまさら命乞いか?」


刀を引いて右腕を撥ねた。

力はいらなかった。

骨に引っかかるような硬い感覚すらなかったように。

お頭の右腕から血が噴出す。


「ぎぃやぁあああああ!」


お頭が悲鳴を上げる。

清澄は無表情のまま見据える。


「人を殺しておいてそりゃないだろ」


清澄は今度は左足を斬った。

お頭がバランスを崩して地面に倒れる。

その時に、清澄の目が青色から血のような赤色に変わっていたことにお頭が気づいた。。

さらに左腕、右足を斬りおとした。

容赦ない攻撃にお頭が叫んだ。


「死にたくない・・・・死にたくないぃいいいいい!」


「村娘もきっと殺される前はそう思っていただろうな」


刀を腹に深々と突き刺す。

赤い血が突き抜けた刀を伝って流れる。


「がぁああああああ!」


苦痛に悲鳴を上げるお頭。

清澄は何のためらいも無く刀を引き抜いた。


「だが、お前はそんな村娘を殺した。それだけは許せない。許すことはできない」


清澄は研ぎ澄まされていた。

今までの発言や行動からはまったく感じ取れないほどに。


「ま、待ってくれ!」


「散れ」


その瞬間、お頭の首を撥ねた。

首からは血が噴水のように吹き出た。

清澄は一人、つぶやく。


「死にたくないのは皆同じなんだ。代わりになるものなんて何一つ無い」


血払いをして刀を納めた。

そして、ジャンヌの元まで行ってジャンヌを背負い、村へ戻っていく。

10分くらいたった時、ジャンヌが目を覚ました。






「う・・・・ここは・・・・・き、清隆!?」


「おー、やっと目ぇ、覚ましたか。よく寝るんだなお前」


「血だらけだぞ!大丈夫なのか?」


「大丈夫大丈夫、ちゃんと行き先は見えてるよ。あっちだろ?川の向こうのお花畑」


「全然大丈夫じゃない!」


またこの展開ですね。

何回も死にかけるのはデフォルトでしょうねきっと。


「そういえば、お頭は!」


「ああ、逃げられたよ。でも、もう襲ってこないだろうね」


「クソ、逃がしたか」


清澄は嘘をついた。

それは清澄が殺したお頭の姿を見てほしくなかったからだろう。

両足両手に首がなくなったお頭を。


「まぁ、いい。それより降ろせ」


ジャンヌは清澄から降りる。

ジャンヌの頭には傷どころかあざすらなかった。

これも「リフレッシュ」の能力だろう。

意識がない時は己を自己再生するのだろう。


「いや~、俺はしばらく背負って背中でもう少し感じておきたかったんだけどなー」


フラフラしながら言う。

ジャンヌはなんのことかわかっていない。

だが、清澄は次に言ってはいけないことを言ってしまった。


「小さくても多少は柔らかいからなー」


ジャンヌは一瞬でわかった。

ジャンヌを背負っている状態で背中で感じれるもの。

それはジャンヌの胸だ。

しかもAカップ。

貧乳またはまな板と言われるものだ。

ジャンヌからどんどん殺気があふれ出す。

そして、この日最大の鉄拳が振り下ろされることになる。


「む、む、胸のことを言いやがったな!この変態!!」


大きく振りかぶったジャンヌ。

清澄は血がなくなりすぎて動くことはできなかった。

そして、脳天に最大の鉄拳が振り下ろされた。


「ブフッ!」


清澄は鼻から鼻血を噴出してその場に気絶した。

これがかの鼻血ブーか。

ジャンヌは息を荒げている。

相当気にしていたのだろう。


「はぁ・・・・はぁ・・・・まったく、これだから男ってのは・・・・・しまった・・・・これはまずい」


確かにまずいでしょう。

かなりの出血だ。

このままでは失血しすぎて死んでしまう。

ジャンヌはとりあえず「リフレッシュ」で清澄を癒す。

少し時間はかかったが、清澄の顔色は元に戻った。


「ふぅ、まったくこいつには困ったものだ。本当に困ったものだな」


ジャンヌの行動も困ったものだと思います。

ですが、この二人ならなんとかやっていけそうですね。

この先、にどんな困難が待ち受けているのでしょうか。

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